もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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アイタイ

「これでよし。」

「……サンキュー兄貴」

ため息をつきながら楽はオレの選んだ服を着る。

千棘が彼女になってからオレは気にしたことのないファッションや身だしなみについて勉強し始めた。そのおかげで少しはましになった。

「…たぶんこれで大丈夫だと思うけど……」

と言うわけで今日は楽のデート服を選びに買い物にでていた。どうやら、万里花からデートに誘われたらしくオレが楽の服をコーディネートするはめになったのだ。

まぁ家のことを脅された結果だったらしいけどな。

時間を見ると楽の約束の時間にぴったり時間だった。

「んじゃオレは帰ろうかな。さすがにオレがいたら迷惑だろうし。」

「サンキュー兄貴。これ」

オレは楽から図書券千円分を渡される。楽から頼まれると基本的には食べ物か、図書券をお礼に渡される。

「へいへい。後少し早めに行けよ。一応脅されたとはいえデートに誘われたんならな。」

ニセコイのときもオレは数十分くらい前には待ち合わせ場所には着いていたからな。さすがに女を待たせるようなまねはしないとおもうけど……

会計は楽に任せてオレは店を出る。このままゲーセンかどこかに行こうかな?と思っていると

お気に入りの曲にスマホからなる。この曲が流れると言うことは千棘からのメールだな。

メールを開く。すると

「ぷっ」

オレは笑ってしまった。そしてすぐに電話をかける。

コールが何回かなった後に

「もしもし?」

「もしもし、オレ」

「どうしたのよ。急に」

「メールのことだけど別にいいぞ。すぐに凡矢理駅に来れるか?」

「分かった。すぐにいくね。」

電話を切ると少し苦笑してしまった。

メールには

 

夕貴、今から会えない?

 

たった一言書かれていた。でも付き合い始めて約1ヶ月。初めて千棘からデートに誘ってきたメールだった。

 

そして一時間後

「夕貴待った?」

と一生懸命走ってきたのか息切れしていた。

「大丈夫か?」

「ううん。平気」

といってもオレは千棘の息切れする姿は一度も見たことない。

「それにしても千棘から誘ってくるって珍しいよな。」

「別にいいでしょう。」

「そうだな。んでどこ行くか?」

「うーん。適当に散歩する?」

「その前に飯食っていいか?さっきまで楽の服選んでいたから飯食ってないんだよ。」

「もやしと一緒にいたの?あいつ今日万里花とデートじゃあ。」

「うーん。まぁその話は飯食いながらでいいか?」

「いいけど」

すると何か思いついたように千棘が言う。

「じゃあもやしのデートに尾行してみない?」

「……」

一瞬千棘と2人きりになれないのかと思ったのだが

「いいな。おもしろそうだし。」

ニヤリと笑う。

「そういえば、あんたはデートの場所知ってるの?」

「万里花から聞いている。どうやらオレのバイト先のレストランで食事するらしいぞ。」

「……あんた、万里花と仲いいの?」

「まぁな。親友として中2まで会わなくても月一で手紙書いていたくらいには仲いいかな。手紙書かなくなった原因はあいつが勉強するだめだからな。まぁ、この学校に来るために努力してたんだと思うけど……」

「変なところで真面目ね。」

「……あいつにも色々あるんだよ。」

オレはあいつのことはかなりのことの知っている。たぶん楽と集以外だったらあいつのことがオレは一番知ってるだろう。

「……そういえばあんたは」

千棘は少しだけ何か言いたそうにしていたが、

「行こうか。」

すぐに笑顔に戻った。

 

そしてオレ達は街中を歩いているとあることに気づいていた。

「ねぇ、ここの辺り警察官多くない?」

数十メートル置きに警察官が配置されていたのだ。

「まぁ、万里花がいるからなぁー。あいつ警視総監の娘って前言ったよな。」

「……だからあの子が来たときに警官隊が来たのね。」

千棘忘れていたのかよ。

まぁ話しながら楽と万里花を探していた。すると

ガサガサと草が揺れている。

……

そこにいたのは小野寺と宮本だった。それで隠れているつもりだろうか?

オレはため息をつく。気になるくらいなら自分がデートに誘えばいいのにな。すると小野寺と目が合う。

「…る…るりちゃん。」

「……」

すごくにらまれる。まったくしょうがない。今度宮本にたかるとして今日のどころは見逃してやるか。

「夕貴、どうしたの?」

「あぁ、すぐ行く。」

オレは小走りで千棘そばに行くと

ぎゅっといきなり手を繋がれる。千棘の方を見ると顔を真っ赤にして。

「…何よ」

たった一言。

前を向くとそこには楽と万里花の後ろ姿が見られた。どうやら腕を組んでいるらしい。

……はぁ、なるほどな。

オレは千棘の手を絡ませていわいる恋人繋ぎにする。

「…なっ」

「本当にお前かわいいよな。」

「あんた殴るわよ。」

「顔を茹でダコ状態のお前に言われても怖くねぇよ。」

「あんたも顔真っ赤じゃないのよ。」

「うっせ。オレだって恥ずかしいだよ。」

するとスマホからメールの曲が流れる。見ると楽からで

 

すまん、橘が暴走する可能性があるからついて来てくれ。

 

……あいつ何やったんだ?

とりあえず了解って送るとオレは千棘にそのメールを見せる。

「……あの子何やったのよ?」

「さぁ?」

「まぁいいや。許可ももらったから監視させてもらいますか。」

もうバレてるぽいしまぁいいか。

 

そして数分後

「お前なぁ。まぁいいけど」

オレはレストランで苦笑するはめとなった。

簡単に言うとレストランで食事しているんだけど。

千棘はかなりの量を食べているんだよなぁ。

金銭的にはまだ余裕があり、テーブルマナーが悪いわけでもないけど、あまり頼みすぎるとあいつらのことを見失う可能性がある。

まぁ、正直発信機着いているからそれを使えば追えるけど。

「そういえば今日どこ行きたかったんだ?」

「えっ?」

「いや。楽の追尾なんて本当は予定はなかっただろう。それならどこか行きたかったところがあると思ったんだけど。」

「……」

するとくすりと笑って

「別にどこでもよかったわよ。あんたと一緒なら」

「……」

顔を背けてしまう。全身が熱くなり千棘の顔が見れなくなる。

「あれっ、万里花たちどこ行った?」

「えっ?」

するとオレは見回すともうレストランから出ていた。

「……はぁ。」

とため息をつきスマホを開くとGPSは近くの公園を指し示していた。

「行こうか。近くの公園に逃げあがった。追いかけるだろ。」

「もちろん」

「んじゃ行こうぜ。」

頭を一回叩き笑う。そして楽と万里花のところに向かっていった。

 

急いでついたおかげで後ろに回り込まれた。

「なんか、楽しそうね。」

「まぁな。別にいいんじゃねーか。」

「でも話の内容聞いてみたくない。」

「はぁ、背中に捕まってろ。」

「あんた何するのよ。」

「こうするんだよ。」

オレは木を壁を蹴り音を立てずに飛び乗った。

「えっ?」

「離すなよ怪我するぜ。」

元々ヤクザの長男ってことで拉致未遂にあうことが何回もあったのでにげる方法についてはかなりすごく慣れている。

そして2人くらいが安全に座れるところに飛び乗った。

「まぁここらへんでいいか。」

「あんた今どうやったの?」

「ちょっと忍者の知り合いがいるからなぁ。」

オレは真下にいる楽と万里花の話している声が聞こえる。そして写真が見える。

「っ!!」

オレは楽の持っている写真を見て焦る。

「夕貴?」

千棘が驚いている。

「ごめん。オレ帰るわ。」

オレは木から飛び降りる。

「ちょっと夕貴?」

「じゃあな。また明日。後ごめん」

オレはしのび歩きでここから抜け出した。

結局オレは十年前のことを忘れさせてくれないんだな。

オレはそう思いながら家への帰路についた。


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