皆さんにご報告が御座います。活動報告にも書きましたが、私の『史上最強の伐刀者マコト』が8月29日に、日刊ランキング一位を獲得致しました!
初めての小説でランキングに掲載、更には一位と私としては驚きが一杯で、受け入れるのに多少の時間がかかりました。
ですが、一位を獲得出来たのは応援して頂いた皆様のお陰です!本当にありがとうございます!!
これからも、慢心せず努力して参りますので応援宜しくお願い致します。
今回は短いですが、どうぞお楽しみ下さい。
「刀華さん?何でここに?」
«雷切»こと、東堂刀華が何故、真琴の部屋の前で待っていたのかというと、それは数日前にまで遡る。
その日は真琴と倉敷が久し振りに再会した時のこと・・・。
綾辻との因縁、ファミレスでの一件、様々なイベントの後、真琴と倉敷は話をしようと近くの公園に立ち寄っていた。
ベンチに座り、これまでの経緯をお互いに明かした。
何故、真琴が破軍学園に入学したのか・・・。
何故、前回の七星剣武祭に真琴が出場していないのか?
今まで起きた様々なことを寮館がしまるギリギリまで、語り明かしたのだった。
二人はこの場所に、自分達しか居ないと決め付けていたのだ。しかし、そんなことはなく、とある人物がそこには居た。
それが、«雷切»東堂刀華であった。
刀華は寮に帰る途中、お花を摘みに公園に立ち寄っていた。その最中、真琴と倉敷を見つけ、刀華本人としては悪気はなかったのだが、つい体が反応し物陰に身を隠して、二人の会話を盗み聞きしてしまったのだ。
その日は聞き終わった直後、真琴と倉敷の二人は何事もなく、公園を後にする。刀華に気付きもせずに・・・。刀華は真琴に話し掛けようとするが、真琴の姿を目にすると先程の話の内容を思い出し、声を掛けられなかった。そして、その日は不完全燃焼のまま寮へと帰宅した。
なにゆえ、刀華が真琴を待ち伏せていたのか・・・?それはこれから知ることになるだろう。
時間は一輝と綾辻の仕合当日の日・・・。それもお昼頃だ。生徒会の面々が揃って昼食を終え、休憩を取っている時のこと。
「ねぇ、カナちゃん」
「何です?会長?」
「ちょっと、相談したい事があるんだけど・・・」
なが机に各々の弁当が置かれ、それぞれが椅子に座り、刀華が真ん前に座っていた生徒会会計貴徳原カナタにとある相談を持ち掛けたのだ。何故か相談者の刀華の顔はほんの少しだけ、紅くなっていた。
「私に相談ですか?」
「うん」
「珍しいね。刀華が相談なんて・・・」
昼食も終え、恋々とゲームをして暇を潰していた泡沫が興味を示し、刀華達の話に割って入ってくる。
「ちょっとね・・・」
その端切れの悪い口振りに、女の勘が働いたのかカナタがこれから話す内容を察したようだ。
「分かりましたわ・・・。それでは、副会長、雷さん、殿方は一度席を外して頂けますか?」
「え?」
「どういうことで御座るか?」
「いいからいいから」
恋々もそれに便乗し、男二人を生徒会室から外へと送り出した。
「それで、一体どうしたんだよ。会長」
「うん、えっとね・・・」
恋々がそう切り出すと、昨日の夜での出来事を二人に話して聞かせた。
「っていう、事なんだ・・・」
「えええええええ!?!?」「あら・・・!」
流石の二人も驚きを隠せない様子だ。それもその筈、〝近衛真琴〟というただの学生が、前回の七星剣武祭ベスト八の倉敷蔵人と親しい気に会話していた。これにも驚くべき事だが、更にはこんな言葉を口に出していたのだ。
『刀華さんは俺が己の命を懸けて守りたい人』
そう、口にしたのだ。
「会長を己の命を懸けて守りたい、ですか・・・」
「こ、こ、これって〝そういうこと〟って捉えて良いんだよね?まこ君は私に・・・」
「それはあるかもね。格好いいこというね、近衛君も」
「そうかも知れませんわね・・・」
「だ、だよね!でもまこ君にどんな顔で会ったら良いか分かんないよ。調整とか手伝ってもらおうと思ってたのに・・・」
「会長はどう想っているんですの?」
「え?」
「近衛さんのことですわ」
「私は・・・」
私は胸に当てて聞いてみる。
私はまこ君をどう、想っているのか・・・。
ただの親しい男友達なのか・・・。
ただの調整相手を努めてくれる後輩なのか・・・。
それとも・・・男として、好き、なのか・・・。
まこ君との出会いは今でも覚えている。
私が日課のランニングを終え、寮近くの公園で休憩を取っている時、地蔵を抱えた一人の男性が走ってきた。
普通に考えればただの不審者だと思う。でも早朝の五時半、誰も歩いても居ない時を見計らって走り込みをしているようだった。
そんな人が不審者な訳がない。私は不思議とそう思った。
そして、何故、仏像を身に付けて走っているのか思わず話し掛けた。そしたら、破軍学園に入学した新一年生で、それが近衛真琴ことまこ君だった。
自己紹介も兼ねて、お互いについて話した。そしたら、私とまこ君は意外にも共通点が多くて、お互いに両親が他界していたり、施設に預けられそこで育った事や、武術を道場で学んだ事、様々な共通点が私達にはあった。
その日からアドレスを交換し度々、会う約束を取りつけて、一緒に走り込みをしたり、生徒会の皆と食事をしたりして、友好関係を築いていった。
少なからず私は、まこ君に対して友好的な感情を有している。
けど、それが、男として好きなのか、友達としてなのかは、はっきりしていない。
「私は、他の男性と比べるとまこ君の事が好きだと思う。けど、それが友達としてか男性としてかまでは・・・」
「分からないという事ですわね?」
カナタの言葉に刀華は無言で頷く。
「だったら、手っ取り早い方法がありますわ!」
「え!?あるの!?」「ほ、本当?」
恋々が机を手で叩きながら、椅子から飛び上がらせる。
刀華は驚きの表情を浮かべる。
「それってどんな方法なの?」
「ズバリ・・・」
「ズバリ・・・?」「・・・」
「近衛さんと会長がデートする!
これにつきますわ!」
「「デート!?」」
「私とまこ君が!?」
「そうですわ。会長は近衛さんの事は好きですが、明確な好意とは断定出来ない。近衛さんが持つ好意も私達には分かりません。だったら、会長自ら感じるしか他ありませんわ」
「その為のデートってこと?」
「ええ」
カナタが恋々の言葉に肯定の意を示した。
「会長が現状の近衛さんとの気持ちを知りたいのなら、行動するのみですわ。もし近衛さんが会長の言う通り、『好き』ならデートは断らないでしょう。もし、違うならデートには野良ないでしょうしね」
「そ、そうだね」
「僕達は応援するよ」
「うん。二人とも有難う」
その結果、現在に至る。
「それで、今週の土曜空いてないか?って事ですか?」
「うん」
「しかも、俺と刀華さん、二人で出掛けると?」
「そう、二人で。どう、かな?」
刀華は恥ずかしいのか、手の指を合わせながらモジモジしている。
刀華の問いに真琴の答は・・・?
「良いですよ」
「そっかぁ・・・やっぱり忙し・・・ええええ?良いの?」
真琴はあっさりとデートを了承した。
「はい。ただこれから模擬戦があるので何処に行くかはメールで・・・」
「えっと、うん、分かった。私の方から後でメールするね・・・。そ、それじゃ!」
「はい、また。」
真琴は手を振り、刀華を見送る。その姿が見えなくなるまで・・・。
真琴はガチャリと家の鍵を開け、部屋の中へ入って行く。そして、何かを隠して勢いよく扉を閉めた。
「(え?え?デート?俺が刀華さんと?良いんだけど、良いんだけどさ!服とか何着ていけばいんだよ!?普通の格好で良いんだよな?な?分からん!と、取り合えず、落ち着け!取り合えず、珠雫の模擬戦が終わってからだ、考えるのは。刀華さんの事もその時に考えよう。まさか、刀華さんの方から誘ってくるとはな・・・平然と装ったつもりだけど、刀華さんにばれてないのよな?)」
真琴は内心、ドキドキしつつも焦っていた。
何故ならこんな事は初めてのことだからだ。
他の伐刀者と比べて随一の戦闘能力を有している真琴ではあるが、これまで師匠達と共に裏社会での戦闘や、様々な経験をしてきた。が、しかし、『恋愛』だけに関していえば経験がないのだ。
刀華さんに対して『好き』という感情は持ってはいる。これは真琴の師匠である兼一と同じ、刀華を命懸けで守りたいという、男としての真っ当な気持ちだ。
真琴は何処で刀華を好きになったのか・・・?
最初に会った時に一目惚れをしたのか?
それからの関わりで好きに転じたのか?
これは皆さんの想像に任せるとしよう。
ただ、一つ言える事は・・・その照れを隠すよう、模擬戦に没頭したのは言うまでもないだろう。
いかがでしたか?
楽しんで頂けたでしょうか?
今後、何かあれば活動報告と前書きのに書かせて頂きます。
さて、次回の更新日は9月13日~15日の17:00~21:00とさせて頂きます。
ご指摘、誤字脱字、感想、質問お待ちしております。