Grand Order Of Fate   作:レモンの人

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閑話休題です。しばし就活で忙しくなりますので短編が続きます。






閑話休題3…漢女の浪漫

「は、はぁ………」

「んでよ!ガショーンってなってバーっと飛んでバシュッと斬るんだ…聞いてるか!?」

 

ダ・ヴィンチは最高にテンションが低かった。人類が生んだ天才と言われている彼(?)でさえ、ぐだ男の相方ことモードレッドの擬音オンパレードの要望に頭を抱えていた。内容こそ「鎧のデザイン変更」という興味深いものであったが、その正体はどこぞの勇者パースよろしく男のロマンが凝縮された物だったのだ。自分のガントレットは棚に上げ、やれやれと肩を竦めた彼女はモードレッドの子供くさい説明を口に出して確認する。

 

「背中に高速飛行出来るスーパーバーニアを2基搭載、両肩には自動追尾ミサイルを左右5基ずつ内蔵、腰背部にはクラレント専用マウントラッチ、両腕にはビームサーベルを1基ずつマウント、ビームガトリングにもなるテールスラスターを腰側面に一基ずつ装備して、宝具専用予備魔力炉を胸部に搭載ね………」

 

一通りメモした後、ダ・ヴィンチはブチギレてメモを破いた。

 

「ナメとんのかワレェ!!!いくら天才だろうと限界あるわ!!!」

「はぁ……天才なら男のロマンの2つや3つ分かってくれると思ったんだけどなぁ…」

 

モードレッドはその結果に落胆した。溜めていたアニメを観て瞬く間にそのファンになった彼女はこの感動を自分の装備に反映すべくお願いしたのだが…冷たい対応にガッカリしていた。

 

「はぁ…“天才”なら分かってくれるって信じてたのになぁ…」

「やらないからね!?」

「“天才”って信じてたのに…」

 

だが、モードレッドの「お前も凡人」とも取れる発言にダ・ヴィンチもイラっと来ていた。

 

「あのねぇ!天才って言っても限度があるんだけど!」

「じゃあどの辺が難しいんだよ」

「例えば!スーパーバーニアだよ!飛翔させるのに相当エネルギーが必要だし、飛んでたら宝具使えるほど魔力を保てないわよ!?」

「じゃあ、どれくらいでなら妥協出来るのさ?」

「ホバリング」

「あー…」

「スラスターを各部に搭載して荒地や砂漠を踏破するのに向いてるぜ?これなら資源も踏まえて実現は出来る」

「他には?」

「テールスラスターとビームガトリングは一緒くたには無理。大体、攻撃に転用したら推進器が熱を持って使えなくなるでしょうが」

「はぁ…」

「どっちかにするんなら妥協は出来る。宝具専用予備魔力炉は実現出来る。ジル・ド・レェの宝具が似たようなシステムだったからね!」

 

ダ・ヴィンチは丁寧にイメージ図を描き起こしてモードレッドに見せた。

 

「で、総括すると…こんな感じになる」

「おー!ザ○ルみたいでカッコイイぜ!」

「例えがコア過ぎるわ!!!」

「ビームガトリングの代わりに長距離狙撃砲を載せてくれるんだろ!?かっちょいー!!!」

「もうクラレントとかモードレッドである意味とか無い気がして来たんだけどね!」

 

冷静なツッコミを無視してモードレッドは完成図を嬉しそうに眺めた。本当に楽しみらしく胸に抱いて喜んでいた。が、ここでダ・ヴィンチは冷水をぶっかけた。

 

「さて、ここからが私の提示する問題点」

「?」

「モードレッド、こんなにゴテゴテしたものいっぱい載せられて戦える?」

「あっ──」

「ロボットならペダル操作とかで済むけど、モードレッド本人に載せるのなら別よ?装備は重たい・剣が上手く振るえない・誘爆したらどうする・そもそも加速に体がついてこれるのか…考えた事ある?」

「うっ…それは……」

 

現にランスロットに追い込まれた際、今提案している兵装では厳しい事に気が付いたモードレッドは途端に尻込みしてしまった。

 

「『ぼくのかんがえたさいきょうのそうび』…考えるのなら楽だけど、実際に装備するとなると別。肉体とか…ロボットであればフレームを考慮しながら装備しなきゃならない。事実、実践は困難なんだよ」

「───そっか。納得したよ、ありがとな…」

 

悲しい目をしたモードレッドは、すごすごと工房から出て行った。流石に言い過ぎたかな…と思うダ・ヴィンチはモードレッドの落し物に気付いた。

 

「これは…DVD?」

 

 

*********************

 

「やー!凄いね!胸アツだぜ!あの展開は!」

「だろだろ!?勇者パースからのバスターソードで突撃一閃!やっぱデカブツは男のロマンだぜ!!!」

 

わずか1日で洗脳されたダ・ヴィンチはモードレッドとロボアニメの話で熱く語らっていた。俺もまぁ話に加わっているのだが、話についてこれなくなってきた。

 

「早速作ろう!モードレッドの鎧をカッコよくする為に!」

「オレもテストパイロットとして頑張るぜ!」

「まずは板野サ○カスばりのミサイルから行こう!」

「次は7本剣を使ってみたいぜ!」

「空飛ぶサーフボードも捨てがたいッ!」

「クラレントも貸してやるからよ!スッゲェ武器に改造してくれよ!」

「パイルバンカーとかどう?私は採用してるんだけど」

「いいねぇ!兜のカメラアイからビーム出るのとかどうよ!」

「ロケットパンチは!?ロケットパンチは採用するの!?」

 

 

 

「ダメだこりゃ…」

 

残念な女子達の姿を見て肩を落とした。全てを諦めた俺は、手作りコーラを一口飲んだ。マズイ…失敗作だ。クエン酸入れ過ぎた…。




モードレッドの兜ギミックをヒントに作りました。仮面ライダーばりに変形するモンだから…と一発ネタです。

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