旅河君ちのティアマトさん   作:ガンダムラザーニャ

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リハビリで書きました、よろしければ読んでください。


出会い

ティアマトside

 

人類悪、またはビーストⅡと呼ばれたティアマトである私はは敗北した。

 

冥界に落とされ、翼や角を切り落とされて英霊たちと同格に下げられたうえで負けた。

 

そして、消滅し再び虚数空間に沈みいくらか時間が経ったとき私は思った。

 

私は、もう母親になれないの?

 

私はただ子を育み愛したかった。

 

でも、人間が怖い、だから殺さないといけなかったのに。

 

だって、殺さないと私が殺されるから。

 

でも、今思えば人間たちも私の体を母体として世界と共に生まれた。

 

ならば、私を殺したとしても自分の子であることに変わりはないのではないか?

 

でも、自分は愛さないでと願ってしまった。

 

そんな自分に子を愛する資格はあるのか?

 

「ほう、まさかお前がそう思うとはな、ティアマトよ」

 

「?」

 

ふと、男の声が聞こえたので振り返る。

 

そこにいたのは私を送り込んだソロモン王、いやゲーティアだった。

 

もはやソロモン王としての姿はなく、右腕は失い右半分が黒ずんでいた。

 

「Aaaa?」

 

私はその姿はどうしたのかと聞く、しかし私はこの言葉しか話せない。

 

それでも、意思表示のためにそれしかなかった。

 

しかし、ゲーティアは言葉が分かったのかほくそ笑むような、それでいて自嘲するような笑みを浮かべて口を開く。

 

「フ、私も負けてしまったのだ。

しかし、悪くない結末だったよ」

 

「Aa?」

 

「どうやら、人間は悪いものもいれば良いものもいるようだ。

それでいて、いつか命尽きる身でもあっても懸命に生きて歴史を作ってきた。

私は最初は悲しい物ばかりだと思い絶望したが、結局それは一側面に過ぎなかった」

 

ゲーティアはまるで昔を懐かしむように私に言った。

 

すると、ゲーティアの体が足の先から光の粒子になるように消滅し始めた。

 

「Aaaa!?」

 

私はゲーティアの言ったことと、消滅し始めていることに驚いた。

 

しかし、ゲーティアはそんなことを気にしない様子で私に残った左手を翳した。

 

「私はここまでのようだ、ソロモン王とカルデアのマスターのおかげでもう存在が消滅してしまうのだから。

だが、お前はそういうわけではないだろう?」

 

「Aaaa?」

 

「お前は人間を愛したいと少しは思ったのだろう?

なら、せめて私の最後の力を振り絞ってお前をある程度人間に近づけた状態で、人間の世界に送ろう。

まあ、ある種の力の封印だな。

そして、お前の眼で今の人間は本当に愛すべき存在なのかを見極めてこい」

 

ゲーティアは左手を輝かせてその光を私に浴びせる。

 

力が抜けていくのを感じた、神でもあるはずの私が人間に近づくのを感じた。

 

「Aaaa、ああああ・・・?

えっ、何で、私が人間の言葉を?」

 

「お前を人間に近い存在にしたのだから当然だ。

だが、それはお前からすればいくらでも振り切れる程度だ。」

 

「それは何で?

また人間に殺されるために?」

 

「それは違うな。

言ったはずだ、見極めるためだとな」

 

「そう・・・」

 

「お前も人間に触れて、もう少し考えてみるべきではないか?

そしてお前にとって害悪な物だと思えば私の力を振りほどいて滅ぼせばいい。

さてそろそろ時間のようだ、勝手口はお前の後ろだ」

 

ゲーティアは私の後ろを光に包まれ消滅しかけている左腕で指を指す。

 

すると後ろから光が漏れ出し、私を包み込み意識が薄れていく。

 

その中でゲーティアは言った。

 

「人間は非力だ、だがそんな人間に私は負けたのだ。

だから、お前もそんな人間に触れて考えるが良い、さらばだ」

 

それを最後に、私は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

主人公side

 

ある街に、ザーザーと雨が降りしきる。

 

「はっ、はっ!」

 

雨が降っている中、僕は傘を忘れていたのでカバンを傘代わりにして走っていた。

 

そうして、一軒家である自宅の玄関の屋根に辿りついた。

 

「うぅ、びしょ濡れだよ・・・」

 

まさか雨が降るとは思いもしなかった。

 

それもそうだ、今日の天地予報では快晴だって聞いていたんだから。

 

はあ、明日も学校あるのにズボンもびしょ濡れ。

 

カッターシャツはともかく、ズボンは替えがあまりないし乾かすのに時間がかかる。

 

そんなことを思いながら空を睨みつける。

 

でも、そんなことしてもどうせ雨はすぐ止むわけがない。

 

僕は諦めて、玄関のドアに手を伸ばそうとした。

 

その時に玄関の左方からドサッと何かが落ちる音が聞こえた。

 

何の音だろうと気になり、左方にある自宅の庭に目を向ける。

 

「え?」

 

僕はそれを見て驚いた。

 

庭に人が倒れていたのだ、それも少女だった。

 

水色の髪が足元に届きそうなほどの長さで、服装があまりにも露出度が高く大半が白い肌をさらしていた。

 

その中でも驚いたものはそれらのものじゃなかった。

 

少女の頭から伸びている羊を思わせるような、それでもかなり長く大きい角。

 

そして、何やら特殊な物で手足が縛られているように見えたことだ。

 

「何でこんなところに人が?

人、なのかな?

とにかく、中に入れないと!」

 

雨の中、倒れている少女に風邪を引かせるわけにはいかなかったので、家の中に運び込むことにした。

 

 

 

 

家に入れた後すぐに少女の体に雨の水分が残らないようにタオルで拭いた。

 

少女の体に触れて予想通りというか、やはり体が冷えていた。

 

なので、体を温めようとリビングのソファに運び、毛布を掛けたり暖房をつけた。

 

「ふう、今のところはこれでいいかな?

とりあえず、温かい物作っておかないと・・・」

 

僕はすぐにキッチンに向かい即席のスープを作った。

 

そして、スープを持って少女のいるリビングに向かった。

 

 

 

 

ティアマトside

 

光を感じ、私は目を覚ます。

 

久しぶりでいて、さっきぶりと思える目覚めだった。

 

「・・・?」

 

体を何かが覆っている?

 

でもどこか柔らかくて、暖かいものだ。

 

触ろうとしたが、今の私は人間に近い存在になっているとはいえ、ファム・ファタール、いわば本来の姿の頭脳体になっていた。

 

つまりは手足が縛ってある状態なので思うように動かせない、しかし腰を動かすことができたので上体を起こし周りを見回す。

 

「・・・・」

 

壁が白く、床は木のようだがツルツルとしているみたいに光沢があった。

 

壁にはメソポタミアにはなかった見たこともない道具があり、天井は一つの灯が部屋に光を照らしていた。

 

そして、これは椅子であろうか、寝床にしては少し狭い感じがしたがフカフカしてる感触があり悪い気がしなかった。

 

すると、目の前の木でできた扉が開き、人間が入ってきた。

 

「あ、気がついたんだね」

 

人間は微笑みながら手に盆を持って近づく。

 

その人間は黄緑で背中に届くほどまである髪を一束に結っていて、それでいて男とも女ともとれる中性的な体格だった。

 

最初はキングゥかと思ったがマルッキリの別人だと思う、彼はこんなにも子犬みたいな雰囲気なはずがないからだ。

 

しかし、人間ってだけで心の奥底から恐怖が混み上がり体が震え上がる。

 

「あの、大丈夫?」

 

人間は心配そうに私を見つめる。

 

やめて、近づかないで、怖い。

 

その感情が頭のなかで雪崩れ込みつい叫んでしまう。

 

「来ないでッ!!」

 

「っ!?」

 

人間はビクッと固まり、どこか悲しい表情になっていた。

 

私はそんなことを気にせず手足の拘束を外し体を覆っていた布を持って部屋の隅に蹲る。

 

情けない話だ、人間を愛したいと思ったのにいざ人間を前にするとこれだ。

 

まだ人間に倒されたことが記憶から呼び覚まされてしまう。

 

でも、人間は私に近づいてきた。

 

 

 

主人公side

 

最初は何を言われたのかと驚いた。

 

来ないでと、目の前の少女に言われて悲しかった。

 

でも僕はそれ以上に悲しいと思った、少女の表情が泣いている子供のように見えたからだ。

 

そんなことを放っておけなかった。

 

だからすぐに動いて部屋の隅に蹲る少女の前にスープを置いた。

 

「な、何のつもり?」

 

少女は今の行為がわからなかったのか、信じられない様子で問いかける。

 

僕は警戒心を抱かないように、微笑みながら答える。

 

「毛布を被っているけど、その格好だと風邪を引くと思うし、良かったらこれを飲んで暖かくして欲しいなって思っただけだよ」

 

「・・・?

~~~~っ!!

み、見ないで!」

 

少女は自分の格好を見て恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしてより強く毛布を体に巻いて、スープのカップを取って僕に顔が見えないようにしながら飲む。

 




主人公の名前は次回出す予定です。

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