もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

20 / 26
投稿遅れました。すみません。
ついにお気に入り人数が二百人を突破しました!
本当にありがとうございます


アイアイ

「親父、親父はどこだ!?」

楽が廊下を走る。

「父さんなら、さっき出かけたぞ。」

オレはあくびをしながら廊下に出る。

「兄貴。」

「どうしたんだよ。そんなに慌てて。」

「昔の写真が見つかったんだよ!!兄貴は十年前の旅行のこと覚えてるか?」

すると少し焦ってしまう。もしかして

「鍵のことか?」

「あぁどうやら鍵を持った女の子ととった写真を探してたんだけど、それが見たことない女の子だったんだよ。」

「でも写真見ないとわからないだろ。少し見せてくれないか?」

「あぁ、いいけど。」

楽に手渡される写真には

……懐かしいな

オレのあの頃の親友と言える茶髪の女の子がいた。

「あぁ、あいつか。今福岡かどっかにいるんだろ。」

「知っているのか?」

「昔親友だったからな。まーちゃんか懐かしいな。」

今楽の許嫁だとは言わない。こういうのは父さんが言うべきだ。それにおもしろそうだしな。

「ごめん。今日寝るけど、楽お前皿洗い忘れてるぞ。」

「あっ、やべっ行ってくる。」

楽は厨房から走って行く。さて明日は雨だし早めに行くか。

 

そして翌日

「林間学校の写真できたぞー出席番号順に取りに来い。」

そのときに楽の隣を通る。すると何かを考えている様子だった。

たぶん昨日の女の子だろう。あの頃の写真は昔ほとんどオレが燃やしてしまったのでない。だから唯一出てきた写真が知らない女の子だったから気になっているんだろう。

オレは楽と違って株やバイトをしてお金には困っていない。だからかなりの数を買ったから写真だけでもかなりの数があるだろう。

そして席につくと

ザァァァアァァ

空から水滴が落ちてくる。

「……雨だな。」

しばらくの間校庭を見ていた。

 

「あ…ちゃ~」

帰り玄関に向かうと千棘が困ったように立っていた。

「…傘忘れたのか?」

「あっ夕貴。うんそうなの。」

「……入るか?」

「えっ。」

反応したのは後ろにいた杏だ。

「近場だし送ろうか?ちょっと恥ずかしいかもしれないけど。」

「うーん。ならお願いしてもいいかな?」

「了解。ほら入れよ。」

「ありがと。」

と腕に抱きついてくる。

「ちょっとお前。」

「あんたまで濡れたら意味ないでしょ。」

「お前場所考えろ!ここでやったら」

「おっ!?あいつら相合傘じゃん。ヒューヒュー!」

こうなるんだよ。

千棘も気づいたようだけど離す気配はない。ってことは

「じゃ行くか。」

「う、うん」

ゆっくりだけど歩き出す。

「そういえば来週には梅雨明けるらしいぞ。」

「本当?」

「あぁ、ニュースでやってたぞ。ひさびさに遠出するか来週あたり。」

最近のデートは雨ばっかりだったからゲーセンや水族館など近場の遊園地によく行っていた。

「じゃあ最近できた遊園地に行きたい!」

「んじゃ、行くか!!」

「本当?」

「あぁ、最近出かけてないだろう。お前の誕生日とか色々あったしな。」

「本当にアメリカにいたときとは思えないわよ。」

「オレも最近じゃあ普通に男子から話かけられるしな。お互いによかったんじゃないか?」

怖がる人はもはや誰もいないしな。

「夕貴。ありがとう。」

「んなこと言うんだったらこっちこそありがとな。」

すると目が合う。そして笑い合う。

「何言ってるんだろうなオレら。」

「付き合いたてのカップルみたい。」

「って付き合い始めたばっ」

するとピカッと光る。そしてすぐにゴロゴロと大きな音が聞こえた。

「すげー近かったな今」

すると腕に柔らかい感触が強くなっていた。

「ちょっと千棘当たって、」

「ちょっとだけこのままでいて。」

千棘まさか

「雷に弱いのか。」

すると頷く千棘。しょうがないか。

そして近くの公園に入る。

「大丈夫か?」

「うん。」

離れないのにそう言われても説得力ないぞ。

「……ねぇ、夕貴?少し聞きたいことがあるんだけどいい?」

「別にいいけど、どうした?」

「村杉さんとれいちゃんのことどう思う?」

「友達。」

即答だった。

「ふーん。じゃあ私が愛人にしてもいいって言ったら。」

「今のところはする気はねぇよ。逆にお前はどうなんだよ。オレが愛人作りたいって言ったらどうするんだよ。」

「……わからないや。」

その返答に少し戸惑う。

「……そっか。でも正直なところ、好きなのは今のところは千棘だけだよ。きっぱり断らないオレが悪いんだけど。」

「ふーん。」

千棘はこっちを見る。その目は少し悲しそうだった。

「……夕貴、私のこと好きなの?」

少し上目づかいで言ってくる千棘。たぶん真剣に言っているんだろう。

「好きだよ。」

「どんなところが?」

「不器用だし、鈍感で俺の気持ちにまったく気づかないで振り回されるけど、優しくてずっと俺の隣にいるところ。振り回してきても悪いと思ったときは素直に謝るしなによりも、根は強くて努力してるところかな。苦手なものは多いけどな。」

オレは千棘の頭を撫でる。さらさらしていて気持ちがいい。ずっと心配だったのだろうな。最近は杏や少し笑ってしまう。

「千棘好きだよ。」

「……あんたそんなこと言って恥ずかしくないの?」

「恥ずかしいこと言わせてるのは誰だよ。」

「……でも嬉しい。」

千棘が腕から離れると少し笑っていた。

「私も好き。大好き。」

そう言って抱きついてきた。オレは苦笑しながらずっと千棘の頭を撫でていた。

 

「……そういえば雨やんだな。」

千棘が離れてからオレはつぶやく。時間を見るとあれから一時間経っていた。

「あっ。テレビ見たいやつあったのに。」

「でも動けなかったんだから仕方ないだろう。今度の遊園地奢ってやるから。ほら帰ろうぜ。また雨が降らないうちに。」

「そうね。」

千棘がまた手を繋いでくる。

「じゃあ行こうか。」

「うん。」

オレたちは手を繋いで歩き出す。これからもずっと一緒にいられたらいいと思いながら。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。