赤色の魔法陣です。
以外にタイトルとかも伏線になってたりしますので予想してお楽しみ下さい。
まるで駄目だ。反射神経や運動神経は良いのだが剣に慣れてないのが一目でわかる。それに足を気にしながら戦っているので隙があり過ぎだ。軽く腕を払うと剣をすぐに落とした。
「さて、覚悟はできたか?」
俺はジリジリと詰め寄る。そして綺麗な顔に拳を...
「え?」
振るどころか自分の顔に拳が飛んで来た。よくわからず混乱して拳が飛んできた方向を見る。そこに立っていたのは先程まで地面に突っ伏していた男だった。
「お、男の方...!」
「何?お前毒は...」
聞き終わるより先に蹴りが飛んで来た。気のせいだろうか、先程よりも威力が上がっているような...
「治した。これで」
奴が手に持っていたのは壺のようなもの。アイテムだというのはわかったがどんなアイテムかわからない。ふと、奴の左腕を見ると、
……なッ⁉傷が完治しているだと⁉
先程貫いたはずの左腕の傷が完璧に塞がっていて血はおろか傷跡さえ残ってない。となれば、傷薬系のアイテムだと思うが普通ならこんなに早く回復しないはず。あるとすれば高ランクの
……確かめるしかないってことか
俺は剣を取り、奴に斬りかかる。奴は俺の動きを見切ったようにその一振りを避けたあと、足を突き出してきた。剣を握っていない左手を犠牲にして防ぐ。ゴキリ、と骨が折れた音がした。やはり威力は上がっている。しかし折れた腕を回して奴の足を取り、力を入れて膝の関節を曲がらない方向へ曲げた。バキッ、と音がする。即座に俺は後退する。左腕はもう動かない。しかし、確かめるのはここからだ。
奴は手に持った壺の栓を抜き、折れた足の上で逆さまにした。流れるように出てくる緑色の液体。それは、光の少ない世界に月光のような光に見えた。その液体は奴の足を伝い、足を正常な状態へと瞬時に治した。
「Back...」
奴が言うとそれは光となり、消えた。
これでわかった。傷の治りが早いのはやはり高ランクの
俺は懐からあるものを取り出す。現代で言うスマホのような形をしたそれは、奴が持っている物と能力は同じだが色が異なる。奴は純粋な心を表したようなマリンブルーの色だが俺の、いや俺達のは違う。神に抗うような心を表した漆黒そのもの。
「黒い...God-tell?」
「「...⁉」」
「違うな。そんな名前じゃない。これは『誓いの証』だ」
俺はそう言いながらアイテムを選択する。
「俺達GDのな...Summon」
端末から出る光、驚きを隠せない奴の顔。すぐに実体化し自らの首もと、手、足にアイテムが装着される。
「
※ ※ ※ ※ ※
……どういうことだ?
俺は疑問に思っていた。奴も同じ物を持っていたのか。そして...何故さっきから通信の応答がないのか。黒いGod-tellをあいつが出したあとから“神”もウィッチさんも一言も喋らない。
……まぁトイレってこともあるかも知れないけど流石に“神”はないだろ...
が、そんな事考えてる暇はない。相手が何か出してきたら、それがどういう物なのか予測する。姉貴から教わった事だ。
……首、両手足に鈴か...回復系のアイテム?もし攻撃系なら音とかか?
「どうした?来いよ」
……挑発か、まぁ絶対誘導だろうが...
俺は向かって行く。
……面白ぇじゃねぇか!
似てきてしまったなあの人に、そう思ってしまう。どんな危険にも臆せず立ち向かい決して逃げないようなあの人に。
俺は右、左と連続で拳を突き出すがその全てを奴は読んでいるかの如く受け止める。そして俺のガードが空いている部分へ反撃をしてきた。
……読まれてる⁉...いや、違う。多分、攻撃の瞬間の空気の動きがあいつの鈴を揺らし、それを頼りに受け止めてるってことか。じゃあ防御系のアイテムか。
俺は間を取り、考える。
(戦いにおいて最も重要な物。それは
そう言えばそんなこと言ってたっけ。さて、どうするか...
「お、考えてるってことは気付いたってことか」
……ヤバい、考えてるのを気付かれた...
「俺のコードネームに」
……は?いやいや、は?
「お前が考えてる通り俺のコードネームは『鈴』だ」
……おい、嘘だろ?自分でコードネーム言っちゃったよ?もうそれコードネームじゃないじゃん?ってかどうでも良いし
「いや、男でベルって...」
「いいだろ?」
……いやどうやったらそう思える?猫でもそんな名前聞かないぞ
「いや、おかしいだろ?つーかそのゴツい身体でベルって全く関係ないじゃん。誰だよ名前付けたの。え、何?罰ゲームであだ名つけられたの?」
俺は思い切り罵倒した。と言うか普通に気になった。
……何か罵倒してしているしているうちに表情が暗くなってってるんだけど?まさか本当に罰ゲームとかで...
しかし、暗くなったと思ったそいつは首もとの鈴をそっと指で弾いた。連鎖する揺れ。伝わる音。その音波が無限に続いていく。その音に最初に反応したのは天宇受売命だった。
「アアァァァァァッッ‼‼」
響き渡る絶叫。耳を抑え地面に倒れると悶えるように身体をよじらせる。
「天宇受売命?」
俺の声が聞こえてないのだろうかずっと耳を押さえながら何かに抗うように苦しんでいる。
……音?音で攻撃してるのか?だとしたら奴の鈴は攻撃と防御を兼ね備えたアイテムってことか
天宇受売命の絶叫が響く中、奴は言った。
「俺らのコードネームはボスがつけた俺らの名だ。それを罵倒する者は決して許さない」
奴の、『鈴』の目がまた狂気的になった。どうやら奴らにはボスという存在がいてそいつの指示に従って行動してるということだ。つまり、そのボスを倒さない限りこの狂気的な奴が次々やってくるということだ。
俺は奴の前に躍り出て、拳を突き出す。その拳は受け止められたが奴の顔には驚きの表情が浮かんでいた。
「何で、何でお前超音波が効いてねぇんだ⁉」
それは言われて気付いた。天宇受売命は耳を抑えているのに対し、俺は耳を抑える程の超音波は聞こえていない。『鈴』の声は聞こえているから耳がおかしくなったわけではない。
「そんな事、俺が知るか」
別に格好つけでも御都合主義とかでもない。ただ、自分に効かないのであれば都合が良いと思った。それだけだ。
──その拳で決着をつけよ──
あ、これ↑はあの漫画とかで最後のコマに書かれてる一文ありますよね。そのイメージです。誰かの台詞とかじゃありません。
出ました、昭和の名台詞‼...知らないか。
タイトルの意味は少し後でわかります。
次回、
──遂に決着の時、そして場面は天岩戸へ──
さぁ、頑張って書きます。お楽しみに。
あと、感想超募集です。まだ下手なのでクレームでも結構です。アドバイス頂けると幸いです。よろしくお願いします。