史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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初めまして!紅河といいます!二次創作が初めての経験なので至らない点が多々あるかと思われますが、指摘などあればジャンジャンして下さい!
宜しくお願い致します!


第一章 七星剣武祭予選
BATTLE.1 ヴァーミリオン皇国の皇女


ここは破軍学園、そこでは若き伐刀者達が固有霊装と呼ばれる己の魂を顕現させた武器を使用し魔力を用いて切磋琢磨している。

 そして早朝から鍛練している伐刀者が二人、だがそのトレーニングは常軌を逸脱しており、肩などに仏像を付けジョギングしているのだった。

 

「一輝そろそろ重りにも慣れたか?」

「まだ少しかかると思うよ。真琴は凄いねこれを毎日やってたんでしょ?」

「まぁな、しかも早朝4時にやってたな」

「その手があったね!僕もやってみるかな?」

「お前正気か!?いやリミッター外して戦う男にそんな事は無粋だな」

「重り付けてジョギングして失神しない真琴に言われたくないよ」

「それもそうだな」 

 

 二人は笑いあっているが普通に考えたらどっちもどっちである。

 

 

 伐刀者にはパラメーターなどから見積もられたランクが定められている。だがそのランクによってこの破軍学園では様々な要因が渦巻いていた。

 この二人も例外ではない、この黒鉄一輝と近衛真琴は落第騎士なのだ。

 というのも黒鉄一輝は高ランク騎士を輩出する名家・黒鉄家の血筋の人間である、しかしこの黒鉄一輝の魔力量は平均の1/10しかないのだ。その為実家である黒鉄家では一輝の事は居ない者として扱われ、この破軍学園でもその因果は絶ちきられることはなかった。何故なら一輝を忌み嫌う黒鉄家の人間が«アイツを破軍学園から卒業させるな»と理事長らと手を組み、授業自体参加する事が出来ずそのまま留年してしまったのだ・・・。

 だがもう一人の落第生はその仕打ちに納得がいかず近衛真琴はその理事長等に殴り込みに行き、取り下げようとしたがその結果、真琴も留年する事になったのだ。

 

 

「というか、真琴が留年する事は無かったんだよ?普通に授業受けてれば二年生に進めたのに・・・」

「いやいや留年で済んで良かったと思うぜ?今の理事長先生に助けて貰えなかったら今頃は退学処分で梁山泊に帰ってる頃さ、それにな」

「それに?」

「授業受けてるよりもお前と稽古した方が、武術家としても伐刀者としてもずっと前に進めると思ったから、これで良いんだよ」

「そう?真琴が良いなら良いけどさ」

「にしても落第騎士《ワーストワン》なんて二つ名付けやがって人を馬鹿にしないと気が済まない連中だねぇアイツ等は」

「真琴の落第の拳《ワーストフィスト》も人の事言えないけどね」

「まぁな」

 

 二人はようやく朝練から寮の一室の前に帰ってきた。苦楽を共にするルームメイトなのだ。ここ破軍学園の寮のルールとして同ランクの伐刀者同士が一緒の部屋で過ごすことが定められているが、学園にはFランクは黒鉄一輝しか通っておらず、Eランクも近衛真琴しかいないのだった。だからこそ、落第騎士である真琴と一輝が同じ部屋に割り当てられたのだった。

 

 

「やっとこさ俺等の部屋に着いたな」

「そうだねってあれ?鍵が空いてる・・・」

「鍵掛け忘れてたかもしれんわ。一輝、すまん」

「別に良いよ。早く仏像片付けちゃおう」

「おう」

 

 

 真琴が扉を開け一輝が先へ進むとそこには、ファンタジーの世界から現れた様な、可憐な美少女が今まさに服を脱ぎ制服に着替えようとしていた。

 

 

「裸を見た事は謝るよ!だからこれでおあいこだ!」

 

 そして、その可憐な下着姿を見た青年は、あろうことか自分の上半身の服を脱ぎだした!その潔さは良かったがその選択が良いわけがなく、ただ美少女の悲鳴が寮の一室で響くだけだった。

 

 

 その出来事を真琴が理事長に報告。

 そんな不祥事を起こしたら、理事長室に呼ばれて、理事長から叱責を受ける事は確実だ。一輝達は覚悟をして、理事長室に入室する。一輝の心情はまるでこの世の終末であるかの様だ。

 

「で、何故理事長に呼ばれてるのは分かっているな?黒鉄、近衛」

 

 黒乃は目を瞑っている。目を見せていない事が不気味だ。

 

「はい」

「うす」

「知っての通りこの破軍学園は日本の騎士学校の中でも随一の強豪校だ、七星剣武祭でも毎年のように入賞者を出していたが、ここ数年の成績は余り芳しくない、私が理事長に就任したのはそんな学園を立て直す為だ、そんな矢先にこんな不祥事を起こしてくれるとはなぁ?黒鉄?」

 

 黒乃が皮肉に言う。

 

「い、いやー不幸な事故でしたね」

「着替えを覗くだけでもヤバイのによー、しかも自分の服を脱くとか、これが事故か?一輝?」

 

 流石の真琴もフォローしきれず、ジト目の視線を送る。

 

「あの時は50/50で紳士的な妙案だと思ったんだよ!あの瞬間は・・・」

 

 必死の言い訳だ。

 

「確かに有る意味、紳士的だな」

「変態紳士って意味でな」 

 

 真琴のだめ押しだ。

 

「真琴~・・・」

「紳士らしく責任を取ってもらおう」

 

 

 理事長が指パッチンを鳴らすと、扉から一輝が覗いた美少女、ステラ・ヴァーミリオンが入って来た。

 

「ス、ステラ・ヴァーミリオンさん!」

「・・・・・・」

「ごめん!さっきのは断じてわざとじゃない、君を驚かせたのは事実だ!男として必ずけじめはつける!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!」

 

 一輝は頭を下げ、ステラに対し誠心誠意を見せた。

 

「貴方、名前は?」

「く、黒鉄一輝」

「・・・・そういえば貴方も部屋に入って来たわよね?」

 

 ステラは真琴に顔を向け、蔑んだ目線を送る。

 

「俺はお姫様の肌は見てねぇぞ。部屋開けただけだからな」

「そうだったわね、悪かったわ」

 

 目を瞑り、一輝に向き直る。

 

「潔いいのね貴方。正直、国際問題にしてやろうと思ったけどその心意気に免じて寛大に応じてあげましょ?」

「ハラキリで許してあ・げ・る?」

 

 その言葉に世界が凍り付く

 

「え?」

 

 一輝が今まで下げていた顔を上げる。

 そのステラの顔は笑顔だ。だが怒っている事だけはここ居る全員が分かった。

 

「あちゃー・・・・」

 

 真琴は頭に手を当てる。

 

「冗談何かでここまで譲歩するわけないでしょ!?」

 

 ステラが腰に手を当て言った。

 

「ハラキリって事は僕に死ねって事!?」

 

 一輝は両手の拳を握りながら反論する。

 

「好きにしなさい!って言ったのは貴方じゃないの!?」

 

 それに負けじとステラも反論を続ける。

 

「言葉の綾だし、そもそも事故だし!あれ!」

「はぁ!?」

「そんな事で命まで払えないよ」

 

 そのいい加減な一輝の答えに、ステラの体の中から沸々とマグマの様な感情が煮えたぎってきた。そんな彼女の周りからは、めらめらと橙色の光の粒の様な物が舞っていたのだ。

 

「下着位でハラキリって大袈裟過ぎるよ・・・」

 

 一輝は頭をかく。

 そんな二人の光景を見ていた真琴と黒乃は、自然と扉の方角に体を向ける。

 

「あーあれは死んだな、一輝」   

「私達は退散するか、近衛」

 

 真琴は一輝に哀れみの言葉を溢す。そして、二人は・・・・。

 

「「じゃ」」

 

 と一言溢し、無慈悲にも真琴と黒乃は理事長室を後にする。

 一輝とステラを残して・・・・。

 

「ちょっと二人とも何処へ行くの!?」

 

 一輝は扉に手をかざす。だが空を切るだけだ。

 

「あんたみたいな変態痴漢露出プレイ平民は!この私が!直々に消し炭にしてあげるわ!!」

 

 彼女の怒りが頂点に達し、ステラの周りに小さな炎の渦を展開していた。

 しかし、一輝は相手が技を発動すると見ると、ステラを見据えていた。相手の次に出すであろう技を“観て”いたのだ。

 

 

 

「う、うぁあ!待ってよステラさん!!落ち着いて!!

 

 一輝は後退りを始める。一輝が後ろに下がれば当然壁との距離は縮まる一方だ。だがステラは尚も近付いてくる。

 

「部屋を覗いて、この肌を汚しておいて!よくもそんな事が言えたわね!」

 

 ステラの瞳は怒りで揺れ動き、一輝にいい放つ。

 

「け、汚した!?」

 

 一輝はその言葉に驚きを隠せない。

 

「私の事をイヤらしい目で見たくせに!!舐めるようになぶるように見たくせにーー!!」

 

 ステラは一輝に小さな火の粉を飛ばす。

 それを聞いた一輝の答えは的を外れたモノだった。

 

 

「た、確かに観たけどあれはその、あんまりにもステラさんが綺麗で可憐だったから見とれちゃったんだよ!!」

「ふぇ?」

 

 一輝の急な口説きにステラは驚き、赤らめる。すると、“じりりりり”っとスプリンクラーが作動した。どうやらステラのから発せられる熱気を火災用スプリンクラーが火事と勘違いし、小さな雨を降らしたのだった。

 

 

「み、未婚の女性に綺麗だなんて、な、な、何言ってるのよ!?これだから庶民は・・・それに彼処は私の部屋なのに・・・」

「ん?部屋?あそこは僕達の部屋だよ?真琴と僕のだ」

 

 一輝はステラの偽りを訂正する。

 

「はぁ!?この期に及んで何を馬鹿の事をほざいてるのよ!」

 

 ステラも負けじと反論した。だがどちらも間違いなのだ。何故なら・・・。

 

「あーいい忘れていたが、君達はルームメイトだ、今日からな」

 

 その二人の答えを言う為に、黒乃が扉から顔を出す。

 

「「えええええええええええええ!!!!????」」

 

 理事長室に青年と美少女の驚愕の声が響き渡る。

 

「理事長?それ俺、聞いてないんですけど?」

「あぁ今言ったからな」

「前々から言って貰えませんかね?そういう事は・・・」




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