Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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いよいよ開戦です。大規模な戦闘を字で表現するのは本当に難しいですね。日々文才の無さを感じてしまいますが、頑張ります!


交戦

開戦は唐突に始まった。

 

ガウェインがいきなり宝具を放ち、それをマシュが防御したのを皮切りに連合軍と獅子王軍は一斉に雪崩れ込んだ。後方の陣営では頼れる医師ナイチンゲールが看護に当たっている。気休めでしかないが、少しだけ安心出来る。

 

「行くぞ!モードレッドは露払いを頼む!」

「了解!前線を切り崩す!」

 

ナイチンゲールから借りたテールブースターを噴かせ、モードレッドが突撃を敢行する。彼女が切り崩した道を俺とマシュは走った。

 

「藤丸殿が仕掛けた!投石部隊!砲撃開始!」

 

白兵戦が行われている戦場の少し後ろでは、新撰組と彼が考案した投石部隊が展開し、キャメロットの城壁目掛けてたっぷり火薬を入れた固形物をぶつけている。さらに別の地点ではエジプト軍の戦力であるスフィンクスが戦場の横合から奇襲を掛け挟撃の状態にしていた。

 

城壁が崩れるか、俺達が屈するか…意地の張り合いが始まった。

 

 

 

 

************************

 

白兵戦が行われている戦場で私は鈍剣を肩に担ぎ、敵兵達を叩き潰していた。剣はいつも以上に輝き、聖剣に匹敵する程の力を見せていた。それを信じ私は前へ前へと進む。

 

「邪魔だ!」

 

鈍剣を振り被り、敵兵の頭蓋を叩き割る。即座に引き抜くと遠心力を使い刀身をもう1人の側頭部を叩き潰す。

 

「私はここだ!来るなら来い!!!」

 

私は戦場の中でモブキャラとして剣を振るう。武器は万人と同じエストック。だが、それは幾度の戦いの中で鋭さを失い細い金属バットとしてしか機能しない。それでも私にとっては唯一無二の存在だった。

 

「ワート!こちらは手薄い!」

「了解した!!!」

 

今の私は特筆するところなど何もない。無理にスキルを行使すれば肉体の維持は不可能。精々、少し気迫のある凡人として正面を突破するのみ!

 

「そこを退けぇええええええええええ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マシュ!全然前が見えねぇ!』

『乱戦中ですからね!モードレッドさんは?』

「まだくたばっちゃいねぇよ」

 

両腕に小型シールドを括り付けたオレは折れたクラレントとハンドアックスを振るい、手数で押す。攻撃は両腕に装備したショートシールドで受け流し、体勢の崩れた敵を叩き潰す。ナイチンゲールから借りたテールブースターによる機動戦で的を絞らせないように小刻みに動く。

 

「残弾40…今更惜しむかよ!!!」

 

機銃をばら撒き、一気に活路を開くとハンドアックスで敵兵を盾ごと叩き潰す。そのまま敵の武器を掻っ攫い武器として利用する。

 

「───ッ」

 

その時…全身に悪寒が走った気がした。視線の先には…オレにそっくりの騎士が居た。ドッペルゲンガーでもなんでもない。雑魚を薙ぎ払いながら視線だけは絶対に逸らさない。もし奴がオレと同じタイプなら…厄介極まりない!

 

「──ダメだダメだ!立香だけは突破させなきゃいけねぇ…」

 

相手もオレを見つけた。雑魚を障害物にしながら移動しつつも現地調達した機銃で威嚇射撃を行い、挑発を仕掛けた。よし、引きつけられた!

 

「──マスター!聞こえるか!」

『どうした!?』

「これから、1番ヤバイ敵を引き付ける。その隙に城に突入するんだ」

『何言ってんだ!モードレッドも行くぞ!』

「ダメだ!今回は…オレの言う事を聞いてもらうぜ。なーに、心配すんな!さっさと仕留めて俺も合流する。早くしねぇと数少ないチャンスをフイにするぜ!」

 

そう言った直後に通信を切り、オレは猛スピードで接近して来た騎士の一撃をハンドアックスで受ける。ハンドアックスがあっさり切り裂かれ堪らず機銃を連射するが、すぐに乾いた音しか出なくなった。

 

「チッ…推進剤もゼロか」

 

蹴り飛ばして距離を取ると、テールブースターをパージして折れたクラレントを構える。対する騎士は聖剣が折れている事に気付きニヤニヤと嘲笑している。

 

「テメェは誰だ!」

 

そう叫ぶと、騎士は雑魚達に手を出すなと告げ追い払った。

 

「俺はオレだ。テメェが捨てたカスの塊だ。だからこそ許せねぇ…故にテメェを殺してその魂を同化する!そうして初めて俺はオレになれるんだ」

「そういう腹かよ…なら話は早い」

 

オレは折れたクラレントを構え突撃。相手も同じように駆け出した。

 

「「テメェだけは…殺す!!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「城壁、破れません!」

「火薬を惜しむな!魔力を纏っていると云えど限界はある!間髪入れずに叩き込め!!!」

 

薩摩は後方から火薬を詰め込んだ固形物を投石部隊に投げさせ、次々と壁にぶつけ爆破し続ける。相変わらず傷1つないように見えるが、魔力による障壁は確実に削れていた。

 

「遠くからの投石に専念!白兵の時は戦場を城壁から遠ざけろ!城壁から何をぶっかけられるか分からんぞ!!!」

 

薩摩は指揮を執りながらもぐだ男達の前進を援護していた。ぐだ男こそがこの事態を突破出来る。その確信が彼にはあった。

 

「局長!本丸に魔力が収束しています!」

「皆の者!漣作戦…つまり射線上から逃げろ!!!」

 

魔力を利用し声を遠くに響かせた薩摩達は逃げるように左右にズレる。直後に凄まじい魔力の奔流が通過した。逃げ遅れた連合軍の兵士と獅子王の兵士達が呑まれ蒸発した。

 

「むぅ…だが、奴の照射にはある程度の時間が掛かる!今のうちに敵陣を2つに分断しろ!」

「承知!」

 

撤退し、相手の追撃を誘いつつ彼はそれぞれの場所に潜伏させていた弓兵小隊に横合いから攻撃をさせ、挟み撃ちの形を取る。

 

「(頼みますよ…藤丸殿!)」

 

大きく2つに分断した戦線を維持するべく薩摩は刀を抜き敵陣へ斬り込んだ…。

 

 

「抜刀…突撃!!!」

 

 

*********************

 

「───アルトリア!?」

「マスター…お久しぶりです」

 

城壁へと近付いた時、俺はアルトリアと再会を果たした。煌びやかな衣服も装飾も全て捨てて、持っているものは質素な服にいつもの鈍剣と腕に括り付けたボウガンしかないが間違いなくアルトリアだ。

 

「他の皆さんは?」

「……トリスタン戦死、ガウェインは洗脳されて敵陣営、ジャンヌは行方不明、ナイチンゲールは看護師として現地で働き、モードレッドは誰かと交戦中だ」

「……そうでしたか」

 

互いに走りながら城壁へと迫る。アルトリアは俺とマシュ、後ろでついて来ているルキウスに鉤縄を投げ渡した。

 

「1発勝負です。悪いですが助け出す余裕は無いかもしれません」

「構わねぇさ。爆弾じゃ吹き飛ばさせなかったんだ。あとはこれしかねぇだろ!」

 

鉤をグルグルと回転させ、射程距離に入った瞬間…全員で一斉に投げ込む。鉤は無事に上の装飾に引っかかり、俺達は急いで登った。火事場の馬鹿力というか…自分でも上手くいったのが不思議なくらいだ。

 

「登れ登れ!!!」

 

アルトリアはボウガンに矢を装填すると急いで登る。視界に敵が入った瞬間に狙撃して迎撃を防ぐ。脇と両足で自重を支えながら次弾を装填し、次々と落とす姿にはかつてないほどの気迫を感じていた。これがアルトリア・ペンドラゴンという人なのだろう。

足止めを食らいながらも先に到達したのはアルトリアだった。鈍剣を盾に矢を弾きながらボウガンで狙撃していく。なんだかんだで俺達を引き揚げてくれた彼女に感謝しながら、俺はマシュに掴まり壁から下へと飛び降りる。

 

「施設には構わないで下さい。我々の狙いは獅子王の首のみ…!」

「おぅさ!」

 

走りながら、俺は嫌な予感がしていた…そう、嫌な予感が……




次回はモードレッドと獅子王モードレッドの戦闘に焦点を当てます。はい。

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