健全魔導士目指します   作:秘密の区域

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常に自分の気持ちには正直である

『妖精の尻尾』は最高のギルドだと俺は断言する。

 

 しかし惜しいところは常識人の少なさである。ナツはクエストに行けば周囲のものを手当たり次第にぶち壊し、エルザは修行で俺を殺しにくるがごとく迫ってくる。ミラはたまに俺の部屋に不法侵入してくるし、エルフマンは「お前に姉ちゃんは渡さん」とか意味不明なことを喚いている。最近仲良くなったラクサスや『雷神衆』の面々も負けず劣らずといったところだ。

 やはり俺の癒しはレビィだけだ。いつかは常識人兼ツッコミ役のルーシィが来るが、待ってられん。

 俺は睨みつけてくるジェットとドロイを余所に、レビィと談笑していたかった。

 

「どうした、K?何死にそうな顔してんだよ」

 

「そうだぞ。これからクエストなのだから気を引き締めろ」

 

メンバー:ラクサス、エルザ、俺。

 

受けるクエスト:S級クエスト。

 

 おかしい、俺はS級試験を受けてすらいないのにS級クエストに赴いている。これは何かの陰謀に違いない。

 

「まさかS級クエストにびびってるのか?情けねえなあ」

 

「馬鹿言え。Kがびびるわけなかろう」

 

「……お前らは気楽でいいよな」

 

 ラクサスと最初に話したクエストに一緒に行く約束を果たすため、俺たちは行動を共にしていた。なぜそれがS級クエストなのかといえば、ラクサスの気まぐれとしか言いようがない。いくらラクサスに同行する形とはいえ、S級クエストは勘弁して欲しかった。

 しかしエルザの乱入もあって断るタイミングを失い、今に至る。

 

「何言ってんだ。お前は早くにS級になりそうだし、先行体験とでも思ってお前も気楽に行くべきだろ」

 

 どこで間違えてしまったのか、ラクサスはかなり俺のことを買い被っている。性質がクズっぽいラクサスは俺のことをある程度理解してくれると思っていたが、とんだ期待はずれだった。

 エルザもエルザで、俺とラクサスが仲良くなっていることに疑念を抱いているから怖い。どいつもこいつも見当違いばかりだ。

 

 俺はため息をつきながら今回のクエスト内容を思い出す。今回のクエストは「クリムゾンインプ」の討伐だ。クリムゾンインプはいわゆるゼレフ書の悪魔で、封印の綻びを利用し、封印から逃れたようだ。その性質は邪悪であり、評議院は多くのギルドに討伐クエストを依頼した。

 また潜伏しているとされる場所の周辺には警戒令が敷かれており、事の重大さが伺える。

 

「とにかくゼレフ書の悪魔だろうが、俺たち3人なら大丈夫だ」

 

「油断するな。仮にも相手はゼレフ書の悪魔だぞ」

 

「そうだ、ラクサス。お前は敵を甘く見過ぎている。慢心は良くない」

 

 エルザの声が2つ聞こえたと思ったら、エルザが2人いた。クリムゾンインプは悪知恵が働くと聞いていたが、味方に化けて錯乱を狙ってきたか。

 2人のエルザはお互い自分が本物だと主張するも、違いは見られない。ラクサスも判別できないため、2人まとめて攻撃しようとするのを俺は慌てて制止した。

 このままでは相手の思うつぼである。俺は知恵を絞り、解決策を練る。

 

妖精の風則(フェアリーブロウ)

 

 俺は咄嗟の思い付きで風魔法を発動し、片方のエルザのスカートがめくられる。

 

「なるほど、黒か」

 

 エルザは「こんな時に何をしているんだ」と怒ってきたが、それを無視して俺はスカートがめくれなかった方のエルザをぶん殴った。

 殴られた偽物のエルザの変身が解けると、そこには悪魔の姿があった。悪魔と連れの2人は俺が偽物見破ったことに驚いている。

 

「キサマ、ドウヤッテクリムゾンインプサマノヘンシンヲミヤブッタ!?」

 

「なーに、風が教えてくれただけだよ」

 

 クリムゾンインプが女性型の悪魔だったら見抜けなかったことは言わないでおく。俺はエクスカリバーLv1を呼び出し、クリムゾンインプに斬りかかる。

 しかし俺の斬撃は簡単に躱され、クリムゾンインプの腹パンにより俺は痛みでうずくまってしまう。

 続けてラクサスが攻撃しようとした時、クリムゾンインプは素早くラクサスの後ろに回り金的を喰らわした。これにはさすがのラクサスもノックダウン。強い上にやることに容赦がない。

 

「K!ラクサス!」

 

「ヘンシンヲミヤブラレタトキハアセッタガ、タイシタコトナイナ」

 

 残るエルザとクリムゾンインプの戦闘が始まった。エルザは俺やラクサスと違い、すぐにやられたりせず、クリムゾンインプと対等以上に渡り合う。俺の見立てではクリムゾンインプの方がやや押され気味だ。クリムゾンインプもそのことに焦ったのか、攻撃のペースを上げるが、その魔手はエルザには届かない。

 エルザは黒羽の鎧を換装し、勝負を決めにかかる。だがクリムゾンインプはやられまいと、バリアーを張って攻撃を防ぐ。

 さらに手から触手を放ち、エルザを拘束することに成功した。

 

「これはまさか魔力を吸収しているのか!?」

 

「コウナッテシマエバコッチノモノダ」

 

 危機感を覚えたエルザは天輪の鎧に切り替え、触手を斬ろうとするもうまく剣を操ることが出来ない。

 触手は魔力を吸収するだけに飽き足らず、エルザの体を刺激し始めた。魔力を吸収され、弱ったエルザに抵抗できるわけなく、触手による蹂躙は止まらない。敏感な部分への責めに、持ち前の精神力でなんとか粘ってはいるが、その目は半ばとろけ切っている。

 

「私は……んんっ、負けるわけには」

 

「マダアキラメヌカ。ナラバキサマノヨウナモノガキラウヤリカタデオトシテヤロウ」

 

 クリムゾンインプは俺に魔法をかけてくる。すると俺のエルザに対する欲望が高鳴り始めた。

 俺は欲望を我慢出来ず、エルザに毒牙を向けた。

 

「K、何を……うっ!やめ……はぁっ!!」

 

「ナカマノテデヤラレテシマエ」

 

 俺は夢中でエルザの2つの巨峰にむしゃぶりつく。なんて甘美な味をしてやがるんだ。

 触手により弱りきったエルザは俺にでも余裕で攻略出来る。思わぬところでこんなチャンスに巡り会えるとは、クリムゾンインプには感謝するしかない。

 

「エルザ!おっぱい!うおおおおお!」

 

「目を……んふぅ……覚まあぁっ!!」

 

 エルザが必死に俺に呼びかけるが、生憎俺は通常運転だ。

 

 俺の目はエルザのダムへと向いた。ダムは既に決壊し、辺りの水害は目も当てられない。その状況に俺は追い打ちをかける。

 

「んんんんんんん!!」

 

 投下された爆弾は轟音とともにさらなる水の流出を生み出した。

 

「ハハハ!キサマモモハヤタダノオンナダ。トドメハオレガサシテヤロウ」

 

 俺のプレイを見届けていたクリムゾンインプはシメは自分がやると言って近付いてきた。

 ここまで来てお前に譲るだと?エルザは最後まで俺たっぷりで終わらせるんだ。お前がけしかけておいて、美味しいところを取るのは許せない。

 

 俺は極点眼を発動し、今使える魔力の全てをE・サンダーに込め、それを手にまとう。

 

 そして奴の快感のツボめがけて正拳突きをした。

 

「ぐあああああああああああ!!」

 

 クリムゾンインプは一本角バルカンの時と同じように破裂した。

 

 これで邪魔者はいなくなった。俺はさっきの続きをしようとするが、瞼が重い。似たような展開に、俺はうんざりしながら、深い闇へと飲まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして初めてのS級クエストはなんとか成功した。

 

 俺はエルザに対してかなり心残りがあるが、クリムゾンインプを倒せなかったケースを考え、これが正解だったと自分を納得させた。

 

 それに今回は大きな収穫があった。極点眼とE・サンダーのコンボ。マッサージにしか使えないと思っていたが、戦闘にも流用出来るすばらしいものだった。敵の破裂を起こすくらいの威力を出すと俺の魔力の大半を持っていかれるが、気絶させる程度ならそこまで消費しないはずだ。

 

 エルザにも「あのような技を編み出していたとは恐れ入った」と褒めてもらった。調子に乗って「俺もエルザの乱れっぷりには恐れ入った」と返したらエルザの鎧のフルコースを味合わされた。本当のことを言っただけなのにひどいじゃないか。

 

 ラクサスは自分が早々に退場し、S級ではない俺が敵を倒した事実に落ち込んでいた。俺はラクサスの気を紛らわすために「ラクサス、キンタマ蹴られるってどんな感じ?」と聞いたら、ラクサスは俺の股間めがけて雷竜方天戟をぶっ放してきた。その技使ったら滅竜魔導士だってバレるぞ。

 

 俺がS級クエスト達成の功労者だとギルドの面々に伝わると、また周りが騒がしくなった。特にナツは自分もS級クエストに行きたがったが、その気持ちは理解出来ない。

 ラクサスやエルザがやられるようなクエストだぞ?たまたまイレギュラーだったのかもしれんが、俺はもう行きたくない。まあ前提条件のS級魔導士にはなれないだろうから、行く機会はないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのS級クエスト以降、エルザ・ラクサスとはよくパーティを組むようになった。これにミラもたまに加わるから1人S級じゃない俺は勝手に肩身狭く感じている。

 しかもこのパーティでクエストに行くといつの間にか終わってるから毎回申し訳ない気分だ。

 

 そんな役立たずな俺も着々と成長している。E・サンダーのコントロールは精密になり、戦闘経験や技術も板に付いてきた。

 ただ魔力だけがどうしようもない。アドバイスをくれそうなマカロフに相談したところ、努力で簡単にどうにかなるものではないようだ。

 やはり俺は策略を巡らすしかないらしい。

 

 それでも努力しない理由にはならないので、日々の研鑽は怠らない。最近は特典の魔法以外の魔法の習得を目指している。

 しかし神様は残酷で、覚えられる気配がない。今のところ唯一覚えられたのは変身魔法のみ。変身魔法もレパートリーは女性に偏っている。

 初めて変身に成功した姿がミラで、嬉しくて自分のおっぱいを揉んでたら、サタンソウルパンチを喰らった。

 

「そこにおっぱいがあったら揉むに決まってるだろ!」

 

 つい大声で本音を叫ぶと、周りは俺の言葉が面白かったのか、どっと笑いが起きた。ミラは顔を真っ赤にして俺を追撃した。

 それでも懲りずに家でこっそりミラに変身しておっぱいを揉み、虚しくなってしまったのは秘密である。つい「俺は本物(のおっぱい)を揉みたい!」と叫んでしまった。

 

 問題はタイミング悪く不法侵入していたミラにこれを聞かれたことである。俺は何事もなかったかのように「おっす、ミラ。お茶でも飲むか?」と固まったミラに話しかけるも反応がない。

 これから起こる惨事を想像して震えていると「だったら、揉んでみる?」と言うではないか。ミラは1人部屋で自分の姿に変身しておっぱいを揉んでいる俺に同情したのかと思うと辛い。

 

 だからといって断るわけもなく、俺はミラのおっぱいに手を出した。エルフマンの時には見ることしか出来なかったデカメロンに俺は触れている。ゆっくりとその果肉に指を食い込ませ、その柔らかさを認識する。揉んでいる最中、ミラは何も言わないが時々漏れる吐息が艶かしい。

 ふと俺はミラの顔を見ると、顔を赤らめ実に色っぽい表情をしていた。しかも嫌そうにしておらず、むしろ満更でもないといった表情。

 

 俺はそれになぜか恐怖を感じ、手を離してしまった。突然手を離したことで変な空気が流れてしまい、さらに「最高の揉み心地だったぜ!」と墓穴を掘る始末だ。

 ミラは笑っていたが、彼女に悪い気持ちを抱かせたに違いない。

 

 その日の夜はモヤモヤとした感情を払拭するために自家発電に没頭した。


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