リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー   作:kaenn

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今回はアトリエの雰囲気少しだけありますがファンの方には物足りないかもしれません。

錬金術っぽく後書きにレシピ記載してみました。


第14話 大魔女の影

 

1週間のアトリエの在庫処分SALEが終わり客足が落ち着いてきてステラも用事が有り不在な昼過ぎ、

 

ーカラーン…カラカランー

 

「リイン!いや……リインさん………いやいやリイン様!」

 

そろそろ閉めようかと考えてカウンターから立ち上がろうとした瞬間アトリエの扉を開けてリズベットが凄い勢いで入って来る。

 

「何だリズ?気味の悪い……何か頼み事かな?」

 

何時も”良い意味で”親しみ易い態度をしているリズから様付けで呼ばれる時は、何時も何か頼み事がある時なのでジト目で質問する。

 

「え?……エヘヘ〜、実はね?」

 

何でわかった?と言わんばかりに大袈裟に驚いたリズは徐に背中に隠した物を私に差し出して来る。

 

「……ん?コレは…本?……この本は一体なんなんだ、リズ?」

 

リズから差し出された物が本で、お願いの内容は本に関係しているのだろうと考えて詳しく話すように促す。

 

「実はね?………リインは知ってるから言っちゃうんだけど、あたしキリトに失恋したじゃない?アスナとキリトのラブラブぶりを見てたら「あぁ…駄目だ…勝てない」って思ったもん。……だけどね?一昨日さ?来たのよ!」

 

1人で興奮しているリズに何が来たの?と聞くとリズは嬉しそうに、

 

「アスナとかリインみたいな運命のヒト!……に決まってんでしょうが!」

 

私の横に来て肩をバシバシ叩きながらそんな事を宣う。

 

「………ハァ~……で?それとその本と何の関係があるんだ?」

 

埒があかないので溜息を吐きながらもう一度詳しく確認すると、リズはやっと話す気になったのか咳払いをしてから態勢を整える。

 

「オホン………実はですね?……昨日の夕方だったんだけど…」

 

 

ー昨日夕方 リズベット武具店ー

 

日も沈みかけた夕暮れ時、リズベットが炉の火を落とそうとした時、ふと来客を告げるベルが鳴った。

 

「何よ……こんな遅くに…しょうがない、応対するかぁ〜〜〜。」

 

もはややる気など無くなっていたところに、客の相手などめんどくさいと思いながら仕方なく肩を落とし接客をしに店内へと向かう。

 

「いらっしゃいませ〜⤵︎リズベット武具店にようこ…そ?」

 

ヤル気のない態度を隠しもせず来客者を迎えると、最近失恋したばかりのリズベットの心を揺さぶるような、どストライクな男が立っていた。

 

「こんな夜遅くにすいません、私は中層準攻略組の1人でナガトと言います。」

 

と、謝る男に、

 

「いえいえいえ!良いんですよ?私は武器を作るのが生き甲斐みたいなものですから!」

 

大袈裟に謙遜してみせる。

 

「………で、今日はどのような武器をお探しでしょうか?」

 

リズベットは動揺を悟られないように慎重に質問する。

 

「実はこんな物を手に入れましてね?クエストNPCが言うには生産系アイテムだそうなので攻略の手助けになるかと思ってお持ちしたのですが……」

 

ナガトと名乗ったプレイヤーが一冊の本を取り出して渡して来た。

 

 

ー現在 リインのアトリエー

 

「………それがこの本だと?」

 

リズベットから渡された本を見ると題名は”細工師の一生”と記されている。

 

「鍛治職人仲間にも色んな生産系ギルドに見せても駄目だったの……でも!リインなら何かわかると思って!」

 

期待の眼差しで私を見るリズを他所に私はこの本を見た瞬間に思った……”この本を見た事がある”……前世の記憶がほぼ完全に残っているから言える事だがこの本はアーランドに居た時にロロナの弟子のトトリが読んでいた本にソックリだったからだ。

 

「じゃあ、失礼して読ませてもらうよ?………………………!?」

 

ページを開くと明らかにこちらの世界の言葉では無い文字が羅列されているのだが私には読める………何故ならこの本の言語は全て古代ベルカのアーランドで使われていた公用語で書かれていたからだ。

 

速読で1分もせずに読み終わると、本が光を放ち消えてしまった。

 

「あーーーっ!!ナガトの本が!!」

 

眼を見開いて驚いているリズを尻目に私はウィンドウの調合リストを開く。

 

「………やはりか……魔女殿……もしや貴女もこの世界に居るのだろうか?」

 

予想通り、未だアイテム名も素材も不明だった項目の一部が解放されて調合リストに新しいアイテムが表示される。

リインは錬金術に始まり、古代ベルカの文字で書かれた本を目の当たりにした時に1人の年齢不詳の大魔女を思い浮かべたが、まさかな?と自分の考えを頭を振り吹き飛ばした。

吹き飛ばして思考を止めたリインが現実に戻ると、リズベットが床に手をついて「はは、ははは…」と乾いた笑いを繰り返している姿があった。

 

「なあリズ?おかげで新しいインゴットが作れそうなんだが…どぅっ「インゴット!!新しいインゴットって言った!!作るわよ!!早く!速く!疾くゥーーーー!!」……」

 

ナガトの為にぃ〜〜!!と気合いを入れて拳を握りしめたリズは私をアトリエの錬金術部屋に押し込むと眼を血走らせて鼻息も荒くして、

 

「で?どんなインゴット?bonusは?どんな武器作れるの?」

 

まくし立てるように早口なリズに若干引きながら、

 

「いや、まだ分からないが作ってみるよ、だから少し落ち着いてくれ。」

 

と言うと、リズは”フン!”と言いながら椅子に座った。

 

穴が空くんじゃ無いか?と思える程の直視を受けながら私は調合リストに載っている材料を用意する。

 

「鉱石は……この間倒したゴーレムの核がいいな、……陽晶石は……あった、燃料か……確かロロナは………うーん……シエルの木でいいかな?」

 

用意した材料を錬金釜に順番通りに入れて混ぜていく………ぐるぐるぐ、ぐるぐる………。

 

20分程経っただろうか、そろそろか?と手を止めると成功を祝福する様な青いエフェクトが出てくる。

 

「わぁ〜〜すごい…綺麗……。」

 

寝ていたリズはエフェクトの光で起きたのだろう、錬金釜から出てきた銀色のインゴットを見て感嘆の息を漏らす。

 

「コレは”シルヴァタイト”、銀系上位金属のインゴットで、今回のbonusは自然回復5%上昇と防御力28%上昇だ、かなり有効なインゴットだと思うよ?」

 

と言いながら出来たてのシルヴァタイトをリズに手渡す。

 

「え?貰っていいの?せっかく作ったのに?」

 

せっかく作ったのにくれるの?と聞くリズに私は、笑顔で、どうぞ?と渡すとリズは満面の笑みで受け取り、ナガトに連絡しなきゃ!!と言いながら走って行った。

 

 

 

それにしても………錬金術…アーランド語…参考書の本……偶然なのか?




今回の錬成アイテム

アイテム名
シルヴァタイト

品質
89

種類
インゴット

効果
*自然回復5%上昇
*防御力28%上昇

素材アイテム
シルバーゴーレムの核(鉱石類)

陽晶石

シエルの木(燃料)
*の効果は素材アイテムが要因

となっております。

ではまた次回。


ー追記ー
システム外スキルについて御指摘があった為表記を削除しました。

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