幻想郷(仮題) 作:パンドラぼっくス
幻想郷にある霧の湖の畔にそれはそれは紅い館が建っていた。
吸血鬼が住むと言われるその館の名前は『
そんな紅魔館で、今日も一日が始まる。
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紅魔館のメイド『
メイド長の朝は遅い、なぜならこの館の主人は吸血鬼であるからだ。
主人が起床するのは日が落ちるころ、メイド長である彼女はその前に起床し、館の掃除と食事の準備をする。
主人の部屋に入るわけにはいかないが、部屋の前に
彼女が次に出向いたのは館にある大図書館と呼ばれる、主人曰く親友である魔法使いが管理する場所。
彼女が中に入るとすぐに一人の少女と思わしき人物が出迎える。
「あっ、咲夜さん!お疲れ様です」
「お疲れ様、こぁ」
少女の者の名前は『小悪魔』館のほとんどのものからはこぁ、と呼ばれている。
「あら咲夜、もう起きたのね」
図書館の奥の方から女性の声がする。
「おはようございますパチュリー様」
「私にとって今は夕方なんだけど」
咲夜の挨拶に渋い顔で答えた彼女こそ、紅魔館の主の親友(主人談)にして図書館を管理する魔法使い、『パチュリー・ノーレッジ』である。
「レミィは起きたの?」
「はい、もうすぐかと」
「 「 「ドンッッ」 」 」
その時轟音が館の中に響く。
それと同時に館に濃密な妖気が充満する。
「お目覚めのようです」
「はぁ~、今日という一日がまた始まるのね」
「ブルブルします~~....」
「いい加減慣れなさいよ」
「でも~....」
「さあ、私たちの主人をで迎えに行きましょう」
「私にとってレミィは主ではないのだけれど」
小悪魔は不安そうに。
パチュリーは面倒くさそうに。
咲夜は少し嬉しげに。
主の下へと向かう
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紅魔館 正門
「お、お嬢様がおきたようですね」
一人の女性の前に何匹かの異形の者達が集まっている。
「うーん、今日のごはんは何でしょうか。「グ~~」おっといけない」
彼女はそれを目の前にして今日の晩御飯を想像し、腹を鳴らす
★
紅魔館 地下室
「あら、起きたのね」
一人の少女が音に気づく。
少女の背中にはキラキラと光る宝石のようなものが付いた羽がある。
「『お姉さま起床なう』っと」
少女の笑い声が壁に冷たくコダマする。
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紅魔館 主の部屋
紅魔館の主の部屋であるはずの場所はめちゃくちゃになっていた。
というのもドアにワイヤートラップが仕掛けられていたからである。
凄まじい惨状の部屋に一人の少女が立っている。
「ふふふ...見える...見えるぞ!」
少女の目の前には壁に空いた巨大な穴、日が沈み月が出てきている空が見える。
「うむ!今日もいい天気だ!」
少女の高笑いが紅魔館の外に響く。
★
「ふう、やっと着いたぜ」
「まったく、チルノも面倒くさくなったものね」
「ほんとだぜ、まさかあんなことをしだすとは」
紅魔の館に少女が二人
いつもとは違う、今日の始まり。