もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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アイジン

今クラス中がざわめいている。なぜかと言うと

「今日また転校生がくるんだって?」

「うん、しかもかなりの美人なんだって!」

「ってことは女の子かぁ。」

と今日転校生がくるってことでざわざわしていた。しかし俺と千棘は別の意味で緊張していた。

「今日よね。あんたの許嫁がくるって。」

「あぁ、」

「でも、あんたはあったことあるんでしょ。」

「でも、思い出せないんだよ。炭谷麗香って名前」

と俺は林間学校の後アルバムとか探ってみたがもともと写真に写るのが嫌いだったのもあって俺の写真が全くなかった。

「どうしたの?二人とも。」

と宮本が話しかけてくる。

「今日の転校生が俺の許嫁らしいんだよ。」

「……はぁ?」

と宮本は訳がわからないって顔をしていた。

「しかも夕貴はあったことがあるらしいのだけど忘れているらしいの。」

「集と楽は覚えているらしいんだけどな。」

と俺は首を傾げる。本当にあったことがあるのだったら多分見たら思い出せると思っていた。

「あんた一条君のことたらしって言えないじゃない。」

と宮本の言葉に否定できなかった。

「ほら、全員注目~!!今日は転校生を紹介するぞ。」

とキョーコ先生の声が聞こえてくる。

「じゃあ入って炭谷さん」

「はい」

扉があき、そこから出てきたのは、茶髪のショートカットの女の子。そして見た瞬間思い出した。

「……は、初めまちて。」

と思いきり噛んでいる。

すると男子がその子に見とれる。女の子が顔を真っ赤にして

「炭谷麗香です!皆さんよろしくお願いします!」

するとクラス中から歓声が聞こえていた。俺はそれどころではなかった。

「れいちゃん」

思い出した。俺と楽、集と羽姉とつるんでいた一人だった。小学校の途中で転校したんだけど、

すると俺の方をれいちゃんが見る。まずい

「あっ、ゆう兄だ久しぶり。」

と飛びついてくるのをかわす。

「なんでお前が帰ってきたんだよ。」

「ゆう兄と結婚しにきたんだよ。」

と嬉しそうにしている。

「ちょっと、夕貴君どういうこと?」

と凄く怖い顔をしている村杉さん。しょうがないので説明する。

「こいつは、ってあぶねー。」

「ゆう兄逃げないでよ。」

「集、楽説明頼んだ。俺は逃げる。」

と俺は教室から走って逃げる。ヤバいすっかり忘れてた。

こいつは幼なじみで唯一俺に告白してきたやつだ。

 

「改めまして私は炭谷麗香です。」

と俺の後ろに隠れながら言う。

「あいかわらずだな。れいちゃんは。」

「集。ならとりあえずこの雰囲気をどうにかしてくれ。」

と今の俺は千棘と村杉に手をつながれていて、背中にれいちゃんがいる状態だ。

「でも、まさか集ちゃんと楽ちゃんがいると思いませんでした。」

「俺たちだってびっくりだよ。」

と楽も苦笑する。

「とりあえず炭谷は極度の人見知りなんだ。でも悪い奴じゃあないけど見ての通り俺に昔からくっついてくる奴だ。」

「は、はいよろしくお願いします。」

「ついでに右から村杉杏、小野寺小咲、宮本るり、鶫誠士郎、んで」

と村杉の手をはじいて千棘を俺の前に引き寄せる。

「ちょっと夕貴」

「俺の彼女の桐崎千棘。」

「えっ!」

と皆が固まる。すると

「……ゆう兄彼女いるの?」

「あぁ、いるけど。」

「へぇえっと桐崎さんだったよね。」

「えっ…あっそうだけど。」

そして少し見た後

「……かわいい。ハーフですよね。」

「えっあっうんそうだけど。」

「ゆう兄の彼女だけあってかわいいね~。じゃあ結婚するのは無理だー。」

「えっ……」

「んでさっきの村杉さんはゆう兄とはどんな関係なの?」

「今は友達かな?」

「今はじゃなくて、友達だろ。」

とため息をつく。

「んで鶫さんと小野寺さんは楽ちゃんの彼女?」

「ち、違う!」

「そ、そうだよ!!ただの友達」

「んで宮本さんは恋の相談役?」

「そ、そうだけど。」

……ちょっと待てこいつするどくなってないか?身長も小さなまんまだし、あの頃とほとんど変わってないけど。

「ね~桐崎さん。」

「私のことは名前でいいよ」

「じゃあ千棘ちゃん私を千棘ちゃん公認の愛人にしてくれないかな?」

すると皆の笑顔が固まる。しかしれいちゃんは笑顔で話続ける。

「えっ…」

「ゆう兄が選んだ人なら文句は言わないけど、私もゆう兄のこと好きだからさ……ダメかな?」

と上目づかいプラス涙目を使って千棘を誘惑していた。

「いいかげんにしろ。」

とため息をつく。

「お前な、いきなりきて急に愛人になりたいってどういうことだよ。」

「じゃあ奴隷?」

「お前それ絶対言うな。それ以上はさすがに怒るぞ。」

「ケチ!」

「お前の常識がおかしいんだ。まったく」

「だってお父さんがこれを言ったらゆう兄が喜ぶって」

「あのクソオヤジ実の娘に何を教えているんだよ!」

「あーこの雰囲気なつかしいな……」

と懐かしげに楽が見ている。

「そうだね、小学校とまったく変わってないからなぁ。」

確かにな。

「う~でも、ゆう兄は私の命の恩人だから。一生かけてでも」

「れい。」

とオレは声を大きくだす。するとクラス中が静かになる。

「二度とそのことを言うな……あのことは、オレが悪かったんだ……」

「でも、」

「本当はオレの方が償わないといけないんだ。」

あんなおもいをさせてしまったのにオレを恩人だと思っていることがかなりつらかった。

「ねぇ、あんた達に何があったのかは知らないけど、とりあえず炭谷さんは、夕貴君のことが」

「好きだよ。大好きずっと八年間楽しみに待っていたんだ。そして約束を守りにきたよ。」

とれいちゃんは笑い。

「ただいま、ゆう兄。」

「……あぁお帰りれいちゃん。」

と笑う。そういえばこいつにも言っていたな。

皆は不思議そうにしていたが俺はちょっと嬉しくなった。

 

「あ~集ちゃんも楽ちゃんも変わってなかったな~」

「お前自由すぎるだろ。」

とため息をつく。なぜか千棘と帰るまでついていくと言い出したのだ。

「ねぇ千棘ちゃん、ダメかな、ゆう兄の愛人になったら。」

「あはは。」

と困っている千棘。

「でもそういえばお前なんで俺の許嫁を許可したんだ。あの時お前をきっぱり振っただろうが。」

「うーん、ゆう兄のことが好きだったからかな。私のことを助けてくれたのもそうだったけど、私の初恋相手だったんだよ。」

「えっ……」

と千棘がびっくりする。

「ずっと家の言いなりみたいな私のことをつまんないって言って両親をバカにしたからよくケンカしていたよね~」

「へぇー昔の話はあまりしてくれないから聞きたいなぁ~!」

「……まぁしょうがないな。でも昔は俺も友達作ろうと努力してたんだよ。でもな千棘には昔話しただろう。昔竜が俺とケンカした相手を病院送りにしたって。その相手が炭谷だよ。」

「えっ……」

「昔みたいにれいちゃんでいいよ。でもあの時はゆう兄が助けてくれたじゃん!」

「バカ言うな…あれは俺の自己責任みたいなもんだよ。」

竜が突入した時、少し怖かったんだ。

「始めて血を見たんだよ。俺が悪かったのに。」

「あの傷まだ跡残っているよ。」

と腕に一生ものの傷跡が残っていた。

「でもゆう兄は知らないと思うけど、あの後私も変わったんだよ。もう自分の好きなことをするようにしたし、それに幸せだったんだよ。毎日のようにお見舞いに来てくれたし何よりもあの後も私のことを看病してくれて、」

「あーわかる。心配性だよね~。」

「うん……でもゆう兄はもともとは優しいけど、自分に責任があるって思いこみやすいんだよ。」

「でも何かと困っていたら絶対助けてくれるし。」

「だから私はゆう兄のことが好きなんだ。」

と俺に抱きついてくる。

「おい、あぶねー。」

と千棘を後ろに乗っけている分動けなかった。

「ずっと、ずっと好きだったんだよ!千棘ちゃんにあった時、ゆう兄は千棘ちゃんと付き合っているってわかった。でもね…私諦めないから。絶対にゆう兄の第2婦人になってみせるから。」

と俺は苦笑してしまう。

「ふーん、夕貴と結婚するのは私でいいの?」

「はい……悔しいですけど、千棘ちゃんといっしょにいるゆう兄は幸せそうですから。私は二番手で構いません。ただ私ゆう兄のそばにいることが幸せですから。」

「お前な。友達とか親友とかじゃあだめなのか?」

「嫌です!」

ときっぱり断っていた。

「まったくゆう兄は女心がわかってないんだから。好きな人と結婚するのは夢の一つだけど、それよりも私はゆう兄の子どもを産みたいですから。」

俺と千棘は咳き込んでしまう。

「それに既成事実さえ作ってしまえば、ゆう兄も私のことをめんどうをみてくれますし、」

「おいお前」

「冗談だよ。でもねゆう兄だってハーレムは憧れるって思うでしょう。」

「思わねーよ!俺には千棘がいるんだよ。」

「千棘ちゃんだってゆう兄がモテるのはうれしいでしょう?」

「まぁ……」

「それに私の家を継いだら3人くらい簡単に養えますし!一番は千棘ちゃんでもいいですから。」

「おい一人増えているぞ。それに世間の声っていうもんが。」

「ゆう兄は世間の声って気にしないでしょう!自分が守りたい人は絶対守るって私に言っていたでしょう。」

こいつまだ覚えていたのか。

「それに、私のこといくらバカとか悪口言っていたけど嫌いとは一回も言ってない。本当は私のことどう思っているの?」

その一言に固まってしまう。

「ゆう兄が嫌いっていうなら私諦めるから。本当のことを教えて、ゆう兄は私のこと。」

「嫌いじゃね~よ。ただ恋人として考えたことがないだけ。確かにお前のことは好きだけど、千棘よりも少ない。もし、千棘と炭谷のどちらかを助けてやらないとするんだったら絶対に千棘を選ぶ。」

「そんなことは知って」

「だから今回も千棘を選ぶ。」

ときっぱりいう。

「ゴメン、れいちゃん。俺は正直お前のことは異性として見てなかった。ただの友達として見てたからな。そんな状態でお前と付き合うのも失礼だし、それよりも千棘のことが好きなんだ。」

「……そっか……」

と落ち込んでいるれいちゃん。でも

「……じゃあ千棘ちゃん、ゆう兄に宣戦布告。」

「「はい?」」

「私のことを絶対異性として好きにならせてみせるから。それで千棘ちゃんにもゆう兄の愛人になってみせる。そして全員がゆう兄のお嫁さんにならせてみせる。」

ちょっとこいつ何言ってるの?

「じゃあね、千棘ちゃん、ゆう兄。」

「おいちょっと待て」

と言うが遅かった。もともと走るのが早かったのですぐに見えなくなった。

「ねぇ夕貴、」

「……なんだ?」

「炭谷さんって……けっこう残念な人だよね。」

「……それを言うな。」

とため息を吐く。頑張るところを間違えている幼なじみに頭を抱えた




3人目登場
オリキャラはこれ以上は出てこない予定です。(れいちゃんの両親以外は)

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