俺達と神達と空想神話物語   作:赤色の魔法陳

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翔「...」

麗「...空気重たいな」

巳「喧嘩中だからね、あの二人が。まぁ何とかなるでしょ」

林「あのまま別れたらどうする?」

ク「そんなネガティブな...まぁ人の気持ちは変わるとはいえあの二人なら大丈夫だと思いますが...」

零・卯「「本編まだ!!!?」」

翔「あっ、すいません!今、やります!どうぞ」


憂鬱に身を任せて

「今回は私と麗華ちゃんと翔君、三人でこの世界に行く。準備は良いね?」

 

 卯一が研究室内で箱舟ノ書を持ちながら麗華と翔に説明する。午前中の爆発事件から時は過ぎ今は十四時。昼食を外で食べ終え帰路へつこうとしていた麗華と翔に卯一から召集がかかった。

 

 ラボに入るのは初めてである麗華を翔が先導し、研究室内に入るとそこには少し目を赤くした卯一が一人待ち構えていた。そして傍らに置いた箱舟ノ書を持ち上げ今の説明に至る。

 

 この提案は二人も予想はしていた。零矢抜きでの作戦決行、零矢と卯一の関係が現在こじれている以上純粋な戦闘力としてはかなり落ちるがこれが最適解のメンバーであった。

 

「おいおい、零矢はどうした?流石に零矢抜きはキツいだろ...」

 

 爆発事件で全員のイヤホンマイクを召喚した以降、誰とも喋っておらず何も知らない“神”が零矢抜きで三人が作戦を始めようとしているのに疑問を持ち声を掛ける。

 

「黙ってて...今回は彼抜きで行く。多分...彼も承知してるはずだから」

 

 卯一の零矢の呼び方がいつもと違う雰囲気になっているのに気付いた二人は、卯一と零矢の仲はもう修復不可能なほどに壊れてしまっているのかと心配になるが

 

「彼も私も...少し距離を置いた方が良い。少なくとも今はまだ...そんな事よりすぐに行くよ、今日中に終わらせる」

 

 卯一は白衣を椅子に掛けると武器庫と書かれた札が掛かったドアを開いてその中へと消えた。そしてしばらくしてGod-tellをいじりながら戻って来ると

 

「あぁ...そっか。二人とも今回が初めてか、何だかいつも通りに行動しちゃった。アハハ...ドジだな、私」

 

 苦笑いを浮かべながら卯一は頭を掻く。その表情に哀しげな雰囲気を感じ取った二人は卯一も零矢に対して声を荒げた事に少なからず自責の念を抱いているのではないかと思った。

 

「君達よりも歳上の私がしっかりしなくちゃね!」

 

 自分の頬を両手でパンッと叩いた卯一はこっち、と言って次元超越と書かれた札が掛かった部屋のドアを開け、二人を中へと案内する。

 

 そこには発電機のような機械が壁際に設置されており、そのすぐそばに椅子が四つ並べられていた。それを見ながら二人は躊躇いながらも順番に座っていく。

 

 卯一はそれを確認すると二人にヘルメットを取り付け位置を調整し制御盤の元までいくと装置を起動させる。二人の身体に電流が流れ意識を失ったのを確認した卯一はタイマーをセットし、自らも空いた席に座ってヘルメットを被った。

 

 ふと横の空いた席を眺める。本来ならばここに一番信頼していたもう一人が座るはずだった事が卯一の心に思い出される。

 

……巳羅姉の言う通りだ...後輩クンもきっと...

 

 自らが犯した過ちを悔いるように涙を浮かべる卯一の元に電流が流れる。薄れゆく意識の中、卯一は再び零矢に会った時必ず謝ろうと心に誓いながらその目を閉じた。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「ただいま...って返事なんてないか」

 

 帰宅した零矢は靴を脱ぎ捨てリビングのソファーに寝転がった。何をなそうにもエネルギーが必要である為、ソファーの上から起き上がる事は出来なかった。

 

 静かな家、高校生一人が住むには広すぎて孤独感を嫌でも感じていた零矢に取って卯一の存在は大きかった。

 

(仕事だからね、私達家に帰ってこれないから零ちゃん一人で頑張ってね)

 

 元々家を空けがちだった零人と早矢がそう告げたのは四年程前だった。それから必要な分の生活費が口座に振り込まれそれで暮らしていく毎日だった。

 

 誰もいない家で自分で作ったご飯を食べ、温もりなど何も感じないまま布団に入って朝を迎える。そんな無機質な生活を零矢は続けていた。

 

 受験の時も三者面談に親は来ない。受かった時も喜びを分かち合う相手などいない。そんな零矢の心を支えていたのは子供の頃からの憧れのヒーローだった。

 

 日曜日にTVを着ければ出会えるヒーロー、強くカッコよく誰からも愛される、そんな風になりたいと年頃の零矢は感じていた。だから姉貴亡き後も山に入ってはトレーニングという名目で運動を重ね現行ヒーローの必殺技を完コピするまでに至った。

 

 だが現実はそう甘くない。高校に入学し部活体験の際に運命は零矢に牙を剥く。同級生に比べあり得ないほどに鍛えられた零矢の身体能力は常人を逸脱していた。

 

 サッカーボールを蹴ればボールが割れるかゴールポストが曲がるかの二択、竹刀を持てば面の一撃で現役の主将を気絶させ、柔道をすれば投げるだけで相手の骨が砕けた。

 

 超人と言えば聞こえは良いが実際の零矢に対する実際の反応は化け物の一択だった。どの部活からも入部を断られ関わりたくないというようにクラス内でも孤立させられた。現実では零矢は誰からも愛されることなく疎まれてしまう存在になった。

 

(後輩クン♪)

 

 そんな零矢の人生を変えたのが卯一だった。誰も待ってはいないが家に二人で帰る。自分の為に作ってもらった料理を食べ温もりを感じながら布団に入る。

 

 まだまだ疎まれながらも学校では弥生や真や翔や麗華が話し掛けてくれる。卯一が零矢の家に来てからは世界が変わって見えたのは事実である。

 

……言い過ぎたよな...何であんなに怒っちゃったんだろ

 

 沸き立つ怒りを抑えきれず口走ってしまった事を零矢は反省した。卯一にも非はあったとはいえ何も知らない零矢が言った事が卯一を傷つけた事に変わりはない。

 

 零矢が後悔するように顔を押さえているとチャイムがなった。卯一が帰って来てくれたのかと思いソファーから飛び起き玄関へ向かってドアを開けるとそこには巳羅が立っていた。

 

「よっ、卯一に言われて着替えを取りに来たんだ、取り敢えず入れてくれる?」

 

 巳羅をリビングまで通し、零矢はお茶を出す。巳羅は辺りを見回しながら

 

「広いな...両親は?」

 

「年に一度帰って来るか来ないかです...この前帰って来ましたけど、それ以降は会ってません」

 

「そっか...お前も苦労人だな」

 

 巳羅は出されたお茶を飲み干しリラックスするように両手を上に伸ばした後で話題を切り替える為に自分の膝を叩く。

 

「あ、彼女の部屋は上がって...」

 

「あ、着替え?それは後で良いし卯一には最悪持っていってやらないから」

 

「え...じゃあ何で家に?」

 

「お前...後悔してるんだろ?」

 

 巳羅に言われた零矢は思わず下を向いて目線を反らした。やっぱりなと思った巳羅は

 

「頭冷やしてよーく考えれば、結局後悔しか残らない。それなのにあんなに言い合って、本っ当にお前達は馬鹿だな」

 

 と言った。全くその通りだった零矢は何も言い返せずズボンを握り締める。それを見た巳羅は別に責めるつもりはないというように零矢に声を掛けると

 

「あぁ、怒ってる訳じゃない。ただ単に似た者同士だなって思っただけだ」

 

「似た者...同士?」

 

「周りから信頼されるべく努力する所、一人で抱え込む所...そしてお互いを想い合っている所。今日私と良く知り合ったばかりなのに私がそう感じたんだ、きっと坊や達もそう思ってる」

 

 と零矢に告げた。長年卯一を見守って来た巳羅にとって零矢はまるで卯一を見ているようだと感じた。卯一が零矢に気を許したのはおそらく自分と似たものを感じたのかもしれない。

 

「お前達はお互い不器用なんだよ。お互いが相手を失いたくないあまり何かを我慢し続けるからああいう風に爆発した時についつい言い過ぎる。それはただのうわべだけの仲良し」

 

 零矢がその言葉にダメージを受ける。結局自分と卯一は互いに依存していただけなのかもしれない。それがビジネスパートナーとしては相応しい関係だとしても、零矢は卯一とうわべだけで終わりたいとは思っていなかった。

 

「本当は卯一の事、物凄い心配してるんだろ。あいつも同じだ、お前の事を一番心配してる。保身なんて考えられないぐらいにな」

 

「巳羅姉...俺」

 

 謝罪の気持ちで心が一杯になった零矢が思わず声をあげる。それを待っていたかのように巳羅は微笑むと立ち上がってどこかに電話を掛けた。その相手が出ると

 

「クリア、卯一はそこにいるか?」

 

 と威勢良く尋ねるが

 

「いや十四時になるちょっと前に出て行きましたけど」

 

「はぁ!?え...えっ?」

 

 すぐに威勢の良さは失くなってしまう。卯一はクレアについていてもらい巳羅の家に留まらせておいたのだが急用と称して出て行ったらしい。ついて行こうかと思ったが巳羅の家の鍵を持っていないので留守には出来ず外出を許してしまったという事だった。

 

「こっち折角零矢が反省して謝りに行くからそっちに連れて行くっていう歳上ムーヴ完璧だったのに!」

 

「巳羅姉...」

 

「あっ、零矢!?今のはな、本心じゃ無くて、ってか本心は仲直りして欲しいし...」

 

「留守、頼みます」

 

 零矢は険しい顔つきになるとソファーの前に置いたGod-tellをポケットに入れ急ぐように家を出て行った。残された巳羅はまだ通話の繋がっているクレアに

 

「あのさ...こっちも留守番頼まれたから帰れなくなっちゃったんだけど」

 

「ええ!?どうするんですか?」

 

「TVの横にゲーム機あるでしょ?こっちにもあるからそれ繋げてオンラインゲームでもして待つ?」

 

「良いですけど、勝手に使って良いんですか?」

 

「大丈夫大丈夫、妹と弟みたいなものだし私の物みたいなものよ」

 

「キ●バスですか!?知りませんよ、弟に必殺技とか決められても」

 

「あはは...そしたら旧世界に逃げるわ」

 

 と話した後で通話を切り、悪いなと思いながらも備え付けてあったゲーム機の電源を着ける。そして自分の家のゲーム機のIDを打ち込んで登録した。

 

 ふと何のゲームをしているのだろうと履歴を見てみるとその殆どがアクションゲームだったが一番最近の履歴には二人用のRPGがあり、セーブデータを見てみると

 

「案外うわべだけだと思ったけど普通に仲良しじゃん」

 

 キャラがそれぞれ本人に似たように作られており、その名前に≪後輩クン≫≪先輩チャン≫とつけられていた。それをにやつきながらゲームを閉じ、目的のゲームを開く。

 

「早く帰って来ないと全クリしちゃうぞ~」

 

 と良いながら巳羅はコントローラーのボタンを押した。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 翔と麗華が“神”の空間内で待機しているとどこからか卯一がその空間内に現れた。それを確認した“神”が三人に向かって

 

「これで揃った...か。じゃあアイテムを...」

 

 と言って実体の無い仮想空間内のアイテムを差し出そうとするが

 

「必要ない、全部入れてきた。傷薬と氷結晶石と吸収珠(アブソーブボール)。他にも実体が存在するアイテムも私のGod-tellに入ってる」

 

 と卯一に一蹴されてしまう。今まで以上に準備が早い卯一に“神”は本当に手早く終わらせるつもりなのだと確信し何も言わず他の二人に目を瞑らせる。

 

「行ってこい!」

 

 “神”がそう言って三人の背中に衝撃波のような物を浴びせる。三人が首筋をすり抜ける風を感じ開眼するとそこは既に薄暗い空間ではなく太陽が照っている屋外にいた。

 

 それぞれが自分が着ている服装を確認すると女性陣は絵画に描かれた淑女の如くスリットの入った白い上着に明度が低い赤のスカートを着ていた。

 

 だが翔は卯一や零矢が天界に行った時と同じ布を巻き付けたような衣装であった。それを見て卯一は

 

「予算削減したな、“神”...私達の服も絵画のものをそのままコピーしたような服だし。まぁ良い...は?」

 

 と愚痴りながら前を見て言葉を失う。服装を気にしていた他の二人もその反応を見て前を向くとまるで天を目指すように造られている塔が視界に飛び込んで来た。

 

「バベルの塔...」

 

「バベルの塔って聞いたことあります。確か天まで届くように人間が造ろうとしたって」

 

 翔と麗華はバベルの塔という単語には聞き覚えがあったが何故そこまで卯一がそこまで驚いているのかはわからなかった。

 

「いやいや、箱舟ノ書ってタイトルでバベルの塔ってあり得るのか?かの有名なパ●ドラタワーの元ネタとされるバベルの塔は大洪水の後に建てられるはずのもの...待って、それなら単に人々の言語をバラバラにする為に降臨した神の力をもらうってことなのかも?」

 

 卯一が独り言を呟いている中、翔は街から出て来たであろう人を見つけ話し掛ける。やはり塔の名前はバベルでありそれを組み立てる為の資源を隣国に調達しに行く所だった。

 

「預言者が大洪水が来るっていうから造ってるのになぁ、等の本人は舟を造ってこっちには全く協力しない、困ったもんだよな」

 

「はは、そうですよね」

 

「お前もサボってないで早く仕事しろよ、動きやすそうな格好してるんだからな」

 

「ど、どうも」

 

 怪しまれないように話を合わせその人を見送ると翔は手に入れた情報を二人に話した。この情報により卯一は更に混乱する事になる。

 

「ノアの箱舟とバベルの塔が同一時間軸内に存在している...どういう事なの?」

 

 卯一は瞬時に仮説を三つ立てた。一つ、自分達が知る後世に伝えられた神話に誤りがある。二つ、爆弾騒ぎで本のページが燃え、焼け落ちた部分の物語がカットされた、または癒着して一つになってしまった。三つ、それ以外の何らかの原因で二つの物語が重なった。

 

 この場合最もあり得るのは二つ目の仮説である。しかし回収した箱舟ノ書には焦げたような跡は無かった。ならばページが癒着したりする事はあり得ない。ならば三つ目の理由の通り何らかの原因で二つの物語が融合したと考えて良いだろう。

 

……タイトル通りなら神力を持っているのはノア。じゃあ向かうのは塔ではなく舟を建築している方...だね

 

「翔君、麗華ちゃん、舟を造っている所へ行こう!」

 

 考えがまとまった卯一は二人に声を掛けると舟を造っている場所を突き止める為、聞き込みを開始した。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 卯一達が聞き込みを開始したのと同時刻、爆団長が部下を引き連れ同じ世界に侵入していた。爆団長は塔を見上げると

 

「あれ、箱舟って聞いてたんだけど?」

 

 と後ろにいるエキスポの際にも連れていた二人に話し掛ける。

 

「あれじゃないですか、バベルの塔!ほら、天に届くように造ったっていう!」

 

「馬鹿、そんな事団長は知ってるよ。そういう意味じゃねぇ」

 

 男の方が女の頭を軽く叩く。叩かれた場所をさすりながら女は痛いなぁとぼやきながら男の方を睨んだ。そんなやり取りを見つめながら爆団長は思わずにやけてしまう。

 

 この二人は爆団長の一番最初の部下になった者達であった。下っ端の中でも戦闘成績が最下位を争うほど低く、それでも自分の方が優れていると周りから見ればどんぐりの背比べに見えるような喧嘩を毎日のようにしていた。

 

 仲間内で賭け事をした際の罰ゲームで教育係として二人の面倒を見る事になった爆団長は戦闘技術を叩き込もうかと最初の内は意気込んでいたがそれも三日も持たずに挫折した。能力面が全く向上しないのである。

 

 仕方なく爆弾製作の邪魔にならないようにと念を押した上で自分の作業場に連れて行ったが組み立てにはコピーを使えばいいので正直人手はいらず、変に弄られても業務に支障を来す為、倉庫に閉じ込めておいた。

 

 爆弾を製作しながら爆団長はいずれ来るであろう出撃命令の際に必ず手柄を挙げる為に、あの二人に爆弾を装着させ自爆させることを考え、人間に取り付ける用の爆弾の製作を開始する。

 

 製作を開始してから数日が経過したある日、鍵をかけていた倉庫の鍵が外れ取っ組み合いになった二人が転がり出て来た。お互い叫びながら掴みかかっていたが二人は既に成人している大人だ。

 

 やがて疲れたのかお互いの胸ぐらを掴むのを止めて立ち上がった二人が爆団長のデスクを見るとそこには既に人に設置する爆弾の試作品が出来ていた。

 

 それに興味を示したのか二人は試作品を手に取る。流石に自分達に取り付ける用だとは言えなかった爆団長が二人の手から取り上げようとすると、女の方が

 

「団長、こんなの作れるんだ!凄い」

 

 と感嘆の声を挙げる。続けて男の方が

 

「これなら団長もマスターに認められるな!」

 

 とこちらも感嘆の声を挙げた。自分達が着ける爆弾だとは露知らず喜ぶ二人に爆団長は戸惑いながらも二人の手から試作品を取り上げる。二人は残念がる素振りを見せるとふと思いたったようにお互いを見合い

 

「団長が手柄を立てられるように私達がこれを着けて特攻すれば良いんじゃない?」

 

「それだ!そうすれば団長は昇進して、ついでに面倒を見なきゃいけない俺達もいなくなる、安心して爆弾を作れるな、団長!」

 

 そう発言するのを聞いて爆団長は目的が知られているのかと焦った。だがそれは杞憂に過ぎなかった。二人は自分達の命など全くもって省みてなどいなかったのだから。

 

 二人ともそれぞれ早くに親に捨てられスラム街で幼少期を過ごし、時にはゴミを漁り虫を食べ命を繋ぎ止めた。故に二人にとって命などいつ無くなっても構わない物であった。明日への希望も未練もない。だから努力などしても無駄だと思っていた。

 

 更に親からの愛を知らない二人は褒められる喜びも何も知らない為、二人の精神年齢は子供と変わらず向上心も無いため落ちこぼれになった。それでも自分達が今日まで生きてこれたのは爆団長のお陰であると二人は感謝していた。もし爆団長が教育係として引き取ってくれなければもっと早く誰かの駒として死んでいるからだ。

 

 鍵のかけられた戸の隙間から爆団長が作業している様子を見守り、食事を取る時には倉庫から出て作業場で三人でご飯を食べる。二人にとってここまで恩を与えてくれる爆団長の為ならば自分達の命など喜んで差し出すつもりだったのだ。

 

「団長、出来の良い爆弾を着けてね!」

 

「え、ずりぃ。俺も死ぬなら都市を爆破するほどの爆弾を着けて欲しい!」

 

 自分達の命を嬉々として差し出そうとする二人に爆団長は罪悪感が込み上げるあまり二人を抱き寄せる。そして

 

「すまない...お前達を犠牲にしようとした俺が馬鹿だった...」

 

 と良いながら二人を強く抱き締める。爆団長は既にこの二人に愛おしさを感じていた。試作品を作る度、あの二人を殺して良いのかという後ろめたさを隠して作業していたのである。

 

 三十歳を既に越した爆団長は元々研究者で家族もいた。しかし全く研究所から帰って来ない為に配偶者は浮気をし、子供も連れて行かれた。後からわかった事は子供も自分の子供ではなかったという事だった。

 

 更に研究所すらクビにされ全てを失い路頭に迷っていた爆団長はGDに入り、爆弾製作に取り掛かる。しかし、最初に誰かの作戦に使われた爆弾は不発しペナルティを喰らう。それのせいで受けた評価を払拭しようと爆団長はたった一人で爆弾の製作に打ち込んでいた。

 

 だから例え人知を越えた能力を得ようと優れた爆弾を完成させようと孤独からは逃れられなかった。そこにやって来た二人の存在は鬱陶しいとなんていうのは建前で自分は孤独でないと感じる事が出来るほど大きいものになっていた。

 

 二人が苦しがってもがいているのに気付いた爆団長は腕を緩めると、二人は息を切らしながらも嬉しそうに笑っていた。十歳ほどしか変わらないが自分の子供のように感じた爆団長は二人に

 

「爆弾...作ってみるか?」

 

 と聞くと二人は嬉しそうに頷いた。驚く事に爆弾の製作に才能を発揮した二人はすぐに簡単な爆弾を作る事が可能となり作業効率が大幅に上がった。二人は褒めると伸びるタイプで教えた事をどんどん吸収し、あっという間に専門家レベルにまで技術力は上達した。

 

 やがて二人にコードネームを付けようと思った爆団長は二人に本名を聞くが二人とも名前は無いと答えた。なので両方とも一番弟子ということを考慮し男にイー、女にチーと名付けた。

 

 そして爆団が作られた今、二人は副団長として爆団長の下で働き他のメンバーに爆弾の作り方を教えている。

 

「んー、取り敢えずE部隊は東、T部隊は西な。神についての聞き込みをして一時間後にここに戻ってこい。俺はここで作戦をたてておく」

 

「ラジャー、E部隊俺について来ーい!」

 

「T部隊は私の方ねー!」

 

 まるで遠足に行くかのように部下を引き連れて行くイーとチーに微笑みながら爆団長は近くの岩に腰を掛けた。

 

 もしこの作戦に失敗したらペナルティは二つ、いよいよ後が無くなる。その場合爆団は解散されるかもしれない。爆団長にとって最も心配だったのはイーとチーの二人だった。

 

 二人は専門的な知識があるとはいえ精神年齢がまだ幼い、他の部隊でやっていけるか不安だった。それにあの二人は同時に作業している時が一番効率が良い。取っ組み合っていた仲でもあるのでお互いの事はよく知っているのだ。それに今では二人で家を借りて住んでいて何だかんだいってお互いを支え合っているらしい。

 

 その二人が引き裂かれる事だけはなんとしても阻止したい、だからなんとしてもこの作戦は失敗するわけにはいかなかった。

 

……もし神に関しての情報がなければこのバベルの塔の建築を阻止する為に降臨する神がターゲットになる...奴らがそれを求めているならば最悪この塔を消し飛ばせば神は降臨しない。まずは奴らを見つけないとな...

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

 街でノアの居場所を突き止めた神事屋の三人は広場で合流しその場所を目指す。風通しの良い翔の服とは違い通気性が皆無の上着にスカートという女性陣は額に汗を浮かべながら手で風を仰ぐ。

 

 やがて豪華客船のように組み上げられている舟が見えてくるとそこで働いている女性にノアは誰かと話し掛ける。呼んで来るというのでそれを待っている間に卯一はどのような設定でいくのかを二人に話す。

 

「私達も舟を造るのを手伝いたいっていう体で行くけど、多分手伝っても乗せてくれはしないから乗せてくれってあまり懇願しないでね。三人の関係は...翔君が二人妻を持っているって事で...」

 

「いや、翔の妻役は私だけで良い。ウイッチさんは私の姉って事でも問題ないと思う。例えばやっと結婚した妹の世話焼きに来ているとか」

 

「え...まぁ麗華ちゃんがそれが良いなら別に良いけど」

 

 何故か対抗心を燃やした麗華に提案をされ卯一はその体でいくことを決めノアが来るのを待つ。やがて先程の女性が男性を連れて来る。

 

「わしがノアだが、何でしょう?」

 

 翔が先程の設定を話し何とか作業に加わろうと試みるも全く筋肉すらついていない翔を見てノアは一体何の役に立つんだと一蹴してしまう。すかさず卯一が組み立てる側ではなく作業を効率的に進める手伝いをすると申し出た為、何とか作業に関わらせてもらう事に成功した。

 

 取り敢えず作業場を見学という事で作業している他の人に声を掛け歩きながら卯一は零矢に言われてしまったように情報の後出しは良くないということを反省し二人にアイテムの使い方や時間制限の事を話す。

 

「時間制限のかかっているアイテムは全員共通だから気を着けてね、誰かが召喚するとその時点でタイマーが作動しちゃうから」

 

 そんな説明を交えながら作業場を一周するとどのように効率化を図るのかを議論する為に三人は与えられたスペースへと向かう。そこで三人はどうやってノアから神力をもらうのかを話し合った。

 

 作業を指示している最中に話し掛けたところで意味は無いと思い、休憩中か就寝前に話し掛け親密になるしかないと結論付け、同時進行で卯一は舟の構図を地面に書きながらどのように組み立てていくかを書き込んでいった。

 

 ふと卯一がGod-tellを確認すると侵入者を大量感知というメッセージが来ている事に気付く。それに驚きながらもすぐに翔と麗華に声を掛け、街へ行くように促した。

 

 そして一人になると『ブルーガン』を召喚する。GK銃よりも更に一回り大きく最早ハンドガンとは言えず両手持ちのブラスターのようなその瑠璃色の銃は北街での抗争の際に卯一が使用した物だった。

 

 自分のトラウマの一つにもなったこの武器を何故持ってきたのか、それは卯一には一つの可能性が思い浮かんでいたからだった。

 

 貴奈子が卯一の元に持ってきたのは“神”だけではない。世界各地を巡っていたという貴奈子は『紅蓮の剣』や『黄金の槍』なども他のアイテムと共に持って来た。それが魔王装備だとわかって持ってきたのかは今となってはわからない。しかしその中にこの銃も存在していた。

 

 普通の銃よりも二回りほど大きく何かを封印するかのように鎧のような物が着いたような見た目。他の魔王装備と同じく色と武器の名称を組み合わせた名前、そして誓石製のアイテムが効かない相手を撃ち抜くほどの威力。この点から卯一はこの武器こそ第四の魔王装備なのではないかと睨んでいた。

 

 もしそうならば神事屋四人全員が魔王装備を所持するという事でありGDも迂闊には手を出せないはずである。何よりも卯一は自分が後方支援だけでなく前衛で戦う事が出来るのが嬉しかった。

 

 これさえあれば零矢も皆も私の力を認めてくれる。そして仲直りをして零矢の隣で肩を並べて戦う事が出来る、そんな夢のような予測を卯一は立てていた。

 

 それにここは現実世界とは違って高層ビルや住宅街もない、暴走の危険さえ除けば実験のし放題であった。それを楽しみにしておきながらも卯一は舟の完成を急ぐ為に図面を書き上げ、それをノアに説明しようと作業場へと歩く。

 

 もしノアに認められて自分が力をもらったならばすぐに二人の援護に行こうと考えながら作業場を目指していると他にも数人作業場を目指すようにゆらゆらと歩いているのを発見する。

 

 当初は酔っ払いかと思ったがその服装が視認出来ると卯一はその考えを改めた。この時代には存在しないはずのコートを着込んだそれは間違いなくエキスポの会場を爆破したコピーと同じだった。

 

 すぐさま銃を両手で構え発砲するが反動で後ろへ吹き飛んでしまう。何とか立ち上がると胴体に風穴が空いた一つの個体が事切れたように倒れるが他の個体は気にも止めず歩き続けている。

 

「Summon!『GK銃(ゴキラガン)』」

 

 ブルーガンが使いにくいと判断した卯一はそれを戻しGod-tellからGK銃を召喚するとコピーに向かって弾丸を連射した。しかし霊獣でもない相手にGK銃を連発したところで全く仰け反りもしない。

 

「だったら...『変身(チェンジ)』ミカエ...」

 

 そこまで言って卯一は手を止めた。この世界は天界ノ書と同じ世界観である。故にミカエルがこの世界にも存在している可能性は十分あり得る。『変身』は対象の神がその世界に存在している場合、その神の身体を借りる事になる。

 

 簡潔に言えば、卯一がこの場でミカエルに『変身』しようものならばたちまち卯一は天に召され地上へ帰って来るのが困難になってしまう可能性があるという事だ。

 

……でもそれなら現実世界で『変身』したら同じ事が起きる可能性もある。だけどそんな事は起きていない、ならセーフ...とは言いきれないよね現実とここでは神に対する概念が違うし...天使だけど。だったらこっちで!

 

 卯一はGod-tellでミカエルをキャンセルすると画面をスライドさせ別の神力を纏おうとするがそこにコピー達と同じコートを手に持った男が姿を現したのでその手を止めた。

 

「ノアって聞こえたからまさかと思って探したがまさか世界観が融合してたとはな。翠女神の仲間みたいなのがいるから塔よりもこっちが正解みたいだな」

 

「GD...」

 

「さてと、出会ったばかりで悪いがそこの貴婦人、お帰り頂こうか」

 

 爆団長の両目が輝き両脇にコートを着たコピーが生成される。その能力を目の当たりにした卯一は爆団長こそが麗華が言っていたエキスポを爆破した首謀者だということに気付く。

 

 爆団長の狙いは塔の爆破から箱舟の破壊に切り替わっていた。舟を壊せばノアは洪水を生き延びる事が出来ない、そうすれば神力を譲渡することは出来ないと踏んだのだ。

 

 もちろんそれは予想済みだった卯一は翔と麗華を呼び戻すかどうか悩んでいた。エキスポには他に部下のような人物を連れていた為、一人で来たとは限らない。塔の事を話していたことからそちらに人員を割いているのかもしれない。

 

「生憎踊り足りないの、お相手して頂ける?」

 

 卯一はスカートを掴んで一礼するように挑発する。卯一の決断はここで爆団長を現実に送り返すことだった。その挑発に対し爆団長は

 

「死ぬまで一人で踊ってろ」

 

 と返すと指を鳴らし、それに反応した両脇のコピーが同時に卯一の元へと襲い掛かる。卯一はすぐにGod-tellをGK銃にセットするとコピー達を銃を使って殴り、左側の個体の腕を掴むと腹部に銃口を当てる。

 

捕縛射撃(フックショット)

 

 トリガーを引くと銃口から飛び出たフック型のエネルギー弾がコピーの身体を貫き消滅する。その反動で後ろへ転倒しそこへ掴み掛かって来るコピーの胸に両足を当てると

 

発条脚(スプリング)

 

 一気に脚を押し出してコピーを吹き飛ばす。何とか立ち上がり爆団長に対して銃口を向けるが新たに生成されたコピーに下から掬い上げるように銃を弾き飛ばされてしまう。

 

 そして他の個体が腕を振って来るのを咄嗟に両腕でガードするも体幹が鍛えられていない卯一が耐えれるわけでもなく簡単に吹き飛んで地面に転がってしまう。

 

「まだまだっ」

 

 と立ち上がってポケットに手を入れるがGod-tellをGK銃にセットしたままだということに気付き落ちている銃に手を伸ばそうとするがその腕はコピーに掴まれてしまう。

 

「放っしなさい!!」

 

 しかし強い力で握られているため卯一はその腕をほどく事が出来ず身体に悪寒が走った。何度か拳をいれてみるがびくともしない。膝蹴りをいれたところでコピーが手をすんなりと離したので銃を拾い上げ再び銃口を爆団長に向け発砲しようと構えるも

 

「引っ掛かったな」

 

 という爆団長の言葉と共に卯一の目の前が爆発し熱気が吹き荒れる。咄嗟に右腕で顔を庇い爆弾を既に仕掛けていたのかと思いながら再び卯一は銃を構えるように左腕を上げるが何故か感覚がない事に気付く。

 

……あれ、落とした...いや、これッ!?

 

 恐る恐る自分の伸ばした左腕を方から肘へとなぞるように見ていく。だが肘から先に腕は無かった。火傷のような痕に微かに見える白い骨、先端から垂れているのが血なのか筋肉なのか判別不可能なものが肘の先に付いている。

 

 目線を横にずらすと少し離れた場所に銃を握ったままの自分の腕が無惨な姿で転がっていた。皮は焼け血だらけになった自分の左腕を目の当たりにした卯一が自分が置かれている状況を理解するのに時間はかからなかった。

 

「いッ!?いやああああぁぁっっッ!!!!私のッ、腕っ...くっ、うぅぅっ!!」

 

 遅れて来た痛みに倒れ込みながら悶絶する卯一、しかし爛れた傷口は風を受けるだけでも激痛が走り、『聖なる力』の回復力でもすぐには治らない。気絶してしまいそうな痛みに耐えながらも卯一は涙ながらに叫ぶ。

 

「Summon!!最強の...傷薬ッ!!」

 

 その叫びに呼応したGod-tellが薬が入った壺を召喚し、卯一の元へ投げ出される。それを取って零矢がやったように腕を戻そうと右手を伸ばすもコピーに突き飛ばされ腕と壺を回収されてしまう。

 

 立ち上がろうとするも両腕に力を描けることが出来ず脚の力で立ち上がるも待っていた光景は壺と左腕に小型爆弾を設置されていた姿だった。

 

「止めなさいッッ!!!!」

 

 そんな卯一の叫びもむなしくコピーは腕と壺を横へ放り投げるとそれを見計らった爆団長は何かのスイッチを押した。直後爆発が起こり、壺は粉々に砕け中の薬も蒸発しきった。左腕も真っ黒に焦げた状態で地面に落ち、炭のように崩れ落ちていく。

 

 利き手の左手を失い、最強の傷薬までもが使用不可能になった卯一は絶望するように膝を着いた。それを見計らったかのようにコピーが卯一の首を掴んで持ち上げる。

 

「翠女神みたいな戦闘派ならともかく頭脳派のメンバーだけが残ってて良かったぜ、これで舟を壊してイーとチーらの元へ戻るだけだ」

 

 最早抵抗の余地も見られなかった卯一は苦しそうに掴まれている腕を掴むも徐々にその力は弱くなっていく。

 

……あんなに威勢良くここに来て...後輩クンに謝る為に頑張るって決めたのに...結局私は何も出来ないまま...

 

 諦めの感情が卯一の心の中に芽生えた時、何者かの声が卯一の頭の中に響き渡った。

 

(憂鬱に心を支配された哀れな子、あなたは結局何も出来ずに死んでゆく)

 

 走馬灯のように周りの流れる時間が遅くなっていくのを卯一は感じ始める。

 

(想い人への懺悔の気持ち、このままでは告げたところで再び突き放されるでしょう。このままずっと晴れることのない憂鬱の中であなたの心は腐りゆく)

 

 絶望を告げるようなその声がするのを卯一は感じながらもそれがどこから響いているのか理解していた。その方向に何とか目を動かすとその声に合わせて銃に装着したままのGod-tellの画面が青く点滅している。

 

(憂鬱に囚われし子、想いを捨てて私の力を受け入れれば他を凌駕する力を与えて差し上げましょう。強大な力を求めし憂鬱の申し子よ、今こそ私と契約し世界を青く染め上げましょう)

 

「Summon...『瑠璃の銃(ブルーガン)』」

 

 震える声で卯一がそう唱えるとGod-tellから召喚された瑠璃色の銃はひとりでに宙を飛び回り卯一を掴んだコピーに向かって発砲すると解放された卯一の右手の位置へと移動する。

 

(あなただけではなく、世界の全てを憂鬱に包み込む魔王の私の名はカタスリプスィ。さぁ、エンドレスに続く憂鬱の世界へようこそ)

 

 最早一人で立つのが困難だったはずの卯一は身体が軽くなったのようにゆらゆらと立ちながら銃を構えると禁断の呪文を口にする。

 

魔王解放(デーモンアンロック)...変身...」

 

 卯一が呟いた瞬間枷が外れるかの如く銃の鎧が弾き飛び、周りのコピー達を吹き飛ばしたかと思うと卯一の周りを取り囲むかのようにして一斉に卯一の身体へと纏わりつく。

 

 卯一の顔前には透明なフェイスカバーのような物が生成され、鎧の中は黒い煙で満たされる。だが煙に包まれながらも視界は良好で息苦しさは全くない。卯一が試しに左手を動かして見るとまるで自分の物かのように脳の指示に従って左手は動いた。

 

「これが私の力...フフッ、私だけの鎧...私の希望」

 

 嬉しそうに卯一は微笑むと左手の甲を相手に見せるように上げ自身が一番憧れているヒーローの台詞を口にする。

 

「さぁ...ショータイムよ」




卯「本編で説明されていなかった事の補完とかする?」

巳「別に良いけど...まぁ裏話みたいな?」

ク「あ、じゃあ私気になってた事聞いて良いですか?」

卯「どうぞ」

ク「ウィッチとレイヤは一緒に住んでるって言ってましたけど手続きしたんですか?」

神「あ、確か未成年と勝手に同居すると誘拐の疑いが掛かるんですよね」

卯「(“神”のキャラがよくわからないけど...)そうだよ、この場合私の両親が警察に被害届を出したら後輩クンは刑事処罰を受ける可能性はあるね」

巳「確か結婚を前提とした同棲なら注意程度なんだっけ?」

卯「まぁ、でも私達そういう同棲じゃないし...(まだ...)、だから居候かな」

ク「それだと世帯主の許可がいるんじゃないんですか?」

卯「一応...もらったけど。前に彼の両親が帰ってきた時に話はした、書かれてないけど」

神「住民票は?」

卯「住み始めて二週間以内だから猫探しの辺りで役所に行ったし表札も一応妖美名義のを追加したよ」

ク「なるほど...書かれてはいないものの居候に必要な事はしていたんですね」

神「そう言えば麗華達の方は...」

卯「それは次回かな、じゃまたね」

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