赤色の魔法陣です。
更新が遅れてしまい申し訳ありません。
では、どうぞ。
「ここは?」
広い研究室のような所から配管が張り巡らせられた実験室のような部屋に来た俺はウィッチさんに尋ねた。目の前には巨大な何らかのエネルギーの発生装置のような物が壁際に設置されている。
「何だと思う?」
「んー、発電施設?」
俺の精一杯の答えにウィッチさんは、
「あー、まぁ見えなくもないかなぁ、うん。仕方ない」
……間違ってるんですね。その反応的に間違ってるんですね
「これはね、『次元超越マシーン』」
……何か発電機より凄い答え返ってきたんですが
次元超越と時空超越と何が違うのだろう。いわゆるタイムマシンという奴ではないのか?そもそもタイムマシンだったら一大事だと思うが。
「タイムマシン的なヤツですか?」
「んー、ちょっと違うんだよ。この機械は異なる次元を繋げることができるの。でもタイムマシンは過去や未来に行ける機械だけどこの機械は神話や童話の世界に行くことが出来て、その世界の人々に触ったり話したりすることが出来る。これがタイムマシンとこの機械との違い」
……それってこの世に存在して良いマシーンなのか?
しかし今はそんな疑問を投げ掛けている場合ではないだろう。それを頭の隅に追いやり、事を進める為に答える。
「だいたいわかりました」
「人ってそういうセリフ言う時はだいたいわかってない時だよ」
……見破られてましたか。さすが
「で、これから何をするかというと、君には神話の世界に行ってもらう」
「え⁉神話の世界に⁉」
神話の世界ということは神に会えるということだ。神話好きの俺にとってこれ程興奮することはないだろう。
「それが
「そう。そいつらは神力を手に入れようと君や神達を襲って来る。もちろん殺す気でね。それに神達も一筋縄じゃいかない。それがさっき“神”が言ってたこと。君には殺されずに神力を貰って来て欲しい」
そんなゲームみたいに簡単に言うが俺が太刀打ち出来るのだろうか。GDの強さもよくわからない上、神話によっては神力とやらをもらう前に即死させられそうな神などいくらでもいるだろう。
「まぁ、なんとなくわかりました」
「そう。じゃあそこに座って」
ただただ説明を聞かされそれに頷くだけでまるで口車に乗せられているような気分だが俺は言われた通り『次元超越マシーン』の椅子らしき場所に座った。
「どうやって行くんですか?」
「まあまあ慌てずに」
待ちきれない俺を彼女はなだめる。そして椅子の下に置いてあったマシンに繋がった管が着いている美容院のパーマをかけるヘルメットのような物を持ち上げる。
「これかぶって」
とそれを渡され俺はヘルメットらしき物をかぶった。以外にサイズに余裕がありずり落ちてしまいそうなのを彼女が固定するように俺の顎の下にくくりつけてあったストラップを巻く。
しかし思いの外このヘルメットが重い。少しぐらいなら平気だろうが長時間この体勢だと首を痛めそうだ。それを彼女に伝えるとそうだよね、と言って台のような物を持ってくる。
それを椅子の裏に置くと俺からは見えないが何かしらをいじっているらしい。しばらくするとかなり首が楽になるほどヘルメットが軽くなった。管をどこかに固定したのだろう。
最終チェックというように彼女が俺の前に移動すると頭の上に手を伸ばしヘルメットがちゃんとはまっているかを確認する。だが座ったままの体勢の俺に取って目の前の光景は眼福...いや目の毒であった。
早く終わらないとヤバイと思っているとよし、と声を出した彼女が俺から離れてマシンの制御盤のような物の方へ行き、何かを起動させるように指を走らせた。すると後ろから起動音が鳴り響き、同時に静電気のようなビリッ、バリッという電気音も聞こえてくる。
……え?何か嫌な予感がするんだけど
「ちょっとビリッってくるかも。でも男の子だし平気だよね?」
「え?ウィッチさんそれってどういう...」
「行ってらっしゃい」
俺が聞き終える前に彼女がボタンを押すと全身に電流が流れたようなショックを感じ俺は気絶した。薄れゆく意識の中思ったのは
……ビリッ、どころじゃないじゃないですか...
というツッコミだった。
※ ※ ※ ※ ※
「よう、お目覚めか」
聞き覚えがある声、セリフ。そしてその声の主。俺が目覚めて辺りを見回すとそこは“神”と初めて会ったあの空間だった。
「何、また俺死んだの?」
「違う、お前は私の次元に飛ばされただけだ」
「そうか」
……ここは“神”の次元ってことか
先程と“神”がモニター越しだったのはこいつ自身が別次元の存在だったからという理由なのか。だったらこいつは二次元なのかそれとも四次元なのか、それともまた別の三次元の存在なのか。
こいつは一体何者なんだ考えていると“神”がニヤニヤしているのに気づいた。
「何だよ?ニヤニヤして」
「お前、ウィッチに弱いだろ。さっきも胸ガン見だったもんな」
「なっ⁉そ、そんなわけ」
図星で顔が紅潮してしまう。仕方ないだろ、大体異性との距離感もまともにわからないのにあんな綺麗なJDが接してくれているんだ。まともなDKならタジタジになって当然だ。
「顔に出てんゾ、以外にムッツリなんだな」
「う、うるせぇ」
……こいつ俺をからかってやがる
「お、そうだ。
「良い物?」
怪しいなとは思いつつポケットを探るとGod-tellが入ったままになっていたのでそれを取り出した。どうやら所持していたものも全て次元を超越するらしい。でも考えればそうか、肉体だけ超越したら今全裸になってるはずだし。
「ほら」
“神”が指を鳴らす。すると目の前に三つの物が現れた。一つはゲーム等でよくみる両刃の剣、一つは鏡、もう一つは壺のような物だった。
「そいつの『スキャン』っていうボタンを押してこれらに向けてみな」
言われた通りにGod-tellの『スキャン』というアイコンを押すとライトが光り出し、それを三つのうちの剣に向ける。すると、
「は、入った⁉」
光に当たった剣はたちまち粒子となり、God-tellの中に入った。そしてアイテムに剣が追加されましたという旨の説明がGod-tellに表示される。他の物も同様だった。
「それはアイテム。お前が困った時に役に立つかもしれないから上手く使えよ。じゃ目瞑れ」
俺は何かされるんじゃないかと疑いながらも目を瞑った。
「じゃあな」
という掛け声と共に背中を押された感覚があったと思うと、突如風がすり抜ける。俺が目を開けた時、俺の目に映ったのは“神”のいた真っ暗な空間ではなく、草が風に揺れ、太陽がさんさんと照る青空の元に広がる見知らぬ野原だった_____
やっと神話の世界に行きましたね。
次回は、あの有名な神様が登場です。
お楽しみに。