一階
・2つの扉は対面になるように設置
・四隅に二階へ続く階段が設置
・床には熱せられてる鉄板を敷き詰めている
二階
・四隅に一階へ続く階段が設置
・天井に冷凍装置を設置
建物に入った人形岬無希は扉の前で走り回っていた。
「熱い、熱い、熱ーい。ナニコレ?熱すぎるでしょ」
一方、同じく建物に入った名瀬夭歌は
「流石のマイナスでもこれはキツイのか?」
「いやいやいやいや。僕はマイナスだけど一応人間なんだよー。マイナスとか関係なしでこんな所はキツイよ!」
「そうか。じゃあ建物から出たらどうだ?」
「そうだねーって出ないよ! 出たら負けじゃん! 絶対出ないからね名瀬先輩君」
「良かったぜ。それなら心置き無くお前をぶっ潰せるからよー!」
名瀬夭歌は
「えっ、ちょっ、待って。うぎゃっ」
人形岬無希は避ける事が出来ず、体に注射器が刺さってしまった。
「いってー。もう、熱いし、痛いし……、これでもくらえー」
さっきのお返しとばかりに人形岬無希は名瀬夭歌に鉛筆を何本も投げた。だがそれが体を傷つけることはなかった。名瀬の着ているアンダーウェアにぶつかりそのまま刺さらずに落ちてしまったからだ。
「アレ?何で……」
人形岬無希が疑問で頭がいっぱいになり立ち尽くしてる中、建物に備え付けてあるスピーカーから音が鳴った。
【名瀬さま、選挙管理委員会として説明を求めます。
「漠然とした聞き方だねえ、長者原くん。なぁーに、これが只のアンダーウェアじゃねえって話さ。どんな環境、大抵の攻撃に耐えられる全方位型実験服、
「なっ、何だよそれー。何でそんなの今着てるんだよー!」
「そりゃ勿論今回の書記戦用に色々文献を読み漁ったりして、対策を練って挑んでるからだよ。まさか、反則とは言わねーだろわな長者原くん」
【ええ、最低限の物である服の種類指定などはされておりませんので】
「だってよ、人形岬」
名瀬夭歌に呼ばれた人形岬無希はいつもの元気さはほとんど無くなりとてつもなく熱い空間の筈なのに震えてしまっていた。
「えっ、えーと、えっと、えっと、えっと、えっと……、あっ! だっ、だけど名瀬先輩君、それでも僕のスキルの正体はわわかんないよねー。からさっきから近づいてこないんでしょ」
「ああ、確かにお前のスキルは一週間色々調べたりしたが結局わかんなかったぜ」
その言葉に先程まで元気がなくなってた人間岬無希は一気に元気になった。
「そうだよねー。わかんないよねー。だ、だから怖いよねー」
「いや、怖くないさ。だってお前のスキルはノーマライズ・リキッドで封じたからな」
「封じた? えっ? 封じた?」
「ああ、そうさ、封じたんだ。さっきお前に投げ刺した注射の中に入れといたのさ。さてと、あとはお前の
そして、名瀬夭歌は完全に元気が無くなってしまった人形岬無希に近づいていった。
「えっ、えっ、えっ、えっ。……おりゃー!!」
人形岬無希は近づいてきた名瀬夭歌に向かって鉛筆を我武者羅に投げながら近くの階段へ走り、上っていった。
鉛筆は見当違いの所に飛んでいったり、体に当たるも
「ハーァ。こうなると弱いものいじめみたいで気分が悪いぜ」
そう一言言うと人形岬無希を追い
二階に上がりながら名瀬夭歌は顔に巻いてた包帯を外し、注射の中に入ってたノーマライズ・リキッドを水がわりにして染み込ませた。包帯は二階に着くと部屋の寒さで凍り鈍器となった。
部屋の中央に人形岬無希は立っており、名瀬夭歌は少し不審に思い注意して走りだし鈍器を振った。
「はあ!!」
「うぎゃっ」
鈍器は腹部にめり込みながら人形岬無希の体を壁まで吹っ飛ばした。
人形岬は飛ばされながらも鉛筆を投げたが名瀬夭歌を傷つけることはできなかった。
人形岬無希は壁にぶつかり倒れたまま荒い呼吸で動かなかった。
「はあ、はあ、はあ、はあ」
「人形岬、お前の負けだ。さっさと降参しろ」
「はあ、はあ、はあ、はあ……こ、こう、さん? ふ、ふ、ふ、ふふふふふふふ」
「何がおかしいんだ」
「お、おかしいよ。だって、だってね……」
人形岬が言い淀んだ次の瞬間、突然名瀬夭歌の
「なっ……」
そして、人形岬無希は
「僕はまだ負けて無いからねー」
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