旅河君ちのティアマトさん   作:ガンダムラザーニャ

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不安

大翔side

 

羊のように曲がっていて大きな角を持った少女ティアマトさんと一緒に暮らすことになった。

 

そのティアマトさんは、今手をつないで俯いたまま何も話さない。

 

ふと、僕は思った。

 

見た目で思ったけど、ティアマトさんってこの世界のこと知ってるのかな?

 

角を、瞳を、服装を見ても明らかに普通じゃない、コスプレとは違うまぎれもない本物だ。

 

だから思う、電話のこととかテレビのことなどこの世界のことがわかるのかなって。

 

「ねえティアマトさん、少し聞きたいけど良いかな?」

 

「ふぇ?」

 

ティアマトさんは驚いて顔を上げ、ふぇっと可愛らしい声を出す。

 

「ティアマトさんって電話とかテレビの使い方とかってわかるかな?」

 

「え、でんわ?

てれび?

何よそれ、私そんなの知らないわよ?」

 

「・・・」

 

ティアマトさんがキョトンとした表情で知らないというので思わず僕は頭を押さえてしまう。

 

なるほど、そこから教えることになるのね。

 

これはちょっと、僕も難しいかな?

 

「ちょっと大翔、どうしたの?

大翔ってば!!」

 

「えっ!?

あーごめんね、少し考えごとしててね」

 

「そう・・・、それで何考えてたのよ?

やっぱり私がこの家にいることが不満なの・・・?」

 

「そういう訳じゃないよ。

ただ、まずどこから教えようかって考えてたんだ。

だからティアマトさん、そんなことは気にしなくて良いんだよ?」

 

僕は不安に抱いているティアマトさんの頭を撫でる。

 

とりあえず、家での機械の使い方とか覚えてもらえるように教えようかな。

 

いや、明日学校あるからそのときのことにしようかな。

 

「よし、まずは家で留守番するときのことを教えようかな」

 

「留守番?

大翔はどこか出かけるの?」

 

「うん、僕は学生だから学校に行かなくちゃ行けないんだ。

それで、この家にはティアマトさんだけになるからどうするのかってことを教えようと思うんだ」

 

「そう・・・」

 

「でも大丈夫だよ、僕はちゃんと帰ってくるから、ね?」

 

「・・・わかったわ」

 

「うん、それじゃあ留守番でのことだけど・・・」

 

こうして、僕はティアマトさんに留守番でのこと(主に電話の使い方やチャイムが鳴った時の応対など)を教えた。

 

彼女は驚いたことに一度でやり方を覚えたのだが、先ほど言っていたメソポタミア文明の神様に関係があるのだろうか?

 

というより、彼女は実際やり方を覚えて練習でやらせてみて(例えば、僕の携帯に電話を掛けるなど)成功したら自信満々などや顔をかましていたけど可愛かった。

 

そして、ティアマトさんに留守番のやり方を教えていたら夜になったので夕食を食べて寝ることにした。

 

 

 

 

ティアマトside

 

大翔に留守番とやらの方法を教えてもらった。

 

それにしても驚きだった、今の人間は『電話』という機械を使って遠くにいる人間と話すのだから。

 

でも、私も人類悪とはいえ神様でもあったんだからこんな機械、すぐに使いこなして見せたわ。

 

さて、夕食も食べ終わったことだし次は何を教わろうかと考えているときに、大翔が話し掛けてきた。

 

「ねえティアマトさん、今日はもう遅いしそろそろねよ?」

 

「それもそうね。

それで、私はどこに眠ればいいの?

何なら外で寝てもいいわよ?」

 

「そんなことしたら風邪ひいちゃうよ。

ちゃんとベットで寝るんだよ。」

 

「・・・じゃあ私はあのソファで寝るわ。

なんだかんだ言っても座り心地もよかったしね。

あ、毛布も借りるわよ?」

 

「うん、わかったよ。

それじゃあ、僕は二階の奥にある自分の部屋で寝るね?

何かあったら言うんだよ?」

 

「ええ、わかったわ。

おやすみなさい、大翔」

 

「ティアマトさんも、お休みなさい」

 

大翔はそう言ってリビングを出て階段を昇って行った。

 

確か、大翔の部屋って二階の奥の部屋だったかしら?

 

そう思いながら私は毛布をかぶり、ソファに横にあるのであった。

 

「・・・そういえば、大翔明日学校に行くって言ってなかったかしら?

そうなれば大翔が帰ってくるまで私は一人ってことよね・・・」

 

「・・・」

 

私は明日のことで思考を巡らせる。

 

そして、なぜか大翔のことが頭によぎって離れない。

 

『一緒に居よう、ティアマトさん・・・』

 

大翔の言葉が、あの時の笑顔が、優しい声が、頭から離れない。

 

それと一緒に、明日のことを考えると不安になり胸の中のモヤモヤとした感じが生まれる。

 

「はあ、はあ・・・」

 

もし明日学校に行ってそれっきり帰ってこなかったら?

 

もしその後に死んだと知らされたら?

 

そんなことが頭によぎって離れない。

 

「はあ、はあ、はあ・・・っ!」

 

考えただけで胸が苦しい。

 

いやだ、失いたくない!

 

一緒に居ようって言ってくれた人間がいなくなるなんて嫌だ!

 

もうあの優しい声が聴けなくなるのも、いなくなるのも嫌だ!

 

「嫌ぁ!!」

 

私は勢いよくソファから立ち上がり、毛布をかぶったまま二階の大翔の部屋へと上がった。

 

 

 

 

大翔side

 

「ティアマトさん、一階で寝るって言ってたけど大丈夫かな?」

 

僕はティアマトさんのことを考えながら部屋で明日の授業の時間割をしていた。

 

その時に、僕はふとあること思い出した。

 

「・・・そういえば、確か小林さんのところにもティアマトさんほどじゃないけど、角が生えてる女の人がいたな・・・」

 

小林さん、近所のマンションに住んでいるOLだ。

 

両親とも知り合いで、何か困りごとがあったらこの人に頼るようにと言われてたっけ?

 

そして、小林さんの家にトールさんっていう角が生えているメイドさんがいたはずである。

 

「・・・トールさんってティアマトさんの知り合いかな?

今度会って聞いてみようかな」

 

僕はそんなことを思いながらカバンに教科書とノートを入れて、電気を豆電にしてベットに横になり毛布をかぶる。

 

そして、寝ようとして眼を閉じようとしたときにドアの向こう、それも廊下や階段からバタバタと足音が聞こえた。

 

「・・・?」

 

僕は気になりドアの方に目を向けると勢いよく開かれる。

 

そこに居たのはティアマトさんだった。

 

毛布を体にかぶったまま悲しそうな表情で僕を睨みつけている。

 

「どうしたの、ティアマトさん?」

 

「・・・!

べ、別に何でもないわよ!」

 

「でも、そんな顔しているんだから・・・」

 

「何でないって言ってるでしょっ!!

私も一緒に寝てやるんだから!」

 

「えっ?」

 

ティアマトさんが顔を真っ赤にして叫んでいる。

 

一緒に寝てやるって言われて僕は呆然としてしまう。

 

するとティアマトさんが強引にベットに入ってきた。

 

「ほら、私も寝るんだからもっと奥に行きなさいよ!」

 

「え、あの、ティアマトさん?

これはその・・・」

 

「うるさいわね、良いじゃない!

明日学校ってとこに行って帰ってこなくなるなんて許さないんだから!」

 

「え?」

 

「うるさいうるさい!

明日ちゃんと帰ってきなさいよ、あなたが言ったじゃない!

一緒に居ようって!」

 

「・・・」

 

「でも、怖いわよ!

学校ってところがどんなところかなんてわからないし、帰ってくるって言っても不安なの!」

 

「・・・」

 

ティアマトさん、そこまで不安だったんだね。

 

僕はティアマトさんのことはよく知らない。

 

メソポタミアの神様って言ってたけど、授業でもあまり聞かないし、ティアマトさんとは今日あったばかりでよくわからない。

 

でも、寂しいんだなって思う。

 

だから、僕は・・・

 

「ふぇ?」

 

ティアマトさんの頭を右手で優しく撫でた。

 

「大丈夫だよティアマトさん。

僕はいなくならないし、学校に行って帰ってくるのは本当なんだから、ね?」

 

「ほ、本当よね?

嘘って言ったら殺すわよ!?」

 

「うん、本当だよ?

だからね、約束するよ」

 

僕は左手の小指を出す。

 

「何よそれ?」

 

「指切りげんまんって言って約束をするためのおまじないだよ。

さあ、ティアマトさんも小指を出して?」

 

「う、うん・・・」

 

ティアマトさんは戸惑いながらも小指を出し、互いの小指を絡ませる。

 

「ゆーびきーりげーんまん、うっそついたーらはりせーんぼんのーます、ゆーびきった」

 

そう言って僕は小指を離した。

 

「これで、ちゃんと帰ってくるのよね?」

 

「うん、約束するよ」

 

「そう、じゃあおやすみなさい」

 

「うん、おやすみなさい。

それとティアマトさん、少し聞きたいけど良いかな?」

 

「・・・何よ?」

 

「その、角が当たってるし場所取ってるから何とかならないかな?」

 

「・・・わかったわよ」

 

次の瞬間、ティアマトさんの角が光り出し粒子となって消えた。

 

「これで良いでしょう?

じゃあ、もう寝るわね」

 

「おやすみなさい、ティアマトさん」

 

そうして、僕たちは眠りについた。

 

 

 




すみません、結局原作キャラの名前を出すだけになってしまいました。

次回は出せるようにしようと思います。

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