もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。 作:孤独なバカ
あれから数日がたち最初はギスギスした関係になると思っていたのだが
「それで昔のゆう兄ったら」
「へぇ~そんなことがあったんだ!」
「夕貴、あんたね。」
とすぐに仲よくなっていた。ってか
「あのさぁ…オレの昔話なんか聞いて楽しいか?」
あれからずっとオレの小学校の話をしていた。
「あんたに聞いても教えてくれないじゃない。」
「まぁそうだけどさぁ……」
もともと昔話は嫌いだからな
「そう言えば千棘、お前理科準備室にプリント運ばないといけないんじゃダメだったんじゃなかったか?」
「あっ……忘れてた。ちょっと行ってくるね。」
「はいはい。」
と俺は千棘を追い出した。さて、
「なぁ二人ともちょっといいか?」
「う、何?」
「はい…なんですか?」
「ちょっと今日何だけど千棘の誕生日らしいんだよ。」
「えっ、そうなんですか?」
「へ~千棘ちゃん誕生日だったんだ!」
「んで、ちょっと買い物付き合ってくれないか?誕生日プレゼント買いに行きたいんだよ。千棘には今日バイトって言ってあるから」
「つまりデートですか?」
とうれしいそうに村杉が言うけど
「んじゃ、れい行くか。」
「うん。二人きりで行こうか。」
「すみません。調子にのりました!」
と謝る村杉
「まったくまぁ…そう言うことだ。」
「じゃあ私たちも用意しないとね。」
「でもなんで知っているの?」
「まぁ共通の知り合いから聞いた。今日の誕生日パーティーに参加してほしいってな友だちも呼んできていいって言ってたからどうだ?」
「もちろん行くよ」
「私もー」
「わかったそう言っとくよ。」
とクロードにメールを送る。あの後普通に仲良くなったので集栄組の愚痴を言いあっている。
「おや皆さんお揃いで」
とつぐみがやってくる。
「つぐみもう話したぞ。クロードから連絡あった。」
「あっそうでしたか?」
とつぐみは笑う。
「でも、一条夕貴お前今日バイトってお嬢に言ってなかったか?」
「はったりに決まってるだろ。千棘の誕生日パーティーに行かないわけないだろうが。誕生日プレゼント買いに行くんだよ。だから適当にごまかしとけ。」
「わかった!じゃあ参加でいいんだな。お嬢昨日悲しんでおられたぞ。」
「大丈夫、今回はちゃんと参加するから。」
と笑う。それに正直買うものは決まっていた。
「お待たせ!!」
とれいが来る。
「おう、後村杉だな。」
と俺は千棘を送った後家に帰って着替えてきたんだけど
なんでこんなに時間がかかるのだろうか?
メイクをしているれいはいつもよりかわいくなっていてびっくりしていた。
「ゴメン、待った!」
と村杉も時間どおりにきた。なんで女子はメイク一つでこんなに印象がかわるんだろうか?
「んじゃ商店街でいいか?」
「うん。大丈夫だよ。」
「ね~ゆう兄どう、変じゃないかな?」
「大丈夫だよ。二人ともちゃんとかわいいし、似合ってるぞ。」
「あっ……ありがと。」
「よかったー」
と二人ともほっとしているけど
「ほら、行くぞ。千棘には内緒できたから早めに済ませるぞ。」
「ちょっと待ってよ!」
と村杉が手を握ってくる。
「これでよしっと。」
「……お前けっこう積極的なんだな。」
「こうでもしないと幼なじみの麗香ちゃんと彼女の千棘ちゃんに夕貴君をとられてしまうもん。イヤだったら放すけど、」
「あのさぁ…オレが千棘と付き合っているだけでとられていると思うけど。」
「そうだけど!でも、あきらめたくないの!!」
村杉ってかなりの負けず嫌いなのかよ。
「それにこんな簡単に初恋をあきらめたくないのよ。だからせめて告白して終わりたいの。」
「……はぁまたやっかいな奴に好かれていたんだな。まぁうれしいけど。」
と頭を撫でる。
「……あんた本当にずるい。」
と顔を背けていた。
「ずるくてけっこう。でも本音だからな。」
「杏姉とゆう兄仲いいね」
「正直なところ林間学校まで話したことないけどな。でも好かれていることは気づいていたしな。ただ、こんなに積極的だと思ってなかったけど。」
「えっ……気づかれてたの?」
「……昔から好意と嫌悪の視線は区別できるからな。クラス全員の好きな人はだいたいわかる。」
もともとそういうのは慣れていた。嫌悪の視線の中で唯一普通に接してくれたのが今のメンバーだからな。
「気にしすぎだよ。ゆう兄は、」
ともう片腕に抱きついてきて
「でも、私はそんなゆう兄が好きだよ。」
「……」
「ゆう兄照れてる。」
こいつは昔から苦手だった。意識しないようにしても、俺のことを一番わかっているので弱いところをせめてくる。
「ほら行くぞ。そんなこと言うんだったらマックドバーガーのプチバンケーキおごってやらないぞ。」
「ひどいよ。ゆう」
とここでれいは固まる。
「ゆう兄なんで?ハンバーガーとかじゃないの?」
「お前確かケチャップ食えなかっただろうが。んでブルーベリーが好きだったからブルーベリーソースのプチパンケーキだと思っていたんだけど、もしかして好み変わっていたか?」
調味料がほとんど食べれなかったので覚えてる。ずっとマックドバーガー行く時はそればかり食べてたから。
「ううん…そうだけど。」
「ならそれおごってやるから、さっさと決めてしまうぞ。」
「本当にゆう兄はずるいよ。」
「それで夕貴君は何を渡そうと思っているの?」
「それがな、」
と思っていたものを言う。すると
「……いいなー桐崎さん」
「うん!!いいと思うよ。」
「本当か、よかったー」
と一安心する。
「でもなんで?」
「俺らしくないけど、たまにはかっこつけていいかなって思ったんだよ。」
「私の誕生日プレゼントもそれにしてほしいな。」
「まぁ、一つは別にいいけどもう一つはな。まぁ考えておく。」
と苦笑する。
「んじゃ買いに行こうか。あと離してくれ、」
「う~ケチ」
「少しくらいはいいんじゃないかな~。」
「また今度やってやるから。千棘が許可したらな。」
と俺は店に向かった。