リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー   作:kaenn

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いやはや戦闘描写は難しいですねー。

書いてみて情景が浮かぶようなものが書きたいんですがね?

まぁ何時もよりは長いんで……

では本編をどうぞ。


第9話 ビーター

今日はボス部屋がようやく見つかったと言う事でディアベルから誘いがあり行くことにした。

クラインらギルド風林火山はまだレベリングが不十分との事で参加を見送る事になったそうだ…私は行かないとクライン達には言ったが、誘われた手前行かないと言う選択肢は無くクライン達には採取に出掛けるとだけ言って参加した。

 

会場には20から30人くらいの人が集まっていて壇上にディアベルの姿を確認するとこちらに気づいたディアベルが軽く手を上げて来たので此方も軽く手を振って応えた。

 

「………あの?ちょっと良いですか?失礼かもしれませんがその姿はアバター?ってやつですか?」

 

邪魔にならない様に人が疎らな場所に腰を下ろした私にフードを目深に被った人物が話しかけて来た。

声から10代から20代の女性と判断した私は、

 

「一応現実と同じ姿なんだがどこかおかしかったかい?」

 

と軽く答えると、フードの少女は焦った様に

 

「い…いいえ!あの?リアルの事を聞くのはマナー違反だって聞いたんですが貴女は現実で大学生で家庭教師とかしていませんか?」

 

「え?……どうしてその事を知っ……「では集まった様なので始めさせてもらう。」んだい?」

 

質問の答えを聞く前に「始まるのでこれで」、と言い席を離れてしまうフードの少女。

私も席を立とうとするがディアベルが話を始めてしまったので諦めて座る。

 

「………職業は気持ち的にナイトやってます」

 

ディアベルが話をしているが視線はフードの少女に釘付けだ。

 

パーティーを作る事になった様だが生憎とクライン達風林火山は居ないので溢れてしまう。

そんな時15〜18くらいの少年が私に話しかけて来る。

 

「すいません、もしかして貴女もまだパーティー組んでいないんじゃないんですか?良かったら俺とこいつとパーティー組んでくれませんか?」

 

フードの少女の手を引いた男の子が私にパーティー申請を出してくる。

考えるまでもないと思いパーティー申請を承諾してフードの少女と男の子のキャラネームを確認する。

男の子はキリト、そしてフードの少女は”アスナ”だった。

ハッ、となった私にキリト君が大丈夫ですか?と心配そうに聞いてくるが私は”アスナ”に気づかれない様大丈夫と返す。

 

そのまま明日まで解散になったので私は”アスナ”に声を掛けることにした、だが”アスナ”は此方に気づくとキリト君の手を引いて駆け出して行ってしまった。

 

「明日奈?明日奈なんだろう?如何してこんなところに居るんだ?……」

 

私の疑問は風に消えていった。

 

 

日をまたぐと第一層攻略の為に昨日集まった人数そのまま集まっていてディアベルが激励すると固まって動き出した。

 

私はキリト君とアスナと行動を共にしているが今日はアスナに会うなり

 

「……ボス攻略に集中したいから話は後で良いですか……」

 

と言われてしまったので私達のパーティーはほぼ無言だった。

 

ボス部屋に入るとここに来るまでに見たコボルドを凶悪に大きくした様なモノが中央に立っていた。

 

ソレは私達の姿を確認すると叫び声をあげて周りにコボルドセンチネルを召喚する。

 

ディアベルが掛け声をかけながら順調にボスの体力を減らしていく。

 

私達はというと、

 

「アスナ!スイッチ!」

 

キリト君が上手く指示を出してくれるおかげでノーダメージでほぼ全てのセンチネルを相手にしていた。

 

私は危ないと思った時だけ手を出す様にしているがキリト君は回避が上手いしアスナに当たるであろう攻撃はキリト君が弾いてしまうので余りやる事がない。

 

と、

 

キリト君の背後に召喚されたセンチネルを手に持ったアイアンスピアで一突きしてトドメを刺す。

 

「サンキュー!リインッ!」

 

キリト君は私がサポートした事に気がついて礼を言いながら自分の前のセンチネルにソードスキルを叩き込む、すると私達の周りからセンチネルが居なくなり3人ともボスの様子を見る。

 

HPゲージが残り一本になりボスが今まで使っていた剣と盾を投げ捨て腰に下げた剣を引き抜く………!?情報ではタルワールじゃなかったか?!ディアベルがどうしてか前に出るのが見える、今はまだ周りを囲んで迎撃するべきじゃないのか?!と考えているとキリトが叫ぶ。

 

「駄目だ!!全力で後ろに飛べ!!」

 

やはり何か不味いのか!と思い私は槍を構え直してある構えをする……久しぶりだが今やらなければディアベルが確実に死んでしまう………いくぞ!

 

「……いざ!ブリッツシュトゥース!!!!」

 

ソードスキルではないが古代ベルカ時代に身につけた技の一つで紫電を纏いながら槍を突き出し高速で駆け抜ける技を放ち、イルファングコボルド・ロードの追撃を受け流す。

するとディアベルがその場に倒れるとHPはレッドまで減っているがそれ以上減りはしていない。

私は槍を構えてコボルド・ロードに相対すると

 

「さぁ……次は私達が相手だ、行くよ!キリト!アスナ!」

 

追いついたキリトとアスナと3人でコボルド・ロードに向けて走り出した。

 

「ハァーーー!!!」

 

キリトが一閃すると

 

「いっけーー!!」

 

アスナの追撃がコボルド・ロードに直撃するがコボルド・ロードは態勢を無理矢理変えてキリトに攻撃しようとする、

 

「させるか!」

 

そこを私が槍で攻撃を弾くと、

 

「アスナ!!最後は一緒に!」

 

呼吸を合わせたキリトとアスナが見事な連撃を叩き込みトドメにキリトがソードスキルを決めるとイルファングコボルド・ロードは空中でポリゴン片になって消えた。

 

ボスが倒されて安心したのか参加者達が歓声をあげる。

 

キリト君も落ち着いたのか座り込み報酬を確認していると1人の男が騒ぎ出した。

 

「何故や!ナンでディアベルはんを見殺しにしようとした!!あの男ボスの使う技知っとったのに言わんかったし、大体あの銀髪の姉ちゃんのソードスキルは何や!!あんなん見た事ないわ!あいつらβテスターやろ!!」

 

キバオウといったか?髪がウニみたいな男が騒ぎ出す。

 

徐々にざわざわとし始めて私とキリト君に注目が集まり始めると、

 

「ハハハハハ、アッハハハハハ…」

 

キリト君が急に笑い出し注目がキリト君のみに集まった。

キリト君は自ら悪役を演じ、

 

「……それにそこの女が使ったスキルは上層階じゃ普通に習得出来るスキルだしボスの攻撃が分かったのも俺がβテスト時代に誰も到達できなかった階層まで上がって、そこで刀を使った敵と戦った事があったからだ…」

 

キリト君が言葉を続ける。

駄目だ…それでは君だけが悪者になってしまう

 

「…それではビーターだ…ベーターのチート野郎って事だろ?」

 

誰かがビーターという単語を創り出すとキリトは

 

「ビーター?良いな、そうだ俺はビーターだVRMMOもロクにわからないβテスター共と一緒にするんじゃない。」

 

と云い捨てると転移門のアクティベートの為先に進む。

 

その背後をアスナが追いかけるのが見えたので私もその後に続く。

 

「キリト君!」

 

追いついた私が声を掛けるとキリトはキョトンとしてアスナは振り返る。

 

「ごめんリイン、そこの女なんて言って…今度どこかで会えたらお詫びするよ。」

 

キリトは私に謝ると先に進もうとする。

 

「何で君だけが悪者に成らなければいけなかったんだ?私を庇って自分だけに敵意が向くように仕向けただろ?」

 

私が理由を聞くと、

 

「βテストに参加していた奴等が全員悪者になるより俺が1人で泥を被った方が良いと思ったんだ、そのほうが攻略も進むだろうしね。」

 

と言ってアクティベートして次の階層に消えて行った。

 

 

 

「……あの…リインさん?ごめんなさい今まで変な態度取って……」

 

泣きそうな顔でアスナが謝ってくる。

 

「やはり明日奈か!何でこのゲームをしているんだ?」

 

「…それは……兄さんが出来ないからって……1日だけ借りて気晴らしになると思って……でもこんな事になって…どうすればいいか分からなくなって…うぅ………」

 

段々と泣きそうな顔になるアスナを抱き寄せて、

 

「良いんだアスナ、泣きたい時は泣いていいんだよ…今まで大変だったろう?」

 

そう声を掛けるとアスナは私の胸に顔を埋めて泣き出した。

 

 

 

「……御免なさいリインさん、もう大丈夫です。」

 

まだ少し赤いが幾分かスッキリした顔をみせたアスナは私から離れてそう呟くように言う

 

「アスナはこれからどうするんだい?私はなるべく攻略に参加する予定だがもし良ければ私と一緒に攻略するか?」

 

私は一緒に行くか聞くとアスナは首を横に振り、

 

「ありがとうございます…でも御免なさい私は私なりのやり方を探してみます、さっきキリト君にも言われたんです…信頼出来る人から誘われたらギルドに入れって…リインさんと一緒に行ったら私は安心できるだろうと思う…けどそれじゃダメな気がするんです。」

 

アスナからそう断られた私は、

 

「そうか………だが何かあったらいつでも相談してくれ、一応私は君の家庭教師だからね?」

 

軽くウインクしながら言うとアスナはクスッと笑い返事を返す。

 

「ふふ…じゃあ困ったら相談しますねリイン先生?」

 

「あぁ、……そうだ!アスナ、私とフレンド登録をしておこうそうすればいつでもメッセージが送れるしそれで呼んでくれれば直ぐに会えるだろうしね。」

 

その後、街に戻り一緒に食事をしてアスナと別れた。

借りていた店に戻るとアルゴが待ち構えていた。

 

「いヤー、さすがリーちゃんだナ…攻略終わったんだロ?話を聞かせてもらうヨ。」

 

と、イイ笑顔でメモ帳を構えていた。

 

 

ーポーンー

 

アルゴに根掘り葉掘り聞かれてぐったりしていると来客を告げる音がなる。

 

誰だろう?さっき帰ったアルゴが忘れ物でもしたのかな?と思いドアから外を確認すると、

 

「リインちゃん!居ねぇのか!俺だクラインだ!居たら返事してくれぇ!!」

 

しまった、忘れてた…そう言えばクライン達には採取に行くとだけ行って出て行ったからもう丸2日経ってるんだった。

他のギルドメンバーもクラインの背後に見えるので取り敢えずドアを開ける。

 

「大丈夫か?怪我ないか?気分は?悪くねぇか?」

 

オロオロしながら私の身体に触り心配しているクラインに私は少し顔を赤く染めながら、

 

「ごめん……心配掛けて悪かった…でも…あの………だけどね……ちょっと……触りすぎかな……。」

 

と声をかける、私の前にはハラスメントコードを示すウィンドウが無数に展開されていて少しでも間違った場所に手を出せば目の前のクラインが牢獄にまっしぐらになってしまう様な状態だった。

 

「!?!?すっ、すまねぇ!」

 

青ざめた顔を一転真っ赤に染めて離れるクライン

そして離れたのを確認してゆっくりと無数のウィンドウを閉じていく私、その周りにどうすればいいのか分からず固まる風林火山のメンバー達

 

「わざとでないのは分かったけどね?あれだけ触られると私だって恥ずかしいんだが?」

 

私の前で見事な土下座を披露するクラインに声をかけると

 

「悪りぃ、ホンッット悪かった!!許してくれとは言えねぇ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!!」

 

全力で謝罪してくる。

その周りでは、

 

「リーダーなんて昨日から生命の碑見に行ったり情報収集したりしてたからな?俺らは姐さんなら心配無いって言ってんのに聞きやしねぇの。」

 

「ちげぇねぇ!「まさか!!」とか言って駆け出した時はどうしたんだ?とか思ったけどな?」

 

豪快に笑いながら私が作った料理を頬張っていた。

 

「そう言えば姐さん?これってもしかして?」

 

と言いながらアクトが料理を箸で持ち上げるとそこにはこんがり揚がったフライの様なものが見える。

 

「あぁそれは牛肉のカツだよ、上にかかっている物は未完成だがウスターソースだよ。」

 

と返事をすると

 

「やっぱりか!懐かしいと思ったんだ!まだ1ヶ月くらいしか経ってないのになぁ〜………ハァーーーハンバーガーやピザが恋しいぜ……何で茅場の野郎はNPCの店にもっと美味いもの用意しなかったんだ……。」

 

と残念そうに語った。

 

そしてクラインは我慢しきれなかったのかスクッと立ち上がりメンバー達の前に置かれた牛カツの皿を奪い取りムシャムシャと食べ始める。

 

「「「「あーーーー!!!」」」」

 

その行為に叫ぶメンバー達

それを見て私はまるで手の掛かる子供だな、と思いながら苦笑した。

 




飯テロ第3弾今回は牛カツ

主に関西方面で食べられていた牛カツ、今は関西方面でもトンカツが多いと聞いたがそこの所はどうなのだろうか?関西方面の人か詳しい人がいたら聞いてみたいな…

とか思いながら書きましたもし知ってる人居たら教えてくださいな!

ではまた次回。

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