捻くれぼっちプレイヤー   作:異教徒

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 ごめんなさい。本当にごめんなさい。

 今後はなるべく早く投稿します。


第20話:斯くして序章は終わり、蝙蝠は舞う

 「で、80000はずっと逃げ回ってたのか?」

 「ああ。面目ない...」

 キリトの手前、少しだけ申し訳なさそうにしているが俺より隣にいるシリカが圧倒的に申し訳なさそうにしている。

 「いや、さすがにゲームを始めてすぐに対人戦はやっぱり無理があったんだ。これはしょうがない。」

 「そういってくれると助かる。思ったよりシリカが強くて助かった。なあ、シリカ?」

 「ふえ?ひゃ、ひゃい!」

 俺が話を振ってもこの始末。心ここにあらずといったところか。せっかくのチャンスなのにもったいない。

 そろそろ強硬策に出るかと思案していたところで、キリトのほうから一つ提案があった。

 「この後のギルドとの交渉なんだけど、悪いがシリカと変わってもいいか?」

 「どうしたんだ?何か問題でもできたか?」

 突然の申し出に俺は少し戸惑う。ここでキリトがいなくなると戦力不足に陥ってしまう。正直言って俺は不意打ち闇討ち陽動かく乱しかできないので真正面から切り込める人材が必須だ。

 「いや、本当に悪い!ちょっと領主組との話し合いに俺が行かなくちゃならなくなって...」

 「領主組?」

 「ああ。このALOの主軸をまとめるリーダー的な人たちのことで、そこのスプリガン代表の代わりに出てくれって頼まれちゃってな...」

 「頼まれちゃってって...。まあ、仕方ないから別にいいけど、シリカ以外に代わりはいるのか?」

 できればアスナあたりが欲しいところ...最悪材木座でもいい。なんだかんだ言ってあいつは強いらしいし。本妻と同行するシリカもつらいだろうし。

 「いや、それがみんな予定が付かなくって...」

 まじか。いや、これは無理だ。火力なしで城攻めをするなんて愚の骨頂だろ。

 「最悪材...義輝でもいいんだぞ?」

 「いや、あいつはかなり忙しいっていうか、今回手伝ってくれてるほうが不思議っていうぐらいに多忙だぞ?

イン率は普通のプレイヤー並みであれだけの道場を回しながらクエストもこなしてる時点で相当にかつかつなはずだし。」

 「くっ...。肝心な時に使えないやつめ。仕方ない。軽く混乱させて撤退するか...」

 「まあ、こうして捕虜は取ったんだしいいんじゃないか?あとは軽く警告するぐらいでいいわけだし。」

 「シリカ、それでいいか?」

 「...はい。わかりました...」

 完全にやる気を失っているな。キリトがいない以上特にやる気を出す必要もないし、何よりモチベが上がらない。しかし、ここで手を抜かれても困るので一応フォローだけはしておく。

 「キリト、少し耳をかせ。」

 「ん?なんだ?」

 「この件が終わったらシリカをどこか遊びに連れ出してやれ。さすがにお前抜きで敵陣に突撃させるのはかわいそうだろ。」

 「う...。それを言われると断りづらいな。」

 「お前なら修羅場っても何とかなるだろ。まあ、誘うなら可能な限りシリカ一人だけにしとけよ。前みたいになっても俺は責任を取りかねるぞ。」

 「.........わかった。」

 どうやら前回は相当に恐ろしい目にあったらしい。一応承諾はしてくれたが後でこっちのフォローにも回るか。

 ついでにいろいろ頼みたいこともあるし。

 「じゃあ、シリカ。いったん装備を整えてから行くぞ。」

 「いえ。もうこのまま行っちゃいましょう。」

 突然やる気になり始めたシリカは困惑する俺をよそにとっとと準備を整える。

 「はい、ポーションです。これ飲んだら出発しましょう。」

 「お、おう。」

 「それじゃあ、キリトさん。会議頑張ってください。」

 「あ、ああ。シリカもがんばれ。」

 「はい!」

 花の咲くような笑みで答えるとシリカは空高く舞い上がった。それに置いて行かれないように俺も飛び立つ。

 この後の惨劇には気づきもしないで...

 

 

 「せやああっ!」

 「がはあっ!?」

 「とりゃあ!」

 「ごふっ!?」

 「いいですか、今私は怒ってるんです!こうなりたくなければ早くギルマスを出してください!」

 「ひいいいいいいっ!?」

 

 シリカは大変ご立腹だった。

 

 お目当てだったキリトが急用でいなくなってしまったから。

 ついでに80000に手柄を譲られて内心複雑な気持ちだったから。

 「最後に、私は早く帰りたいんですよーっ!」

 「ごぐはあっ!?」

 こうして悪鬼羅刹となり果てたシリカの前には死屍累々が積みあがる。

 女子って怖い。ほんとに怖い。そしてこんな女子たちと一緒にいて生きているキリトが一番怖い。

 「お、おい、そこのお前!お前の相方の手綱位ちゃんと持てよ!」

 とあるプレイヤーから投げつけられた悲痛な叫びが胸を打ったが、俺はキリトから預かっているにすぎないためどうしようもない。レベルが足りないのは仕方がないな。

 「さて、あらかた片づけましたけど。ギルマスはいったいどこに...」

 「ここだぜ?」

 声の方向を見ればフードを被ったサラマンダーが立っていた。そしてその腕には笑っている棺桶の入れ墨。

 「『笑う棺桶』!?」

 「なんだ?お前もSAOサバイバーか。そっちの兄さんは?」

 「ただの観客。」

 「はははっ!じゃあおとなしく帰ったりはしてくれないかね?こっちはいろいろ忙しいんでね。」

 「まあ、別にいいけど。」

 「はははっ...はあっ!?」

 サラマンダーは困惑している様子だが、こっちとしても帰れるものなら早く帰りたい。

 後、ブレーキを亡くした狂犬(猫)からの攻撃に耐えれるならご自由に。とも伝えておく。

 「80000さん?」

 「い、いや!冗談だって冗談!まさか本当に帰るわけ...」

 「帰ったりしたら、潰しますよ?」

 どこの何を潰すんでしょうか?と聞いたら恐ろしいことになりそうだったのでやめておく。

 「ん?80000?どっかで聞いた名前だな。」

 「気のせいだろ。SAOはプレイしてないし、ALOは初めて数日だぞ?」

 「んんー?まあ、いいや。とりあえず、そっちの頼みはPKをやめることでいいのかな?」

 「具体的には別ギルドのに依頼をして獲物を見繕ったりするのを止めてほしい。それさえ飲んでくれればこちらとしてもいくらかの見返りは出せる。」

 「例えば?」

 ここでいくつかの案があったが、シリカが付いてきている以上あまり物騒な案は出せない。

だが、俺は敢えて物騒な案を選んでみた。そっちのほうが釣れそうだったから。あと、面白そうだったから。

 

 「そうだな...例えば______PKギルド同士で連合組んで一大戦争ってのはどうだ?」

 




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