二人目が、『自己犠牲精神』が過剰な人間だった結果 作:日λ........
私は人類が大好きだ。
先祖が歩んできた歴史が大好きだ。
何度も繰り返された過ちも含めて、人類というものが大好きだった。その発展に繋がるのであれば、私はなんでも捧げるだろうと思うほどに。だが、今の時代人間一人が犠牲になった所で進歩に繋がることなど希少な例だ。なのでせいぜい、今を未来へと繋げられるような事をしようと考えていた。過去の先祖達のように。
__そんな考えだったからだろうか。犠牲になることで、人類の発展に大きく関わる価値が自分にできてしまったその時、私は一切後悔せずにその身を捧げようとしたのである。
自分から、その全てを。
『それが__今の私の姿の理由です』
あっけらかんと、彼は『電子音声で』そう答えた。IS学園に入った人類で二番目の男性適合者は__そんな理由で自らの肉体を切り渡したのである。
『まあ、そんなわけで自分で声も出せない物体に自ら成り下がったような男ですが、三年間よろしくおねがいします』
彼の姿は金属製の四肢の生えた小さなドラム缶のようであった。それは最新鋭の生命維持装置であり、中には彼の脳と脊髄などの脳を生かすのに必要な器官が丸々入っている。それ以外は全て国に研究材料として渡した。表面には彼の差し出した眼球や聴覚の代わりとなるセンサー類と電子音声を出すスピーカーが着いており、彼の神経に内部で直接繋がっていたりする。
更に金属製の四肢はISの技術を使って応用した義手や義足の試作品であり、彼の人類に尽くす姿勢を表すかのような献身(物理)っぷりである。
コレには流石の千冬先生も眉を潜め、生徒のほとんどは顔を青くしており、中には気分を悪くしたのか口に手を当てている人までいる有り様。
ふむ?自己紹介は簡潔かつ分りやすく自分がどういう人間なのかを伝えればいいと思ってやったことを話しただけなのだか、なにか不味かっただろうか?
「……鏃、その情報は言っていい情報だったのか?」
『ええ、そりゃ自分からお願いしてやったことですし、本当だったら脳も使ってもらおうかと思ってたのですが流石にそれは不味いという話で折衷でこうなりました。ああ、誰かに脅されてとかそういう事ではないですのでご心配無く。100%自分の意思でこうなりましたので』
「そっ、そうか……」
ドン引きといった表情で千冬先生は答えた。まあ確かに奇特な人間であるという自覚はありますけど、これで助かる人もいるんでしょうからいいんですよ。
『という訳で皆さん、鏃とでも、見た目通りシンクタンクとでもお好きにお呼びください。あらためて、よろしくおねがいします』
金属色のドラム缶が、そうお辞儀するのは、とてもシュールな光景であった。
うん、キチ○イだねこの主人公。マッドな科学者側が最低限『人間』で居てくれと説得に迫るレベルで全部公的に体捧げようとした模様。
お陰で一夏が各国に狙われる率が減った。全世界に解析結果を公表する契約の元体をサンプルに渡したのでそのデータは全世界に伝わっている。伝わってしまっている()