Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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今回はやや端折りまして…






血統

「ここがアトラス院…」

「急ぐぞ。オレ達が此処に居られるのはエジプト軍の増援が集合するまでだ」

「守りはおまかせを!先輩!」

 

アトラス院と呼ばれている廃墟にやって来た俺達は急ぎ足でダンジョンを走っていた。到着を考えれば20分しか居られない。新撰組はハサン達ととある神殿へと向かった。曰く、「眠れる獅子を起こす」そうだが、それが何かは分からない。

 

「どうやらオレ達はバイキンらしい!」

「叩き潰せ!轢き殺せ!こんなところで道草食ってる暇なんてねぇんだ!!!」

 

俺も自衛用に装備した槍を向けまっすぐに走る。敵のビーム攻撃に臆する事無くマシュを盾に突撃する。追撃の無いよう彼女が押し除けた敵の急所を一撃で潰し、或いは斬って進路をこじ開ける。

 

「ところでよぉモードレッド!」

「なんだ!」

 

槍を振り回しながら走る俺はモードレッドに考えていた事を尋ねた。

 

「ガウェインと戦っていた時に操られてるって言ったよな?どういう意味だ?」

「いつも稽古でやっていた剣技が鈍っていたんだ!まるでこっちを攻撃したくないとでも言いたげな感じでな!」

「ならどうやって助ければいい?」

「それが分かんねぇからここに来てるんだがなぁ!」

 

「先輩!突破まであと10秒です!速度を緩めないでください!!!」

 

俺達は無茶をしながらも遂にアトラス院の核へと到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここがアトラス院の中央部か…!」

「先輩!これって………」

 

到着した俺達を待っていたのはカルデアと似た風景の近未来施設であった。本来ならばアトラス院の演算システムはアクセス権が無ければ使えないのだが、土方が部屋の中に残してくれたというアクセス用のパスワードを無事発見し、早速システムを起動させる。

 

「システム、教えてくれ!獅子王は円卓の騎士に何をしたんだ!解く方法はあるのか!!!」

 

そう叫ぶと、システムは5秒で解答した。

 

「『神霊の能力によって配下に服従の防止と共に凄まじいスキルを備える“ギフト”を与えた。解く手段は獅子王を倒すのみ』だぁ?…ふざけんな!それじゃ殺すのは不可避の選択肢だってのか!?」

 

俺は怒りで壁を殴りつけた。ただでさえ余裕が無いのに円卓の騎士を無力化しながら獅子王だけを倒すなんて無茶だ。

 

「円卓の騎士モードレッドだ。簡単な話だが応えてくれ!父上についての話だ…」

「モードレッド?」

「獅子王の目的は何だ!オレのポンコツ父上とは全然違う。根本的なところでだ!教えてくれ…奴の目的は!!!」

 

演算システムの解答時間は10秒。

 

「なっ─────」

 

そこには信じられない答えが書いてあった。要約すれば、『聖剣が返還されなくて死なないままイスラエルに流れ着いたら“ロンの槍で世界を守ればいいんじゃね、まぁ人類は標本にするけどな”という発想で今のキャメロットを作り出した』らしい。正直、頭がイタイ子としか思えないのは俺だけなのか……。

続けてマシュも堪えきれずに尋ねる。

 

「私の中にいる人は誰なんですか!?」

「え?それって頑張って探し出すとか言ってたような──」

「うるさいです先輩!もうただの盾役は止めです!これからは守れて攻めれるサーヴァントになるんです!気分はエースで四番!その為に形振り構ってなんかいられません!!!」

 

演算システムは1秒で解答してくれた。

 

「『円卓の騎士ギャラハッド』…ですか。なるほど、それが私の本来の真名…!」

「ポ◯モンの貴重な育成を飴で誤魔化す小坊みてぇな事すんなや」

「酷いッ!?体裁とか努力するヒロインの立場とかかなぐり捨てて真名を手にしたのにこの仕打ち!?」

 

うん、真名解放した瞬間に装備が変わったみたいだが中身は変わっていないようだな。

 

「よし、帰るぞお前ら!」

「応ッ!」

「ま、待ってくださいよ〜!」

 

 

********************

 

「で、外に出たら円卓の騎士が待っていましたと」

「その通りだ。観念してもらおうか、異国の者よ」

 

目の前に居るのは円卓の騎士。それも多分姿は違えどオルレアンで交戦したのと同じ個体だ。つまり──

 

「ランスロット…!」

「モードレッド卿の紛い物も居るようだな。貴様らごと王の手土産とするか」

「テメェ、獅子王の目的を知っていて従ってんのか?アァ?」

 

モードレッドは折れたクラレントを手に精一杯強がった。実際、分が悪い事は彼女が1番自覚していたからだ。

 

「───今の私が仕えるのは獅子王のみ。たとえ間違えていようと最早──」

 

が、それに対し怒りを爆発させた者がいた。

 

「た────あっっっっっ!お──こ──り―─ま―─し―─た―─っ!!!!完全に怒り心頭です! 私の中にはもういませんが、

きっと彼もそうだと思います!ですので、代弁させていただきます!

サー・ランスロット! いい加減にしてください!」

 

マシュだった。いきなり突貫するとランスロットにタックルをぶちかました。その隙を見逃さず俺とモードレッドも武器を手に襲い掛かる。もう格の差とかそんなもの、俺の頭ん中で沸騰する怒りの前ではどうでもよかった。

 

「死ねやオラァッ!」

 

だが、気迫に押されてタジタジになる騎士団と俺達に攻撃を止めさせたのはランスロットだった。決闘で決着を付けようというのだろうか?まぁ、その彼も全力で叩きつけた聖剣アロンダイトを正直で受け止めたマシュに驚いていた。

 

「私のアロンダイトを真っ向から受け止める……?いや、この盾、この気配……君は、まさか……!?待て。待つんだ。待ちなさい!親を親とも思わない口ぶり、片目を隠す髪……君は、もしや!?」

「真に仕える騎士なら…いいえ!勝手に絶望して勝手に狂うぐらいなら…部下らしく上司止めろやオラァッ!!!」

 

いつになく口汚くなって猛攻を仕掛けるマシュの攻撃が遂にランスロットの肩に直撃。肺の空気が抜ける程の衝撃を受けた彼は膝をついた。

 

「……この、肉体より骨格に響く重撃は、まさに……………………いや。君の言う通りだ、マシュ。円卓の騎士と戦い破れたのだ。もはや私は王の騎士を名乗れまい。私の愚かさが晴れた訳ではないが、君たちと戦う理由は私にはなくなった。」

 

その10秒後にエジプト軍がやって来た。一瞬、戦闘モードに入った彼等を説得して、連合軍は一度ランスロット軍と共に彼のキャンプ地へ向かい、物資補給と休息を行ってから合流する事となった。予想外の増援に俺は少しだけ勝つ可能性が上がったと感じた………。




今回はマシュ覚醒(無理矢理感)とランスロット軍参加回です。次回は少し視点変更をしようと思います。そして、そう言えば居ないあの人が登場します。

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