球磨川のリコール宣言後、無事に一学期の終業式が終えた黒神めだかを含めた現生徒会メンバー、日之影空洞、名瀬夭華、古賀いたみ、人吉瞳は生徒会戦挙に向けて、今後どうするかなどを生徒会室で話し合っていた。
「黒箱塾時代の塾則に基づいた生徒会戦挙か。はー、やっちまったな黒神。今の箱庭学園は文武両道で通ってるが、黒箱塾時代は冗談みたいな武芸重視だったんだ。そんな時代のルールで-13組と戦うなんて自殺するのと一緒だぞ。断言しても良い。このままだと箱庭学園は完全にお終いだ」
と日之影空洞はため息混じりで話した。
「そっ…、そんな風に言わないでよ日之影先輩!あの時はああするしかなかったし!黒神さんがいなかったら本当に終わってた!」
「よい、喜界島会計。日之影前会長の言う通りだよ。もともとは、球磨川に先手を取られた時点で私のミスだ」
そして少しの間沈黙の時間が生まれたが、それを壊す様に古賀いたみが口を開いた。
「…で、その生徒会戦挙てどんな風にやるの?」
「簡単に言うと五対五の団体戦で先に三勝した方の勝ち。役職ごとに戦いの形式や舞台は違うけど、基本強度を競う真剣勝負だよ。それとこれは舞台設定に時間がかかるから週一のペースで。つまり、合計で五週間だから夏休み丸々使うね」
「だがそんな事よりも副会長をどうするかだな」
「ケッ、しょーがねーから俺が副会長になってやるよ」
これを聞いた阿久根高貴と喜界島もがなは名瀬の事ををやっぱり良い子じゃない?と思ってた。
「まあ、それは置いておいて。日之影前会長、例の凶化合宿の準備を急いでもらえますか?」
「ああ、そうなんだがどうしても課程修了までに二週間はかかってしまうから最初の庶務戦には間に合わない」
「間に合わないじゃ済まないかもね。
「最初の二人は球磨川くんの後ろにいた生徒で、最後の人は端にいた生徒のことですよね。あの二人は球磨川くんとなんとなく同じ様な感じがしましたがその人形峠無希という子はあまり何も感じませんでしたよ。その子も人吉先生の患者だったのですか?」
「ええ、そうよ。あの子は普段はそこまでマイナスぽくない感じだけど、一度スイッチが入るとかなり危険よ。彼女が入院してた時もかなりの数の人が精神病院送りにされたからね。そして何より彼女はそれに対して何も感じて無い」
「んっ?それはマイナスなら普通のことなのでは?」
「いえ、どんなマイナスでもやった事に対して楽しいや気持ち良い、スッキリしたなど少しは感じているの。だけど彼女は本当に何も感じて無いのよ。ただなんとなくやった、それだけなのよ。間違いなく-13組が揃う前に仕掛けてきたのは彼女の存在が大きいと思う」
「あの二人を差し置いてですか?」
「ええ、そうだと思うよ。元心療外科医のあたしに言わせるとめだかちゃん、正直かなりキツイよこの戦い」
「………」
そしてふたたび沈黙が生まれた。
〈-13組側〉
-13組の不知火半袖を除いた5人のメンバーは弐ノ13の教室に集まっていた。
『じゃーあ。そーゆー訳で、生徒会戦挙の初戦の庶務戦は、僕が出るね』
「……、それは構わないのですが」
「あんた、生徒会長になりたかったんじゃねーのか?」
「うん、そうだよ球磨川先輩君」
『別に。誰がなっても一緒だし。それにわざわざ強そーなのを相手しなくも良いんだよ。先に三勝すればいいだけなんだから』
「そういえばそうか!じゃあ球磨川先輩君、悲惨な試合をよっろしくー」
『うん。任せておいてよ。そういえば無希ちゃん。一つ頼み事をしても良いかな?』
「なんですか?」
と言いながら無希は球磨川の口に自分の耳を近づけた。
『えーとね、ゴニョゴニョゴニョ』
「ほうほう。何それ!スッゲー楽しそー!わっかりまーした。やっておきますね!!」
『うん。頼んだよ』
そして、-13組のメンバーは解散した。
各自生徒会戦挙に向けて準備する中着々と最初の庶務戦は近づいていった。