幻想郷(仮題) 作:パンドラぼっくス
人里にて
霊夢と魔理沙はまず、博麗神社から一番近い人里に行くことにした。
もちろん里の者に花見のことを伝えるためでもあるが、霊夢の隠れた目的は各勢力の者を人里で見かけたら花見のことを伝え、わざわざ出向く手間を省くことである。
魔理沙は一番近いという霊夢の言葉に素直に従った。
人里は春になったこともあって、活気に溢れている。霊夢と魔理沙は会話しながら人里の中を散策する。
すると、一つの建物の前に女性が立っているのが見えた。
「おーい!慧音!」
「む、魔理沙と霊夢か、珍しいな人里に来るなんて」
「ちょっと用があったのよ、ちょうど良かったわ」
「用か、私でよければ話を聞こう」
彼女の名は『
幻想郷の強者は基本的に皆何かしらの能力を持っているが、彼女の力は『歴史を食べる程度の能力』である。
「毎年恒例のあれよ」
「ああ、あれか」
「ええ、それで用ってのは」
「構わん、里の有力者には私の方から話しておこう」
「話が早くて助かるわ」
彼女は教師だけあって話の理解が早い。
幻想郷の者はほとんどが話を聞かないので、霊夢としては彼女のような存在は非常に助かる。
「ねぇ慧音、今この里に誰か来てる?」
霊夢が尋ねる、誰かというのはもちろん各勢力の誰かである。霊夢は己の隠れた目的を遂行するつもりのようだ。
「いや、今のところ誰かが来ていると言う話は無いな。昨日だったら来てたんだが」
「誰が来てたんだ?」
「紅魔のメイドだ」
((咲夜か...))
紅魔のメイドと言われて、二人の頭に浮かぶのはこの幻想郷で数少ない人間の強者である。それを聞いた魔理沙は少しあごに手を当て考え込む。
しばしの間、霊夢は慧音との世間話をする。
「最近どうなの寺子屋の方は」
「そうだな、生徒も増えたし私も生徒の元気に負けないよう頑張らねばと思っている」
「頑張るねぇ...」
「....よし!霊夢!」
突然魔理沙が何かを決めたように声を出した。
「次の目的地は紅魔館だ!」
「そういうと思ったわ」
ここに次の目的地が決まった。霊夢は止めはしない、どうせした所で無駄なこと、なぜなら霧雨魔理沙は幻想郷の話を聞かない人物の筆頭なのだから。
「紅魔館に行くのか、気をつけてな」
「あぁ、情報提供感謝するぜ」
「そうだ、紅魔館に行く途中でチルノに会ったら伝えてくれ『今日の宿題を出さないものにはプレゼントがある』と」
「任されたぜ!行くぞ霊夢!」
「はいはい」
霊夢は思う、慧音の能力は『歴史を食べる程度の能力』ではなく『頭突きをする程度の能力』ではないか、と。
されたわけでもないのに頭が痛む気がする。
里の教育者の愛のムチは博麗の巫女をも恐れさせるもののようだ。
まだ全然キャラの個性を出せない、次回からはきっと。。。(;`皿´)グヌヌ