これからはどんどんペースが落ちていくものと思われます。というのも、来年から受験生でした、そのための勉強でしばらく投稿が滞りがちになりそうです。
それでも可能な限り投稿していくので、見守っていてください。
ではではどうぞ。
私がゲームにログインするとき、思いっきり空を飛んでみたいと思っていた。
そして私は今、広い迷宮の中にいる。
「お兄ちゃん...。私を騙したね!?」
「マスター、どうしましたか?」
急に声をかけられて振り向くと、そこには小さな女の子は浮かんでいた。もしかして妖精?
「マスター、もしかしてついに脳まで腐っちゃいましたか?だとしたら非常に残念無念ですが不肖私が介錯を...。」
訂正。この子は悪魔だ。
というかお兄ちゃんはなんでこんな口の悪い子と知り合いなんだろう。...あ、お兄ちゃんの悪影響を受けた被害者の可能性も有る...
「むむ?これはバイタルデータが少し異なりますね。一応誤差範囲内ですが...この様子からすると、あなたはマスターの妹さんですか?」
「うん。ちょっと勉強の息抜きに遊びに来てみたんだ。あなたは?」
「私はマスターのナビゲーションピクシーのセレビスです。簡単に言えば、便利な使い走りですね。」
「使い走りって...。」
私が呆れてお兄ちゃんとの関係を問いただそうとすると、奥から足音が聞こえてきた。
「ゆきのん、見つかった?」
「いいえ、まだよ。どうやらいつものように空気になったらしいわね。それならいっそ千の風に下上げようかしら。」
「それって八つ裂きどころの騒ぎじゃないような...」
どこかで聞いたことのある声だった。もう少し近くに行けば...
「だめですよ!」
突然セレビスちゃんに止められた。事情を聞くに、お兄ちゃんが何かしでかして逃亡の身になったらしい。
「あのごみいちゃんは...」
「あ、その呼び方いいですね。ごみいちゃん。ぜひマスターにたくさん言ってあげてください。」
「セレビスちゃん、結構口悪いよね...。お兄ちゃんの影響?」
「8割方そうですね。そもそも名前からして『卑屈』ですし。」
うわ、名づけすらひねくれてた。...でも、これはこれで面白そうなコンビのような...
なんて思ってたらすぐそこまで結衣さんたちが接近していて慌てて身を隠す。よくわからないけど、気配遮断と擬態をかけてやり過ごそう。
「なんだかんだ言って兄弟同士思考回路は似てるんですね。」
「それって絶対ほめてないでしょ。」
「皆さんのマスターに対する評価ってどうなってるんですか!?あまりに低すぎません?」
「だってお兄ちゃんだもん。」
「衝撃の回答!」
それでも結果的にはみんな納得するから間違いじゃないんだけどね。一応フォローすると、自分を犠牲にしてでも周囲の手身に動く癖がある。
こういえば聞こえはいいけど、いつになったらお兄ちゃんは気づくのかな...
「!?ねえ、あそこ。少し不自然じゃない?」
「え?どこどこ?」
「あ、あそこね。少しつついてみましょうか?」
「そうね。じゃあまずは私から」
そういって結衣さんたち三人がこちらに寄って来た。
ところで、みなさん完全装備過ぎませんか?片やレイピアで大技の構え、片や魔術の詠唱。え、即死のやつです?
私とセレビスちゃんは冷や汗をだくだく流しながら必死に逃げ道を探っていた。
「(こ、ここから脱出する裏の抜け穴とかないの?ダンジョンによくあるってお兄ちゃんが言ってたんだけど!?)」
「(駄目です...あちらのナビゲーションピクシーのほうが一枚上手です。完全に退路を断たれてます。)」
うっわあー...これって詰みじゃん。ごみいちゃんホントになにしたの!?もう、こうなったら一か八か...
「み、みんな、少し話を聞いてくれ!」
私は気配遮断を解いて弁解を試みた。しかし、恐ろしい圧に早速心が折れそうになる。
「わた...俺がお前たちに悪いことをしたのは謝る。だからその手を下げて...」
ジャキイイン!!!
のど元にレイピアが突き付けられただけだった。
「ねえ?80000君。私たち、あなたを追ってお化けとか苦手なのをこらえてまで必死に探しに来てあげたんだよ?」
「う、うん。ありがとう。」
「でもね。80000君は、私たちの通るルートに一々ゾンビの死体を残していったよね。あれってどういうつもりなの?」
「!?し、知らないよ!そんなこと。セレビスちゃん、何かした?」
「ヒューヒュー(口笛)」
犯人この子だー!?真犯人が実は相棒って衝撃的すぎるんだけど!小町的にポイント乱降下しすぎ!
「ほ、ほら。真犯人も無事捕まったことだし、ここはもう場を収めて...」
「...80000さん。」
セレビスちゃんを生贄に場を収めることに成功しかけたところに水を差したのは茶髪の猫耳の女の子だった。
彼女は私を少し似らうようにして問い詰めてきた。
「あのPKギルドとの話し合い、どういうつもりなんですか!」
「え、ええ?」
「PKギルド同士で戦争なんて正気の沙汰じゃないです!絶対に裏で不正をする人や暴走する人も出ます。それに...80000さんはどうなるんですか!?すべての元凶として吊るし上げられてもおかしくないんですよ?そのままALOをやめることになっちゃうかもしれないんですよ?」
彼女は、真剣に怒っていた。真剣に考えて、怒って、お兄ちゃんのことを心配していた。
なんだ、意外といい友達持ってるんじゃん。ちょっと小町的にポイント高いかな。
だから、ここはたまったポイントで特別サービスをしてあげよう。
「ああ、でもそれは結果的に皆のためになることなんだ。」
お兄ちゃんのひねくれた口調をまねてみる。だてに妹を15年やってるわけじゃない。このぐらいお手の物。
「それに、リアルの俺は来年受験生で、どうせ1年は休むことになる。その間にほとぼりは冷めるさ。」
ここまではお兄ちゃんの真似。だけど、その先は私のサービス。
「それに、この方がお前のためにもなっただろ?」
「え?私のため?」
「ああ。そうした方が一番お前が安全だったから、そうした。それだけだ。」
「...ッッ~~~~~」
よしよし。状況がよくわからなかったから適当に誤魔化してみたけどうまくいったみたい。
まあ、あとはお兄ちゃん次第かな。このままうまくいってくれたら私としてもおさっけようしなくて済むからありがたいんだけどな。
こればっかりはお兄ちゃんとこの人の問題だから。
「あ、そろそろ俺は一旦ログアウトしなきゃいけないな。ここまで来てもらって悪いんだけど、もう少し待っててもらえるか?」
そろそろ時間がやばいしこのまま帰ろうとすると、雪ノ下さんに呼び止められた。
「今度はちゃんと遊べるようにしておくから、いつでもきていいわよ。」
...なーんだ。ばれたんだ。なら、今度は勉強ついでに遠慮なくお邪魔させてもらおう。
「了解。じゃあ、またね。」
こうして、私はALOの世界から現実世界へと戻ってきた。
うーん。それにしても体が重い。これがお兄ちゃんが疲れてるように見えたやつか。これなら納得。現実の感覚に体が順応していくみたいな感じ。
「さーて、勉強勉強...あれ?」
机にはなぜかお兄ちゃんが寝ていた。もしかして、最初からバレてた?さらによく見ると、私の体には毛布が掛けられたいた。冬場の寒さで風邪を引か荷ないようにとの配慮だろうか。
「お兄ちゃん、変なところで気が利くなあ。」
「ん...ん?」
「あ、起きた。」
私の顔を見て大きくあくびをすると、少し厳しめの表情で叱ってきた。
「受験生がゲームなんてするものじゃありません。」
「...お母さん見たい。」
「そうか?まあ、専業主夫を目指すものとして誉め言葉として受け取っておく。」
褒めてない褒めてない。
「あ、そうそう。これ、結構いい息抜きになったよ。」
「ならよかった。」
実際は空も飛べなかったし、モンスターも倒せなかったけど、お兄ちゃんの弱みは握れたし、上出来かな。
「なんか悪だくみをしてそうな顔だな。」
「してないよ~。あっ、そうだ。」
一通りさっきの事情を伝えておかなきゃ。混乱したり矛盾を起こしたら怪しまれちゃうし。
「さっきね、茶髪の猫耳の子の一件フォローしといたから心配しなくてもいいよ。」
「シリカのことか?ふうん...。まあ、ありがとな。」
「大丈夫だよ。それよりさ、お兄ちゃん。」
「何だ?」
「シリカちゃんと、うまくやっていきなよ?」
その言葉に含められた意味に敏感に気付いたお兄ちゃんは慌てた様子になった。
「まて!何を吹き込んだんだ!?」
「えー?いろいろだよ!」
「具体的には?」
「『お前が一番安全だったから』」
「!?」」
絶句するお兄ちゃんを置いて、私はお風呂へと逃げ込む。
「よーっし、お風呂入らなきゃ。」
「ま、まて!」
当然無視して進んでいく。その時のおにいちゃんはいつ思い出しても笑っちゃうほど情けなかった。
きっとお兄ちゃんだし、また壁を創って逃げようとするんだろうな。で、それをシリカちゃんが追いかける。
普通の人だったらダメダメだって笑っちゃうような光景だと思う。
でも。
「お兄ちゃんもシリカちゃんも、頑張ってね?」
やっぱりお兄ちゃんのラブコメは間違ってないと思う。
次回、アルゴが参戦します。
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