これから不定期で「俺達と神達と空想神話物語」を書いていきます、赤色の魔法陳です。
タイトルにもあるように「空想」なので、実際の神話と少し違うオリジナルストーリーや、オリジナルキャラクターのオンパレードなんですが、楽しんでいただけると幸いです。
追記
わざと心理描写を詳しく書いておりません。ご了承くださいませ。
始まりの少し前
疲れた、そう言えば自分の心境は語り尽くせるだろうか。いや、そんな凡人のような感想ではダメだろう。実際は疲れた以外の感情も色々ごちゃ混ぜになった何かがすっと身体から抜けていく気分だ。実に長い仕事だった。両手じゃ数え切れない程の月日が経ったっけ?あまり覚えていない。
血と汗と涙の結晶が文字通り自分の手の中に握られている。この物語がやがて世界の理となり、少年少女が群雄割拠することになるだろうなんて言ったら彼女はどんな顔をするだろうか?驚くだろうか、呆れるだろうか、それとも...
「俺の、いや俺達の望んだ世界なら良いんだケド」
背後からこちらへ向かって足音がした。どうやら彼女が来たらしい。俺は手にした物を見られないように隠しながら振り返った。
※ ※ ※ ※ ※
踊り場にある窓から差し込む光が薄暗い階段を照らし薄汚れた灰色の床を白く染める。その光は空気中の塵に反射してキラキラと輝いていた。そこを一人の女性が通り抜ける。
階段を上る。
一段、また一段と。踏みしめる段数の数だけ想い出が走馬灯のように身体をすり抜けていく。
これまで色々な事があったね。
君と初めて会った時、どこか懐かしい気がした。
初めて仲間ができた時、嬉しかった。
君と一緒に戦った日々、辛かったけど楽しかった。
君と一緒に笑い会った日、心から君を信頼した。
君と喧嘩した日、変な気持ちになった。
そうして、そうしていくうちに私は君を好きになった。
それから私は君を意識するようになって毎日、君に振り向いてほしくてアピールし続けた。
恋とは無縁だった私にとって慣れない片想いは時に辛い事もあった。
それでも君と一緒にいるのが楽しくてずっと一緒にいたいと心から思ったから君から心が離れる事はなかった。
「ダメだ、こんな気持ちじゃ」
想い出に押し負けそうな気持ちを振り切り階段を上がる。
……あれ、こんなに階段あったっけ?
私の記憶とは裏腹にまだ屋上にはつかない。私が階段を上がるのに逆らうように時間がゆっくりと感じられた。まるで私の背中に付いた何かがこれ以上進ませないと引っ張っているかのように。油断すればすぐに別の想い出が走馬灯のように蘇る。
次にでてきたのは今まで出会ってきた人達に関わる事。仲間だった皆の顔、友達、お世話になった人達、神様達、はたまた敵まで。
……いや、何故に敵?
そう自分にツッコミたくなるのをこらえ、少し笑ってしまう。
でもそうなるのも仕方ない。私が今からすることは過去を変える事なのだから。
このまま過去を変えてしまったら、その人達の内何人と会えるかわからない。もしかしたら私だけその人達の事を知っていて、その人達は私の事を知らず、私だけがこの世界に取り残された気持ちになってしまうかもしれない。
……それでもいい
そう思えた。いや、そう思う事で強がってるのだろう。
それでもどんな時も考えれば頭の隅に君がいて、今一番後悔しているのは君との関係の事。
私の誕生日だったっけ、君に告白したの、君は子どもみたいに顔を赤くしていて可愛かったのを覚えてるよ。
その後、君に言われた一言に耳を疑ったよ。
君も私の事が好きだったって?
それを聞いた時、はぁっ?ってなったのを覚えてる。私の日々のアピールは何だったんだ‼ってね。
でもとても嬉しかった。行き場のないくらい嬉しい気持ちをどこかへ、誰かへ伝えたかった。(まぁ、本当はそっちから告白して欲しかったのだけれど)
その夜、添い寝したっけ。私は少しだけ期待したけど何もなかったね。だけどただ横にいるだけでとてつもない安心感と幸福感に包まれていた事は覚えてる。
でもそれから君は私にとても優しくしてくれた。それが嬉しくて嬉しくて
……ヤバい、気持ちが揺らぐ
そんな気持ちを振り切り、頬を伝う水滴を拭って最後の階段を上った。目の前のドアを開ければ、もう屋上だ。
もう少し君と一緒にいたかった。
君ともっと色んな事をしたかった。
色んな所へ行ったり、キスとか、その先の事とか。
私達ならそんなところまでいける。そう思った。
……バイバイ
ゆっくり手を掛けドアを開けた。
そこに広がっていたのは、こんな日にふさわしくない青空と、ある男の子の後ろ姿。
長い髪を整えて、精一杯の作り笑いで声をかけた。
「****」
いやー、1000文字キツイっすね(笑)
書いていてまだ500文字、あと少しで1000文字!ってなっていて気づいたら1000文字いってました(笑)
自分では少しネタバレし過ぎたかなーと思っています。
この人は誰なのか?
楽しみにしてくださったら幸いです。