リインのアトリエーアインクラッドの錬金術師ー 作:kaenn
気まぐれ更新になりますのでほぼ時系列無視になると思います。
第1話 リインのアトリエ *
第1話
リインのアトリエ
…がとうございましたー」。
この世界に閉じ込められてからどれくらい経ったのだろう?
前世?の経験を活かして店を開いたが思いの外繁盛している。
先程のお客さんを送り出してから少し暇になった、そういえば今日は30層辺りでイベントボスが出るクエストが有ったっけ?などと考えながら仕事を続けている。
ふとリズから委託されたインゴットの精製をしていなかったな、と思い店のドアを開けてドアノブに外出中の札を掛け戸締りを確認すると調合室に入っていった
釜に火を入れる、グツグツと煮え滾る釜の中に鉱石と結晶を入れる
もうこの作業も何回目だろう?
”錬金術”というユニークスキルを手に入れてから店にいる時は必ずやっている気がするなぁ…
インゴットはゆっくりとぐるぐる混ぜ合わせる、失敗しない様ゆっくりと………………ゆっくりとぐるぐる混ぜ合わせる。
そろそろか?と思い、手を止めると錬金術成功時に出る青いライトエフェクトが立ち昇る。
コレで完成したのだ、過去には失敗時の煙が立ち昇るエフェクトばかりだったが今では殆ど失敗する事はない、成長したものだ。
早速出来上がったインゴットを取り出す
リズの依頼で中層プレイヤーが持っていてもPKされにくい”安く見えるが性能の良いインゴット”の完成だ。
見た目は銅の様だが実は黒鉄クラスの硬度を持つ謎金属で”錬金術”でしか創れない
そしてリズに完成報告を送る
リズからの返事は早かった、何せ送った5秒後には返事が返ってきたのだから
今から来るとの事なので昼食の準備する事にした私はアトリエのキッチンに向かう。
リズも食べるだろうからパスタでも作るとするか確かソースは作っていたはずとアイテムストレージを見る
料理スキルを取ってよかった…私は料理を食べる時必ず思う。
汁気の無い汁物…パサパサのパン…臭みも無いが味も無い肉料理…
この世界で20年程生きてきたがあれ程苦悩したのは初めてだった。
父はレストランのオーナー、母もパティシエールという家庭で育った私にはこの世界で一番最初に困った事だったのだ…美味しくない食べ物というものは……。
バジル擬きの良い香りのパスタが出来上がった頃裏口のドアに来客を知らせるベルが鳴った。
リズ?いや、さすがに早過ぎるだろうと思いながら覗き窓から外を窺うと水色っぽい幼竜のドアップが写った。
一瞬驚いたが誰が来たか分かった為に返事もそこそこにドアを開ける。
来客は少し前に知り合ったビーストテイマーのシリカだった。
「リインさんこんにちは、ピナの羽が生えかわったので持ってきました。」
フェザーリドラの羽は錬金術で転移結晶を作る材料の一つなのだ野生からも取れるのだがシリカと知り合ってからは生え変わった時に貰うようにした。
「シリカ今料理中で手が離せないんだ、悪いけど中で少し待っててくれるかな」
とシリカに言った所でふと気づく、
「そういえば昼食は食べたのかな?今から友人も来るのだけれど良かったら一緒にどうだい?」
すると、
「え?良いんですか!やったぁ!リインさんの料理美味しいですよね!…あの…ピナの分も良いですか?」
嬉しそうに飛び跳ねた後、申し訳なさそうに聞いて来るシリカに、
「あぁもちろんだ、ピナにもお世話になっているから骨つき肉でも焼こうか?」
顔をシリカからピナに移しどうする?と確認すると
「キュクー♪♪」
と、嬉しそうに私の周りを飛び回る
「ではピナにはこの階層特産品の牛肉を焼いてあげるよ」
アイテムストレージに手を入れて主街区外周部で買える骨つき肉を取り出すとピナが目の前で滞空して眼を輝かせる。
微笑ましい姿にクスッとした。
シリカも椅子に座りその肩にピナが落ち着いた頃、裏口のドアをノックする音が聞こえた。
覗き窓に近づくと、
「リイン〜、リズだけど”アレ”出来たって聞いてすっ飛んできたんだけど〜開けて〜」
確認する必要が無くなったのでドアを開けた。
「相変わらず良い匂いね〜〜、まぁ取り敢えず食べましょ。」
ドアを開けると其処にはリズの姿をした腹ペコ少女が居た。
「いや〜♪美味しかった〜♪またよろしくねリイン♪」
案の定、昼食を食べていなかったリズは私とシリカとピナと共に食べると満足そうに言う。
意外だったのはシリカとリズがもう知り合いだったと言う事だろうか?
リズはピナとじゃれ合いながら皿洗いをしてくれている間に、私とシリカはピナの羽の金額を支払をしている
「さて、これくらいで良いかな?此方としてはもっと払っても良い位なんだけどね。」
もっと払おうかシリカに確認してみると
「いえいえ、前は全て捨ててた物ですのでこれでも貰いすぎなぐらいなので気にしないで下さい。」
焦った様に増額を断るシリカに
「いつも悪いねわざわざ持って来てもらって、今度は私から取りに行こうか?」
何時も店まで持って来てもらうのも申し訳ないと思い提案すると
「いいえ!そんな事ありません!!」
すごい気迫で言われたので少し引きながら、
「あぁ…いや、持って来てくれるなら此方は助かるんだけど…」
「なら大丈夫です!ちょうど買出しと重なってるので!えぇ、大丈夫」
言い終わると”フンッ”と無駄に気合の入ったシリカに驚きながらも返事を返せた私はよくやったと思う
「リインーシリカーそっち終わったー?」
皿洗いが終わっていたのかリズがソファーにどかっと座って此方に質問してきた
支払が終わっていた為私は
「あぁ、こっちは今終わったよ。リズはインゴットだったね、ちょっとこっちに来てもらっても良いかな確認をおねがいしたいんだが?」
「えぇいきましょ」
2人で裏に行く前にシリカに声を掛ける。
「シリカ、悪いけどちょっと待っててくれるかなリズの用事が終わったらデザートを出すから、今日はダージリン風シフォンケーキを作ってみたんだ。」
デザートと聞いた2人は
「待ちます!何時間でも何日でも!」
「ちょっと待って!あたしの分もあるの?」
相変わらずデザートとなると2人とも目の色が変わるな…懐かしい、初めて食べた時は2人とも泣いていたっけ……いまやデザートと言うと私、と言うぐらいこのSAO内でも有名になってしまい要望が多くアトリエでも販売する様になったのは記憶に新しい。
気がつくともう目当ての部屋の前に着いていたようだ
ーガチャー
錬金室に入りテーブル上のインゴットを見たリズは即座に駆け寄り手に取って観察する
「何コレ?依頼したのはあたしだけどさ、ホントにこんな物出来るとは思わなかった…さすがユニークスキル…」
驚愕の表情を浮かべながら此方を見るリズ
「まぁ出来たんだから良いじゃないか…それともそれくらいじゃまだ満足出来ないのかな?」
駄目だったか?と思いリズに確認すると
「いやいやいや、逆逆、凄すぎるのよコレ、最前線の攻略メンバーの装備にだって使えるわよ?」
「えっ?……そうなのか?確かに黒鉄ぐらいの性能はあると思うが?」
疑問に思ってリズに聞いてみると
「だってコレcriticalbonusとattackbonusが付いてるのよ?そんなインゴット見た事ないわよ。」
もっと上の物が作れるが黙っとこう、そうしないと私はリズに物理的に殺されそうだ。
だって今目の前に居るリズの眼が新しい玩具を見つけた子供のようだったから……
第2話
リインの日常探索編へ
クライン×リインになると思います、その片鱗すら有りませんが…
基本はガールズ・オプス?みたいな感じですかね?