銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす 作:(´鋼`)
『道中』
「………やけに静かだな。モンスターがポップしねぇ」
「お兄ちゃん、何か嫌な予感しかしないよ」
「……………兎も角、先に進もう。もし何かあったら俺がやってやるから」
「………うん」
75層の迷宮区、道中にて。ここに来て一番不思議な事が………モンスターがポップしないことだ。
この道でも普通にモンスターはポップする筈だ。では、どういうことなのか?
そんな考えをしていると………
「うああああぁぁぁぁ!!!」
1番後ろの方から叫び声が聞こえる。………まさか!!?
俺は直ぐ様1番後ろまで向かい、その光景を見た。
『モンスターが後ろから来ている』のだ。ぞろぞろと。
直ぐ様メッセでヒースクリフに、この現状を伝える。
メッセを伝えた直後、前に居た奴等は直ぐ様走っていく。
すると、今度はキリトからメッセが来る。
【残るのか】
たった一言。それだけであった。
しかし、俺は笑った。そしてメッセを使いキリトに伝える。
【総督命令だ。これから奇兵隊に命ずる事は“皆を導け”それだけだ。何、心配すんな。後で必ず会えるからよ】
それだけ。それだけを伝えると俺はモンスター共に向かい合う。
来ているのは『リザードマン』や『センチネル』、『エレメンタル』に『デーモンサバイバー』………うっわ、ゾロゾロゾロゾロと。パーティー会場にでもするつもりですか?このヤロー。
そんな他愛もない事を考えながら、『神壊刀・壊無』の刀身を鞘から引き抜く。
「お前ら………信じてるぞ」
そう言いながら、俺はモンスターの群れに突っ込んで行った。
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~キリトside~
一気に俺たちは駆け出した。モンスターをシヴァに頼んで、俺たちはボスの元へと駆ける。
結果としてはアイツを置いていく事になってしまった。いや、アイツは信じているんだ。俺たちを。
こんな俺たちに生きていく希望やら何やら与えてくれた、あのバカを俺たちが信じよう。
そして、ボス部屋前に到着。奇兵隊は人数が揃っていない。しかし、それでも………進むことを止めない。
ヒースクリフの作戦の確認の後、俺たちはボス部屋に入っていく。
中へ入れば何も見えない真っ暗な部屋。用心して、武器を取り出す。
「………!!!上よ!!!」
「!?………」
「何だよ………ありゃあ………」
アスナが上を見るように指示する。上に何か居ると分かり、見た。
そこには………
「スカル………リーパー………!!」
スカルリーパーは地面に降りようとしている。
「くっ!!全員距離を取れ!!着地の衝撃でダメージ判定が出る!!」
俺は咄嗟に全員に言った。それに反応し皆が離れていく。
俺たちも離れる。そして、スカルリーパーが着地する。
「ひいぃぃ…………」
1人、恐怖で逃げ損ねたプレイヤーが居た。
「シノン!!アスナ!!」
「「了解!!」」
先ずはシノンが弓スキル『ヘイル・バレット』を発動させ、スカルリーパーを牽制する。
スカルリーパーはシノンに気づき、目標を変える。
その間に動けなかったプレイヤーをアスナが助ける。
スカルリーパーがシノンに向けて攻撃を放つ。しかし、ヒースクリフによる防御でシノンに被害は無かった。
「キリト君。中々の状況判断能力だ、代わりに指揮をやってみないか?」
「………いや、アンタとの共同だ。俺1人じゃ何かと難しいからよ」
「そうか………分かった」
「………全プレイヤーに告ぐ!!タンク隊と俺たちがスカルリーパーの攻撃を何とかする!!その隙にスカルリーパーの横に行き、攻撃を仕掛けてくれ!!」
俺の言葉で、皆が動き始めた。だが同時に、シヴァはたった1人で続けていた事を改めて理解した。
「奇兵隊!!総督の命令だ!!」
後1つ、言っておくことをすっかり忘れてた。
「皆を導け!!それだけだ!!」
少しの間、そんな少しの静寂の後、俺の方に向かい言ってきた。
「「「了解!!」」」
「………奇兵隊!!突撃いぃぃぃぃ!!」
俺たちは駆け出した。スカルリーパーを倒すために。
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~シヴァside~
「フッ!!」
「グギイィ!!」
俺が斬った『リザードマン』はポリゴンとなって姿を消した。しかし、後ろから『エレメンタル』の攻撃。
それを後ろを見ずに横に避け、頭部にある弱点を『薙刀・梅桜』に武器を入れ替え刺し込む。
梅桜を手放し壊無と入れ替え、目の前にいる『センチネル』3体を斬り捨てる。
この作業をやってたお陰で72体居たが残り10体まで減った。
残っているのは『リザードマン』3体、『デーモンサバイバー』2体、『センチネル』1体、『エレメンタル』4体………くそっ、エレメンタルが固い。
「しゃあねぇか………初めてスキルでも使いますかね」
「ですがマスター、その場合硬直によるダメージが伴いますが」
「これぐらいならまだ平気だ。それにソクラテスの効果もあるしよ」
「………そうですね、では」
「おっけ、ちゃっちゃと殺るぜ!!」
壊無を構え、力を込める。壊無が青く光だし、俺の体は勝手に動いた。………やっぱ、システムアシストより自分の勘が1番だな。
【旋車】。初期の技だが、壊無で攻撃すれば一撃必殺級の威力技に変貌する。つまり………
「ォォォオオオ!!」
「グギィヤァ!!」
残りの10体に全てに攻撃可能。それでも3体程ポリゴンになる程度だが、モンスターのHPが急激に減っている。これなら!!
硬直が終わり、モンスターの間を潜り抜けながら各々に最後の1発を与える。そこでモンスターは全滅した。
俺はボス部屋に向かう。アイツらが待つ場所へと。
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~キリトside~
「セェエアラァ!!!」
エギルの斧攻撃でダメージを与える。すかさず俺は
「スイッチ!!」
「おう!!」
立ち位置を入れ替え、二刀流スキル27連撃【ジ・イクリプス】を発動させる。
別の場所では、アスナが細剣スキル【スピカ・キャリバー】を。ユウキが【サベージ・フルクラム】を。シノンが【ヘイル・バレット】を使う。
それぞれのスキルがスカルリーパーに直撃し、スカルリーパーは咆哮を上げポリゴンと成り消滅する。
その光景を見た後、俺たちは疲れからか地面に伏してしまう。
「………終わった………のか」
「キリト!!アスナ!!シノン!!ユウキ!!無事か!?」
「あーお兄ちゃんだー。ハハハー…………」
「ってちょ!!ユウキ!?」
「………大丈夫、唯疲れて寝てるだけね」
「あ、なら良かった………はぁ………」
シヴァがへなへなという擬音が似合うほどに座り込む。心配しすぎだ、バカが。
「なら………」
シヴァは突然、見ていた方向を変えた。
『ヒースクリフ』の方向に。
刹那、シヴァは壊無をヒースクリフに当てた。
しかし、それは………『Immortal object』という文字と紫の障壁と共に防がれた。
「さぁて、最後の晩餐と行こうじゃあないか。
茅場昌彦