リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー 作:kaenn
キン…キン!……ザシュッ!!
迷宮区の1区画でギルド”風林火山”のメンバーと銀髪の女性がマッピングをしながらモンスターを切り捨てていく。
「……ふむ、みんな!そろそろ休憩にしようか?安全な場所まで戻って弁当を食べよう。」
銀髪の女性リインが赤い鎧の集団にそう提案すると男達は笑顔で同意して皆武器をしまい、来た道をもどって行く。
「それにしても姐さんの槍捌きはいつ見ても凄いですね!もしかしてリアルでも武術とかやってるんですか?」
安全な場所で私の作った弁当を食べ終わり座って談笑しているとあるメンバーがこう聞いてきた。
「馬〜鹿、リアルの事は詮索御法度だろ?だいたい俺、姐さんなら何が出来ても不思議に思えないんだよなぁ。」
「あぁ、俺も分かる”姐さんだから”、で納得出来る気がする。」
それを聞いていたクラインは、
「あったりまえだろう!リインちゃんだぞ銀の聖女でアインクラッド唯一の錬金術師だぞ!」
とまだ食べ途中のご飯粒を飛ばしながら興奮気味に喋る。
「クライン、行儀が悪いよ。」
其れを見かねた私がクラインを注意すると、クラインは申し訳無さそうに「すいません。」と謝って食べる事を再開した。
「それにしても良かったんですかい?今日はアトリエの営業日だった筈ですが…俺らとしちゃ助かるし嬉しいんですが、アトリエ休みでアイテムが買えないと後で恨み言言われそうなんすよね。」
アトリエを休んで良かったのか?という質問をしてきたので、
「最近はステラだけじゃなくてメイルとマイルも居るし、あの3人なら安心して任せられる………メイルがマイルとステラをからかい過ぎないか心配な位かな?。」
安心して任せられる、と言った直後の脳内に小悪魔的な笑みをしたメイルが浮かび上がり少し訂正すると、その場に居た全員が同時に納得した。
そんな会話を続けて居ると私達がマッピングしていた方とは別側の区画から見慣れた黒尽くめと美少女が現れた。
「だからね?キリト君は突っ込み過ぎるんだよ…ってリイン先生?」
美少女ことアスナは、こちらに気がつくとキョトンとした顔で驚いている。
「やあアスナ、アスナとキリト君も休憩かい?良かったら一緒に休んで行かないか?」
キリト君とアスナは同意すると私達の横に座りアスナの作った(昨日一緒に作った)お弁当を食べ始めた。
「そう言えばアスナ達はそっち側の迷宮区を探索して来たんだろう?良かったら私達のマッピングデータと合わせないか?今までのデータと合わせると私達の方が外れだったからボス部屋はそっちの方だったと思うのだけど。」
食後のデザートを出してお茶にしている時、ふと気になった事を聞くと、2人は微妙な顔をして居たので、どうしたのか聞くとボスを見てきたと言う。
そんな無茶をした2人にお説教をしているとガチャガチャと騒々しい音を立てながら集団が安全なエリアに入ってきた。
「…ん?貴様ら何処かで?……攻略組の面々か、このような所でティータイムとはいいご身分だな。」
先頭で入ってきた鎧姿の男が威圧的に言い放つとクラインが立ち上がり、
「テメェ喧嘩売ってんのか、やるならやってやるぞ?」
あ?と、言いながら挑発すると鎧姿男がコーバッツと名乗りマッピングデータを寄こせと言ってくる。
特に断る理由もないので渡してやると風林火山のメンバーから不満が出るがなんとかとりなす。
「あなた達は先に進む様だが、疲れていないのか?後ろの方は肩で息をしている様だが?」
明らかに疲れが見えている兵士達を見て声を掛けるもコーバッツは「軟弱な!」と言うばかりで取り合わない。
「……仕方ない、えぇと…あった、ヒール!」
あまりにも可哀想に見えたので作っておいた広範囲回復結晶を使うと武器で杖をついていた男達がスクッと立ち上がる。
「……銀の聖女か……回復とマッピングデータ感謝する、しかし我等はこの先に進まねば行かん!行くぞ貴様ら!」
兵士達の何人かがこちらに礼を言って、来た時と同じ様にガチャガチャと音を立てて行進していく。
「…大丈夫かしらあの人達…まさかあの状態でボス部屋に挑んだりしないわよね?」
アスナが心配そうに呟くと、
「駄目だったら転移結晶で転移するだろ?そんなに心配なら行くだけ行ってみるか?」
と、キリト君が言いそれに賛同した私達は全員でボス部屋まで向かうことにした。
扉が開いてる?まさかと思いながらボス部屋を覗くと其処には、
「助けてくれ!」
「ぎゃァ〜〜!!」
「ガハッ…」
ーパリーンー
と死亡時のエフェクトが大量に発生する地獄があった。
アスナやキリト君が転移しろ!と叫ぶが結晶無効化空間の様で転移が出来ないと中の兵士が言う。
ヤギ頭の悪魔は逃げ惑う兵士をあざ笑うかの様にひとりひとり確実に殺して回っている。
中に入って助けようとする私の視界には、既に駆け出したアスナが見える。
走りながら回復結晶を準備し中心で使用すると、ヘイトがこちらに向いたのかヤギ頭=グリームアイズは一直線に私に向かって駆け出した。
すぐさま槍をストレージから取り出すとグリームアイズの攻撃を受け流す、予想より威力が高かったのか受け流しきれずスタンが発生してしまう。
「まずい!」
私に迫るグリームアイズの攻撃をスローモーションの様な感覚で見ていると赤い鎧が割り込んで来た。
「させるかよ!!」
クラインは二本の刀でグリームアイズの攻撃を受け止めると風林火山のメンバーに指示を出し連携して攻撃と防御を開始した。
「認めん!!認めんぞぉ!!!こんな所でこの!!コーバッツ中佐が死ぬなどあり得るはずがない!!!」
その最中、大声でコーバッツが叫ぶとヘイトがそちらに向かったのかグリームアイズが駆け出してコーバッツに向かう。
コーバッツは真正面から立ち向かうがグリームアイズのソードスキルで吹き飛ばされる。
キリト君とアスナの近くに落ちると一言二言言った後に死亡してしまった。
「頼む!時間を稼いでくれ!少しでいい!」
キリト君が何かを決意した様に顔を上げて私達にお願いをしてきた。
皆で了承すると、スイッチをしながら少しづつグリームアイズのHPを削っていく。
みんな離れてくれ!、キリト君の準備が整ったのか両手に剣を構えながら走ってくる。………両手?
「うぉぉー!!!」
と、叫びながら両手の剣を使いソードスキルでグリームアイズを斬りまくる。
グリームアイズも負けず劣らずに攻撃をするがキリト君の連撃は止まらない、キリト君のHPがレッドゾーンに入った頃にようやくグリームアイズはポリゴンとなって消えていった。
その後はアスナはキリトを怒り、クライン達はキリトを質問責めにし、私はアルゴにいくらで売れるだろう?と打算的な考えをしていた。
長々と時間が空いた割に短いですが投稿しました。
また時間が出来次第続きを書きます。