史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは、紅河です。
やっとこさ史上最強の弟子ケンイチの人達を出せました!
出番は少ないのは変わらないのですが、楽しみにしていた方はお待たせしました!


7話お楽しみ下さい!


BATTLE.7 電話にて

 西京 寧音からの呼び出しで理事長室に向かった真琴。そこでは生前活躍していた、父“近衛真一”の学生時代の逸話を寧々と黒乃が話してくた。尊敬する父の活躍を真琴は初めて他人から聞かされた。近衛真一は父方の家を勘当され、母方の家では忌み嫌われていたからだ。

 真琴は今まで父の学生時代について気になってはいたが調べる事が出来ずにいた。

 何故、真琴が調査が出来ずにいたのか・・・?

 それは武術の修行に明け暮れていた為、余裕が無かったからだ。

 慣れてきた頃に自分一人で調査も行ったが、結果は惨敗。だからこそ真琴にとって父の学生時代の話は興味が尽きず、頷きなが耳を傾け聞いていた。

 

 

「寧々先生、父の話をしていただきありがとうございました!」

「そんな事気にすんなってぇーまこっちー♪私も昔話が出来て楽しかったよー」

「いえ、父がこんなにも俺に似ているとは知りませんでした」

「近衛が一輝の為に動いた所などそっくりだよ。真一は友の為なら何でもする男だったからな。だが格闘スタイルや顔付きは母親の美琴に似ているな」

「成る程ね、ちゃんとまこっちは二人の子供なんだね」

「・・・・」

「ん?どうした?何を黙っている?」

「いやー嬉しさの余韻に浸っていたんです・・・」

「ん、そうか、だがもう下校時間ギリギリだ。お前の部屋の私物だが隣の部屋に移動済だ。確認の為にも早く下校するといい」

「はい、そうします今日は貴重な時間とお話ありがとうございました!失礼します」

 

 

 

 真琴はそのまま理事長室を後にした。真琴は嬉しかった。生前に聞く事が出来なかった、父の学生時代を沢山聞く事が出来たからだ。早くに両親を亡くした真琴には実の父と母の思い出が少ない。育ての親である梁山泊の家族との思い出は沢山あるが、実の両親との思い出は数える位しか無いのだ。

 だから本当に父と母の子供だったのか不安で仕方が無かった。だが寧々と黒乃から二人の遺伝子をしっかり受け継いでいると謂われたのだ。真琴は心の底から実感した、❮虹色の騎士«レインボーバトラー»❯«近衛真一»と❮空手階級全て制覇した世界チャンピオン❯«佐藤美琴»の息子である事を!

 

 

 

 

 程無くして真琴は寮へ到着した。ふと部屋に運んだ一輝の事が気になった。一刀修羅を使用した後の一輝は著しく運動能力が低くなる。日常生活に支障がないように、一輝もコントロールはしているが少し心配になった。ステラが部屋に戻っていると聞いてはいるが、二人のサポートを任せれている以上確認するのが筋だろう。

 

「さて、一輝は大丈夫だろうか?ヴァーミリオンさんは日本へ来日して間もない訳だし、部屋を覗いてみるかな」

 

 真琴は数時間前まで自分の部屋だった扉の前までやって来た。

今は一輝とステラの部屋となっているが、この一室のルールを決める為に落第騎士«ワーストワン»と«ヴァーミリオンの皇女»ステラ・ヴァーミリオンは模擬戦を行ったのだ。だが理事長室での一件でそれが全て1日の出来事だという事を忘れてしまいそうだった。

 

「今日は色んな事があったな、朝は一輝とジョギング、一輝の不祥事に一輝とヴァーミリオンさんの模擬戦、理事長室で父さんと母さんの話を聞く事も出来た」

「言葉に表すと色々起こりすぎだろ、さてインターホン押すかな」

 

 真琴はインターホンを押し、二人の対応を待った。するとガチャリと鍵が外され部屋のドアが開かれた。

 

「あ、アンタは確かイッキの元ルームメイトの・・・」

「真琴だよ、こ、の、え、ま、こ、と。俺、二人のサポートが務めらしいし、忘れ物無いか確認の為にも様子を見に来たんだ」

「その声は真琴かい?ステラ、部屋に入れてあげてくれ」

「ん、わかったわ、入りなさい」

「おう、お邪魔するぜ」

 

 ステラに部屋のテーブルへ案内された。

 数時間前まで自宅だったこの部屋に、自分の痕跡は無かった。

 

 テーブルに到着した所で入口前近くに真琴が座り、その隣にはソファーがあり、右からステラ、一輝が座っている。

 

「ところで俺の忘れ物はあるか?」

「いや、全部隣に移動されてるみたいだよ。僕も確認したからね」

「ありがとう、一輝。ところでもう名前で呼ぶ仲になったんだなっ!」

「か、からかわないでよ!」

「そ、そうよ!アンタの方は荷物確認しに来ただけ?」

「いや荷物確認は口実だ、本命はヴァーミリオンさんに改めて自己紹介しとこうと思ってな」

「アンタには玄関で名前を教えて貰っただけだものね」

「あぁそうだ、ヴァーミリオンさん・・「そのヴァーミリオンさんは要らないわ。後、さん付けも無しで構わないわ、ステラでいいわよ」」

「それじゃステラで、俺も真琴で構わないぜ」

「“マコト”ね、分かったわ」

「んじゃ改めて、俺は一輝の元ルームメイトの近衛真琴だ。伐刀者ランクはEランクで固有霊装は『甲鉄陣 玉鋼』形容形態は手甲とすね当てだ」

「マコトはEランクだったのね、だから一輝とルームメイト・・・合点がいったわ、でも手甲って確か防具よね?武器が無いじゃない」

 

 ステラの生まれ故郷であるヴァーミリオン皇国では素手で闘う人物など殆ど居ない。真琴の戦闘スタイルに疑問しか浮かばない。

 

「心配はいらん、俺が使う武器はこの❮拳❯と❮足❯だ」

 

「え!?素手で伐刀者と戦うの!?そんなので渡り合える訳無いじゃない!」

「ステラ、真琴の強さは並大抵じゃないよ。無手なのには理由があるし、それに普通の伐刀者じゃ真琴と勝負にすらならないんだ」

「イッキ、勝負にならないってどういう事よそれ・・・。イッキが言うんだからそうなんでしょうけど、信じられないわ・・・」

「確めたいのなら明日組手してみるか?」

「組手?模擬戦じゃ駄目なの?」

「あぁ、もしステラがまた底辺ランク伐刀者に敗北した事が他の奴等に知られたら、アイツら調子に乗って「俺でも勝てるぞ!」って挑戦を挑んでくるぞ?対応が面倒になるから組手だけにしとけ」

「そんな私がアンタに負ける見たいな言い方じゃない!」

「まぁまぁステラ、落ち着いて。面倒な事はなるべく避けた方がいいよ」

「イッキが言うならそうしとくけど・・・・、明日の組手でマコトの実力見せて貰おうじゃないの!!」

「おう、楽しみ待ってろ」

 

 

 明日、組手をする事になった真琴とステラ。二人に明日の準備の為にも早く休むと言って部屋を後にした。だがこれは嘘だ、真琴は報告をしなくてはならない。道場の家族達に伐刀者として1年から生活をやり直す事を・・・。

 

 

 真琴は新たな部屋に入り自分の荷物を確認し始め、携帯電話を取り出した。そしてベランダに向かって歩きながら師匠に電話を掛けた。

 

ガチャ「はい、お前の子供は預かったヨ」

「アパチャイさん、俺に子供は居ませんよ。真琴です、白浜師匠を呼んでくれます?」

「アパパー!マコトだよーー久しぶりヨーーー、おーいケンイチィーー!マコトから電話だよー!」 

「はいはーい」

「只今、お電話変わりました、白浜です」

 

 電話越しから優しげな声が聞こえる。

 

「師匠、お久し振りです、真琴です」

「真琴!元気にしてたかい?そうだ、理事長さんから聞いてるよ、1年からやり直すんだって?」

「!!知ってたんですね、報告しようと思って連絡したんですが・・・」

「そうか、大変だったな。でも友を護る為した事って聞いて僕は嬉しかったよ」

「それについて、俺は後悔はありません、分かって選んだ事ですから」

「ならいいさ、確か、学生で一番の伐刀者を決める戦いに出場するとも聞いたよ、梁山泊の皆で応援に行くからな」

「ありがとうございます、師匠。でも俺の試合は飛び飛びでやるから最後の日が決まったら連絡するので、その時に来て下さい」

「分かった、真琴がどんな成長を遂げたか楽しみに待ってるよ」

「はい!」

 

 ガチャと淋しそうに兼一は電話を切った、真琴は自分にとって生まれて始めての弟子だ。まさか自分が師匠という立場になり教え側にまわるとは思ってもみなかった。自分の弟子がこんなにも可愛いもので、弟子の成長の嬉しさを改めて実感していた。そして弟子の立場だったあの頃を思い出し、真琴の成長を見届ける事が、自分を大切に育ててくれた師匠達の師匠孝行だと兼一は思った。

 

「頑張れ、我等が最強の弟子よ!」

 




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