Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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少し端折り気味です。ロムルスの言葉って難しい


ローマの襲撃

「皇帝ネロ・クラウディウスである。これより謹聴を許す!ここまで尽力した者達よ、ご苦労であった!」

 

野営地に到着した俺達は馬達を馬舎に入れ、休息を取った。因みに、俺達が来る前にガリア遠征があったらしく、多少の犠牲を払いつつも何とか成功させたようだ。敵にはサーヴァントがいるというのによくやるわあのお子ちゃまは。

 

「実は他にも部隊が一個あったのだが、現在はガリアの地に残しておる。よってここには補給部隊が少々しか残っておらんかったのだ。無事で良かった」

「ここで馬を休ませて良いタイミングで出立だ。予定は夕方だ。夕方から行けば昼には突貫出来る!」

 

最悪馬を乗り捨て徒歩でも突貫する覚悟はある。とにかく、ガウェインがピークの状態で着くようにしなければならない。時間調整は大切だ。

 

「トリスタン、見張り代わるぞ」

「──いえ、私が居なくなると危険性が…」

「それは違う。明日最前線で活路を開くのはトリスタンなんだ。休んでもらわないとこの作戦の成功率は大きく低下する」

「─では、ありがたく」

 

木の上に建てた櫓から見張っていたトリスタンを降ろし、代わりに俺が見張りに立つ。現状では誰も来ておらず静まり返っている。だが慢心せずに俺は目を凝らした……。

 

 

*********************

 

予告通り、夕方に出立した。携帯食を予め作っておいた為、食事はこれで済ませる(ネロがワガママを言ったが、今回は我慢してもらう事にした)。昼寝をする事で夜間に動けるようにした為、全員しっかり目が冴えている。

 

「進め進め!こっから先は休憩無しだ!俺達には円卓の騎士がついている!!!」

 

ローマの精鋭達を鼓舞しながら突き進む中、トリスタンが合図を送った。敵軍発見のサインだ。

 

「そのまま轢き潰す!トリスタン!活路を!」

「──心得ました!」

 

敵軍の弓兵が前衛に出て弓を引き絞る。

 

「させません───痛哭の幻奏(フェイルノート)

 

脚で体を固定したトリスタンが音の矢を掃射し、次々と弓兵の弦のみを斬り飛ばす。

 

「───AAAALaLaLaLaLaie!!!」

 

アドレナリン出っぱなしの状態で俺達は次々と敵陣を切り崩して強行突破。大半を無力化して突き放した。

 

「行くぞ!止まるな!!!止まれば挟み討ちだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はドゥン・スタリオンに乗るアルトリアの後ろにしがみ付き、全員に魔力供給を続けながら脇目もふらずに前へと進ませた。万が一の時はキャンプの時に作ったスリングショットで援護する予定だ。日が昇り、緊張が高まる中───俺達の前に壁が現れた。

 

「レオニダス様!奴等は──」

「落ち着けィ!……我々には知恵がある!!!」

 

身の丈の倍以上ある槍と丸盾を携え、ファランクスの陣で迎え撃つ部隊……間違いない。あの中央にいる場違いな気迫はサーヴァントだ。

 

「マスター!どうする!!!」

「───くっ!」

 

このまま進めば間違いなくファランクスにより串刺しとなる。減速しようものなら奥に控える弓兵の矢が飛んで来る…。

 

「マスター、ここは私にお任せを」

 

そこでトリスタンの前に出たのはベディヴィエールだった。

 

「ベディヴィエール!?無茶だ!」

「いえ、私ならばこの陣を崩せます。どうか私にも機会を…!」

 

しかし、ベディヴィエールが持っているのは細身の剣のみ……不安しかない。

 

「マスター、ベディヴィエールを信じましょう」

 

アルトリアはそう告げた。心の底から信頼した相手に言える声色……仕方ない。託してみよう。

 

「トリスタン!ベディヴィエールを援護してくれ!」

「──承知しました」

 

宝具を撃った為に魔力が大きく削られているトリスタンにエネルギーを回す。ベディヴィエールはネロの精鋭達から丸盾を借受けると義手に持ち、身を隠すよう構える。

 

「ハィヤッ!!!」

 

一気に突進を敢行するベディヴィエール。トリスタンが援護するように放つ音の矢によって、槍の穂先を次々と落としてキッカケを作る。だが、レオニダスの判断により放たれた矢により、ベディヴィエールの盾と馬が蜂の巣になる。

 

「なっ────」

 

だが、馬が倒れてもその先にベディヴィエールが居ない……見上げたレオニダスは、太陽を背に盾を投げ捨て義手を振り被る白銀の騎士を認めた。

 

 

「───剣を摂れ、銀色の腕(スイッチオン・アガートラム)!!!」

 

 

振り下ろされた手刀により盾ごと胴を斜めに両断されたレオニダスは彼に何かを告げ消滅した。敵兵士達が怯みから立ち直る前に遅れてやって来た俺達が一気に突撃して撃破。ガウェインがベディヴィエールを回収し無事突破に成功した。

 

「今度からあんな無茶は止めろ。心臓に悪い」

「ハハ……馬には申し訳の無い事をしました」

「───あぁ」

 

大きく溜息を吐いた俺は気持ちを切り替えて突き進んだ。大きな障害は突破した。次はそうあるまい………と思った時、俺達の視界には目標の都市が現れた。同時に…

 

「横合いから別部隊を確認しました。サーヴァントが4人…恐らくこちらの作戦を読んでいたのでしょう」

「マスター、このガウェインが2つの部隊とサーヴァントを見事食い止めてご覧に入れます。どうか先へ!」

「スマン!頼んだ!ベディヴィエールもついてやってくれ!」

「はッ!」

「いいか?生き残れ!殺してしまっても構わないからとにかく生きるんだ!!!」

 

一気に連合都市に突っ込む俺達を見送ると、ガウェインとベディヴィエールがそれぞれ馬から降りて剣を抜いた。

 

「ガウェイン卿、聖者の数字の効果はあと1時間です。宝具の乱発は避けて下さい」

「分かっています。敵が密集した時を狙いますよ」

「(そういう意味では無いのですが………)来ますッ!白兵戦になりますよ!」

「はい!実はこの戦いが終わったら皇帝ネロにキスをしてもらう約束をしています!なので負けられません!」

「ガウェイン卿!それは死亡フラ───」

 

 

******************

 

「ここが連合都市か……」

 

馬から飛び降りた俺達はその中を駆け抜けた。だが……多くの兵達や民衆が襲い掛かってくるという予想に反し、街には誰もこちらに敵意を向ける者が居なかった。場違いだった為に取り敢えず矛を収め、俺達は慎重に周囲を見回しながら歩く。

こちらの存在などお構いなく過ごす民衆達を見てネロは首を傾げた。

 

「───っ」

 

そして、何かを感じ取った彼女は行商人の老婆に話し掛けた。

 

「ここを治めている者は今どこにいるか存じておるか?」

「はい…あちらの宮殿であの方はこの街を治めております」

「あの人…?あの人とは誰だ!答えてみよ!」

 

そう尋ねると……老婆は淡々と答えた。

 

「偉大なる神祖…ロムルスでございます」

「ロム──!?!?」

「ロムルス?誰だそいつ?」

 

あー…確かオリーブオイルのラベルに書いてあった子供だっけ。レムルスって言う兄弟がいて、捨てられ狼に育てられて羊飼いを経て王になった…って人だ。そして……ローマという存在を生み出した王だ。

 

「そんな───」

「我々はロムルス様に手を出していたというのか…?」

 

兵士達が混乱する中、ネロは激しく落胆していた。

 

「皆の者…よくここまで来てくれた。だが……もうここで終わりだ。余は帰る…」

「ちょっ─待てよ!何でだよ!」

「ではお主は自分の先祖が現れたらその者に弓を引くというのか!?余は間違っておったのだ…!あぁ……」

 

そして、その時、声が聞こえた。野太くも力強い…まるで大樹のような凄みのある声だ。

 

「遥々よく来たな…愛し子よ」

「!?」

 

宮殿のベランダから現れたのは褐色の肌に美しい衣装を身につけた巨漢であった。彼の威圧感はオルレアンで戦ったヴラドより遥かに強烈だ。

 

「一瞥しただけで──分かってしまう……あの御方こそがローマ…」

 

ネロの顔には大きな動揺が張り付き、泣きそうだった。神格化までされた存在がまさかサーヴァントとして現界していようとは…!

 

「さあ、来い。(ローマ)へと帰ってくるがいい、愛し子よ。お前も連なるがよい。許す。お前のすべてを、私は許してみせよう。お前の内なる獣さえ、私は愛そう。それができるのは、私ひとりだけなものだから」

「───っ」

「すぐに答えずとも良い…10分程其方らには時間をくれてやろう。その間、我が都で寛ぐのだ」

 

そういうとロムルスが奥へと歩き去っていった。それ以外全く変わらない風景の中で、俺はいつまでもウジウジしているネロの胸倉を掴んだ。

 

「いい加減にしろよネロ!神祖だがローマだが知らねぇが!お前は周りを見て何も気付かなかったのかよ!!!」

「──何が関係あるのだ!ロムルス様こそ至高の存在。あの御方に勝る者などおらん…!」

 

はぁ…と俺は手を離し溜息を吐いた。そして、改めて発破をかける事にした。

 

「お前がロムなんたらに勝っている所が1つだけあるぞ、分かるか?」

「───何だ」

「ったく…なんで分からないかなぁ……!」

「一々勿体ぶらず申してみよ!」

「なら教えてやるよ……お前の治める街には『笑顔』があったろうが…」

「!!!!」

「だがこの街を見てみろ。確かに奴の統治は完璧だろう…だが、こんな街に住んでみてぇと思うか?」

 

ネロはその言葉に目を丸くした後、周囲を見回した…そして、

 

「───くっくっく…余も歳かのぉ。そんな大事な事を忘れていたとは……」

 

笑い始めた彼女からはすっかり調子が戻っていた。そして、ネロは部下達に尋ねた。

 

「聞こう、神祖ロムルスに楯突こうと考える愚か者はここに居るか?」

「「…」」

「もし愚か者ならば余について来い!余は今を生きる人間だ。過去の亡霊に隷従してはならんのだ!!!もし余を愚かと笑い、従えぬと思うなら今すぐこの街に住むが良い!」

 

答えは、肯定だった。よし、これで攻め入る事が出来る!

 

「モードレッド───神殿の壁をぶち壊せ!盛大にな!!!」

「待ってたぜ、マスター!」

 

モードレッドはクラレントを胸の前で掲げ、白銀の焔を刀身に纏わせた。そして…

 

「これこそが!燦然と輝く王の剣──『我が麗しき父への恩返し(クラレント・リターン・アーサー)』!!!」

 

完全解放した照射ビームにより、神殿には大穴が空いた。モードレッドに素早く魔力供給を行った後、俺達は強硬突入を敢行した。

 

「マスター、ここの入り口は私が抑えます。先に行ってください」

「すまん、頼んだぞトリスタン!」

 

トリスタンに入り口の防衛を任せた俺達は大穴から敵拠点である神殿に入る。その先には………




10連ガチャ爆死。沖田狙いでしたが金鯖が一枚も出なかったとは…



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