「さぁーて…ガチャるゾォ〜」
「マスター……あん時のカッコイイ姿は何処へ行ったんだよ」
「うるせぇ!俺はの○太みてぇな奴なの!最初から最後までシリアスパートだったら疲れるんだよ!」
俺はツッコミを入れ、聖晶石ガチャを開始した。結構集まったからな!良いの出てくるだろ。
スパークを起こす召喚サークルを見ながら、俺は一歩下りその時を待った。
「サーヴァント、アヴェンジャー。召喚に応じ参上しました。……どうしました。その顔は。さ、契約書です」
俺達の前に現れたのは……数日前までアイカツに勤しみ、最期はジャンヌに顔面フルボッコにされた黒聖女だった。
「おかしいなぁ…見間違いかぁ?黒いジャンヌがいるぞぉ」
「奇遇だなぁマスター、オレもそう…見えるんだよなぁ」
「ぶっ殺すわよ2人とも!デュへるわよ!!!」
相当沸点が低いのか、ガチギレしているようなので古傷を抉る。
「───皆んなのアイドル ジャンヌちゃん」ボソッ
「」グサッ
「───デュへっちゃうゾ(はぁと)」ボソッ
「」グサグサッ
恐らく黒歴史であろうアイドル列伝について仄めかす言葉を投げかけたところ…案の定、彼女の顔は死人のような白から真っ赤に変わり、顔を覆っていた。
「冗談だって!ジャンヌちゃ〜ん」
「ヨロヨロだぜぇ〜、ジャンヌちゃ〜ん」
「ちょっ!?絡まないでよ!燃やされたいの!?」
「「──皆んなのアイドル ジャンヌちゃん」」
「───はぁ」
クソデカ溜め息を漏らしたジャンヌは諦めたように俺達に引き摺られていった…。
───
「へぇ、1年分しか食糧が無いから自給自足に切り替えたのね…」
ジャンヌは勝手にキュウリをもぎ取るとボリボリ齧った。やっぱり聖女を反映している所為なのか、田舎臭さが燃えカス程度残っているな。
「美味しいじゃないの。太陽も無いのによく育てたわね。評価してあげるわ」
「意外だな、てっきり捻くれた解答をするのかと」
「しないわよ、野菜に関しては正直に話すつもりだから」
最後まで味わった彼女は、終始笑顔だった。特異点の時では考えられないような…。
「さぁ、次はどんなものを見せてくれるのかしら?」
「げぇ…確かにジルのアレにそっくりね」
「オレも思った。」
養殖コーナーに向かうと、何故か複雑な気分になった。オルレアンのアレを見てからだと確かに食べ辛いよな。
「でも、美味いんだぞ?試しにこの
「うーん…悪魔の所業のような気もするけど、今はキリスト教の教えなんて反吐しか出ないからいいわ。食べてみようかしら」
「マスター、オレも食っていい!?」
「いいぞ、生食はもう少し軌道に乗ってからにするとして…今回はアレを作るとするか……」
活きの良さそうな物を選んだ俺は早速食堂へと向かった………。
───
「何これ…?」
「たこ焼き機だぞ」
「オレ知ってる!確かタコの肉をパンみたいので包んだジャンクフードだろ?」
確か雑誌で読んだんだよなぁ…とモードレッドは頬を掻きながら答えた。今日用意したのは大型のたこ焼き機だ。が、たこ焼きというワードに引き寄せられるようにやって来て仁王立ちする者が居た。
「オヤツと聞いてッ!」ド☆ン
「父上!?」
「流石アルトリア、地獄耳ィ!」
さっき見た時は養鶏場の施設で鶏に餌をやりながら妄想の世界に旅立っていたようだったが、現実に戻って来たようだ。アルトリアの視界にジャンヌが入った事で一瞬気まずい空気が流れた。
「いえ、言わずとも分かります。ですがご安心を。私は幾度となく貞操の危機を迎えましたが、いつも切り抜けています。深くは考えていませんよ」
「オレが居る時点で貞操も何も無いけどな!」
「ちょっ」
さりげなくブラックジョーク飛ばすなや!
そうツッコミを飛ばそうと思ったが、アルトリアは意外にも涼しい顔をしていた。過去を振り切ったのだと実感出来る。
「では、気を取り直して作るとしよう。まずここに処理済みのタコがある」
「オレ達が喋っている間にもう切られてる!?」
「で、薄力粉・出汁・水・みりん・醤油・卵を入れて混ぜ生地とする」
先にたこ焼き機に電気を入れ手早くハケでたこ焼き機の鉄板の上に油を塗り、ズバズバとかき混ぜて生地を作った俺は一度温度を確認し、熱が行き渡ったタイミングで手早く流し込んでいく。
「流し込む時は全体に埋まるくらいたっぷり生地を流し込むんだぞ?んで、穴のとこにタコと天かすを入れる」
「はやくたべたいです」じゅるり
「父上、顔が…」
「アハハハハ!天下の騎士王様が蕩け顔晒してるwwwしかも言語能力落ちてるしwww」
「まぁ急かすなよ!そらっ!ひっくり返すぞ!」
「スゲェ!美味そうだな!」
「……」じゅるり
「……」←じっと見てる
「はいお待ちどう!マヨネーズかけたくない奴いる?」
「ハイッ!誰も居ないのでありますッ!」
「もうおなかぺこぺこです」
「情けないわねぇ、じゃあいただくとしますか」
完成したたこ焼きに自家製ソース・マヨネーズ・青海苔・鰹節をかけ全員に手渡す。出来立てだから火傷するなよとお約束の台詞を言って早々にアルトリアが火傷した。
********************
「どうだい?ジャンヌ。ここの住み心地は?」
次の日にそう尋ねてみると、彼女は腕組みをして胸を張った。
「及第点ギリギリかしらね。どいつも綺麗事ばかり吐かしてムカついたけど…アンタは別ね。根底にある悪者の要素が感じられる…それと、アンタにべったりの不良娘も同じ。今は大人しいけどすごい元ヤン臭がするわ」
彼女の言葉は的確だった。洞察力に関しては充分に高い。
「さってと、私は種火周回レベルアップに行ってくるわ。後はよろしくね」
ジャンヌは軽く手を振り、部屋を出て行った。今日1日で、彼女との関係は少しくらい縮んだのではないか?と思う。この先、竜の魔女の力は絶対に役に立つ。その為にジャンヌとは素のままで信頼関係を築き、背中を預けられるだけの存在になろうと思う。充分収穫になったのではと思う。
以上、邪ンヌ参加回でした。さぁ、あなたもタコの如き海魔を食べるのです!