史上最強の武術家の弟子伐刀者マコト   作:紅河

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こんにちは、紅河です。
このbattle15は苦戦してしまいましたが何とか書けました!
どうぞお楽しみ下さい!



BATTLE.15 ❮殺人拳❯と❮活人拳❯

「なぁ、一輝」

「ん?何?真琴」

「一つ約束をしねぇか?」

「約束?」

「あぁ、七星剣武祭で俺と闘おうぜ?」

「勿論だよ、でも勝つのは僕だからね?」

「何いってんだ、俺のほうに決まってる」

「フフっ」「アッハハ」

 

 真琴と一輝はベランダで対戦の約束し、自分の部屋に戻って行った。

 そして、夜が明け、落第騎士«ワーストワン»VS«狩人»桐原静矢との選抜戦当日を迎えた。

 

「ねぇ真琴、昨日一輝と話してた“殺人拳”と“活人拳”ってなに?」

 

 ステラは朝食の時間にそんな話を切り出した。三人は朝のランニングを終えると、三人一緒に食事を取る事にしている。一人で食べるのは寂しい、皆で食べた方が美味しいからと一輝が提案し、ステラもそれを了承、時折部屋を変えながら朝食を食べる事にしているのだった。

 そんな中、真琴にステラが話をふった。昨日の夜に二人きりで話していたのをステラに聞かれていたのだ。

 

「お前、聞いてたのか」

「えぇ、イッキが人を斬ったとか、殺人拳がなんとかとかバッチリね!」

「活人拳だ、さっき言えてたじゃねぇか」

「活人拳ね!今、思いだしたわ!」

「はぁ、まぁいいや、話してやるよ」

「頼むわね」

「んじゃまずステラは活人拳ってのは知ってるか?」

「“活人拳”?知らないわ」

「活人拳というのは活人を心髄に掲げる武術家の事を指す、つまり自分の命をかけて人を護る為の人間の事だ」

「凄い人達じゃない!」

「うん、真琴はそんな人達から武術を学んだんだよ」

「へぇーそうなの!それじゃ殺人拳ってのは?」

「“殺人拳”それは活人拳の逆で、武術の禁忌とされる殺人こそ心髄に掲げ、追究し続ける者達の事だ」

 

 真琴が弟子入りをする前、殺人拳と活人拳の命をかけた大きな戦争があった。その対決は世界大戦までの域に達した闘いである。そして真琴は師匠達から聞いていた、殺人拳を提唱する危険集団、❰闇❱との闘いだった事を・・・。

 真琴はステラにその❰闇❱については語らず、殺人拳だけの説明しか言わなかった。何故なら闇は解放軍以上にまずい組織だからだ。

 

「何よそれ!!っ、まさかイッキがそんな道に進むってマコトはいうの!?」

「もしかしたらだ」

「見損なったわ、マコト!そんな事を言うだなんて!」

「落ち着け、ステラ!お前の言ってる事はわかる、これはもしかしたらの話だ」

「でも、イッキが殺人なんて・・・」

「僕が昨日、人を斬ったからね、それを見た真琴はそっちの道に進むんじゃないかって心配して言ってくれたんだよ」

「そう、だったのね、ゴメンなさい」

「良いって、気にすんな。だがな、ステラ」

「何よ」

「騎士にとって、これは避けて通れない道なんだ、いずれにせよ殺人拳か活人拳、どちらかの道を選ぶしかない。それに殺人拳の武術家や騎士達は相手の命を背負って生きていかなければならないからな、お前が考えてるよりずっと重いぞ?有名な話にかの宮本武蔵は人を斬った時、敗れた武人の供養の為、山に籠って仏像を彫ったそうだぜ。その覚悟が、お前にはあるか?」

「ッ・・・!」

 

 

 ステラはいつになく真面目な表情を浮かべる真琴を見て、息を飲んだ。

 

「お前も選ばなくちゃならんからな、努々忘れるんじゃねぇぞ?」

「・・えぇ分かったわ、でももし、イッキが殺人拳に進むなら私が何がなんでも止めてみせるわ!!安心して、マコト!」

「「アッハハハハ!」」

 

 ステラは真琴と同じ言葉を一字一句間違わず、口にした。

それを見た二人は何故か笑わずにはいられなかった。

 

「な、何よ二人して」

「いやなんでもないよっ」「あぁ、気にすんなよ」

「「アハハハッ!」」

「き、気になるじゃないのぉー!教えなさいよー!」

 

 

 こうして、朝の時間は過ぎていった。そして一輝の選抜戦間近となった。

 

「んじゃ行ってくるよ、皆」

「・・あぁ」

「ん?お兄様、靴ひもが・・・」

「・・あぁ、ゴメン!有難う珠雫!」

 

 真琴とアリスには一輝の心情がいつもと違って見えていた。普段なら冷静沈着な一輝だが、今日は少し落ち着きがない、いや緊張している様に見えたのだ。

 

「ねぇ、真琴、本当に話したの?」

「・・話したさ、だが一輝は気付いてないみたいだけどな・・・心配だぜったく」

「何が心配なの?」

「あぁ?一輝がさ」

「イッキ?いつもと同じように見えるけど・・・」

「私も、ステラさんに同意します」

「・・・仕合になれば分かる」

 

「「?」」

 

 

 ステラと珠雫は真琴の発言に少し疑問を持ちながら、会場に向かった。席に着き仕合時間を待つ事したのだった。

 

 

「紳士淑女の皆々様!お待たせしました!遂に始まります!七星剣武祭代表選抜戦!実況は私、月夜見 半月でお送り致します!第一回戦は何と授業を一切受ける事なく一年を迎えてしまった、伐刀者!学園では落第騎士«ワーストワン»として知られている黒鉄一輝選手と!昨年度、首席入学者にして、去年の七星剣武祭代表の一人«狩人»桐原静矢選手との闘いです!桐原選手の伐刀絶技«狩人の森(エリアインビジブル)»は対人最強として名高いですが、果たして黒鉄選手はどう攻略するのでしょうか!?」

 

 月夜見半月が高らかに声を挙げて実況をしている。そんな実況を聞きつつ、他の伐刀者達が次の勝利者を予想していた。だがほとんどの生徒達が桐原静矢の勝利を確信していたのだった。それも当然である、相手は最低のFランク伐刀者。自分達より劣っている人間なのだ。応援する価値など微塵も存在していなかったのだ。

 

「さぁ!赤コーナーからやって来たのは落第騎士«ワーストワン»黒鉄一輝選手です!«狩人»こと桐原選手にどんな立ち回りを見せてくれるのでしょうか!?解説は西京寧音先生にお越しいただいております!」

「宜しくぅ~」

「そして、ようやく桐原静矢選手が入場してきました!さてどんな闘いになるか楽しみですねー西京先生!」

「まぁなー」

「まぁなーじゃないですよ!」

 

 ステージに二人の伐刀者が集い、お互いに闘志をぶつけていた。

 

「やぁ落第騎士«ワーストワン»、今日は“逃げずに来たんだな”」

「勿論だよ、桐原君」

「んじゃ遠慮なくぶちのめして良いんだよな・・・?」

「負けるつもりはないよっ・・・」

「強がり言っちゃって、心配するなよ、すぐにその顔を絶望に変えてやるよ!」

 

 二人はお互いの固有霊装を顕現し、戦闘体勢をとった。

 

「さぁ、狩りの時間だ!朧月!」

 

「来てくれ、陰鉄!」

 

「Let's Go Ahead」 

 

 会場の大きなスクリーンから仕合の合図が、会場中に鳴り響き、落第騎士«ワーストワン»VS«狩人»の戦いの火蓋は切られたのだった!




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