もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。 作:孤独なバカ
千棘の誕生日の翌日
「あー昨日は楽しかったわー!」
「それはよかったな。」
とオレはいつもどおり自転車をこぐ。結局あのことは千棘には黙っておくことにした。だから普段どおり普通に接している。
楽のペンダントは集の知り合いが直してくれることになった。でもあのペンダントはもともと壊れていて小学生のころに修復ができないことを思い出していた。
あのペンダントは開かない。そう思い出した時に少しほっとしていた。十年前、天狗高原に旅行に行ったさいのことを千棘はたぶん気にしないだろう。でもそれはただの推測でしかない。
……ただ今の関係が崩れることが嫌なんだよな。
自分の臆病さに呆れてしまう。
そうしているうちにも学校に行く。そしてホームルームの時間にキョーコ先生が教壇に立つ。
「はーい皆注目~林間学校の写真が焼きあがって掲示板に張り出されてるから各自欲しい写真の番号を書いて提出する事。OK?」
「「はーい」」
クラス中から声があがる。そうか林間学校の写真出来てたのか。
「後恥ずかしくても好きな奴の写真はちゃんとゲットしとけよ?」
「「「は~何言ってんだこの人」」」
まぁたぶん皆買うんだろうけど。
「わー!これ好きなの買ってもいいの?」
「まぁな。一枚百円だけど、まぁお前の家なら大丈夫か。」
よく考えてみたらこいつギャングの一人娘なんだよな。だからいくら買ってもたぶん大丈夫だろう。
「いいなぁ~私も林間学校行きたかったなぁ~」
「そっか、れいちゃんは林間学校が終わってからこの学校に来たんだよね。」
「そっか、でもなんでお前封筒持っているんだ?」
「先生が言ってたじゃん。好きな人の写真は買いなさいと。だからゆう兄の写真を買いにきたんだよ。」
「お前な、なんでオレのって」
「冗談じゃあないよ。」
れいは笑いながら言うと
「私は冗談が嫌いってことゆう兄が一番知ってるでしょう。ずっとすぐ近くで見てきたんだから。」
「オレが嫌いだったからな。」
れいはオレみたいになりたいって昔から言ってたからな。
「だから、全部本当だよ。ゆう兄のことが好きなことも全部。」
「だからって愛人になるって方がおかしいと思うけどなぁ」
まぁいいか。そういえば
「そういえば、林間学校の時ごめんな村杉。」
「桐崎さんのこと考えてでしょう。しょうがないよ。でも、なんで暗闇が苦手ってこと知ってたの?」
「一回勉強会開いたときにいろいろあって蔵に閉じ込められたんだよ。そのときにわかった。」
「……どうして蔵に閉じ込められる状況を作れるのか教えて欲しいところだけど。それに私のことは杏でいいよ。私も夕貴君のこと名前で呼んでるし。」
まぁいいか。
「了解。んで杏」
すると顔が真っ赤に杏は染まっていく。
「えっ?」
「ううんなんでもないよ。話続けて。」
「いや、写真買わなくていいのか?もうけっこうたってるけど。」
「人ごみに紛れるのは苦手だから。もともとあまり目立たないようにしてたし。」
「恋愛には積極的だけどな。」
恋愛だけは性格が変わるのか。でももともとは照れ屋なんだろうな。さっき名前で呼んだとき顔真っ赤になってたし。
「まぁいいか。」
「あ~小咲ちゃんとモヤシの写真あるよ!」
千棘ははしゃいでいる。まぁいいか。こういうのは初めてなんだし。オレも写真選びにいくとしますか。
しばらくしてオレも写真選びが終わった。そして家に帰ってから呟く。
「ほとんど千棘としか写ってないな。」
約8割の写真は千棘と写っていた。ずっと一緒にいることがわかる。でも少しだけ楽と集の写真もあったし、杏と写ってあった写真も少しあった。
結果的にいえばよかったなと思う。集が写真を売ってこようとしてたけど千棘に連行されていった。
まぁ一週間くらいで届くらしいし楽しみに待ってよう。
「兄貴、ちょっといいか。」
と廊下から楽の声がする。
「なんだ?」
「倉で探し物、手伝って欲しいのだけど。」
「マックドナルドのダブルチーズバーガーセット」
「別にいいけど」
よしならとジャージに着替えてから部屋を出る。もともと頼みごとはあまりしてこないからな
「んで何を探せばいいんだ?」
「この紙に書いてある箱だよ。」
まあいいか。
しかしその後その紙に書いてある箱は見つからなかった。