もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。 作:孤独なバカ
「はぁ、また転校生?」
あの雨の日の翌日のHR前、集が話かけてきた。
「あぁ、このクラス他のクラスよりも少ない人数で構成されていたんだけど、家の都合上入学式から来れない人が多かったらしいぞ。」
「ふーん。」
オレはここまで転校生で来た3人を思い出す。
一人目千棘
二人目つぐみ
三人目れい
「……」
インパクトがあるやつしかいねぇ。
しかも、何かとオレと関係があるやつばっかりじゃねーか。千棘は彼女でつぐみはオレと千棘の護衛
、そしてれいは愛人志望。
「……どうしてこうなったんだろう。」
オレはため息をついた。
おかしい。なぜか全員がオレと関係している。
「アハハ、ゆうは大変だねー。」
「集、笑い事じゃねーよ。」
「うん。なんの話?」
今日遅れてきた千棘がやってくる。
「今日転校生がやってくるらしいんだよ。」
「また転校生?」
「そういえばどっちだ?男か女で変わってくるんだけど。」
「うーん…オレも分かんないんだよね。何しろ急に決まったらしいんだよ。」
集の耳に入らないってけっこう凄いよな。
「おーい皆席に座れ。HR始めるぞ。」
キョーコ先生が入ってくるが未だに隣の人としゃべっている人がいる。
「はーい、全員注目~~!!今日は突然だけど転入生を紹介するぞ~!」
するともっとクラスメイトの声が大きくなる。逆効果せめてオレと関わりのないやつだったらいいよな。
「それじゃ入って橘さん。」
「はい。」
あれ今キョーコ先生なんて言った?確か橘さんって
すると教室の中から一人の女の子が入ってくる。茶髪のロングヘアの女の子。どこから見ても
「なんでワンピース姿なんだよ!万里花!!」
ここの制服でもなく普段通りの私服で現れた女子に突っ込む。
「あら、お久しぶりですね。夕貴様。」
「お前こっちくるんだったら連絡よこせばよかっただろ。」
するとクラスメイトがこっちを見る。
「夕貴、知り合いなの?」
千棘が聞いてくる。あぁそうか。覚えてないのか。
「10年前にあったきりのオレの親友って言えばいいのかな?」
「はい。そうですわ。」
万里花もそう思っていたらしく頷く。手紙を昔よく書いていた相手だったので普通に会えて嬉しかった。
「あの、そういえば楽様は?」
「楽様?」
「楽ならあそこだよ。」
オレは楽の座席の方を指さす。すると
「ねぇ?夕貴どういうこと?」
千棘が隣の席から聞いてくる。
「見てたら分かるって」
と言った矢先に
「楽様~~!!ずっとお会いしたかったですわ!!」
万里花が楽に抱きついた。
すると楽、小野寺、つぐみの顔が焦っているような顔になった。そしてクラスメイトは
「うおおおおなんだぁああ!!?転校生が一条弟に抱きついた!!」
「前に話したよな。楽に許嫁がいるっていうの。」
「もしかしてあの子がもやしの許嫁なの?」
「そうな感じだな。」
オレは苦笑してしまう。
いやー本当に来るとは思わなかったな。父さんも近ごろこっちに来るって言っていたけどこんなに早くくるとは
「兄貴知ってたのかよ。なんで話してくれなかったんだ。」
「そっちの方がおもしろくなりそうじゃん。後オレばっかり被害にあってるから、ちょっとはお前もおんなじようにしてもらわないと。」
「八つ当たりすぎるだろう。えっと、……誰?」
「橘万里花だよ。」
オレは苦笑する。やっぱり覚えてないか。
「とりあえず離れた方が身のためかな。まだ自己紹介してないだろ。楽はあの時のこと覚えてないらしいし。」すると楽はびくっと反応する。
「あら、そうなんですか?では改めて、橘万里花と申します。何卒よろしくお願いします。」
クラスメイトにあいさつしている。
「あれ?あの子」
れいは多分会ったことがあるだろうし見知っててもおかしくはないな。
「……?」
杏は訳がわからないらしくきょとんとしている。
「そういえば、楽様には彼女はいらっしゃるのですか?」
うわーいきなり聞きにくいことを聞いてくるな。あいつ。
「いねーよ。兄貴はいるけどな。」
「……あら?夕貴様はいらっしゃるのですか?」
「…」
楽お前なんてことを聞いてくるんだよ。
「まぁな。」
「……あんた調子でも悪いの?」
千棘が近づいてくる。
「別にそんなことはねぇけどな、昔のことを知っているやつに話すのはちょっと……」
「確かに、意外ですわね。どなたでしょうか?」
「目の前にいるだろうが。」
すると千棘の方を向いて、
「こちらのゴリラみたいな女の子ですか?」
するとクラス中の空気が凍りついた。そうだった。こいつら昔からこんな関係だった。
「……よく聞こえなかったな~~」
「千棘ちゃん抑えて」
れいが千棘を押さえる。
「貴様お嬢になんて無礼な事を」
つぐみが万里花に銃を向ける。
「あら…いけませんわ。そんな物騒な物を私に向けたら。」
「突入ー!!」
声が聞こえてきた。オレは
「うるせぇ。外野は黙ってろ。」
近くにあったイスを思いっきり投げつける。それは盾もろとも警官隊を吹き飛ばした。
「「「は?」」」
「千棘もそんなことくらいでキレるな。まったく。」
「いや。でも」
「言いたい奴らの相手しとったらキリがねぇよ。万里花、お前も少し言い過ぎ。こいつ楽に言われてから気にしているんだよ。」
オレは頭をかく。
「あら?そうだったのですか?すみません桐崎さん。つい本音が」
「万里花いいかげんにしろよ。」
口調を強める。
「……はい。でも、」
「あの時のこと気にしてるんだったらやめてくれ。余計オレが惨めに見える。」
「そういったわけじゃないんですが。まぁそういうことにしときます。」
すると万里花が千棘の方を見て
「夕貴様のことをよろしくお願いします。」
と頭を下げる。
「えっと、」
困ったような千棘に何か万里花が近づいて話しかけていた。
「はぁ。」
まさかあの時のメンバーがここまで集まるとは思わなかったな。後あいつだけか。楽たちにバレないように教室を出る。
10年前のときに近づいているそんな感覚があった。そして、すぐ近づいてくる騒ぎの予感もしていた。