二人目が、『自己犠牲精神』が過剰な人間だった結果   作:日λ........

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短編のつもりでしたがなんでか続いてしまった。思い付く限りは書こうかな()


鏃 頭という少年

『二人目の男性搭乗者発見か?』

 

『日本で二人目のIS男性搭乗者が見つかる』

 

 

「ふんふん、二人目ねー。いっくんならともかくなんでそんな有象無象が……」

 

 

束は秘密拠点にて、暇潰しにネットサーフィンを行っていた。そして、気になる情報を見つけてしまった。

その情報は本当に今日聞いた出来事であった。なので、その男性搭乗者について、なにも調べていなかったが……

 

「……ま、原因くらい調べておこっと。ちーちゃんの弟のいっくんならなんとなくわかる話でも、コイツはなんで使えるか私にも分からないし……」

 

と、本格的に情報を集めればほんの一瞬で集められた。この女は一種の災害である。どんなセキュリティであっても、その天才的頭脳で簡単に解けてしまう。

なので、気が向いたことなど簡単に__

 

 

「……ハァッ?解剖済み!?自分で率先して体を明け渡したぁ!?んで今はもう脳と臓器の一部以外全部研究機関にあるって!?頭おかしいんじゃないのコイツ……いくら束さんでもそんなのドン引きだよッ!!」

 

 

というか脳と脊髄等の臓器だけの人間がIS学園に通っているとはどういう冗談だろうか?流石の束ですら理解不能な現実が確かな情報としてその手の中に書かれていた。

 

「鏃 頭(やじり かしら)、日本人。いっくんと同い年で、天涯孤独……はぁ、私もさ、変わってる側の人間だとおもうけど……ホンモノの気狂い見ちゃうと、そうでもないかなって思えてきちゃうね……」

 

自分の体を、いくらでもいじり回していいというどころか、全部持っていって構わないなどとのたまうこの狂人に、下手すると出会わなければならないことを思い、少々憂鬱になった。

 

 

 

 

 

理解の外の存在を、人は恐れる物である。

当然ながら、外見からは最早ロボットとも見えてしまうそのドラム缶は、教室内で浮きまくっていた。そして話した内容が、あまりにもあんまり過ぎて皆近づこうとしなかった。

そして当の本人も、義肢の使用感覚やらセンサーから感じ取れる視覚や聴覚の確認をしつつ授業を受けている為、誰かに話しかける余裕など一切無かったのである。

結果として、鏃は学園内で静かな生活を送っていた。

しかしIS学園に来て三日が過ぎたその日、ようやく彼に話しかけるクラスメイトが現れたのである。

 

 

「よう、鏃……で良かったよな?」

『ええ。合ってますよ。こんな身なりですが一応男ですからね。同じ男性搭乗者である貴方の事は気になっていましたよ、織斑君』

「え、そうだったのか?」

 

人類初のIS適合者、織斑一夏である。

とんでもないカミングアウトをした後、何をするでなく静かに授業を受けている彼の事が気になり、一夏は鏃に話しかけたのだ。

 

『生徒に男が二人だけなので同じ部屋かとも思いましたが、良く考えると防衛上二人とも同じ場所に置く筈もありませんでしたね。私の場合、色々と設備を置く必要があるので個室なのも納得ですし』

「あ、あはは……そうか、そうだよなぁ。普通だったら個室だよなぁ(ボソッ」

 

 

何せ鏃という男は脳とそれを生かすのに必要な部分しか残っていない人間である。色々と設備は必要だ。

脳にしたって、外付けの情報記録装置に様々な情報を計測されて記録されている有り様だ。

彼は自らの全てを余すこと無く人類の未来のために捧ぐ姿勢である。これで男もISに乗れるようになれば、人類の残りの半分も宇宙への道が近づくのだから立ち止まる気など彼にはない。

 

『話が逸れましたね。さて、私に何かご用でしょうか。ようやく義肢やこの体になれてきましたので、今は時間がありますよ?』

「いや、大した事じゃない。俺も漸くここにいるのに落ち着いてきたから、もう一人の男子と話しておこうと思ってさ。よろしくな、鏃」

『ああ、そういうことですか。よろしくおねがいしますね、織斑君』

 

 

__コレが、IS学園に来て彼が交わした初の人間らしい会話であった。

 

 

 

「__それで、ここが分からないんだよな……自分なりに頑張って詰め込んでるんだけども、イマイチ理解が及ばなくて__」

『それはこのページを読めば分かる理論ですよ、織斑君。まあ、今の自分達はここに自主的に入ろうと努力してきた人たちと比べると、どうしても知識が足りてませんからね。自分もそこまで自身はありませんが、一緒に頑張りましょう』

 

 

 

こうして、ドラム缶姿の人間(?)と爽やか風味のイケメンが机を向けてノートと教科書を広げるというシュールな光景が出来上がったのである。

鏃 頭(やじり かしら)という男。彼は行きすぎた自己犠牲精神を持っているものの、それ以外はお人好しの部類のようである。




こんな理解の及ばない奴に自分から話しかける上偏見も持ってないとかいうイッピーとかいうぐう聖
※追記
上記の自信を『自身』と誤字ってますが、コイツが言うととんでもねぇブラックジョークに化けるという指摘を感想で貰ってあえてそのままにしてます。脳と脊髄くらいしか残ってないからな!()

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