【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~ 作:スターダイヤモンド
【終わりに】
前作では花陽をフィーチャーしましたが(最終話で『アメリカに旅立った』という設定にした為)今作は出演を控えてもらいました。
彼女はオリンピック観戦、チャリティライブとも遅刻して登場するわけですが…そういう意味では花陽が来る=9人が揃う=μ's…というような特別感は出せたのかなぁ…と思います。
スターは最後に参上…って感じでしょうか。
前作は…『希編』『真姫編』『にこ編』『ほのか編(雪穂編)』『ことり編』『みんな大好き編(絵里・海未編)』…と章が分かれています。
しかし絵里と海未については、ひと括(くく)りになってしまってしまい、個人的には不完全燃焼でしたので…コンドミニアムでの部屋割りは、その3人を一緒にしました。
これも結果として、前作のエピソード(解散を発表した海岸からの帰りの電車のシーン)を活かすことができたので良かったと思ってます。
特に『朝食の支度のシーン』は、その時に絵里が明かせなかった『花陽への想い』を吐露することができ、私としてはようやく『えりぱな編』が終結したという感じです。
そして、この前作の絵里編が『今思うと』今作に繋がる大事なパートで…『Aqoursの黒澤姉妹がなぜ絵里推し・花陽推しになったのか』…という根拠になってます。
前作をご覧になった方ならわかって頂けるかと思うのですが、個人的にはこれを書いておいたおかげで『なぜ彼女たち(千歌、ダイヤ、ルビィ)にとってμ'sが特別な存在なのか?』『なぜ同じステージに立ちたいと思っていたのか?』という説得力を持たせることができ、尚且つ、楽屋のシーンに上手く展開できたと自負しております。
従って、ここで『えりぱなのエピソード』を挟んだのは、後々登場する彼女たちとの関係性を強調する為でもあり、私の中では、わりと重要なシーンとなりました。
「行き当たりばったりで書いている」と言いながらも、これについては多少先のことを計算していた感じです。
しかし結果論ですが、その花陽と絵里が、梨里と直接絡むことなく終わったというのは、自分でもとても不思議に思ってます。
当初は絵里を主役に据えよう!…と思っていたにも関わらず…です。
恐らく、私の中で「おっぱい星人の梨里がこの2人に会っちゃうと、どんどん海未から離れていくだろうなぁ」という気持ちが無意識に働いたのかもしれません。
前述しましたが、ゴールを決めずに書き始めたことも含めて、青年になった梨里のキャラはあまり固まっていませんでした。
最終的には、つばさから『口だけ番長』と言われるような…そこまで非道な人物ではなくなってしまいましたが…途中までは『めぐみ』『あんじゅ』『希』『絵里』『花陽』『ことり』たちに手を出しまくる…という展開も考えていました。
どうでしょう?そっちの方が面白かったでしょうか…。
…とはいえ、書いているうちに「それは内容とマッチしないなぁ」と思ようになり、ニュアンスだけを残してみました。
従って『海未が見た夢』が、本筋になっていた可能性は否めません。
梨里と直接絡まなかったキャラで言えば、凛とにこもそうですね。
仮に絡んだとしても、梨里は彼女たちにまったく興味を示さなかったかもしれないですけど…。
ただし書いている側としては彼女たちと希はとても貴重な存在で…セリフの語尾に「…にゃ」を付ければ凛……関西弁にすれば希…だとわかってもらえます。
にこは(前作から一貫して一人称を『アタシ』、二人称を『アンタ』と表記してきたのも踏まえて)、口調からわかって頂けるかな…と思っております。
つまり、この3人は『ト書き(…と言った…という説明文)』を入れなくても会話が進むので、すごく使い勝手が良いキャラなのです。
彼女たちがいると、そのシーンはスムーズに進み、スピード感が全然違います。
逆に言えばそれ以外のメンバーのセリフ回しには、すごく苦労しました。
自分で読み返して「これ、誰が言ったんだろう」みたいなセリフは「○○ちゃんの言う通り…」と後ろの人が固有名詞を口にしてフォローするという苦肉の策を取りました。
このパターンが出てきたら「それなりに苦労したんだなぁ」と、思ってください。
さらに言うなら、梨里と真姫はもう少し絡ませたかったですね。
こちらは上記の巨乳組とは違って…梨里が…というより、真姫の方がどんどん彼を意識してしまうとう展開で…『つばさと海未の関係』から『海未と真姫の関係』というストーリーに移行するつもりでした。
しかし、それを書いていくと、話がダラダラと長くなりそうだなぁ…ということで、断腸の思いで割愛しました。
初詣の時に梨里が倒れたシーンでも、彼女の病院に連れて行くかどうか相当悩んだのですが…オリンピック観戦時に「冬休みになったらアメリカに旅行に行くから」的な発言をさせていた為に見送りました。
将来的に、彼女が彼の主治医になる…ということも一応考えてはみましたが、自分の中で真姫は、外科医というよりは内科医というイメージだったので、それもボツにしました。
そして、本当に最後の最後まで決めかねたのが、梨里の結婚相手です。
ずっと、一発逆転で『ことり』という案を捨て切れずにいました。
これは、先に書かせて頂きましたが、当初は彼女が主役…というプロットもあったので、それに引きずられた感じです。
ただ「それではあまりに海未が報われないだろう」と思い、最終的には落ち着くところに落ち着きました。
ちなみに、ことりの娘は『内田陽菜(うちだひな)』としましたが、苗字は考えるのが面倒くさくなり、中の人の名前を借りました。
最終話でアナウンスサーが、母親は『南ことり』と言っております。
親子で姓が違うのは、ことりが離婚したわけではなく、彼女が『アーティスト名』を旧姓のまま使用している…と理解してください。
梨里と海未の娘は『みそら』と言います。
漢字で書けば『美空』です。
『自分の名前の呼ばれ方(読まれ方)』にコンプレックスを持っていた梨里は、彼女が『みく』と読まれることを嫌って、敢えて平仮名にした…という設定です。
もちろん『海(未)』に対して『(美)空』だということは、容易に想像が付くと思いますが…もしかしたら『つばさ』『ことり』というワードが彼の潜在意識の中にあり、そこからインスピレーションを得た…ということは否定できませんね。
海未が、それに気付いていたかどうかは定かではありませんが。
世の中は矛盾だらけです。
理不尽なことに苦しんでいる人はたくさんいるでしょう。
それでも時間は止まらないですし、戻りもしません。
この作品では色々なことを問題提起させて頂いてますが、その多くが、簡単には解決できないものばかりです。
作品を書いている最中にも、様々な事件が起き、随時、盛り込んでいきました。
その為、あれこれ散漫な感じになってしまいましたが、根底にあるテーマは同じです。
被害者と加害者のプライバシー、知る権利と報道の自由、ネットリテラシー等々…。
そして何が正義で、誰が正義なのか。
きっと永遠に答えは出ないのでしょうね…。
実は今作のテーマは『デビルマン(コミック版)』がベースになっています。
古い作品ですので未読の方も多いと思いますが、デビルマンはコミックとアニメではまったく内容が違います。
機会があったら読んでみてください。
作中のどのあたりがそうなのか…「あぁ、なるほどね」と感じて頂ければ、作者冥利に尽きるというものです。
最終話については、かなり唐突な終わり方をさせたな…と自分自身でも思ってます。
もっと色々、間に挟みたいエピソードはありました。
梨里が苦闘しながら復帰するまでとか…それを支える海未の様子とか…2人が結婚に至るまでとか…。
そこまで辿り着くのに紆余曲折があっただろうし、μ'sのメンバーたちも順風満帆ではなかったハズです。
そして梨里の死後、海未はいかにして立ち直ったのか…。
取り敢えず今は、一旦完了としてしまったので、すぐには書けないですが…気が向いたら『エクストラステージ』と称して、更進しようかな…とも思ってます。
従って『連載完結』にはせずに、しばらくは『連載中』としておきます(もしかしたら別作品として短編にするかもしれませんが…)。
ちなみに不定期連載ですが『アナザー サンシャイン!!』という作品を書き始めました。
飽きっぽくて、申し訳ございません。
興味があったら、覗いてみてください。
最後に…正直、この作品を楽しんで頂けたかどうか、自信はないのですが…お気に入り登録頂いた方々、コメントを頂いた方々、そして一度でも読んで頂いた方々…本当にありがとうございました。
改めて御礼申し上げます。
では、また…。