大冠彩る七の一   作:つぎはぎ

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運営はなぜ〜、沖田を喚ばせてくれないの〜
ガチャはなぜ〜、いつも期待を裏切るの〜(ハ○ジ風味)


キラキラ演出が憎いと思うこの日頃

では、どうぞ


新たな一歩の前に

 

 

空が黒い。

 

大地が黒い。

 

景色が黒い。

 

()()()()

 

 

 

 カルデア内部で発生した大爆発。それはレフ・ライノールの裏切り。トップであるオルガマリーが最も信頼を寄せていた幹部による襲撃により、カルデアは甚大な被害を負ってしまった。

 配備されていた優秀なスタッフは半数が死傷、レイシフト可能なマスターは一人を残して皆がコフィン内部で冷凍保存。物資はいざという時の為に貯蓄されているのがせめてもの救いだ。

 

 人理は()()()()()

 

 カルデアの外壁沿いに設計された廊下から見える景色はレフ・ライノールの言葉を真実とさせるものだった。

 窓の外には何もない。暗黒が広がっている。人々が積み重ねてきた歴史全てが無かったことにされ、世界は無になってしまった。

 このカルデアだけが通常の時間軸から外れている。人理救済の為に用意された魔術と科学が混合するこの施設だからこそ免れた奇跡だろう。

 幾ら救援要請を出したところで返事がないのは当然のことだ。なにせ、誰もいないのだから。

 

「…大変なことになったな」

 

「はい、先輩」

 

 マシュ・キリエライト。隣に座る後輩、またはデミサーヴァント。己と契約した最初のサーヴァントであり、相棒と共に改めて世界の状態を確認したが、思ったことはそれだけだった。

 

 大変だ。とても、大変だ。

 

 具体的なことが言葉にできない。なにせ世界が滅んでいるのだ。人類が、歴史が、文明が、国が、営みが、家族が…無くなった。

 立香からすれば一日と少しでそれは為された。目にして、脳が解釈して、改めてドクターから説明されたが、莫大すぎるが故に実感が追いつかない。

 

 

 

 冬木を超える七つの特異点。

 

 

 

 カルデアスが捉えた人類史を狂わす七つの異変。現在の人類史を決定させたターニングポイントを狂わす脅威をレイシフトにて現地へと赴き、解決する。歴史全てを元に戻し、人類を救う。

 

 人類守護指定・グランドオーダー。

 

 所長亡きあと医療部門トップ、ロマニ・アーキマンにより宣告された尊命。

 それを唯一実行に移し、完遂できる人物はたった二人。

 

 マスター、藤丸立香

 

 デミサーヴァント、マシュ・キリエライト

 

 この二人に、世界の命運は賭けられていた。

 

「……はあ」

 

「…先輩」

 

 荷が重すぎる。マシュは立香を気遣う。

 元々魔術に携わることがなく、一般人として生を受けた彼。魔術の存在など最近知り、世界の存命が自分に関わっているという重責を気にするななど、軽々しく言える筈がない。

この先に待ち受ける試練は筆舌に尽し難い。現代な魔術師のトップでさえも匙を投げる事態だ。

 どの様な言葉が、必要か。一度もカルデアの外へ出たことがなく、話す人物も限られたマシュにとって気の利いた言葉が思いつかない。

 

「あの、せんぱ───」

 

「まあ、やるしかないか」

 

「え?」

 

 パン、と乾いた音が響く。両頬を勢いよく叩き、思考を振り払う様に立香は頭を振りながら立ち上がった。

 

「よし、まずはドクターと色々話し合おう」

 

「あの、先輩…」

 

「ん? ああ、ごめんマシュ心配かけちゃったか」

 

 マシュの手を取って、立ち上がらせる。その立香の顔は思っていたよりも暗くなく、やや気丈に立ち振る舞おうとしている様に見える。

 

「はい、これからのことを考えられると、その」

 

「まあ、そうだな。やっぱり大変というか、絶対絶命というか、後がないことが分かった。どうしようもない…どうしようもない、よなぁ……」

 

 もう一度、大きなため息。

 

「でも、やるしかない。やらなきゃ、本当にどうしようもない。俺に世界を救うとか、人理を修正するとかまだ実感が追いついてないけど……誰かが悪意でこれを行なっていることはしっかり理解している」

 

 レフがオルガマリーを、所長を殺した。そのことだけは魔術を知らない自分でも分かる。人の努力を、献身を、信念を踏みにじって、嘲笑い、殺した。それは決して許していいことではない。そしてそのレフには“王”と敬う人物がいる。その“王”が人理焼却などという破滅を導いたのだろう。

 

「まずはその誰かを知ろうと思う。勿論特異点も解決するけど、俺はそういった大それたことができる人間とは思えない。でも、それならできると思う。だから、できることをやるつもりだ」

 

 できないことから逃れるつもりはない。できることを積み重ね、手の届かなかった場所へと辿り着く。人ができる最善手とはそういうもの。彼はそれを行うと決めた。

 

「先輩…」

 

「ちょっと、決意するまで時間がかかっちゃったけど、それでいいかな?」

 

「はい! 私も、先輩についていきます」

 

「はは、頼もしい後輩がいてくれて助かるよ」

 

「先輩のサーヴァントですから、これぐらい当然です!」

 

 いつの間にか重い空気は消え去っていた。和やかな雰囲気が緊張を和らげる。なんて心地よいのだろうか、マシュはそう思い立香の顔を見上げると。

 

「……あー、濡れ場はなさそうだねこれは」

 

「ダメだよマシュ! 君にはまだ早い! ああ、でも君が望むならそれはそれでありかもしれないけど…」

 

「そんな僕の故郷(ギリシャ)じゃないんだから、でもああいう初々しいのはいいなぁ、僕にもワンチャンスないかなぁ」

 

「フォー…」

 

 声が聞こえた。具体的には廊下の曲がり角ら辺で。

 

「むむ? 君も濡れ場をご所望かな」

 

「まさか。彼女は女神に純潔の誓いを立てた身。信仰に背く様な真似をさせる訳には行きませんよ」

 

「えー、そうなのかい? それでも破っちゃうのが君の地元の十八番だろう?」

 

大神(ゼウス)海神(お祖父様)のことかな?」

 

「フォー、フォフォフォー」

 

「何を、なされているのですか…?」

 

 はっ、と三人と一匹が顔を上げるとこちらを見下ろすデミサーヴァントの姿が。

 先輩との暖かな時間を覗き見て、囃し立てている者達に冷やかな目で見ていた。

 

「や、やあ、マシュ。おっと僕は医務室に用事が」

 

「おはようマシュちゃん。マスターとの仲が順調そうでよかったよ。 あ、僕は特に用事はないけど食堂へ」

 

「やっほー、マシュ。是非とも今後のサンプルとしてマスターとの魔力供給の実態をモニタリングしようとしたのだが急遽工房に用ができたのでこれで失礼」

 

「フォフォー、フォー」

 

「……皆さん、ハウスです!!!」

 

 

 

 ○ ○ ○ ○ ○

 

 

 

「やあやあやあ、改めて君には自己紹介させてもらうよ。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。カルデアに召喚された召喚英霊第三号。この頭脳を用い、様々な分野で協力している天才さ。ダ・ヴィンチちゃんと呼んでくれ」

 

「あ、はい…」

 

 立香の前に立つ美しいという言葉が浮かばれる美女の名は『レオナルド・ダ・ヴィンチ』。ルネサンス期を代表する芸術家。芸術家としてもその腕は超一流だが、音楽、数学、天文学、生理学といった多方面にも人類史に貢献した万能の人。キャスターのクラスとして召喚された英霊で、このカルデアに霊基を登録することで魔術のマスターとの契約なしで現界している。

 それ自体は特に思うことはない。あるとしたら、ダ・ヴィンチが()()であることだろう。

 いや、アーサー王が女性だというのだからダ・ヴィンチも女性だとしても歴史家の怠慢だと割り切れるだろう。

 が、なんとこの天才、自分の理想の女性であるモナリザになる為、姿形、挙句には性別さえも変えているのだ。

 見た目は絶世の美女、中身は倒錯的な変態な天才爺。ほぼ詐欺だ。

 

 まあ、そんなダ・ヴィンチを加え、このカルデアには三人のサーヴァントが在籍していることとなる。

 シールダーのマシュ、アサシンのヒッポメネス、キャスターのダ・ヴィンチ。

 なんともまあ、前衛が心許ないメンツである。

 

「というわけで、さあお待ちかねの召喚タイムだ!! 拍手!!」

 

「わぁ〜」

 

「わ、わぁー…」

 

 最初から乗ったヒッポメネスに、続くように拍手するマシュ。ダ・ヴィンチのテンションについていけていない立香に、呆れ気味のロマンとフォウ。

 彼らがいるのはカルデアの中でも重要とされている部屋。全体が薄暗く、広い空間だが青く円を描くような魔法陣が中央に鎮座している。

 

「さて、立香くん。ダ・ヴィンチは置いておいて君にはこれから新たなサーヴァントを召喚して貰おうと思う」

 

 一度咳込み、空気を打ち切ってロマンが話を続ける。

 

「君も既に理解していると思うが僕らは今、未曾有の危機に陥っている。危機を脱するにはありとあらゆるものが必要だ。知恵も、情報も、幸運も、物資も、時間も、戦力も。現状においてそれらを獲得するにはあまりに困難だ。だが幸いなことに僕達は戦力だけはすぐに得られる事ができる」

 

「それが、サーヴァントですか」

 

 ロマンは頷く。

 人類史に貢献した英霊達。その英霊をクラスという器に限定して召喚し、サーヴァントとする。

 そのサーヴァント達を仲間とし、待ち受ける特異点へと乗り込み迅速に解決する。

 

「ああ、本来なら英雄達の生前に関わりがある触媒を用意して召喚するんだけど。カルデアの召喚システムは少々変わっててね。触媒があっても狙ったサーヴァントを召喚できないんだ」

 

 その説明は長くなるから省かせてもらうよ、と一拍置き。

 

「喚ばれるサーヴァントはほぼ運頼み。だが召喚されるサーヴァント達は皆、世界を救う事を是とし、滅亡を是としない英雄達だ」

 

 その為、人類に悪意を持ち滅ぼそうとする英雄は召喚されない。そういった限定がされているから触媒を用いられないのかもしれないと立香は納得した。

 

「彼らは皆、君にとって偉大な先達ばかりだ。少々性格に難があるかもしれないけど…まあ、そこはなんとか乗り切ってよ!」

 

「はい! そこで不安な事を言わないで! …とにかく、これから召喚すればいいんですね」

 

「ああ、でも召喚できるサーヴァントは三騎までだ。崩壊した内部の修復と君の実力を考慮した上で、三騎とさせてもらった」

 

「三騎…」

 

「望みとしては前衛として優秀なセイバーかランサー、後衛で援護ができるアーチャーかキャスター、そして高機動で遊撃に回れるライダーが望ましいね」

 

 アーチャー、という単語が出た瞬間ヒッポメネスの獣耳が跳ね上がった。

 

「まあ、気軽に考えるより先に召喚しようか。言ったとおり応じてくれるサーヴァントは運頼み。召喚できてから編成は考えよう」

 

「分かりました、じゃあ「立香くんいいかな?」…え? なにヒッポメネス?」

 

 立香が召喚陣の前に立とうとしたら、その前にヒッポメネスが満面の笑みを浮かべ、立香の至近距離まで接近していた。

 

 

 

「アーチャーのことなんだけどアーチャーというのは読んで名の通り弓兵の事なんだよね? それに関して僕が言いたいのは弓兵とはロマンさんが言った通りに後方支援を主とした活躍をしてくれるわけなんだけど決して冬木で会ったような剣を使うというよく分からない弓兵ではなく弓を使う正式なアーチャーを召喚すべきだと思うんだそこで僕はアーチャーとして適格な英霊を知っているわけなんだけどねそのアーチャーはありとあらゆる障害物を諸共せずに速度を落とさず高速で移動できるししかも美しく僅かな時間を溜めることで筋力Aの一撃を放てるんだしかも可愛いし森林においてアサシン並みの隠密行動を取れるんだ宝具に関しては広範囲の殲滅が可能なんだなによりもかっこいいし人類救済に積極的だつまりなにが言いたいかというとアタランテを召喚しようしたいしなければならないしてくださいお願いします!!」

 

 

 

「ヒッポメネス? ヒッポメネス!?」

 

「彼をここまで駆り立てるのはなんなのだろうか?」

 

「愛じゃないかな?」

 

「愛怖いなぁ…!」

 

 ───それ、吾の台詞

 

 遠い未来から声が聞こえた気がしたが気のせいに違いない。

 

 

 

 

 とにかく隅の方で狂信者染みた祈祷を始めたヒッポメネスを無視し、立香は魔法陣の前に立った。

 ロマン曰く、本来唱えなければならない詠唱は既に省略化させている。君は魔力を注ぎ込むだけでいい、とのこと。

 その言葉通り、立香は腕を上げて魔力を回した。

 それに呼応して魔法陣に光が迸る。雷光のような光が部屋中を照らし、まとまりのなかったその光は三つの輪となって形を成していく。三つの輪は同時に収束し、やがて人の形となっていく。

 

 

 

 光は解け、人影の姿は鮮明となった。

 

 

 

 その人はそう、“王”であった。

 

 小柄な体躯に青い戦衣装。その上に白銀の鎧を身につけた、金糸の髪を持つ少女。

 可憐、ではなく凛々しさ。少女と侮る目は正しく節穴だろう。その人が纏う静かな王気は、ただ美しさと清らかさに満ちていた。

 

「問おう」

 

 その人の眼差しは、騎士の瞳だった。

 

 

 

「貴方が、私のマスターか?」

 

 

 

 召喚に応じたサーヴァントの名は、アーサー・ペンドラゴン。特異点Fにて、立花達の前に立ちはだかったセイバー、その人だった。

 

「え、あのセイバー!?」

 

「…成る程。貴方はあの時のマスターですか」

 

 納得したと頷くセイバーに対し、立香は若干焦っていた。

 

「改めて、セイバーとして召喚に応じました。アルトリア・ペンドラゴンです。特異点では迷惑をお掛けしました」

 

「ま、待ってくれ。セイバー、君は特異点の記憶があるのかい!?」

 

「はい。とは言っても全てではありません。私が貴方達の前に立ちはだかり、剣を向けたことは記憶があります。ですが、何故剣を向けたのか、聖杯を守らなければならなかったのか。そう言った記憶は()()()()()()ように無いのですが」

 

 それを聞いてロマンは唖然とした。目の前のセイバーはトップサーヴァント級の実力を持つ騎士王その人である。そんな英雄を操り、あまつさえ記憶を改竄する程の実力が敵にはいるということに。

 

「と、とにかく。今のきみ、いや、えっとあなたはあの時のセイバーではなく、ちゃんとしたセイバーなんだよね?」

 

「はい。あの時は聖杯に汚染されていましたが、これが本来の私です。そして人類焼却という危機を防ぐ為、貴方の剣として喚ばれました。…貴方と横にいる少女、マシュ嬢にとって私は敵であった為信頼を得るのは難しいかもしれませんが、信頼に足る働きをするとここに約束しましょう」

 

 凛とした佇まいに圧巻されるが、立香はマスターとして背を伸ばした。

 

「いや、あなたがこうして召喚に応じてくれたことが嬉しいです。有名な、いや、高名? な王様には相応しく無いかもしれませんが、マスターとして頑張らせていただきます。こちらこそ、どうかよろしくお願いします」

 

 たどたどしいが誠意を持ち、敬意を待ってお辞儀する立香に、セイバーは面を食らったように若干目を見開くがすぐに優しい笑みを浮かべた。

 

「ええ、よろしくお願いしますマスター。そして、それほど固くならなくてもよろしいですよ? 私は貴方のサーヴァント。もっと気軽になってもよろしいかと」

 

「え、そう? これで、いいかな」

 

「はい、私もそれが好ましい」

 

 そう言って自然と握手する。そんな二人の様子をマシュやロマン達が微笑ましく見守る。のだが。

 

「まだ、まだだ。焦る時じゃない、抑えるんだ僕。きっと来る、だから嘆く時じゃないんだ…」

 

「あとマスター、そこに悶えるように転がっているサーヴァントは…」

 

「ああ、後で説明するからほっといていいよ」

 

 

 

 

 

「さて、二人目と行こうか」

 

 祈祷を続けるヒッポメネスをできるだけ無視し、当たり前のごとく召喚を開始しようとする立香。アルトリアだけ珍獣を見るような目でヒッポメネスを見ているがヒッポメネスは気にしない。周囲もヒッポメネスを無視することに決めたようだ。

 

「ゴー!!」

 

 魔力を回し、召喚が開始される。

 アルトリアと同じように魔力の光輪が三つと生まれ、重なると人影が生まれる。光が弾け飛び、姿が鮮明となった瞬間───紅い衣装が眼に映る。

 

「サーヴァント、アーチャー。召喚に応じ参上「あああああああああぁぁぁっっっ!!!」召喚されて早々すまないがマスター。そこにいるサーヴァントが私を見た瞬間、崩れ落ちているのだが」

 

 というか紅い服装が見えた瞬間、膝から崩れていた。アーチャーと聞いた瞬間、さらに床に伏していた。

 

「うん、分かっている。運任せだから可能性は低いんだって、でも、期待したっていいじゃないか…!」

 

「あ、あのヒッポメネスさん! ちょっとこちらに来ましょうか!」

 

 マシュが駄サーヴァントと化したヒッポメネスの足を持って部屋の隅まで引きずっていく。気遣いができる後輩だなぁ、とマシュへの好感度が上昇していく立香だった。

 

 

 

「えと、迷惑かけてごめん。これからよろしくね、エミヤ」

 

「ああ、こちらも特異点の醜態を拭う活躍をさせてもらおう」

 

 特異点で出会ったアーチャー、真名をエミヤ。聞いたことがない英霊だが本人の自己申告では無銘の英霊だという。首を傾げる立香とマシュだったがその他の面子は何かを察したらしく押し黙った。アルトリア一人だけが、寂しげな面影を見せていたのをエミヤ以外気がつかなかった。

 

「アーチャー。また貴方と剣を並べることとなるとは」

 

「ふ、そうだなセイバー。状況こそ最悪だが環境はそう悪いものではない。君も私も存分に振るえるというものだろう?」

 

 親しげに話す二人に、立香は内心安心していた。ロマンが言っていた英雄には一癖や二癖あるという言葉に諍いなどを気にしていたがこの様子だと大丈夫そうだ。

 

「アルトリアさんにエミヤさん、こうしてみると特異点で出会った方ばっかり喚ばれていますね」

 

「うーん、この召喚システムには色々と穴が見つかっているからね。もしかしたら特異点に踏み込んだことで召喚システムにも変化が起きているのかもしれない」

 

 興味深いと二人を観察するダ・ヴィンチ。今まで立て続けに出会ったサーヴァントが召喚されていると気づき、立花は閃いた。

 

「あ、なら次に呼ばれるのってもしかしたら」

 

「クー・フーリンさんですね!」

 

 キャスターとして協力してくれた英雄。関わりがあったサーヴァントが立て続けに来てくれるなら、もしかしたらと希望が浮かぶ。

 

「…奴が来るのか。私としてはいい加減縁を切りたいところなのだがね」

 

「彼ならば戦力として問題ないでしょうね」

 

 エミヤは嫌そうに、アルトリアは冷静にクー・フーリンを評価している。エミヤはなんなのだろうか、まるでいく先々で顔を合わせているような顔は。

 

「じゃあ、最後の召喚にいくよ」

 

「…っ!」

 

 最後の召喚と聞き、バッと跳ね上がるヒッポメネス。そんな彼を置いて、召喚は開始された。

 召喚陣の上では人の形ができつつある。その姿を凝視すると、男性にしては身長が低いように見える。シルエットもどこか華奢。女性に見えなくもない、そう分かった途端ヒッポメネスの目に光が宿る。

 

  光は弾け飛び、その姿は顕となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シャルルマーニュ十二勇士が一人、アストルフォ! よろしくね!!」

 

「まったく関係ないし!?」

 

 

 

 ヒッポメネスの叫びは部屋中に響き渡りましたとさ。

 

 

 

 





はははアストルフォ、君はもう宝具レベル5だろう?

…キラキラ演出の期待を返せ…っ!!

沖田さんの代わり、彼が来ました爆死しました。



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