Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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今回は赤い龍との戦闘を中心としました。


打開

「赤い龍だって!?」

 

俺はいきなり送られて来たガウェインからの通信を聞き、絶句した。確かに俺にも見えている。さっきいきなり赤黒いビームが城壁を突き破って来て…ルキウスのおかげで間一髪避けたが、その穴から一部は見えた。

 

『はい、このままでは赤き龍によってキャメロットのみならず世界が滅ぼされてしまいます!万が一飛翔などされたら…!』

「ガウェイン!全力で止めてくれ!獅子王だってそう考える筈だ!」

『承りました』

「すまないがここでお別れだ。アルトリア・マシュ・ルキウスは獅子王討伐に行ってくれ」

「待ってください。では貴方は…!」

 

俺は俯いた。

 

「大事な人を…助けに行く」

 

そして、2人に背を向けると進行中のキャメロットを引き返した。やはり俺は甘ちゃんだな。

 

「よっと…!」

 

一目見た時点であの龍には心当たりがあった。あの鬣といい目といい…にわかには信じがたいが、ガウェインの証言と繋ぎ合わせれば説明は付く。あれは……モードレッドだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

なるべく断面に触れないように城壁を抜け出すと、ガウェイン率いる獅子王の軍隊と薩摩率いる連合軍が赤い龍の迎撃を行っていた。しかし、キャメロットに匹敵する質量を持つ巨躯に傷1つ負わせられない状態でいた。

 

「ヴォーティガーンよりタチが悪い!」

 

ガウェインは先程から不夜により無尽蔵に供給される魔力を使って宝具を連発しているが全く通じない。寧ろ、煩いとでも言いたげな尻尾の一振りが人間達を蟻のように轢き潰した。

 

「怯むな!このまま──」

 

が、次の瞬間。赤い龍のビームがガウェインのすぐ近くを通過し、部隊はまるで最初から居なかったように消えてしまった。

 

「くっ……なんという事だ…」

 

これに対抗した白い龍は如何に巨大で強かったのか…。そう考えた彼は戦慄した。そこでガウェインは自分のマスターが駆け寄った事に気付いた。

 

 

************************

 

 

「ガウェイン!」

「マスター!」

「お前洗脳が解けたのか?」

「いえ、獅子王が少し洗脳を弱めたようです。今は非常事態である事は獅子王も了解している筈…通信も今まで獅子王か其の手の者に傍受される危険性があり、使用しておりませんでした」

「そうだったのか、苦労かけてすまなかったな」

 

肩で息をしながら、ガウェインから真相を聞き出し内心ホッとしていた時、別の誰かから通信が来た。聞き覚えのある……

 

 

───じ…い…よ…!

 

 

「ジャンヌ!?ジャンヌなのか!?」

 

画面上の砂嵐が漸く晴れ、久しぶりに黒ジャンヌの顔を見た。相当心配していたのか目に涙を溜めている。

 

──そうよ!やっと繋がったわ!早く状況を教えなさいよ!

 

「今…目の前にウェールズの赤い龍が居る!」

 

──なんだって!?それは本当かい!?

 

続いてロマンとダ・ヴィンチがジャンヌを押し退け顔を出した。後ろで『ちょっと、退きなさいよ!』という声が聞こえたが、今は笑える程余裕は無い。

 

「ロマンか!あの龍の体を解析してくれ!早く!」

 

ウェールズの赤い龍がこちらに気付いた。ガウェインは俺を背負うと急いでその場を離脱した。しばらくして彼から降り解析結果に耳を傾ける。

 

──解析、来た……なんじゃこりゃ?

 

「どうしたんだ!」

 

──見かけは巨大な質量体だけど、それはハリボテだ。あの頑強な鱗の内側は魔力の塊になっていて…奥に核らしき物がある!

 

「核…分かった」

 

──ちょっと!何する気!?

 

「ガウェイン!今からお前を令呪を全て使ってブーストする!あいつの体に穴を開けてくれ!一瞬でもいい!」

「承りました。ガウェイン…推して参る!!!」

 

ガウェインにフルで令呪を使うと、彼はガラティーンを前に向けて突貫を開始した。その後ろ姿を見て、俺は命令を1つ追加しなかった事を後悔した。

 

「午前の光よ…どうか我が身を護りたまえ!!!!!」

 

命を賭す覚悟の特攻。赤い龍のビームを紙一重で避けながらガウェインが走る。さらに、必死に走る俺の前に協力者が現れた。

 

「無事にお届けします。どうか御武運を」

「沖田か!走ってる間に吐くなよ」

「吐かないように気を付けます」

 

十傑走りをする沖田に担がれた俺はガウェインの後ろに続く形となった。

 

「はぁあああああああああああああああああああ!!!!!」

 

ガウェインは令呪をブーストされた時点で覚悟を決めていた。剣が効かない。エジプトの怪物の攻撃も効かない。宝具が効かない。そうなると彼の中に残されていた選択はあと1つだった。

 

「(──願わくば…最期に我が王の顔を拝みたかった…!!!)」

 

突撃し刺突を食らわせた筈の彼の聖剣が鱗の耐久に耐え切れず砕け散る。だが、取り付く事には成功した。そう、彼にはそれで充分だった。しがみついた瞬間……ガウェインはフルパワーで稼働している魔力を霊基ごと暴走させた。

 

 

「我が最期の忠義…とくとご覧あれぇえええええええええ!!!」

 

───太陽の騎士は、閃光と共に散った…。

 

 

「成功です。胸に穴が空きました。既に再生が始まっていますので投げます!」

「あぁ、頼む…」

「突入します!」

 

 

 

悲しんでいる余裕など無かった。

沖田は縮地で龍の腕を掻い潜ると、その穴目掛けて俺を投げ入れた。直後に傷が塞がり、俺は出口を失った………。




ガウェイン、散華。
余談ですが、令呪3回分のブーストが無ければ穴を開ける事が出来ませんでした。ぐだ男のミスのおかげでこの作戦は成功した…そういう展開となっています。縮地TUEEE

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