史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは、紅河です!

お気に入りがもう少しで二百件間近・・・。早いものです・・・。

今回は真琴VS五人の伐刀者との模擬戦です!真琴のオリジナル技も炸裂します!お楽しみ下さい!


BATTLE.23 努力は才能を凌駕する

「それでは、模擬戦、開始!!!」

 

 真琴と鈴木達がそれぞれの位置に移動し、固有霊装を展開していく。

真琴は手甲とすね当てだが、鈴木は打刀、他の伐刀者達は薙刀、十文字槍、大剣、形容形態は様々である。

 

 薙刀を持ち、髪色は真琴と同様茶髪、後ろ髪を結っているのが成沢。

 十文字槍を持ち、髪色は黒、髪を短く纏めているのが相川。

 大剣を持ち、スキンヘッドにしているのが、有地。

 メイスを持ち、髪色は黒、オールバックにしているのが吉田。

 そして、打刀も手元に持ち、髪色は金髪で、髪の側面を刈り上げてオシャレボウズと呼ばれる髪型にしているのが鈴木だ。

 

 鈴木達は武器を構えながら真琴の出方を窺っている。

 

 真琴は梁山泊の面々から対武器も想定され、各流派の対武器用必殺技を教わっている。その為、空手秘蔵の呼吸法の一つ、内臓上げを行いつつ❰制空圏❱を作り、鈴木達の攻撃に備えていた。

 

「おい、何だよ、その構え!」

「ただ腕を回してるだけにしか見えねぇぞ!ハハハ!」

 

 

「コォー―――」

 

 真琴はそんな鈴木達の言葉を無視し、黙々と制空圏の維持に徹している。

 

 

「ねぇ、イッキ、マコトは一体何をしてるの?」

「あれは❰制空圏❱といわれる体術の一つ、自分の攻撃が届く範囲に侵入した、あらゆる物体に自動的に反応して攻撃する、自動防御機能の事だよ」

「あれが?何かの踊りにしか見えませんが・・・」

「真琴の周囲にある円形状が見えない?」

「全く見えないわ!」

「真琴が控え室を出るときに言ってた、ステラ達に見せたい技というのはこれだよ」

「え!?そうなの?」

「うん、もうすぐあの技の真価が見れるよ」

 

 

 真琴が制空圏をはっている、その姿は開展に位置する武術家からすれば、ただの奇怪な躍りにしか見えないだろう。しかし、鈴木は中々攻める事が出来ずにいた。何故なら、真琴に一切の隙が無いからだ。

 真琴が展開した制空圏は見えないが、もしこのまま突っ込んだらやられるという事だけは、肌で感じていたのだ。

 

「(何だあれは?全く隙が無い・・・。何かの伐刀絶技なのか?)」

 

 そして、真琴の後ろに待機していた伐刀者が堪らず、攻撃を仕掛けた。

 

「くらえ!低能伐刀者!」

 

 その伐刀者が持つ固有霊装は十文字槍だ。その槍で真琴の死角から思いっきり突いたのだ!だが真琴には届かず、完璧に反らされた!

 

「死角からの攻撃なのに、な、何故気付いた!?」

「不意打ちなら声を出すなよ・・・、それじゃただのテレフォンパンチだぞ?❰前蹴り❱!!」

 

 真琴が完璧に躱したと思ったら、直ぐ様相手の顎に向けて空手の前蹴りをお見舞いした。蹴られた生徒は真琴の速い蹴りに対応出来ず、そのまま気絶した。

 

「まず、一人」

 

「ねえ、イッキ。何故マコトは相手の攻撃を躱して、直ぐ攻撃に転じる事が出来たの?相手が声を発したからとはいえ、死角からの攻撃だったのよ?」

「それが、制空圏の力さ」

「どういう事?」

「あの❰制空圏❱という技は自身を中心にした球状空間を展開し、その領域内に侵入した敵性体に対して、迎撃行動を行う技なんだ。それが例え、死角からの攻撃であっても、多方面、多人数が一斉に攻撃を仕掛けたとしても、真琴の身体は半ば自動的に反応し回避・反撃に移る事が出来る」

「!?」

「真琴さんには不意打ちや連携攻撃が効かないって事ですね・・・」

「そういう事だね」

 

 ステラと珠雫はただただ戦慄した。二人は真琴の実力がとてつもない事は自覚している。しかし、真琴のクロスレンジの強さは思っていた以上に凄まじかったのだ!

 

「道理でマコトにクロスレンジで勝てないわけね・・・」

「ええ、あんな技を持っているのですから、当たり前ですが・・・」

「ねえ、一輝」

「アリス?何かな?」

「あの制空圏って何処まで対応出来るの?真琴より強い人間は居るでしょ?その時にもその制空圏は反応するの?」

「いや、自分より格上の攻撃は防げないよ。ただ自分と同格か格下の武術家なら対応出来るね」

「成る程ね(真琴の実力はあの雷切と引き分ける程の強さ、つまり現時点で七星剣王クラス、いやもしかしたらそれ以上?・・・末恐ろしいわね・・・)」

 

 

「どうしたよ?来ねぇのか?」

「貴様、何で死角の攻撃に反撃出来た!?」

「あ?それをお前等に教える義理はねぇな」

「くっそ!おい、成沢、有地、吉田!もう一度攻撃だ!」

「おう!」「任せろ!」「了解だ!」

 

 鈴木が残りの全員に声を掛け、真琴への攻撃を促す。そして、成沢と呼ばれた生徒が真琴に向けて、薙刀を振り下ろした!だが真琴は薙刀の刃身部分を掌で掴み、受け止めた!

 

「なんだと!?」

「弱いな、オラァ!」

 

 真琴は薙刀の柄の部分を両手で掴み直し、力任せに振り回した。すると、その力に耐えきれなかった成沢は、思わず自身の薙刀を放してしまった。

 

「あ、何すんだ!」

「相手が武器を持ってるなら、その武器を奪った方がてっとり早いんでな、それより、武器使いが武器を手放すんじゃねぇ、よっ!」

「え?オゴォ!」

 

 一閃。

 真琴は手に持っている薙刀を振るい、成沢の腹部に一撃をお見舞いした!思いもよらないダメージを受けた成沢は、数メートル吹き飛ばされ、そのまま気絶。

 

「これで二人目・・・」

 

 真琴の顔は少し笑みを浮かべる。

 

「おい、落第の拳«ワーストフィスト»!喋ってる最中に攻撃するとか卑怯だろ!?」

 

 有地が真琴に物申しているが・・・。

 

「何言ってんだ?戦闘中に油断したコイツが悪い。それに実践じゃ、一つの油断で命を落とすんだぞ?良かっなぁ?これが模擬戦でよぉ?」

「くそっ!」

「さて、次は誰だ?オールバックのお前か?それともスキンヘッドのお前か?鈴木とかいったっけ?お前でも良いぞ?何処からでも掛かってこいよ・・・」

 

 真琴は鈴木達に向けて手招きをしている。だがその鈴木達は攻撃に移行出来ずにいた。仲間達が目の前で真琴に立ち向かうも、なすすべなく敗北しているのだ。これで怖じけずかないという方がおかしいと言うものだ。

 

「な、舐めるなァ!くらえ、流水一閃«アクアスラッシュ»!」

 

 それに見かねた有地が大剣を振るい、巨大な水のカッターを真琴に放った!だが真琴には掠りもせず、空だけを切った。

 

「おせぇよ」

「なっ、いつの間に懐に!」

 

 真琴は有地の流水一閃«アクアスラッシュ»を躱しつつ、鈴木達に気付かれないよう、近付いたのだ!真琴には師匠達から授けられた全身のバネがある。それを使用し、鈴木達の懐へ飛び込んだ。

 真琴の筋肉は瞬発力と持久力を重ね持った、良質の筋肉のみで構成されている。これは岬越寺秋雨が独自に開発した、筋肉トレーニング法と修行マシーンで身に付いたものだ。拷問マシーンと呼べる修行マシーンそのキツさは、常人が乗ればたちまち失神してしまう程なのだが、それを耐え抜き今の真琴があるのだ。

 

「さっきの礼だぜ、❰馬式 裡肘託塔❱!」

「カハッ・・・」

「三人目・・・」

 

 真琴が有地の顎に掌底を叩き込み、更に片方の手で肘を押し上げたのだ。もろに攻撃を貰った有地は後方へ吹き飛ばされた。

 掌底と呼ばれるこの技は、普段なら威力が足りず相手に受け止められてしまう。だが真琴は片方の手で押し上げる事で、その威力をはね上げたのだ!

 

 

 

 しかし、真琴が鈴木達の懐へ飛び込んだはいいものの、そこは敵地のど真ん中。真琴の直ぐ後ろには吉田と呼ばれていた生徒が、堪らず真琴に攻撃を仕掛けた。

 

「う、うわああああ!」

 

 その吉田が持つ固有霊装はメイスと呼ばれる武器だ。それをまともに受ければひとたまりもない。

 しかし真琴は冷静に吉田の懐へ潜り込み、柔術の背負い投げをお見舞いした!

 

 

「これで四人だな、あとはてめぇだけだぜ?鈴木」

 

「あっぐ・・・・・」

 

 観戦していたステラが、真琴の戦闘を見て一言発した。

 

「あ、圧倒的だわ・・・」

「ええ、どの相手も必ず一撃で沈めているわ」

「流石、真琴さんと、いったところですか・・・」

「そうだね」

 

 黒乃が真琴を見つめながら、先日あった、真琴の代表選抜戦の仕合を思い返していた。

 

「(寧々が近衛の仕合で学園一と評していただけはあるな・・・。あの腕前は学生のレベルを、遥かに凌駕している!)」

 

 黒乃は友人である寧々の真琴に対する評価を再認識していた。真琴は無傷で、尚且、向かってくる鈴木達を一撃で屠っている。これは並大抵のことではない。殆どの学生は伐刀者と言えど、年齢的にいえばまだまだ子供なのだ。学生の中には、戦闘を恐れ闘う事が出来ない生徒もいる。だからこそ、上位に来るのは伐刀者としての能力が優れている者のみなのだ。

 

 

 真琴に追い詰められた鈴木が口にする。

 

「お、お前は一体何者なんだ!何故これほどの力を手に入れたんだ!?優秀な能力がお前にはあるのか!?」

「ちげぇよ、俺はただ信念を抱いて師匠達に技を教わり、努力し続けただけだ」

「ど、努力何かでそんな力が手に入るもんか!」

 

 その鈴木の言葉は努力をしている全ての人間に対して、失礼この上ないものだった。そして、真琴の怒りを買うに十分でもあった。

 

「お前、馬鹿か?」

「な、なにぃ!?」

「お前ってさ、努力ってしてるのか?」

「あ、当たり前だ!自分の能力の努力を怠った日は無い!」

「・・・それは、一日にどのくらいだ?」

「20回・・・」

「あ?聞こえねぇよ」

「20回位だ!能力の努力何てこんなもんだろ!?」

「たった20かよ、そんなだから負けるんだよ」

「な、なんだと!?」

「お前、才能がある奴に負けるのは当然とか思ってるだろ?」

 

 真琴のその言葉に鈴木は押し黙ってしまった。この場で沈黙するという事は肯定すと同義だ。 

 

「図星か・・・そりゃそうだよな、自分の事諦めてるんだもんな、仕方ねぇよな」

「お、お前に何が分かるんだ!!落第伐刀者の分際で!!」

「黙れよ、才能がある人間が努力してねぇとでも思ってんのか?」

「うぐっ、それは・・・んじゃどうすりゃいいんだよ!凡人は何すりゃ才能ある奴に勝てるんだ!!」 

「❮努力をしろ❯」

「な、なに?」

「お前がやってる努力の量を増やせ。十の努力が足りないなら、百の努力を!百でも足りないなら、千の努力!何故武術が何前年も渡って受け継がれて来たと思う?それは武術の世界において❰努力は才能を凌駕する❱からだ!!」

「努力は才能を凌駕する・・・」

 

 

 真琴はこの会場中に聞こえる様に言った。その言葉が心に響いた生徒はどれくらい居ただろうか?

 それは神ですら分からないだろう。だが一人だけ、たった一人だけ心に響いた生徒がいたのだ。それは・・・。

 

「千の努力・・・」

 

 真琴が技の構えを取る。

 

「お前に一つ見せてやるよ、俺が必死に努力して、編み出した俺だけのオリジナル技をな!!」

 

 そういうと真琴は鈴木に向かって突撃した。鈴木の懐まで行くと、思いっきり鈴木を宙に蹴り上げた!

 それを見ていたステラ達が驚きの声を上げる。

 

「け、蹴りで人を宙に打ち上げた!?」

「人を打ち上げる何て、真琴さんの脚力は尋常じゃない!!?」

「(真琴、あれをやるんだね)」

 

 一輝だけが、真琴が放った技を理解していた。

         

 

「あ、アイツは何処だ!?」

 

 4メートル程、打ち上げられた鈴木は真琴の姿を探している。だが下のステージに真琴の姿は無い。それもその筈、真琴は下に居たのではない、鈴木の上に居たのだ!

 

「なっ!?」

「いつの間に移動してたの!?」

「気付かなかった・・・」

 

「くっ・・・!」

 

 鈴木は咄嗟に自身の固有霊装打刀を使用し、防御を選択していた!だが真琴には読まれており、その防御もろとも崩す準備を始めた!

 

 

 

 

 

 

「❰近衛流・風林寺千木落とし❱!!」

 

 

 

 

 

 真琴は宙を蹴り、切りもみ回転をしながら鈴木に向かって、突進を開始した!!

 

 

「マコトが宙を蹴った!?」

 

 ステラが、いや、訓練場に足を運び模擬戦を観戦していた誰もが真琴が放った技に驚嘆した!!

 

 

「チェイサー!!!」

「ぐおおおおお!」

 

 鈴木の防御は瞬く間に崩され、真琴の回転攻撃が腹部にヒットし、ズドォーン!という衝撃と共に、そのままステージへ叩き落とされた!

 真琴はバク転をしながら、鈴木が落ちた場所を離れた。その技の威力は凄まじく、ステージには鈴木型のクレーターが出来る程だった。そんな技をまともに食らった鈴木は、白目を向いて気絶した。

 

「決まったな、そこまで!勝者、近衛真琴!」

 

「やったわね!イッキ!」

「うん」

「真琴さんなら当然ですね」

 

 

「まさか、鈴木達が・・・」「落第の拳«ワーストフィスト»アイツ、何者だよ・・・」「ひ、人が宙を蹴っただと・・・」「くそっ・・・」

 

 他の生徒達が悔しさを噛み締めている所に、真琴がこう言い放つ。

 

「ご来場の皆さん、コイツらと同じ様に、俺の仕合に納得出来てない連中は大勢いる事でしょう。俺は何時なんどき、どんな奴の模擬戦でも受けてやるよ!コイツらみたいになりたいんだったら遠慮なく、俺に話し掛けてくれ、宜しくな?」

 




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