リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー   作:kaenn

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前回若干ブラックが暴れすぎたので軽〜い感じので

アトリエsideですかね?

では本編をどうぞ。


第13話 リインの日常(アトリエ編)*

最近錬金術をし過ぎてアイテムが溜まってしまった。

それと言うのもシリカが使役するフェザーリドラのピナの羽から転移結晶が作れる事か解ってから他にも結晶系のアイテムが作れないか?と実験を重ねていくうちに回復アイテムや使い捨ての簡易エンチャントアイテムが大量に出来てしまったのだ……

 

「どうしよう?……さすがにこんなに売れないだろうし……捨てるのも勿体無いよな………。」

 

私が考えていると店内の陳列作業をしてくれていたステラが近づき、

 

「店長?どうなさったのですか?珍しく難しい顔をなさって………まさか!最近クラインさんに会ってないので禁断症状が?!、大変ですわ!急いで連絡を!!」

 

私を心配して下から顔を覗き込むように話し掛けると何を勘違いしたのか大慌てでクラインにメッセージを送ろうとする。

 

「いや!待てステラ!違うんだ!頼むからちょっと待って…………」

 

ステラよりもっと慌てた私は必死にステラを止める………何故ならステラは知らないが、先月のラフコフの事件の後、私を心配したクラインは殆ど毎日夜に訪ねて来てはベッドを共にしている。

私が悩んでいると知ればどんな所からでも即座に駆け付けてくれるだろうが、今回は全く別の問題なのだから。

 

「あぁ…そういう事でしたの?……うーん……そうですわ!店長?SALEというものをやってみませんか?」

 

事情を話すと一緒に考えてくれていたステラが、閃いた!と、手を叩き「安売りをしませんか?」と言ってきた。

 

「フム…SALEか…だが周知する方法がね………」

 

私もいい考えだと思ったが肝心の安売りをやっているという情報をどうやってプレイヤーに知らせるか?という事を考える。

ステラも同じ事を考えているのか顎に手を当てて真剣な表情で考えていると、

 

ーカラーン…カラカランー

 

「ヤー、リーちゃん、スーちゃん開店まえに悪いナ、この前二依頼してたアイテムを受け取りにきた……ゼ?」

 

店の扉が開いてアルゴが入ってくると、ステラと私は同時に固まりアルゴをじーーっと見る。

視線を感じたアルゴが言葉に詰まっていると、

 

「………これだ(ですわ)!!!」

 

私とステラはアルゴを指差しながら同時に言った。

 

「成る程ナ…そうゆう事ならオレっちが一肌脱ごうじゃないカ!……よーシ!先ずエギルの店に行くかラそこでその情報を拡散しよウ、あの店は中層プレイヤーが多いから安くいいアイテムが手に入るならこぞって来るだろウ。」

 

アルゴは話を聞くとかなり乗り気のようで色々な方法で情報を広めてくれる事を約束してくれた。

 

全て話終わり、来週のアトリエ営業日は全て売り切り終いで大売り出しを行う事に決まった。

さすがアルゴ頼りになるな、と思いながら店を出ようとするアルゴを見送るため私は一緒に店を出ると振り返ったアルゴは、

 

「じゃあ情報の拡散はオレっちに任せナ!………それで……報酬は売り上げの10%ッテところかナ?」

 

と、笑顔で言った。

……さすがアルゴ……ブレないな、と思い直しながらその条件を承諾するとアルゴは嬉しそうに「よろしくナ〜〜♪」と言いながら去って行った。

 

次のアトリエ営業日

 

「ステラ?昨日アルゴが持って来たのぼり出した?」

 

「えぇ…しかしあの様な物一体どこで手に入れたのでしょうか?」

 

「そうか、ステラは鑑定を取ってなかったな?コレは”あの”アシュレイさんの作品みたいだよ。」

 

昨日の夜に急に現れたアルゴが、

 

「SALEと言えばコレが無いとナ!」

 

と、言って置いていった”大売り出し”と描かれたのぼり。

あんな物このSAOに囚われてから見たことが無かったが………まさかプレイヤーメイドして来るとは、しかもアシュレイ製……

取り敢えずステラに頼んで店の軒先に出してもらったが効果はあるのだろうか?

 

 

ーざわざわ…ザワザワー

 

【挿絵表示】

 

「?何だか外が騒がしいような気が……」

 

「そうですわね?まだ開店まで1時間程あるのですが……」

 

と、話しながら外を伺うとそこには………

 

「転移結晶とかも売ってるってホントかな?」

 

「……バフ効果あるアイテムあるってよ!」

 

「マジで?ヤベェ買っとかねぇと!」

 

「お弁当とかも売ってるって〜〜♪」

 

「友達に聞いたんだけど、甘いものも……ジュルリ………」

 

「ハルカ!涎!涎が……」etc

 

覗き穴から見えた人集りに私とステラは顔を見合わせて同じ事を思ったのだろう…表情が物語っていた。

”ヤバイ”と………。

 

 

「おねーさん!コレの在庫無いの?」

 

「ハイ!ただいま参ります!」

 

「すいませ〜ん!コレがもう一つ欲しいんですが〜〜。」

 

「ハイ!ただいま参ります!」

 

「このアクセサリーって色違いありますかー?」

 

「ハイ!ただいま参り…ます。」

 

「この短剣のバフ効果別の物ってあるんですか?」

 

「ハ…イ…ただ…いま…参り…ま……す。」

 

ステラは店の中を縦横無尽に駆け回っており段々と元気が無くなっていく…私も手伝いたいのだが…

 

「会計が2500コルです………ありがとうございました…………合計23000コルになります……ありがとうございます…………………………合計800000コルです……って?エギルさん?」

 

これだけ混むということは会計も混んでいるということで、殆ど最低限のやりとりをしている中やたらと買い込む人だな?と考えながら久しぶりに顔を上げると其処には攻略組の1人で雑貨屋を営むエギルさんが私が過去に作って売った追加アイテムストレージ機能の付いたバッグを持って立っていた。

 

「おう!繁盛してるじゃないか………って大丈夫か?目が死んでるぞ?」

 

心配してくれるエギルさんに、

 

「取り敢えず今日の販売分はもう少しだからなんとかするよ……でも明日からの販売方法は少し考えないといけないね、エギルさんもし良かったら後で相談に乗ってもらえないだろうか?」

 

と言うと、「イイぜ!じゃあ店の前で待ってるから声掛けてくれ。」と言って会計を済ませて出て行く。

そして目の前の光景は変わらない………

 

「すいません、合計14000コルです……ありがとうございます……………合計3690コルですね…………ありがとうございます………合計………」

 

その後も商品が棚から無くなるまでま私とステラは動き続けた。

 

やっと最後のお客さんが出て行くのと入れ違いにエギルさんが入って来て、

 

「………大丈夫か?…って駄目みたいだな。」

 

エギルが見たのは疲れ果てて床に座り込むステラとカウンターに俯せで顔だけ自分に向けるリインの姿だった。

 

 

「いやー…凄かったですね店長…私フロアボス倒しに行った方が楽だと思います…………」

 

アトリエスペースの反対側にあるカフェスペースでお茶を飲みながらステラが呟く。

 

「ははっ!そりゃあ攻略組の”銀の聖女”と”蒼の剣聖”がやってる店のSALEだしな、攻略組や中層プレイヤーは勿論この際だからと下層のプレイヤーも来ていたみたいだしな?多分次はもっと混むぞ?」

 

恐ろしい事を言うエギルにステラは、

 

「嫌ですわ〜〜……もうあんな人混みは御容赦願いますわ〜〜……」

 

と、言いながらスカートがヒラヒラするのも気にせず床を転がり駄々をこねる。

 

「ステラ…スカートの中エギルさんに見えてるぞ?エギルさんも気がついたら教えて上げてもらえないかかな……それともクラインみたいにデレデレとハナノシタヲノバシテイタノカナ?カナ?カナ?」

 

ステラとエギルさんに注意していると、先日ステラがリアルの知り合いとクエストに出た際クラインとデートしていたのだがその時クラインが噴水広場の前に座っている女性プレイヤーのスカートの中を見てデレデレとしていたので制裁を加えた事を思い出した。

 

「いや、違う!俺は見てないし後で注意しようとしたんだ!だから……」

 

必死に弁明するエギルさんが若干怪しいがまぁ許そう。

 

「マァ……イイよ、取り敢えず食べよう…エギルさんも食べるだろう?」

 

と、テーブルにスパゲティを置く。

 

「おっ?コレはまさか?」

 

エギルさんが懐かしい…と言いながら匂いを嗅ぐ

ステラはステラで、

 

「バジルの香り?でも色が赤いですわ?」

 

不思議そうに見ながらフォークを掴む

 

「ハイブラッドの葉とアークの木の樹液から出来たジェノベーゼパスタ擬きだ耐久値が低いから早く食べてしまおう。」

 

お腹が空いていた私達はただひたすら無言でパスタを啜る。

エギルさんも空気を読んで静かに食べていると、

 

「そういや今日はてんてこ舞いだったみたいだが何か次の対策は練ってるのか?」

 

と聞いて来たので、私は素直に、

 

「いや、今日はそんな事考えてる暇がなくてね?明後日の営業日どうしようかを相談しようかと思って呼び止めたんだ。」

 

と話す。

 

あまりに静かなので横を見るとステラが軽く寝息を立てて寝ている。

私は起こさないようにそっと席を立ち奥から毛布を持ってくると風邪をひかないようにステラに掛ける。

エギルさんを奥に招いてそちらで相談することにした。

 

「それで早速なんだが…入場制限とかはどうだ?どうせ店の外は広いし、このフィールドは比較的過ごしやすい気候だから長時間待ったとしてもそこまで酷い状態にはならないだろう………それよりあんな数売って在庫は大丈夫か?売り出し期間はあと3日はあるんだろ?」

 

提案と在庫の心配をしてくれるエギルさんに、

 

「在庫は大丈夫だよ……なんせ今日あれだけ売ってやっと1割くらい減ったからあと7倍は売れるよ………」

 

その言葉を聞いたエギルは唖然として固まる。

そしてその後、

 

「………一体どれぐらい作ったんだ?」

 

と聞いてきた。

 

「見ます?」と聞いてエギルさんは「いや、やめておこう……なんか怖い。」と言って立ち去った。

 

ちなみにステラは翌日の朝までぐっすり寝てしまい、自分のお腹が空いた音で目が醒めると顔を真っ赤にして声にならない声を上げていた。




飯テロ第2弾?ジェノベーゼパスタ

市販のソースでも良いけど自分で作っても美味しいですよ

ではまた次回

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