もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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シツモン

「ただいま」

と俺はいつも通り一人で帰ってくる。楽や集と帰ることが多いが今日は俺が日直だったので先に二人とも帰ってきているはず。

「お、帰ったか。夕貴、ちょいとオレの部屋にきな。」

と俺は不思議に思いながら父さんの部屋にいく。すると楽がすでに立っていた。

「あれ、楽お前も?」

「兄貴もか?」

と俺も楽も来るなんて珍しいな。

「なんだよ親父いきなり呼びつけて」

「今度大事な話するっつったろ?思いの外早く事が動いてな…てめぇらも最近のギャングとの抗争は知ってると思うが、それがいよいよ全面戦争になりそうなのよ」

……はぁ?

「ちょっと父さんギャングって聞いてねぇぞ!」

「……お前は知らなかったのか?」

「知らね」

「……まぁいい」

とため息をつきながら父さんが言う。

「もし戦争何か起ころうとするとお互いにただじゃすまない。だがお前らどちらかしかできない方法で回避することができる。」

「俺らしか?」

「嫌な予感しかしないけど聞くか?」

「実ァ向こうのボスとは古い仲でな、奴にもてめぇと同じ年の娘がいるらしいんだが…」

……なるほど

「恋人になれってことか」

「さすが夕貴は勘がいいな?」

「……はぁーーー!!?」

と楽は驚いていたが。

「そりゃ戦争になるよりかはいいだろ。ただ恋人のフリしてたら戦争回避できると思えば安いもんだろ。」

「じゃあ兄貴がやれよ。」

「別にそのつもりだったから別にいいけど」

「おっ、やってくれるか夕貴!!」

と父さんは嬉しそうにしてる。

「ちょっと、兄貴いいのかよ?」

「お前は好きな人いるだろうが」

と楽がずっと小野寺のことを好きなことは知っていた。

「それに俺は好きな人いねぇし、それにこういう時に兄貴面させてくれよ。一応応援しているんだぜ。」

「……サンキュー兄貴」

「マックドバーガーのポテトMで許す。」

「あぁ。明日買ってくるよ。」

と俺は父さんの方を向く。どうせ一ヶ月かその程度だろうしな。

「んで相手誰だよ?父さん」

「もう来てるはずだ」

「もう来てるのかよ!!」

とため息をはく。まぁブスじゃないことを祈るか。せめて桐崎みたいに可愛い奴ならいいけど

「本当にやってくれるのかい」

「うん。パパ任せておいて」

……あれこの声って

「…兄貴この声?」

「さぁ、この子が夕貴の恋人になる」

とカーテンの開かれると俺は目を見張った。

「…宜しく一条君」

「桐崎千棘お嬢ちゃんだ。お前ら二人は明日から三年間恋人同士になってもらう。」

……今なんて言った?

「ちょっと父さん桐崎がギャングの娘って本当なのかよ!!」

「あぁ本当さ」

「ってか三年間ってどういうことなのよ!!少しの期間だけって言ったでしょう!!」

「おや、三年間って僕達からしたら短いけどね」

確かに人生観は全然違うからそうだけど。

「ちょっと兄貴いいのかよ!三年間も」

「……とりあえず桐崎はお前覚悟はできてるか?」

「えっ、どういうこと?」

「もしかしたら三年間は恋人ができないってことだよ。そうだろ。」

「話は聞いていたけど理解が早いね。夕貴君は」

「……ってことだけど、」

「でもそんなこと言ってる場合じゃないんだけどね。」

「「「……えっ」」」

「お嬢!!」

とドガァァァン!!

と俺の後ろの壁が破壊される。

「……」

「なんだ?」

「見つけましたよお嬢…」

と金髪の男が入って来たんだけど

「……誰?」

「何で兄貴は驚いてないんだよ。」

「集英組のクソ共がお嬢がさらったと言うのは本当だったようですね。」

「クロード!!」

「ふーん。クロードって言うのか。」

と俺は歩きだす。

「こんにちはクロードさん」

「お前は確か」

「集英組二代目の一条夕貴です。お初にお目にかかります。」

「はぁ、どうも」

と礼をする。

「お茶を出しますのでお座りください。楽案内しろ。」

「えっ」

「ついでに紅茶でよろしいですか?」

「……あぁ」

「桐崎も手伝ってくれないか?さすがにこの人数は持ちきれないから」

「えっ、分かったけど」

と俺は桐崎と一緒に厨房に向かう。

「……んでどうする?」

と桐崎にお茶をいれながら聞いてみる。

「えっ、どういうこと?」

「さすがにこの状況は不味いだろ。あいつ爆弾使ってきたんだぞ。でも偽の恋人になるのは嫌だろ。」

「……でも一条君はそんな」

あぁもう

「……せめて一条兄か夕貴で呼んでくれ、楽とわかりづらいから」

「……じゃあ夕貴は私と偽の恋人になることに対して抵抗はないの。」

「さすがにあるな。俺は彼女いたことがないし、それに友達も少ししかいないから……」

元々ずっと集と楽の3人でいたからな。んで時々小野寺と宮本か。

「……私もそうなんだ。」

「はぁ?」

「クロードっているでしょ?」

「あの金髪メガネか」

「うん。小さい頃から良くしてくれてるんだけど、知っての通り過保護でね。学校行くにもやれ護衛だの、出かけ先でも銃持ってうろうろしたり。しまいには私の交友関係までチェックし始めて…」

こいつもしかして

「……もしかして友達少なかったのか?」

すると顔を赤くさせていたが頷いた。

「そうか……本当にお前もこっち側だったんだな。」

と俺は桐崎を見る。

「んじゃ俺と友達にならねーか?」

「……あんた何言ってるのよ!」

「いや、何かお前といたら面白そうだし。それにどうせこの流れじゃあニセコイするしかないだろ?」

「なんなのよニセコイって」

「偽の恋人略してニセコイ、まぁ女友達として遊びに行ったりすればいいだけだろ。」

「……そうだけど、いいの?」

「俺はな。ちょっと俺も興味わいたし。」

ちょっとこの女の子が日本がいる時くらいは楽しい思い出をつくれるようにしてほしい。

「どうする?お前に好きな人が出来たらなんとかするし、」

「……分かった。じゃあ宜しく。」

と桐崎が笑う。やっぱり笑顔が可愛いなこいつ。まぁその笑顔が見られるのが報酬ってことでいいか。

「あぁ。宜しく桐崎」

 

「お茶はいりました。」

と俺の隣を銃弾が当たる。

「おい、坊っちゃんに何してくれとんじゃあ!」

と日本刀で桐崎の横を切る。

「てめぇらいい加減にしろ」

と俺は少しキレる。

「暴れるのだったらどっかおもてに出てやれや。後、竜俺の彼女に手を出したら殺すぞ!!」

「「「「なっ…なぁぁにぃいいーー!!」」」」

と楽が俺の方を見ると頷く。

「そうだよ。兄貴と桐崎は付き合い始めたんだよ。」

「そ、そうよ。だから皆落ち着いて」

……こいつらが演技が下手なことは分かった。

「まぁそう言うことだ。」

と父さんがヤクザとギャングに向かって言う。

「とりあえず竜お客さんだ。どいてろ。」

「へぃ分かりました。」

と俺は竜を下げさせる。

「すみません。クロードさんとりあえず紅茶どうぞ。」

「……あぁ」

と言ってお茶をテーブルの上に置く。

「ついでに毒なんて入ってませんので。」

「……」

とどうやら疑われているのか俺の方をじっと見る。

「そう言えばどっちからどうやって告られたんですかい?」

「えっ」

「俺からだよ」

と全部俺が答えた方がいいと思った。どう考えても桐崎は演技がうまくわないからな。

「あぁ、そうだ。私も坊っちゃんに聞きたいことがあるのですがいいですか?」

「……は?」

「お嬢の好きな食べ物と音楽は何でしたっけ?」

「知るわけねぇだろうが?まだ付き合って一日も経ってないんだぞ。まぁ弁当からみたら甘いケーキと肉じゃあないのか?後音楽はクラシックかな?」

「……そうです。」

クロードは頷く。へぇ桐崎って肉とクラシック、そしてケーキが好きなのか。こっちを桐崎は見る。

「じゃあ次は。」

「ちょ、ちょっと待ってよ質問攻めなんて失礼じゃない。」

「おおっとこりゃすみません!!」

と俺はため息をつく。

「んじゃ最後お嬢二人はもうキスは済ませたんですか?」

……

「おい、いい加減にしろ。そこまでだ。」

と俺はとめる。

よく考えたら何で質問攻めにされてるんだ。俺らは

「ちょっとお坊ちゃんは黙って」

「お前が黙れよ。このくずが。」

と皆の雰囲気が凍る。

「ちょっと夕貴」

「困っているのに質問攻め、ふざけんな。よう考えたら俺達はあんた達に何で教える義務があるんだよ。変に介入するから別れる原因になるんだよ。お前らには失礼って言うのが分からないのか?」

と俺は少しためてから

「いいから楽と、まぁクロードさん。そして桐崎の父さんと父さん、そして桐崎以外は出ていけ。」

「……坊主の言う通りだ。」

と父さんが言う。

「ここは元々夕貴と桐崎のお嬢さんが俺らに報告するように言ったから集まったんだ。お前ら下がれ。」

「そうだね。クロード達も帰りなさい。」

「ですがボス」

「早く帰りなさい。本当にごめんね。夕貴君」

「いや、いいです。」

と俺は軽く嫌悪感を持っていた。

「……分かりました。」

とクロード達は帰っていった。

「……あいつらに謹慎一週間言っておく。」

「僕の方でも何か罰を与えておくよ。」

「あぁ、そうしてくれ。全く、怖い思いさせてごめんな、桐崎。」

「ううん。助けてくれてありがとう。」

「でも兄貴よくあんなこと言えたな。普段とは大違いじゃねぇか」

「一応偽物とは言え恋人は恋人だ。守るのが当たり前だろ」

「……神経太いよな」

「それより飯、せっかくだし食ってけば。」

「いや、料理人に作らせてあるから今日は帰るよ。」

「んじゃ玄関まで送ります。」

「いいよ。でも娘のこと宜しく頼むよ。夕貴君。」

と笑顔で言う桐崎の父さんはとても優しそうだった。

「それは本当に桐崎に彼氏ができた時に言ってあげてください。んじゃまたな。」

「うん、またね。夕貴と一条さん」

「じゃあな桐崎。」

と俺達と桐崎はわかれる。

そうして俺達のニセコイ生活は始まった。


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