紅河です!
新年一発目の更新です!
皆様はいかがお過ごしでしたか?私は寝正月でした。
最近、また体調不良が増えてきてしまったので・・・。ストレスなんでしょうか・・・。
小説に影響でないよう、仕事の方にも影響出ないように務めていきたいと思います!
では今回も宜しくお願い致します。
「(田中さん・・・。貴方は僕と戦ったあの時、どう思ってたんですか?今感じている気持ちと同じだったでしょうか・・・)」
もう、この世にはいない、あの人物を思い出す・・・。
自分の鏡写しのような人物が武の道で命を落とした。
他人に優しく、人を守らずにはいられない人で、生涯ただ一人の女性を愛し、子を愛した、かけがえのない先輩・・・。
今はもう、思いを馳せることしかできない。
思い出すことでしか、逢うことができない。
神でもなければ、死人には会えないのだ。それが世の理。
組手も、世間話も、修業も、共に悪を倒すことも、一緒には出来ない。
遠くに行ってしまったから・・・。
「(天国で家族と一緒に見守ってくれているでしょうか・・・?)」
兼一がふと、一翔の頭に乗せていた手をスッと降ろした。
いつもなら、際限なく撫でていたのにその手を止めた。
妻である美羽はいつもとは違う兼一の様子に何かを感じたよう・・・。そっとその手に手を重ねた。
静かにそっと、重ねた・・・。
前は憧れの人だった、妻、美羽。
旧姓、風林寺美羽。
無敵超人、風林寺隼人の孫娘であり、暗鶚衆直系の娘。
暗鶚衆とは忍びの一族。兼一と美羽には深く関わりのある者達だが、それは別のお話し。
ただ一つ言えることは、兼一と美羽は本来ならば付き合うことなどなかったカップルだ。
理由は簡単だ。彼女に相応しくないからだ。
兼一は武術の才能は無く、人より劣っている凡人。
その反対に美羽は類い稀なる才能を持った人物。
ルックスしかり、勉学しかり、運動神経しかり、その他諸々の才能がこの美羽という女性には受け継がれている。
美羽に相応しい人物ではない兼一・・・。多くの人間が不釣り合いだと語るはずだった。
だがしかし、実際に彼女のハートを射止めたのは白浜兼一であることは確かだ。何があって美羽の心がそう動いたのかは、彼女しか知らない。
一つ、一つだけ言えるとするならばそれは、兼一のお人好しからくる『限りない優しさ』なのかもしれない。
その同等の優しさを持つ者がもう一人。
それが・・・・・・・・・黒鉄一輝だ。
「(黒鉄一輝君、ほんとに僕にそっくりだ・・・。君を見ていると昔を思い出すなぁ・・・。今でこそ、笑い話になるけど、無事生き残ってこれたんだな・・・。あの日々を・・・)」
兼一は梁山泊の地獄の修業を乗り越え、ラグナレクという不良チームを乗り越え、それを潜れば、今度はYOMIとの命のやり取り・・・。だが、それも生き残ってきた。
一輝を見るとどうしても思い出してしまうのだ。今まで戦ってきたあの日々を・・・。
色んな思い出を振り返っていると、一輝達がこちらへ戻ってきた。
だがその中でも一人、足早にこちらへ向かってくる人物がいた。その人物とは・・・。
髪は綺麗な赤、学生とは思えないグラマラスなボディを持つ、一人の女性が兼一家族に近づいてくる。
「白浜さん!今度は私と勝負してください!」
「ごめん!それは無理だ」
「・・・・・・・・・え?えええええええええ!?」
―――――――――
ステラが話し掛ける数分前のこと・・・。
真琴が一翔の戦闘能力について語っていたときだ・・・。
「ねぇ、あんな子供がホントに私達より上なわけ?」
ステラの疑問はもっともだ。
何しろ、白浜一翔は数え年で十歳。
年齢的に言えばまだ小学四年生だ。
年端もいかない娘と伐刀者のステラ達より実力は上だと、六も離れているステラ達より上だと真琴はいうのだ。
「伐刀者としての能力を使えば実力は拮抗するだろうが、クロスレンジだけで言えば一翔の方に軍配が上がる。何故だと思う?」
「何故って・・・」
「珠雫、お前は分かるか?」
おもむろに問い掛ける真琴。
「何となくですけど・・・経験、ですか?」
「まぁ正解だ・・・珠雫、及第点をやる」
「経験って、既にあの子も実践を経験してるっていうの?」
「そうだ。師匠達と俺と共にな」
「それだけ?及第点の理由は?」
「ふむ、一翔は俺と共に世界を回って様々な経験、実践を積んだ。その時戦うのは大人や戦闘慣れした伐刀者達が殆どだ。その中にはお前達、高校生の年齢も含まれる。てことはだ、これらの情報から分かること、あるだろ?」
全員の目を見ながらゆっくりと語る真琴。
「うーん・・・、ん?分かんないわ・・・」
「分かんねぇか?結構シンプルだぞ?」
「・・・戦闘においてのリーチ、ね」
誰もが沈黙を貫くなか、アリスがその口を開けた。
「そう、正解だ」
「どういうことよ?確かに私達とあの子には差はあるけど私達の方が大きさ上のはずよ?それで何で一翔ちゃんの方が強いのよ?」
「だからさっき言ったろ?『経験』してるって」
「あ!そうか、そういうことか!」
その言葉にハッとする表情を見せる一輝。
何か閃いたような表情だ。
「いいかい?あの子は僕達のような大人と既に渡り合っているということは既に攻略法も熟知しているということなんだよ、それにね・・・」
「それに?」
「僕達は子供の実力者と戦った経験がほとんどないから、慣れていないんだ。だから・・・」
「たがら、何も出来ず負ける可能性が大いにあるんですね?」
「正解、一輝と珠雫は理解出来たみたいだな」
ここまでの情報で漸く理解出来たステラ。
「それじゃ、私達では成すすべなく負けるっていうの?」
「負けるとは言ってない、実力は上ってだけだ。一翔も実践を積んだとはいえ伐刀者の能力に慣れたとはいえない。だから能力を使えば五分五分だな、それに一翔には制空圏が視認出来るみたいだからな」
「制空圏、以前見せていただいたバリアーみたいなものですよね?」
「ああ、そうだ。まぁ視認出来たからと言って相手の攻撃を回避出来る訳じゃないしな」
「ふふ、それもそうね」
「ねえ、マコト・・・」
「ん?なんだよ」
「白浜さんの実力、私も味わってみたいわ」
「いいと思うけど・・・了承してもらえるかどうか」
「何でよ!」
「自分で経験すりゃ分かるよ」
こんな事があって現在に至る。
「ごめんね、ステラちゃん。僕は女性とは戦わない主義なんだ」
「わ、私とは戦えないって言うんですか!?それとも女だからって馬鹿にしてます!?」
ステラの顔は般若のような形相へと変貌しつつあった。
「いや、そんなつもりはないよ!ただこれが僕の信念だから。女性には手をあげたくないんだ。例えそれが見ず知らずの他人であっても」
「それじゃ、今までどうやって生き残って来たんですか?」
「柔術とか中国拳法、関節技主体で」
「せっかく、達人級と戦えると思ったのに・・・」
分かりやすく落ち込むステラ・ヴァーミリオン殿下・・・。
意気揚々と申し込んで即座に断られればそうもなるが・・・。
「そういう事なら私がお相手致しますわ」
そこに手を差しのべたのは妻の美羽だった。
「私も達人級ですし、ご不満ですかですわ」
「ステラちゃん、実力は夫である僕が保証するよ。妻とは昔から組手の相手をしてもらってたけど、全然勝てなかったし。もしかすると僕より上かもよ?」
「だ、そうだが、どうする?ヴァーミリオン?」
「・・・やります!」
ステラはいった。
―――――――――
「よし、なら準備に入れ。ルールは先程と同じだ、説明は不要でいいな?」
「ハイ!」
「了解しましたですわ!」
上手側に美羽、下手側にステラ。
上手には兼一と一翔が見守り、下手には一輝達一行だ。真琴は一応、ステラ側の下手にいる。
「ヴァーミリオン、固有霊装を展開しろ」
「傅きなさい!
「交流組手、仕合開始!」
黒乃の手が上へ、真っ直ぐに上げられる。
「〝梁山泊〟❮白浜美羽❯参りますわ!」
「〝破軍学園〟❮ステラ・ヴァーミリオン❯行くわよ!」
いかがでしたか?楽しんでいただけたでしょうか?
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次回更新予定日は1月13日~14日の17時00分~21時00分とさせていただきます!