アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件   作:100¥ライター

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日常編で括ってますが、更に具体的にするとシスティーナ編が今回で完結です!
前回はいつもより多めに感想を頂き、嬉しい限りです。

そしてなんと似たような作品を書きたいと言ってくれる方までいました!
本当にありがとうございます。
そんな感想を見ると続けていて良かったと改めて実感します。
今回も見てくださると嬉しいです!


39話 システィーナを救え!

落ち着け…システィーナを放置するのは論外。やつらが何をしでかすか分かったもんじゃない。背負いながらフロストに勝てる方法を…

 

 

「『風刃』起動…」

 

 

ベイルアウトをしても根本的解決にならないならブラックトリガーを使っても構わないだろう。ディフェンス面は…システィーナにフォローしてもらうか。

 

 

「おい、俺を殺しちゃモモは手に入らないぜ?そこのマスター。」

 

 

殺しても構わない…と、言った以上は躊躇しないだろうが、一応言っておく。一見無駄に見えても言うだけでも大事って時があるしな。

 

 

「いや、構わないさ。俺があくまでここに貴様を呼んだ深い理由はない。システィを利用し、それで釣れたやつを消すのが目的なんだからな。それに…」

 

 

「すぐにどうでもよくなるさ。」

 

 

「どういう意ーぐっ!?」

 

 

「ねぇ!ちょっと!どうしたの!?急に倒れて…何があったの!?」

 

 

「毒針か…卑怯な手を使いやがって…」

 

 

フロストの右腕に仕込んであった毒針。まさか初っ端から仕掛けてくるとはな…

 

 

「毒針!?そんなの見えー」

 

 

「いや、そこ…右腕に小さい穴が…っ!」

 

 

名前も知らないマスターが俺を踏みつけ、システィーナに近寄った。

 

 

「て、てめぇ…システィーナに妙なことしてみろ…僭越ながら全国のシスティーナファンを代表して俺がお前をぶっ殺してやる…」

 

 

「ぶっ殺す…?はは…ははははは!聞いたか!?傑作だなぁ!そこからどうやって殺すって!?珠雫はパラガスや手駒にした女共が足止めしているし、ブロリーも控えている!お前はお前のシスティが俺に寝とられるのをそこで黙って見てな!」

 

 

「い、いや…やめ…て…助け、て…」

 

 

「さぁ、良く見ていろ!いずれ貴様は何もかもがどうでも良くなる!そうしたのならモモも俺が頂ー」

 

 

ザシュッ!

 

 

「ぐぉぁっ!」

 

 

いくら自分がモテないからってシスティーナにいやらしいことをしようとした人間の屑であるマスターはフロストが風刃に突き刺さされたのを見て、驚愕している…

 

 

「フ、フロスト!?何があーぎゃぁぁぁぁっ!!」

 

 

そして、仕込んだ風の刃がやつの全身を切り裂いた。やつの至る所から血が流れているが、そんなのを気遣う必要などない。

 

 

「言ったろ?手を出したら殺すって…どうでもよくなる…その通りだな。お前の命が…どうでもよくなった…」

 

 

「な、何故だ!何故フロストの毒針をくらっているのに立っていられるんだ!?」

 

 

「…冥土の土産に教えてやろう。マシュのマスターである藤丸立香って知ってるか?そいつにはマシュのおかげで耐毒スキル(仮)ってのがついている。即死級の毒をくらっても少し痺れる程度で済むっていう優れものがな。これが俺にもあるらしくてな。」

 

 

「あるやつ風に言うなら… 『毒じゃ死なない。』」

 

 

「くそっ!」

 

 

「さて、聞きたいことはこれで終わりか…?それじゃあ、死のうか…」

 

 

俺が風刃を振り下ろそうとすると何かほざき始めた。

 

 

「待て!お前が欲しいのは金か!?いくら欲しいんだ!?話をしよう!お前が望むならいくらでも…」

 

 

「お前はシスティーナがいくら嫌がって…やめてと懇願したのにお前はそれを止めようとしなかったよな?」

 

 

自分が優位な時は好き放題やり、劣勢になったら助けを求める。全く…相変わらず酷いやつだな。だが、どうせ殺すならこういうやつの方が良い。

 

 

「今までの報いは受けてもらう。じゃあな…」

 

 

このままやつに風刃を振り下ろせばそれだけでやつは死ぬ。これでいい。こいつを殺さなければー

 

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待って下さい!待って!助けて!待って下さい!お願いします!ぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

「見苦しい。命乞いなんてするもんじゃないぞ。」

 

 

「もういいわ!やめて!」

 

 

やつを殺す寸前で俺を止めたのはシスティーナだった。俺があともう少し力を入れたら振り切れるはずなのに何故か力を出せない。

 

 

「…いいのか?これで…お前とお前のマスターを苦しめた張本人だぞ?」

 

 

「えぇ、もう…いいの。だから…お願いだからそこから先には進まないで。」

 

 

「…分かった。お前がそう言うなら。」

 

 

やつは既に気絶している。そりゃあこうなるわな。ほんのついさっきまでは殺すつもりだったし。

 

 

「さて…なら辱めぐらいは受けさせてもバチは当たらないよなぁ?」

 

 

マジックペン…さて、これぐらいは…

 

 

 

 

なんということでしょう。匠の技により、上半身は裸にひん剥かれ、胸には『ホモビ男優志望』と直接書かれ、下半身はズボンの代わりに『ノンケお断り』と『ホモの兄ちゃん114514』の二枚の張り紙が張られているではありませんか。

 

 

「よし、システィーナ。ちょっと来い。」

 

 

「えっ、何を…」

 

 

「はい、チーズ!」

 

 

よし、これで写真は撮った。報復はしたぞ。

 

 

「あとはこいつ単品でも撮って、印刷した写真をバラまくぞこの野郎と脅せばいい交渉材料になる。」

 

 

まぁ、これだけで大人しくなるとは思えないが、これを盾にすれば少しはマシになるだろう。

 

 

「全く…俺のシスティーナとか変なこと言いやがって…システィーナはグレンのものーいたっ!頭を叩くな!」

 

 

「誰があんなロクでなしのものになんか!」

 

 

「あー、はいはい。そうっすねー」

 

 

「雑に流さないで!」

 

 

「…いや、そろそろ真面目になろう。さて、パラガスもとっとと仕留めるべきか…」

 

 

「《大いなる風よ!》」

 

 

「うぉぁっ!!」

 

 

突如フロストが壁に叩きつけられた。そしてその後に飛んできたビームにより、全てを悟った。

 

 

「さっき倒したはずのフロストってやつ…まだ生存していたわよ。」

 

 

「不意打ちを見切ってくれたんだな。ありがとな、システィーナ。こいつは俺が責任持ってトドメを刺しとく。」

 

 

風刃の残った刃でトドメを刺し、これでフロストが退場するのを見届けた。

 

 

「やれやれ…珠雫が時間を稼いだ間に邦枝がなんとか時雨綾とお前のマスターを助けたみたいだ。」

 

 

「そうみたいね。良かったわ、マスターが無事で。」

 

 

「ふっ、ふぁぁぁっははは!!マスターを気絶させたごときで勝ったつもりでいるなどと…その気になっていたお前らの姿はお笑いだったぜ。行け!ブロリー!」

 

 

絶望が来た。凄くベイルアウトしたいが、それではシスティーナが助からない。

 

 

「…まずお前から血祭りに上げてやる。」

 

 

「何!?システィーナをだと!?貴様、人間の心がないのか!」

 

 

「明らかに貴方の方を指差していたでしょ!」

 

 

「ですよね!!ったく…!!」

 

 

システィーナを抱えていてはシスティーナを攻撃に巻き込んでしまう。それだけは避けなくては。俺はシスティーナから少し距離を取った。

 

 

「システィーナ。あの風を纏って加速するやつを頼む」

 

 

たった一太刀でいい。少しだけ時間を稼げば…

 

 

「《ラピッド・ストーム》ね。分かったわ。」

 

 

「くらえぇぇぇぇ!!」

 

 

風の力で更に加速した一太刀!これで少しぐらいダメージが…

 

 

「っ!」

 

 

「ふぉっ!?」

 

 

ダメみたいですね…無惨に壁面に叩きつけられ、トリオン体はもうほぼない。

 

 

「とっておきだ…」

 

 

ヤバい、あれは確実にシスティーナに当たる軌道!

 

 

邦枝や珠雫は…くっ、相変わらずあのマスターが従わせた女共が襲いかかっていやがる。無理そうか。

 

 

「…はぁっ!!」

 

 

俺は残った刃を使ってシスティーナをエネルギー弾から守った。

 

 

 

「そこのマスター!こいつがそんなに可愛いか!!」

 

 

「あぁ!システィーナは可愛い!!可愛いに決まってんだろうが!!」

 

 

「そうか…いつかまた会えるといいなぁ。」

 

 

あいつ!まだエネルギーを撃てるのか!いや、普通か。だが、風刃の刃はまだある!これを使ってシスティーナを防御するまで!

 

 

あ、やべ…強力なエネルギー弾の軌道が変わってこっちに…だが、俺にはもう回避する手段はないし、さっきのでトリオン漏出過多となり、トリオン体は消えた。詰みか。

 

 

「其は全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷――顕現せよ」

 

 

…ん?この詠唱は…

 

 

「『いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!』」

 

 

その盾はブロリーの攻撃を防いだ。俺はこの盾を持つ者を知っている。来てくれたのか。

 

 

「むぅ…」

 

 

「ありがとう、マシュ。助かった。」

 

 

「間に合って何よりです。それより…あの可愛い宣言ですが…」

 

 

「いや、今は水に流そうぜ?そんな暇ないぞ。」

 

 

「大丈夫です。あの人が助っ人を…」

 

 

「あの人?助っ人?」

 

 

「おーい!あと一人誰か忘れちゃいませんかってんだ!マスター!頼もしい助っ人を連れて来ました!」

 

 

「頼もしい助っ人?」

 

 

どうやら時雨綾にも心当たりがないらしい。全く…誰を連れて来たんだか。

 

 

「もう大丈夫。俺が来た!」

 

 

ヤムチャ…?オールマイトみたいなこと言って…

 

 

「所詮、クズはクズなのだ!はは、ははははは!」

 

 

「じゃあ、試してみるか…?ブロリー!」

 

 

「ぬぅっ!」

 

 

「とぉう!!」

 

 

ブロリーの拳を真正面から…無茶だ!そんなことしたら…ん?あれ?

 

 

「なぁに…?」

 

 

一度きりの殴り合いとはいえ、ブロリーと互角のパワーだと…?

 

 

「へっ、俺は鍛えてもらったのさ。そう、あのオールマイトに!お前なんか悟空が出るまでもないな。」

 

 

 

は、はぁぁぁぁぁぁっ!?オールマイト…だと?

 

 

「そしてそのオールマイトもすぐに来る。オールマイトは俺よりも強いぞ。」

 

 

「もう大丈夫!何故かって?私が来た!!」

 

 

「この俺がお前達に青春のなんたるかを叩き込んでやろう!!」

 

 

…オールマイトに加えて、ガイ先生まで… こんなやつらがいたらそりゃあヤムチャもああなるわな。

 

 

「さぁ、行くぞガイ!」

 

 

「あぁ、共に戦おうオールマイトよ!」

 

 

ああやって並ぶとなんとなく似ているような似てないような…

 

 

 

はぁ、全く…少しカオスになりすぎじゃないか?

 

 

現実を受け入れるのに疲れた俺はこれからの事を後から来るであろう他の仲間に任せることにし、自らの本能に身を委ね、ゆっくりと意識を落とした。

 

 

 

「目は覚めましたか?マスター。」

 

 

「あ、あぁ… で、どうなった?」

 

 

主語がないが、多分マシュなら察してくれるはず…

 

 

「結論を言うとオールマイトさんとマイト・ガイさん、そしてヤムチャさんの凄まじい肉弾戦により、ブロリーさんは撃破されました。敵マスターである光山晴輝さんの退場も確認しました。」

 

 

光山晴樹…なんか良さげなイメージを持つ名前のやつに限ってロクなやつがいない気がするのは気のせいだろうか。

 

 

「…で、システィーナはどうなった!?」

 

 

「…無事に助かった。と、聞いています。」

 

 

「あれ?マシュ何か機嫌悪いか?」

 

 

「…別に何でもありません。」

 

 

「…お、おう。そうか。」

 

 

俺達はこれで全てが解決したと思っていた。いや、思いたかった。

 

 

〜翌日

 

 

「さて、休みぐらいゆっくりしようかな…」

 

 

prrrr…

 

 

「はい、もしもし…」

 

 

『こ、これで本当に繋がったの…?』

 

 

この口ぶり…さては電話に慣れてないみたいだな。ここに来たばかりの時はさぞかしカルチャーショックを受けたのだろう。

 

 

「あ、あぁ…システィーナか?」

 

 

『そうよ。悪いけれど…私のマスターの家に来てくれない?』

 

 

「…何があった。」

 

 

『マスターが…大変なの。』

 

 

この一言だけで何があるかは何となく察した。やはり余波が来ていたか。

 

 

 

 

システィーナは具体的なことを一切教えず、ただ来てくれとだけ伝えていた。寝ている他のやつらを起こすのも悪い気がしたのでとりあえずマシュだけを連れ、指示された場所に行った。

 

 

「お邪魔します。」

 

 

「来てくれたのね。」

 

 

「あぁ、もちろん。仲間に何かあればすぐ行くさ。で、何があった。」

 

 

「…マスターが…あれ以来部屋から出てこなくなってしまったの。」

 

 

やはり精神的ショックか。余程怖い体験をしたのだろう。俺もマシュやユウキ達を失ったらこうなるのだろうか…これは俺の末路を見ているようで少し怖い。

 

 

「お前のマスター。言っちゃ悪いが、戦いに向いてないだろ。」

 

 

この戦いは日本にいるアニメオタクが無作為に200人選ばれている。そりゃあ、そんなやつがいたっておかしくはないはずだ。

 

 

「…否定はしないわ。温厚な性格で争いは好まないマスターだったわ。」

 

 

「そうか…」

 

 

どうやらそいつは俺のような三次元の人間を信用出来ず、愛に失望しているという人間性終わってるようなやつを通り越して聖人君子のような人らしい。

 

 

「どうにかして説得はしているんだけど…アヤが何を言ってもダメで…」

 

 

「…治す手段が一つだけある。その前に…」

 

 

「?」

 

 

「俺…いや、俺達を信じて任せてくれるか?」

 

 

「え、えぇ…」

 

 

「じゃあ…令呪によって命ずる。マシュ、盾でシスティーナの…後頭部を思い切り殴れ。」

 

 

「…え?」

 

 

「マシュ。こんな酷い役回りを与えるようなダメマスターを許してくれ…」

 

 

ゴン!!と鈍い音が家中に響き、システィーナは即退場中状態になった。

 

 

「これって…」

 

 

「システィーナ、すまない。これしか無かったんだ。」

 

 

戦いの退場によるこの戦いに関する一切の記憶の喪失。これを使えば退場するのと引き換えに辛い戦いの記憶である誘拐された記憶は全て消えるだろう。

 

 

「ごめんな。俺がもっと早く助けることが出来たなら…」

 

 

「自分を責めないで。もし貴方が助けにすら来てくれなかったら私は…もっと酷い目に遭っていたかもしれない。それから救ってくれただけで私は嬉しい。でも…」

 

 

「せめてルミアやグレン先生に…会いたかったなぁ。でも…私のマスターの…楽しい学校生活が帰ってくるなら悔いはなー」

 

 

「待て、システィーナ!」

 

 

「…俺と一緒に行こう!この戦いの果ての果てまで!ルミアに会いたい?いいだろう、俺が絶対に会わせてやるよ!さぁ、俺と来い!!」

 

 

こんな優秀なやつをこのまま退場させるのはもったいない。スカウトするのは当たり前だよなぁ?

 

 

「せぇぇぇぇんんぱあああああい!?」

 

 

マシュがいきなり素っ頓狂な声を上げるが、気にしない。俺はシスティーナの前に右手を差し出した。

 

 

「…お願いするわ、私の新たなマスター。」

 

 

システィーナが俺の手を握り、正式に俺達の仲間になった。

 

 

「津島隼人。」

 

 

「え?」

 

 

「今まで言ってなかったな。津島隼人。これが俺の名前だ。これからよろしく、システィーナ。」

 

 

「…えぇ、こちらこそよろしく。ハヤト。」

 

 

「…(ムスッ)」

 

 

システィーナが新たに仲間に加わり、これで5人目。目標まではあと2人。あともう少しか。

 

 

「…綾?」

 

 

どうやらしっかりと記憶がなくなり、戦いが始まる前に戻ったらしい。

 

 

「沙由里!!」

 

 

「やつは戦いの間の記憶を失った。多分もう大丈夫だ。お前がよく知るあいつだと思う。」

 

 

「元の沙由里だ…良かった…良かったよぉ…」

 

 

「…綾、ありがとう。あまりよく覚えてはいないけれど…多分綾が助けてくれたんでしょ?」

 

 

「ううん、違…」

 

 

綾が俺の方を向いたので俺は無言で首を振った。

 

 

「そうよ、全く…沙由里はいつも私に心配かけさせるんだから…うぅ…ひっく…」

 

 

「うわああああぁぁぁぁん!」

 

 

その光景が…俺にとってはあまりにも場違いな気がして俺はすぐ扉を閉めた。

 

 

「貴方、綾から聞いた話だと貴方はこっちの世界の人はあまり信じれないって言ってたけれど…ああいう女の友情もいいものでしょ?」

 

 

見ないように扉を閉めたはずなのに二人の嗚咽や泣きじゃくる声を聞いているだけでもこちらまで涙が出そうだったので俺は窓から空を眺めて誤魔化した。

 

 

「そう、かもしれないな。」




最後まで見てくださり、ありがとうございます。
日常編の中のシスティーナ編はこれにて完結です!
あと2〜3話くらいで日常編も一旦終わり、新たな長編が始まります!
次回からはシスティーナも加わり、更にパワーアップしたストーリーをお楽しみにしていてください!
それでは!

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