銀髪スタンド使いの転生者はSAOの世界で第二の人生を過ごす   作:(´鋼`)

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銀、敗北

「……おいおい、こんな簡単に終わって良いのかよ?」

 

《強すぎるのは良いことだぜぇ?》

 

「にしてもこれは…………チートだろ」

 

 

 即死級。この【心意/インカーネイト】システムと【記憶/メモル】システムの複合攻撃は即死級の代物じゃねぇか。

 

 片や人間の感情で作用し、絶大な威力を放つ事が出来るシステム。

 

 片や殺した奴の記憶を引き出し、その記憶の全てを使えるシステム。

 

 心意システム×記憶システム=即死級のチートという訳わかんねぇ方程式が、今完成された。何を言ってんのか俺自身もさっぱりだ。

 

 心意システムを解除する。銀色の光は消え失せ、あるのは自分の腕と未だPoHが上半身を出している黒いオーラに纏われた右腕だけだった。

 

 

「ってか、戻れよお前」

 

《お前の負担にはならないから良いだろ別に》

 

「ガチ目に邪魔なんだけど?」

 

《うっわひでぇ~、んな感じに言われたの久々だわ~》

 

 

 

 話ながらベルクーリとヤタの元に歩んでいく。端から見れば何か出てる奴と本体が言い争いをしているだけにしか見えないのがあれだ。

 

 ……さてっと、ベルクーリには言わなきゃなぁ。

 

 

「あー……ベルクーリ。デュソルバートの事なんだがよ……少し厄介でな」

 

「………お前。いや、ギンと言ったか?」

 

「坂倉銀先。そのヤタからは銀って普通に呼ばれてる」

 

《お前なぁ……本名使うって頭イカれたか?》

 

「黙れキチガイ。……それで?どうしたよベルクーリ」

 

「……デュソルバートが何をしたかは知らない。だが、並々ならぬ事情があったんだろう。先程のギンの発言、嘘ではないと信じよう」

 

「……そうかい。ベルクーリ、信用している奴等連れてヤタと脱出しとけ」

 

「……それは戻ってくるという意味で言っているんだろうな?」

 

「……万事屋やってると、信頼が一番必要なんだよ」

 

 

 俺は次の階段に体を向けてベルクーリとヤタに約束する。

 

 

「万事屋嘗めんな。約束は必ず守るからよ」

 

「……そうか」

 

 

 ベルクーリとヤタは下りの階段へと向かい、走っていく。その足音はドンドン遠ざかって行き、ついには俺とPoHのみとなった。

 

 

《……お前はほんっとうに馬鹿だ、しかも約束を守ると酔狂な事を言いやがる》

 

「嫌いか?」

 

《まさか。その逆だ》

 

 

 上の階段に向かって走る。その際にコイツからは言いそうな言葉が聞こえた。

 

 

《It’s show time!! Kill dayと洒落こもうじゃねぇか!!》

 

「手段は選ばずにな。行こうか、buddy」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 上へと続く階段を上りきる。かなり広い部屋なのは見渡せば理解できた。幾らなんでも広すぎるんだけどよ。

 

 その部屋に自己主張してますよと謂わんばかりに大きなカプセルらしき物。この部屋は最上階、ならば此処はアドミニストレータが居る筈。あのカプセルに入っているなら都合が良い。

 

 メモルシステムを発動させ、木刀に黒いオーラを纏わせる。そのカプセルに一歩一歩足を進める。

 

 その近くに着いた瞬間、腕を大きく振り上げ木刀を振り下ろそうとする。

 

 

【迎撃開始】

 

「ッ!?」

 

 

 カプセルから距離を取り、木刀を地面に刺して黒いオーラで自身の周囲を包む。黒いオーラに阻まれて見えないが何かを防いでいる音は聞こえてくる。

 

 それらの音が聞こえなくなると、今度は何かが開けられた音が響く。黒いオーラを解除し、その音の方向を確認する。

 

 カプセルから煙が出ており、その煙の中で何か……アドミニストレータが蠢いている。

 

 煙が晴れると……現れたのはアドミニストレータらしき人物。の筈だ。“裸という事を考えなければ”。しかも女。

 

 

《Wow……こりゃsurprise。まさかの全裸》

 

「俺は嫁さん以外欲情せんわ」

 

《お前その発言OUT》

 

 

 ゆっくりと起き上がり、瞼を擦りながらカプセルから降りるアドミニストレータ。そして、全裸のまま一言。

 

 

『まだ寝て良いかのぉ?』

 

「《いや寝ぼけてんのかい!!》」

 

 

 カプセルに戻りそうになるアドミニストレータを阻止すべく、エンペラーとMr.BIGにさせてカプセルに穴を開ける。

 

 その音を聞いてアドミニストレータは穴の空いた箇所を調べると、かなり不機嫌になるものの頬を膨らませて目を細めながら俺たちを見る。

 

 瞬時に俺たちは戦闘態勢に移る。

 

 PoHの言っていたメモルシステムは『殺した奴の記憶』しか使えない事を考えると、心意システムで俺の考えている武器を作る。

 

 銀色の光が俺の周囲に浮かび上がり、形を形成していく。背中には大型の機械を背負い、両手には俺の身長を遥かに越える銃二丁。リロード出来る様に弾丸は機械と銃二丁と繋がっており、撃つ際には支えが出現する巨大カノン。

 

 

「【ハルコンネンⅡ】ぶちかますぜ!!」

 

 

 発砲。それからは話が早い。

 

 連続で放たれる30㎜弾丸はアドミニストレータの全身を狙い、これでもかと謂わんばかりに御見舞いする。

 

 心意システムで作成可能か理解しかねたが、どうやら出来そうだ!!だが、ハルコンネンⅡは反動もデカイからPoHにも支えるのを手伝ってもらっている。

 

 

《これ何時終わるんだ!?》

 

「あのアマの体が木っ端微塵になるまでだ!!」

 

《Huuu!!最っ高にイカれてやがるぜ!!こうなりゃ俺もとことんやってやらぁ!!》

 

 

 撃ち続けられる弾丸は俺の腕をもぎ取ろうとする程の反動を持つも、確実にアドミニストレータを仕留めに行くには丁度良い武器だ!!だが、流石に腕の疲労には耐えれずにハルコンネンⅡを消させてしまう。

 

 ここまで撃ち続けた。腕も相当の疲労だし、何より心意がよくここまで持ったなという感動しか感じなかった。息づかいが荒い、俺の体にも疲労は蓄積されているそうだ。

 

 

《余所見すんな!!まだ終わってねぇ!!》

 

「ッ!?チィッ!!」

 

 

 今度は煙の中から何かを放ってきたアドミニストレータ。しかしそれは1発だけでなく、10数発も撃ってきやがる。これには俺も一苦労するが、今度は確実に仕留めてやる。

 

 

「【ジャッカル】!!【.454カスール】!!」

 

 

 今度は心意で大型二丁拳銃を製作、装備する。心意による生成を用いて弾丸は∞。まさに最強拳銃となったぜ、旦那。それと勝手ながら使わせてもらいますよ!!

 

 煙の中に居ると思われるアドミニストレータに向けて発砲、乱射する。

 

 

《そこから右に3メートル移動!!乱射し続けろ!!》

 

「おうよ!!」

 

 

 今回の活躍は主にPoHの手助けが多いな。しかしゴーストデータである事を利用して、位置の特定をするのか。コイツは便利だ。

 

 既に疲労が溜まっている筈なのに、俺は口角を無意識に上げていた。それだけではない。腕の疲労が徐々に感じなくなっていっている。やり過ぎなんだろうが、今は好都合だ!!

 

 

《跳躍して後方2メートルに後退!!左に逃げている!!》

 

「チョコマカとぉ!!」

 

 

 腕の悲鳴が感じられる。んな事はどうでも良い、さっさとアドミニストレータを潰す事しか考えていない。

 

 

《ッ!?後ろだッ!!》

 

「何ッ!?」

 

 

 PoHの発言で後ろに振り向くと、さっきまで俺が撃っていた方向に居た筈のアドミニストレータが居た。瞬間、アドミニストレータは俺の首を抑え壁に押さえ付ける。

 

 

「ガフッ!!」

 

 

 押さえ付けられた反動で二丁とも落とす。しまったと思いながら、今の現状を把握する。

 

 『アドミニストレータが何時の間にか移動していて俺を押さえ付けている』……うし、確認終わり。

 

 

『全く……余の眠りを妨げるとはなぁ。しかも心意による攻撃かぇ?』

 

「ッ!?ば、バレてやがったのかよ……」

 

『当たり前じゃあ。余とて忘れておらぬ知識は存在するからのぉ』

 

《全裸のクソビッチの癖に中々歯が立つんじゃねぇの?》

 

『……このシステムは理解出来んな、消えてもらう所じゃが何故か消せれぬ。貴様何者ぞ?』

 

「……黙って離して死にやがれ、クソビッチ」

 

『話す気はなし……か。ならば望み通り』

 

 

 瞬間アドミニストレータの腕が魔性の紫色に包まれる。

 

 

「ま、さか……心意か?」

 

『目には目を。歯には歯をじゃ』

 

《くそっ、やられた!!》

 

『貴様の天命、ここで尽きるがよい!!』

 

 

 紫の光に包まれたアドミニストレータの右腕は、俺の心臓真っ直ぐに向かって放たれる。

 

 走馬灯……これが何故か思い出された。

 

 …………………詩乃。

 

 俺の心臓に空気が流れこんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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