リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー   作:kaenn

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オリジナルキャラクターを出すための番外編です。

バトルシーンの練習用に書いてみた話でしたが予想以上に気に入ってしまい設定まで作ってしまいました。

これからも何度か登場するかと思いますが、御容赦を。

では本編です、どうぞ。


アインクラッド番外編 姉妹ゲンカ ー暗殺者対姫騎士ー*

ーキン……キッ…キン………ガキッ…ンー

 

白いマントを羽織り短剣を左手に持つ少女と左手に大剣を持つ白いドレスのような装備を着た少女が剣戟を数十合打ち合うと同時に離れる。

 

「フゥ……さすがマイルちゃん、やるねぇ……。」

 

マントの少女が息を整えながら大剣の少女”マイル”を褒め称える。

 

「いいえ…メイルこそ……やりますね……短剣1つで大剣とやりあうとは……はぁ……」

 

殆ど同じ顔をしたマイルは白マントの少女”メイル”を此方も褒め称える。

 

「マイルちゃんの言い分も分かるけどさ、アイツらは放っておけばどんどん殺すよ………私達とフレンドになったギルドの皆んなはどうなった?私達が離れた隙に全員殺されたよね?………私達が”あの時”中途半端な撃退したせいで皆んなが巻き添えを食らったんだよ?……なら……生き残った私達が…いや、私が!仇を取らなきゃ!死んでいったあの人達に申し訳が立たないじゃない!!」

 

無表情から薄ら笑いを浮かべながら静かに語るメイルは最後の方で感情が高ぶったのか、大声で涙を浮かべながら独白する。

 

「いいえ……それは私達が2人で背負うべき罪で有り全員を殺す必要は無い……そしてメイル1人で背負うべきものでも無い、姉妹ならば…”あの時”一緒に行動していた私達ならば……一緒に償うべき罪だろう!1人で全て片付けようとするなんて!それこそ私に対する侮辱だぞ!!メイル!!」

 

離した距離を一気に詰めて大剣を振り下ろすマイル

 

「違う!!”あの時”私が彼等から離れて狩りをしなかったら!!マイルちゃんも巻き込んで行かなかったら!!死んだのは私だけで済んだかも知れない!!そして彼らはまだ生きていたかも知れないじゃない!!」

 

メイルは自分に迫る大剣を短剣で左側に受け流し火花を散らせながら声を張り上げ、その瞬間に逆手に持ち替えた短剣でマイルを斬ろうとするが躱される。

 

「それこそ違う!!悪いのはラフィンコフィンであって彼らでも…私でも…ましてやっ!…メイルでは決してっ!無い!!」

 

受け流された大剣でメイルの追撃を防御しながら再度右側から剣を振るうと、短剣で防御されるがノックバックが発生してメイルは川の向こうに吹き飛ばされる。

 

【挿絵表示】

 

「………なあ?メイル、そろそろこのくだらない姉妹ゲンカを終いにしたいのだが?」

 

マイルはメイルと川を挟んで正対すると対岸のメイルに聴こえるように大きな声で言う。

それに対してメイルは、

 

「姉妹と終いを掛けたの?やるじゃない…お姉ちゃん感激だよ?マイルちゃんが冗談を言ってくれるなんてね。」

 

おちゃらけた調子に戻り双子の妹を揶揄する。

 

「いつまで仮面を被ってるつもりだ!さっきのが本音だろう!もう顔が繕えてないぞ!いい加減にしろ!デュエルで決着をつけるぞ!!私が勝ったら私に従え!!」

 

そう、メイルは口調こそ元に戻っていたが、泣いてるのか怒っているのか絶望しているのかよく分からない顔をしながら喋っていたのだ。

それを見たマイルは双子の姉の何かに取り憑かれた様にも見える表情を指摘する。

 

「………じゃあ止めてみなよ…そのデュエルを受けてあげるよ……そのかわり…私が勝ったら2度と私の前に現れないで……その条件を呑めるなら受けてあげるよ?」

 

指摘を受け無表情に戻ったメイルがそう提案してきた為、マイルは「望むところだ!」と言いながら近づいていくとデュエルの申し込みをメイルに送った。

 

無表情のまま目を赤く腫らしたメイルがデュエルを受託すると2人はほぼ同時に構えをとった。

 

ー3……2………1………STARTー

 

カウントがゼロになった瞬間に2人は交錯する、マイルは短剣の一撃を凌ぐと隙を見つける為一度距離を取る。

メイルはそうはさせじと速度を上げて短剣のソードスキル”ラピットバイト”を叩き込む、マイルは直撃ではなかったが攻撃を受けて距離を取る事に失敗してしまい目の前にさらなるソードスキルの光を宿したメイルが居た為に大剣を盾がわりにして踏ん張る。

 

もう少しで決着がつく所で”ファッドエッジ”の連撃が終わりメイルは驚愕の表情でソードスキル発動後の硬直時間に入る。

その隙を見逃すマイルでは無かった。

 

「いくぞ!いままで心配させた分コレで無しにしてやろう!!」

 

マイルは受け切った瞬間を見計らって大剣を上段に構えており、其処からソードスキルの輝きが増していく。

光が最高潮に達すると少し開いた距離を詰めながら上段に構えたマイルがメイル目掛けて突っ込んで行き、大剣の射程に入るとソードスキル”アバランシュ”が発動する。

 

「くっ、……ガッッ…ハっ…ァ!」

 

直撃では無かったがアバランシュの一撃で地面に叩きつけられてメイルは大ダメージを負って、一撃で敗北してしまった。

 

「はぁ…はぁ…、私の勝ちだなメイル、約束は守ってもらうぞ?」

 

マイルも精神的に疲れたのか、地面に俯せで横たわるメイルの隣に座り込みながら告げる。

動かないメイルに死んでないか確認しようとすると、

 

「………ヒクッ……ヒグッ…だっで…だって…黄昏の玉座の皆んなは…わだじのぜいでじんだんだよ…。」

 

地面に顔をつけたままボロボロと涙を流すメイル

それをみたマイルは、

 

「お父さんみたいに叱ってくれたゼクスさんも、姉妹ゲンカを止めてくれたエルさんも、冴えなかったハイルさんも優しかったカーネリアさんも皆んな……私達に復讐なんて望んでないと思うんだ…殺してしまっては奴らと同じ事の繰り返しになってしまう……忘れろとは言えないが怒りと悲しみを堪えて過去じゃなく、明日に向かって生きよう…、私はそう考えている。」

 

そう告げるとメイルは大声で泣きながら座ったまま私に抱きついてきた。

私はそっとメイルの背中に手を回して抱き返すと、私もラフィンコフィンに壊滅させられたギルド”黄昏の玉座”の皆を思い出し静かに涙する。

 

一頻り泣いた後、いつの間にか寝ていたのか気がつくと姉さんが居ない。

まさか何処かに行ってしまったのか!と思い焦って探そうとすると木の上から声がする。

 

「あっ?起きた?………よっ…と!おはようマイルちゃん♪」

 

木の上に居た姉は軽い”何時もの感じ”で私に挨拶してくる。

 

「姉さん!また何処か行ってしまったのかと思って心配したんだぞ!」

 

私が怒りながら言うと、

 

「ゴメンゴメン、心配ついでにさ…行きたいところが在るんだけど…着いてきてくれない?その後だったらなんでも言う事聞くからさ……」

 

何時もの胡散臭い笑い顔を一転させて真面目な表情になると行きたいところが在ると告げてくるメイル

 

「まぁ…ちゃんと言ってくれればいいよ、……で何処に行きたいんだ?」

 

「着いてきて?」と言われ着いて行くと”あの時”以来私でさえ来ていない場所に足を向ける姉。

心配になった私が声をかけようとすると、手で私の口を制してくる。

そのまま無言で進んで行くと”黄昏の玉座”が壊滅した場所にラフィンコフィンのメンバーに奪われた筈の彼らの装備していた武器が墓標の様に突き刺さっていた。

 

「っ!メイル、コレはいったい?」

 

息を呑んだ私がメイルに質問すると、

 

「……マイルちゃんの御察しの通り…私はもう……ヒト殺しなんだよ…ラフコフの…私達が撃退した3人組が持ってたんだ……。」

 

辛そうに呟くメイルを見て慰めようと近づいているとギルドの皆んなの武器が輝き出し、

 

ー…………………………ニコッ………ー

 

今でも思う…アレは幻だったのだろうか?それとも人の魂が起こした奇跡だったのか………

それはたぶん誰にも分からない…………

ただ確かなのはあの時に見たギルドのみんなの笑顔が私達の救いになった事だけだ………。

 

 

 

それから数日後

とある階層フロアボス戦

 

「ハァーーーッ!クライン!スイッチ!」

 

「応よ!…行っくぜぇーー!!」

 

リィンがソードスキルをフロアボスに叩き込みスイッチをしてクラインが追撃をかけると、更に後ろから白い同型の軽鎧を装備した殆ど同じ顔の少女が2人ソードスキルの輝きを放ち残り少なくなっていたボスのHPを消滅させる。

 

ハイタッチをしてお互いを讃え合う美少女に目を奪われていたクラインはエギルやキリトが青ざめた顔で自分の背後を指差すのを見て”ん?”と思って後ろを振り返ると其処には、

 

「………クライン?…………チョットオハナシガアルカラアッチへイコウカ?」

 

顔色を消して光を映さない目をした最終兵器が立っていた。

 

「あっ……あのー、リインさん?こ…こ、ここ圏外ですしね?あっ、あの?聞いていらっしゃいますか?……あのー、リインさん?」

 

無言でクラインの両肩を掴むと後ろ向きのまま引き摺って行くリイン、クラインはもはや意味のない言葉の羅列しか発せていない。

 

「クラインも懲りないな……そういやアイツHPイエローゾーンまでいってたが本当に大丈夫か?」

 

エギルが心配そうに呟くと、

 

「大丈夫よエギルさん、アレは全面的にクラインさんが悪いんだから、それに彼女が居るのに他の女の子に色目を使うなんて以ての外ですよ、ね?キリト君?」

 

綺麗な…心が震える程綺麗な笑顔でアスナはキリトに声をかける。

 

「そっ!そうだよなアスナ?そうだ!全部クラインが悪い!」

 

とばっちりを受けてキリトは盛大に冷や汗をかいていた。

その背後でメイルとマイルの2人はラストアタックボーナスの大剣と短剣を見せ合ってはしゃいでいた。




まぁ…気軽に読んでください。

思いついたものを書いているだけなので気軽に感想などいただければ励みになりますので、何か気づいた事とか誤字脱字等も報告よろしくお願いします。

ではまた次回に。

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