リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー   作:kaenn

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ジョニー・ブラック?……あぁあの悪い奴……

書いてて凶悪になった気がしますがこんな感じでしょうかね?

では本編をどうぞ。




第12話 死の恐怖…そして……

これは私が店を開いた直後の出来事だ。

 

第??階層 還らずの森

 

濃い霧が立罩める森に私は居た、視界も悪ければ足場も悪いこんな所頼まれても2度と来ないぞと、思いながら目的のアイテムを探す。

 

「ふむ……確かこの辺りだと言っていたよね?どうやら霧のせいで感知系スキルが発動しないようなんだ、貴方の記憶だけが頼りだからね。」

 

一緒に来ているプレイヤーに頼まれて高位の解毒アイテムを作るためのクエストに参加したが何時もと違うフィールドに加えて目の前以外殆ど見えない霧が視覚情報にデバフでも掛けているのかスキルも殆ど使えずにいた。

だからなのだろう……このプレイヤーがあまりにも焦っていたのを友人が”毒”で死にそうになっているからだろうと思って疑わなかったのを……

 

「そろそろです……武器を出したままだとモンスターに襲われるので、1度しまって頂けますか?」

 

言われるがままに愛槍をアイテムストレージに格納して進むと霧が晴れてきた。

 

「やっと出口か?……早くしよう、こうしている間にも君の友人は苦しんでいるのだろう?」

 

と、声を掛けると横に居たプレイヤーが、

 

「………………ごめんなさい…こうするしかなかったんです……、本当にすいません!!」

 

と、急に謝り走って行った。

 

ここまで来て漸く何かがおかしい事に気づき引き返そうかとした所で霧が完全に晴れた。

 

「おお!良くやったな?本当に”銀の聖女”連れて来るとはな!」

 

「さすがヘッドの計画、抜かりがない!最っ高にクールだぜ!!」

 

其処には全員が黒いローブに身を包み同じギルドマークが表示されているプレイヤーの集団が居た。

 

集団から無数のナイフを投げつけられたので咄嗟に槍をオブジェクト化して撃退した。

 

「君達が犯罪者ギルドのラフィンコフィンか……私に何の用だ?」

 

周囲の警戒を怠らないようにしながら聞いていると、”感知している筈の”背後からプレイヤーが飛び出して来て私に投げナイフを刺した。

 

「くっ、…何故後ろから……?!麻痺か…?」

 

何故感知スキルが働かなかったのか疑問に思っているとラフィンコフィンの1人が、

 

「ハァーーーッ!ハァー!…よお!銀の聖女様!お前は今までどこに居た?……何処から此処に来たんだ?ん?」

 

たしかジョニー・ブラックと呼ばれていたプレイヤーが私の髪を掴んで顔を覗き込むようにして目線を合わせる。

私の落ち度だった…そうだ…確かに私が通って来た霧の中は感知無効エリアのようだったのだから……。

 

「おーい!もう出て来てもいいぞーー!」

 

ブラックが大声で呼ぶと霧の中から私に依頼を出して来たプレイヤーが恐る恐る出て来る。

 

「貴女には本当にすまない事をしたと思っている……おい!約束通り彼女を此処まで連れて来たんだ!俺の友達を返してくれ!」

 

私に謝ると彼はブラックに叫ぶ、話を聞くところどうやら人質を取られていたようだ。

 

「あぁ……そうだったな?約束通り”会わせて”やるよ……おい!連れて来い!」

 

ブラックが近くのギルメンに声をかけると別方向の霧の奥から首輪を付けられた女性が引きずられて来る。

 

「止めろ!彼女を放してくれ!約束は果たしただろう!!」

 

叫ぶ男を見たブラックはニヤリと笑うと、

 

「あぁ、確かに銀の聖女を誘き出したらお前の大事な大事な彼女に”会わせてやる”と言ったんだ、開放するとは一言も言ってねぇぜ!」

 

ブラックが言い切った直後周囲から嘲るような笑い声がこだまする。

 

あんまりだ、私を騙した事で罪悪感を感じていたのだろう男性プレイヤーは膝から崩れ落ちた。

 

そんな時、

 

「おっ?俺様いい事思いついた!お前とこの女でデュエルして勝った方を生かしてやる……拒否ったら2人とも殺してやるよ!」

 

蹲る女と後悔で涙する男が絶望的な顔で見つめ合う、その後ろで「さすがブラックさん!!最高にクールだ!!」とラフィンコフィンのメンバーが囃し立てる。

 

「ほら!早くやれよ!それとも2人ともじわじわと拷問しながら殺してやろうか?」

 

ブラックは掴んでいた私の髪を乱暴に離すと2人の髪を掴んで立たせて向き合わせた。

 

「全損決着モード…っとよーし!始めろ!手加減なんかしやがったらその場で両方殺してやるからな!」

 

ブラックは2人の手を勝手に操作してデュエルモードに移行させて離れる。

 

「おっと、静か過ぎて忘れてたわ。」

 

と言いながら私に追加の麻痺ナイフを突き刺し、また顔を強制的に正面に向けられる。

私は”くっ”と歯噛みしながら目の前の文字通り死闘を観戦させられる。

 

「本気で来るんだ!」「いくよ!!」

と多分恋人同士なのだろう男女が激しい剣戟を繰り返す。

 

何十合打ち合ったか、男が急に力を抜いてしまい女の子の剣が男の心臓部分を貫いてしまった。

 

男のHPゲージがイエローからレッドへ……そして

 

「……君は……生き……。」

 

ーパリーーーンー

 

ゲージが無くなると青っぽいポリゴン片になって消えてしまった。

 

何度か見た光景ではあるが未だに慣れない、コレで解放されるのか?と考えた私の目には驚くべき光景を見せられた。

 

「ハァーハァッハァーーー!いや〜面白かったぜ!まぁお前も寂しいだろ?オンナジトコロニオクッテヤルヨ。」

 

と言いながら生き残った女性の前まで私を引きずっていくと、私の目の前で女性の脳天を串刺しにして心底から楽しそうに笑っているブラックの姿が映った。

男性プレイヤーとのデュエルでイエローゾーンまで減っていた女性のHPはみるみる減っていく。

もはや抵抗する気力さえないのだろう…身動ぎひとつせず、声すら聞こえない。

 

ーパリーーーンー

 

数秒後には彼女もポリゴン片になって消えて行った。

 

「あ〜〜〜面白かった♪………さぁーてと♪次はメインイベントォォーーーーーウ!攻略組の”銀の聖女”様の公開処刑の始まりだーーー!!」

 

ブラックが大声を張り上げると私の周囲が異様な熱気に包まれる。

………マテ?コイツハイマナンテイッタ?……

 

「そうそう♪俺様お前のその絶望に染まった顔を見たかったんだよね〜〜♪命乞いでもしてみれば?満足できれば生かしてやってもいいぜ……ただし俺様達の欲望処理道具としてだがな?……ハァッハァッハァーーー!!」

 

麻痺で動かない私の手を勝手に操作して装備を一つずつ脱がしていく。

その行為の最中もナイフのようなものを少しずつ刺してHPゲージを減らしていく。

HPゲージがレッドゾーンに入ると死が現実味を帯びて来て身体が震えだす。

 

「おっ?ついに命乞いか?銀の聖女様が堕ちるか?ん?」

 

下卑た笑顔という表現が最適な顔でわたしを見下すブラックを見ると悔しさで涙が滲む

 

「オイオイ?早くしないと死んじまうぞ♪」

 

ブラックが私の身体をナイフの先でザクザクと刺してゲージがどんどん無くなっていき視界が紅く染まっていく……せっかく神様から貰った新しい人生はこんな奴に殺されて終わるのか、と考えていると前世も含めた記憶が蘇っていく…これが走馬灯か?と他人事のように眺めていると懐かしい最後の主人や将達ヴォルケンリッター……現世の父と母、妹達……クライン!!

 

「うおおおおおおおおぉぉぉーーー!!!!」

 

私のHPゲージが無くなる寸前で赤い鎧を着て刀を持った人物が濃い霧の中から飛び出してきて私に馬乗りになっていたブラックを吹き飛ばす。

 

その直後周囲からざわめきが聞こえ始めて紅く染まった私の視界には焦った顔の女の子が見える。

 

「ヒール!!」

 

女の子が叫ぶと私のHPゲージが全快まで回復して視界に色が戻り、ようやく目の前の女の子がアスナだと気がついた。

 

「リイン先生!!クラインさん!大丈夫!リイン先生無事だよ!」

 

アスナが目から涙をポロポロと零しながらクラインに呼び掛けるがクラインはブラックをはじめとしたラフィンコフィンのメンバーに追撃を仕掛けている。

 

その横にステラとキリト君の姿も見える。

そこまできてやっと私は助かったんだと気がついた。

 

殆ど下着姿の私にアスナがマントを掛けてくれていた、私は震える手でウィンドウを操作してなんとか最低限の服を装備してまたへたり込む。

 

いつ死んでもいいと思っていた…だから走馬灯を見た直後は残念だ…としか思わなかったが…クラインの顔が浮かんできた瞬間、死にたくないと強く願った。

 

ラフィンコフィンを殆ど追い払ったのか攻略組の仲間達がぞろぞろと霧から出てきて私の無事を喜ぶ。

 

「第1層のボスから命を救ってくれた恩返しがようやくできた気がするよ…本当に無事で良かった。」

 

とディアベルを筆頭に何人ものプレイヤーが私に声を掛けては転移していく。

 

残ったのは、

 

「リインさん!無事なのよね?生きてるよね?」

 

と少し混乱気味なアスナとそれを宥めるキリト

 

そして、

 

「じゃあリーダー!俺たちは先にホームに帰ってるからな!リインさん、クラインをよろしくな?」

 

そう言うと風林火山のメンバーはクラインを残してギルドホームに転移してしまった。

 

そして残った4人は顔を見合わせるとアスナがキリトの手を引いて、

 

「じゃあ私達も失礼します。……行くよ!キリト君!」

 

と言って頭を下げると転移結晶を取り出し転移してしまい、遂には私とクラインの2人だけになった。

 

「「……………」」

 

無言の空間が続く…

沈黙を破ったのはクラインの方だった。

 

「…………じゃあオレ達も帰ろうか?送ってくぜリインちゃん。」

 

腰が抜けてしまっているのか何度か立とうとするが全く効果がない……クラインが差し出してきた手をゆっくりと受け取ると、よっ!と引き起こされて抱き締められる。

クラインの背中側にハラスメントコードが表示されるが私はそっとウィンドウを操作して消すとクラインの身体を抱き締め返す。

 

「…すまないがどうやら腰が抜けてしまったようでまだ1人で歩けないんだけっ…ど……」

 

私の言葉を聞いていたクラインはしゃがみこむと私を背中に乗せて立ち上がった。

 

「ちょっと……クライン?」

 

私が焦って声をかけると、

 

「黙って背負われてろ……じゃ、行くぞ?」

 

と言いながら転移結晶を取りだす、私もストレージから取り出して同時に、

 

「「転移!ミーシェ!」」

 

そして霧深い森は再び静寂に包まれた。

 

 

 

「着いたぜ?………おーーいリインちゃん?寝ちまったのか?まぁいいか………」

 

すでにステラとアスナ、アルゴとクラインにはホームの解錠許可を登録してある為、返事をしない私を背中に背負ったままクラインはアトリエに入る。

 

ショップスペースからホームスペースに移動すると私のプライベートルームに入れないと思ったのかクラインが来た時によく使う来客用の部屋に入ってベッドに私をゆっくりと降ろす。

月明かりに照らされた部屋の中クラインは、

 

「じゃあ……また来るぜ……って、ん?!……」

 

と、声を掛けて静かに私から離れようとする。そんなクラインの袖を掴んで引き寄せる、そして重なる私とクラインの影

 

………その後のことは良く覚えていない。

私の記憶がハッキリとしたのは翌朝、私の横で無邪気な顔で眠る野武士ヅラの男の顔と鏡に映った一糸纏わぬ私の姿を見た時だった。

 




題名通り?なのかな?

まぁ必死に表現考えた結果ですので許してくださいm(_ _)m

まぁちょっとシリアス?な雰囲気出せたかなと思いつつアトリエ営業の話を続けようかと考えている今日この頃です。

ではまた次回。

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