幻想郷(仮題)   作:パンドラぼっくス

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紅魔にて3

『よくきた、幻想郷の巫女よ。お前は私を殺せるか?』

 

『何言ってんの?私はこの異変の元凶であるアンタを、ぶちのめしてさっさと終わらせたいだけ』

 

『じゃあ私はお前を殺す気でいこう、そうせざるを得ないほどに』

 

『だから、私はアンタの命なんか』

 

『だからこそ、私はお前に殺して欲しい』

 

『...まぁ、いいわさっさとやるわよ』

 

『クックック...』

 

 

 

 

 

 

 

 

『よく、ここまで一方的にやるもんだ!さあ、巫女よ!もっとやろう!』

 

『...さっさと負けを認めなさい』

 

『認めているさ!

 

お前は私を殺せるだろう!

 

だったら私はやり続けるまでだ...

 

お前が私を殺すまで!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何故殺さない?』

 

 

『最初に言ったでしょ、私はアンタの命なんか欲しくないの』

 

『....ならば今回は引くとしよう、いつか私を殺してくれることを楽しみにしているぞ』

 

『はぁ、なんか勝った気がしないわ』

 

『クックック...よく言われるよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館の門前に降り立った二人の少女、霊夢と魔理沙。

 

日はとっくに暮れている。

 

「結局夜になっちゃったじゃない、もう帰りたいんだけど」

「おいおい霊夢、ここまで来て帰るわけにはいかないだろう」

「そもそもなんで私が...」

 

霊夢がぶつぶつと文句を言い始めたので魔理沙はさっさと紅魔館に入ることにした。

 

「たのもー!」

「その挨拶はどうなの?」

 

 

魔理沙の声が門に響く。

 

「いらっしゃいませ」

「うわっ!」

 

魔理沙の目の前に咲夜が現れる。

 

「びっくりしたぜ、咲夜〜いい加減それビックリするからやめてくれよ」

「魔理沙こそいい加減慣れて欲しいわ、霊夢を見なさい」

「・・・」

「む〜、なんか悔しいぜ!」

「うふふ、さあお嬢様がお待ちよ、入りなさい」

「何の用かは聞かないのね」

「聞くだけ無駄よ、お嬢様がもてなすと言った以上、刺客でももてなすのが紅魔館流よ」

「ほんと不思議な館だわ...」

「ふふっ...よく言われるわ」

 

咲夜と話をしながら紅魔館の扉を抜ける。

抜けた瞬間紅魔館の外でも感じていた妖気がさらに濃密に襲いかかる。

 

「フハハハハ!よく来たな!」

 

扉を開けてエントランスに置いてある椅子に座り、ふんぞり返っていたのはレミリア、入口に主がいるというのは館としてどうなのかと霊夢は問いたかった。

 

「まあ、よいではないか。吸血鬼の気まぐれだ」

「アンタの気まぐれでいきなりあてられるコッチの身にもなりなさいよ...」

 

ナチュラルに思考を読むことには触れず、隣で固まってしまった友人を見ながら霊夢はため息をはく。

 

「ほら、魔理沙起動しなさい!」

「あいてっ、べ、べつにビックリしてねーし!!」

「はっはっは!」

 

魔理沙を叩いて再起動させた霊夢を見てレミリアは笑い声をあげる。

 

「ま、それは置いといてさっさと用をすませるわよ」

「花見の誘いか、もちろん喜んで参加させてもらおう」

「話が早くて助かるわ、さ、魔理沙帰るわよ」

「え?あ、あぁ...」

「まあ待て、折角きたんだ少しばかり話をしていってもいいだろう?」

「私たちはまだ行くべき場所があるの、こんな所で止まってられないわ」

「ふむ、なるほど..ならば一つ賭けをしよう」

「賭け?」

「あぁ、私が勝ったらゆっくりしていってもらおう」

「私たちが勝ったら?」

「神社に一週間程咲夜をやろうじゃないか、家事全般は任せれるぞ」

「...2週間」

「ふむ、いいだろうでは「まてまて!」む?」

「私完全に置き去りじゃねーか!咲夜も神社に行く準備をしてくるって言って部屋出て行ったしよ!」

「魔理沙には図書館の本をやろう」

「よし、何の勝負だ?」

 

レミリアはパチュリーに許可をとっていない、そもそも親友なのだからとる必要も無いだろうと思っている。

パチュリー本人が聞いたら発狂するだろうが。

 

「なに、簡単な賭けさ。サイコロを振ってどっちが数が多いかのゲームだ」

 

これを聞いた魔理沙、スグに顔をしかめる。

 

「おい、それってお前が能力を使ったら勝てるわけねえじゃん」

「いや、私はこの勝負では能力は使わない。スカーレットの名にかけよう」

「まあ、そこまで言うんなら、リスクもあんまり無いしな」

 

プライドの高いレミリアが名をかけたのだ、まさか能力を使うことはないだろう。と魔理沙は思い、サイコロを手に取る。

 

「おっしゃあ!いくぜ!」

 

魔理沙が勢いよくサイコロを投げる、転がったサイコロは転がり、やがて6の目で止まった。

 

「っしゃあ!これで負けはないぜ!」

「なかなか運を持ってるじゃないか、それじゃ、ふんっ!」

 

レミリアも勢いよくサイコロを投げる

 

レミリアの豪腕から放たれたサイコロは人の目では追えない程のスピードをもって床に向かう。

 

決してサイコロと床が立ててはいけないような衝撃が発生し、粉砕された床の破片が舞う。

 

衝撃に目を閉じた魔理沙が次に目にしたのは

 

「な、なんだこれ...」

 

弾け飛び、2から6の目が全て見えるサイコロだったものである。

 

「ふむ、20か、1が出なかったのは悔しいがまあ、勝ったから良しとしよう」

「おいおい、それはないぜ!そんなんズルじゃねーか!」

「なぜだ?運も実力のうちと言うだろう?ならばこれしきの運、実力で掴み取らねばな」

「そんな理屈通るか!とにかくこの勝負はなしにしてもう一回だぜ!さあ、レミリアお前からサイコロを振れ!」

「ふう、仕方ないな」

 

そういってレミリアはサイコロを振る、普通に転がったったサイコロは2の目を出した。

 

「よし、これなら勝てるぜ!」

 

そう言って魔理沙が振ったサイコロは勢いよく転がっていく。

 

「よしっ、こい!」

 

そうして止まったサイコロの目は...

 

「っ、あ〜〜〜っ!!」

 

「フハハハハッ!!」

 

高笑いするレミリアと項垂れる魔理沙、勝者が決まった瞬間である。

 

 

ちなみに霊夢はその横でサイコロを転がし、6の目を連発して、ため息をついていた。

 

 

 


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