原作が始まってから思っていることがある。
エロスが足りない。
エバルーの屋敷では未遂に終わり、『鉄の森』の時は空気状態。ガルナ島は関わらず、『幽鬼の支配者』ではガジルにボコられて終わり。
いいところが全くないではないか。
このままではいかん。
「K、どう?似合ってるかしら?」
「最高。女神と言っても過言ではない」
「もうKったら」
俺の褒め言葉に悪戯っぽく微笑み返すミラ。
現在、俺の思いつきで自宅にてグラビア撮影の真似事をしている。ミラの今の格好はバニーガールだ。網タイツの脚線美がいい味を出している。
「よーし、じゃあポーズを取ってもらおうか。まずはM字開脚だ!」
「……Kのエッチ」
恥ずかしがりながらもミラはこちらの指示通りのポーズを取ってくれる。それを興奮気味に撮る俺。
このようにミラとは順風満帆なリア充生活を送れている。
それでも俺は他の女の子の痴態も見たい欲張りさんなのだ。果てしない欲望に俺は手を伸ばし続けるぞ。
「次は四つん這いでお尻を突き出すように……いいね、完璧だ」
「さっきから指示されるポーズが際どいのばかりなんだけど」
「そりゃあそそられる写真を撮るのが目標だからな。実際のグラビアもそうだろ?」
「さすがにここまではしなっ!」
網タイツによって艶めかしさ増大のミラ尻を俺は鷲掴む。この独特の感触と柔らかなお尻のハーモニー。
そしてすかさず俺の手でいやらしく歪む尻を撮影していく。
「ちょっとK〜?」
ミラの若干怒気を含んだ声に俺は怯みそうになる。
だがそれに臆することなく指にE・サンダーを帯びさせ、本能のままミラの尻を揉みしごく。
「Kそれ以上は……あんっ」
「ふふーん。良いではないか、良いではないか」
「そろそろやめないと本気で怒るわよ」
ミラがものすごい力で尻を触る俺の手をつねってきた。本気で怒られたら洒落にならないので、俺は慌ててミラの尻から手を離す。ここで強気にいけないところが俺の弱いところだ。せめて網タイツを破る段階までは行きたかった。
「こういうのは夜にやればいいじゃない」
「グラビア撮影中にセクハラされるってシチュエーションがいいんだよ!」
それに夜は俺が辱めを受ける可能性が高い。やれる時にやっておくべきだ。
「マニアックな趣向ね……。あっ、そういえばロキからこれをもらったの」
ミラが見せてきたのはリゾートホテルのチケットだった。ロキ曰く「最高のラブロマンスを」とのことだ。
ロキが星霊だと判明した直後でのリゾートホテルのチケットの受け渡し。間違いなく「楽園の塔」と絡むことになる。
「お、お〜ロキも粋なことをしてくれるなあ」
「そうね。こんな高いホテル泊まったことないし、楽しみだわ」
俺も楽園の塔のことさえなければ純粋に楽しめただろう。
おのれジェラール。お前には俺直々に鉄槌を与えてやる。
照りつける太陽、目の前に広がる青い海。一抹の不安を抱きながらも俺たちはアカネビーチにやってきた。
「ねえ、あれって……」
「ナツたちだな」
早くもビーチバレーに興じるナツ一行を発見した。ルーシィとエルザの水着姿が眼福である。うほ、スパイクを打つエルザの胸がブルンと揺れたぞ。
「声をかけてもいいが、今日はミラと2人で過ごしたいかな」
「私もそう思ってたところ」
どのみち合流するだろうが、それまではバカンス気分を楽しもう。
今日のミラの水着はフリルが付いたエメラルドグリーンのビキニである。本当はマイクロビキニをお願いしたのだが、人前で見せるのには恥ずかしいと言われてしまった。
確かにあまり過激な姿を他人に見せたくないのも一理ある。これだけ人が多いにも関わらず、俺たちに羨望や嫉妬の視線が向いていることがよく分かるからな。
「K、どうかした?」
「ああ、すまん。ついミラに見とれてた」
「ふふ、ありがと」
人目も憚らず惚気る俺たちへの視線はさらに増す。いやー人気者は辛いね。
では、楽園の塔に行くまではこのバカンスを存分に満喫しよう。
その後ミラと一緒に泳いだり、砂で等身大のミラの像を作ったりと、日が暮れるまでアカネビーチを満喫した。
それから夜になり、俺たちはホテルの地下にあるカジノに向かっていた。
「逃がすかコラァアアーー!!!!」
「ナツ!?」
叫びながらギルドを飛び出すナツに、あとを追うルーシィ、グレイ、ハッピー、ジュビア。既にエルザは連れ去られたようだ。
「どうやら何か厄介なことがあったみたいだな。俺たちもナツたちに付いていくぞ」
こうして俺たちはナツの一行に合流し、ナツの鼻を頼りに楽園の塔にたどり着いた。見張りの兵を倒したところで、エルザと遭遇。
1人ハッピーを探しに行ったナツを除いてエルザの過去話を聞くことになる。
「私は……ジェラールと戦うんだ……」
話が重い。現状では救いがないところが辛すぎる。ジェラールの行動が自らの意思じゃないところとか。フォローしようにも俺には難しい。
それから話を聞いていたショウの誤解を解き、ジェラールに従うフリをしていたシモンの声かけのもと、ジェラール打倒を協力することになった。
塔を進む中、ジェラールのアナウンスによって3人の戦士が配置されていること、エーテリオンが打たれることが知らされる。
このアナウンスでキレたショウがエルザをカードにして、単身ジェラールに挑もうと走っていった。俺はエルザのことはグレイとミラに任せ、ルーシィ・ジュビアとともにナツを探すことにした。
だが俺はナツを探す気はさらさらなかった。途中でルーシィたちと二手に別れようと離脱し、エルザの方を追うことにしたのだ。
今回の狙いはエルザ……ではなく、エルザと対戦する斑鳩だ。
暗殺ギルド『髑髏会』の特別遊撃部隊『三羽鴉』のメンバー斑鳩。着物と京都弁っぽい喋り方が特徴的な和風の魔導士。
彼女の剣技はエルザすらも圧倒する妙技で、苦戦する描写がなされていた。最後はエルザに倒されてしまうが、そこに俺は目を付けた。
エルザに倒されるということは、すなわち身動き取れなくなっている。
そう、斑鳩の体を好き放題出来るのだ。我ながらとんでもなく下衆な作戦である。
そしてエーテリオンが落とされた後、ジェラールに1発何かをかます。戦闘はナツにお任せ。
問題ない、勝ちはもらったも同然だ。
道に迷ってる間にエーテリオンが落とされてしまった。斑鳩に辿り着くまでの時間を考慮しなかったのは詰めが甘いとしか言えない。
今度は間に合わなかったとならないために俺は急いでエルザのもとに向かう。
「無限の闇に落ちろぉぉお!!!!ドラゴンの魔導士ぃぃ!!!!」
俺が着いた時にはナツやエルザはボロボロになっており、ジェラールは強力な魔法を発動しようとしていた。
「貴様に私が殺せるか!!!?」
ナツを庇うようにエルザが前へと出る。マズい、このままではエルザにジェラールの魔法が当たってしまう。
「させるかああああ!!!禁具スラアアアイム!!!!」
「「K!?」」
俺は禁具スライムを呼び出し、それをジェラールに向かって放り投げた。魔法の発動に集中していたジェラールは、俺が投げつけた禁具スライムを避けることは出来なかった。
「なんだこれは!!?うわっ、やめろ!!そんなところに……ぐわあああああ!!!!」
禁具スライムがジェラールの体に纏わりつくことで、集中力が切れて魔法の発動が解除される。男の悶える姿はマイナスポイントだが、役目は果たした。
あとはナツを焚きつけるだけだ。
「2人ともここは俺に任せてくれ」
「何言ってんだ!!ジェラールを倒すのは俺だ!!」
「そうは言ってもお前はもう限界だろ。魔力が回復出来れば別かもしれんが」
「魔力が回復出来ればいいんだな!?」
俺の言葉を合図にナツはエーテリオンを喰らい始めた。最初は炎属性以外も含まれた魔力に苦しめられるも、予定通り覚醒。
ジェラールを圧倒的なパワーでねじ伏せた。
しかし息をつく間もなく、エーテリオンが暴走をし始める。確かエルザがエーテリオンを操作して爆発を防ぐ流れだったはずだ。エルザのことが心配だが、ここは早くこの場を離れよう。
そう思って動き出した時、俺はつまずいて魔水晶に手を突っ込んでしまった。
「あっ」
「K!何しようとしてるんだ!!」
「……エーテリオンはじきに大爆発を起こす。それを防ぐために俺はエーテリオンと融合する」
引っ込みがつかなくなった俺はエルザの代わりにエーテリオンを抑えることをするしかなくなった。
「そんなことしたらKが!!」
「心配するな。必ず止めてみせる」
そう言ってもなお、ナツとエルザ、いつの間にかいたシモンが止めようとしてくる。
「思えば『妖精の尻尾』は俺にとってかけがえのない存在になっていた。その仲間たちを救えるなら俺の命ぐらいくれてやるさ」
本当はめっちゃ助かりたいです。まだ死にたくありません。それ以前にどうやってエーテリオンを制御するんですか?
考えてるうちに体が完全に魔水晶に取り込まれた。ナツたちは必死の形相で俺に呼びかけてくる。
「ナツ、エルザ、あとは頼んだ。それとミラには『ごめん』と伝えてくれ」
感覚からしてそろそろ爆発することがわかる。爆発をさせないことは不可能だ。被害が及ばない場所、空中に魔力を放出するしない。
上に出す……上に出すイメージだ!
目が覚めたらナツにお姫様抱っこされていたでござる。原作でエルザを助けたように俺を助けてくれたらしい。もうナツには足を向けて寝られないな。
助かったことに安堵していると、ナツやエルザに説教されるわ、詳細を聞いたミラに大泣きされるわで、大変だった。ホテルに滞在中、ミラは俺にべったりでハッピーやルーシィにかなりからかわれた。
傷が癒え、マグノリアに帰ってきた俺たちは新しい『妖精の尻尾』のギルドを目の当たりにした。中に入るとオープンカフェ、グッズショップ、プール、遊技場……本当に魔導士ギルドなのかと思わされる。
でもウェイトレスの服を変えたのはナイスだ。中々のシコリティの高さである。
続いてマカロフから新メンバーのジュビアとガジルが紹介された。ジュビアは持ち前のビジュアルで好印象のようだが、ガジルはギルドや俺への襲撃で反応が悪い。
「おっガジルじゃん!元気にしてた〜?」
「K!?」
「なんでそんなフランクなんだ!?」
悪い空気を払拭しようと思っての行動なのに受けが良くない。ガジルも俺を無視してナツに突っかかってるし。
そうこうしているといつの間にかいなくなっていたミラが、ステージで弾き語りを始めた。その演奏と歌に聞き惚れていたが、途中からギルドのメンバーが騒ぎ出し大荒れ状態に。
新しくなってもやはり『妖精の尻尾』は『妖精の尻尾』のままだった。
「明日は取材で記者が来る日なのにぃーー!!!!」
マカロフがギルドの惨状を嘆いていた。このギルドが変に見栄など張れないことは分かりきってるだろ。
俺は呆れながら取材回避のために休日となる明日の予定を考えることにした。