もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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クラヤミ

 

二日目の夜俺達は宿の前に集まって最後の行事を行おうとしていた。

「あー腰いてー」

「あんた大丈夫?」

昨日集が女子の部屋をのぞき込んだせいで俺と楽まで巻き添えをくらい宙吊りで一晩を過ごすことになったのだ。

「大丈夫だよ。それよりお前今日の肝試しって大丈夫か?暗いところ苦手だろ。」

「うぅ、大丈夫じゃないかも。」

「だよな。ついていってやりたいけど、ペアはくじ引きだしな。」

と俺はため息をつく。

「まぁ一応楽と集には交渉して変わってもらえるように説得したから三分の一だけどな。」

「あんたそんなことしてたの?」

と呆れている。でも仕方ないだろう。

「だって最近二人きりになれる機会少なかったじゃん。ゆっくり話したいし。」

「まぁ確かにそうだけど。」

千棘は納得していたけど他にも理由があった。確か、ペアになった女子は必ず手を繋がなければならないらしい。正直千棘が他の男子と手を繋いで歩いているところを見たくない。

「よーし全員注目。」

とキョーコ先生がスピーカーを使い大声で言う。

「これから恒例の肝試し大会を開始する!!準備はいいか野郎共ー!!」

「「「おぉー!!」

と皆から歓声があがる。

「じゃあ先生達はここで一杯やってるんで。生徒の自主性を重んじて?後はテキトーに上手くやってくれ」

ただ飲みたいだけだな先生は

「それじゃあ女子からクジ引いてください!」

「じゃあ行ってくる。」

「あぁいってらっしゃい。」

と千棘を送り出す。まぁダメ元で狙ってみますか

「これじゃあ次男子、一条君のお兄さんからね。」

俺はテキトーに引くと12って書いてあった。

「夕貴何番だった?」

と千棘が言ってくる。

「12番だった。千棘は?」

「私は11番。ルリちゃん達も違った。」

「んじゃ後は集と楽に頼むしか無いってことか。」

と結局千棘も他の友達に頼んでいたのか少し残念そうだった。まぁしゃーないか

「おいゆう何番だった。」

と集が言ってくる

「俺は12番だよ。千棘は11番」

「俺は10番だった。」

「ってことは舞子君はつぐみとだね。」

「そういや楽は?」

「小野寺と一緒らしいぞ。」

ほーあいつはよかったんじゃないかな。

「そういや、俺って相手って誰だ?」

「あっうん私。」

後ろからショートカットの女の子。確か村杉だったけ確か千棘がいなかった時は人気あったよな……

「……」

と千棘がうらやましいのかじー村杉の方を見ていた。

「えっと11番って誰だ?」

「あっ私。」

と見ると和田が立っていた。

「和田換えてくれないか?」

「いやに決まってるだろう。」

だよな。千棘も人気あるし、しょうがないか……

「んじゃ後でな。」

「うん、行ってくる。」

と手を振って別れる。

「本当仲いいよね。桐崎さんと夕貴君。」

「あぁそれじゃあ付き合ってないしな。」

と俺はちょっと心配してしまう。あいつ本当に大丈夫かな。

 

肝試しが始まってから数十分が経った

……

やっぱり心配になっていた。

「やっぱり桐崎さんの事が心配なの?」

村杉が俺に話してくる。

「まぁな…」

「ねぇ桐崎さんのどこが好きなの?」

と急に村杉が言ってくる。まぁいいか。

「そうだな。危なっかしくて本当は怖がりなくせに強がって無茶してしまうところかな。」

そういやニセコイを始めた時もそうだった。あいつはよろしくって言っていたんだ。多分俺がずっと謝りたかったんだろう。自転車置き場の時泣きそうな顔をしていた。自分がギャングの娘って言えなかったのがつらかったのだろう。だから謝りたかったから、多分少しの間の偽物の恋人関係を了承していたのだろう。

「後先考えず行動してしてさつっこむ。でも、失敗ばっかりしてるけど、本当に優しくて俺が助けてやると素直に感謝の言葉を言ってくれる。そしてまた笑って俺の隣にいてくれるからな。」

「本当に桐崎さんの事が好きなんだね。」

そりゃもちろん

「大好きだよ。」

本心からだった。すると村杉はちょっと悲しそうに

「そっかぁ~……」

と下を向いていた。

「おい一条兄、桐崎さん知らねーか?」

と和田がやってくる。

「ここには来てないぞ。千棘がどうした。」

「それがさぁいくら探しても見当たらなくてさぁ~…」

「あー桐崎さんならさっき森の中入ってくの見たよ?オバケのカッコして。」

クラスの女の子が言う。

「ちょっとどういうことだよ。」

「さっきオバケ役の人がお腹壊したみたいで代役頼んだんだって。」

「……それ本当か?」

またあいつな。話を聞いている限りだと懐中電灯を持たせているから大丈夫そうだけど

「和田君、桐崎さん戻ってきてない。」

「あれ?安達どうした?」

とオバケ役が戻ってきていた?

「いや実はさぁー桐崎さんにオバケ役お願いしたんだけど、懐中電灯に電池入れ忘れちゃって」

「ちょっと待ってってことはあいつ森の中に灯りを持たず一人でいるのか?」

「えっ、夕貴君どうしたの?」

と村杉が言う。

「……そ、そうだけど。」

「ゴメン、ちょっとあいつのところ行ってくる。」

と俺は森の中に入る。あいつまた無茶して

「あのバカ。」

と森をかき分けて中に入る。

そういえば10年前にもこんなことがあった好きな女の子が行方不明になった。そして俺と楽が探して結局楽が見つけて穴に落ちた。

全力で走りながら思い出す。

クソっ

あの時は好きな奴を見つけてやれなかった。いつも  楽が助けていた。

だから今度こそは俺が助けてやりたいんだ。

そして森の中にかすかに赤いものが見えた。そして俺はそこにかき分けていった。すると

「見つけた。」

と声を出してしまう。やっと見つけた。

「……夕貴」

と泣いている千棘に見つけてホッとする。そして抱きしめた。

「ちょっとあんた。」

「無茶しすぎだ。バカ。心配したんだぞ。」

と力を強めてしまう。

「ゴメン。」

と千棘は一言言ってから泣き出した。よほど怖かったのだろう。泣き止むまでは数十分かかった。いつのまにか千棘も抱きしめ返していた。

「……ありがとう。」

と千棘が言う。

「当たり前だ。お前は俺の彼女だからな。無茶していたら俺が絶対助けてやる。絶対な。」

「…うん。私夕貴のことが好きだよ。」

「あぁ。」

と力が入る。

「……もうちょっとこのままにしていい。」

「もちろん。でも俺も」

と千棘は俺の方を見る。ずっと言いたかったこと。

「大好きだよ。千棘。」

「うん。私も。」

と離れたくなくずっと抱きしめ続けた。

 

「あっお嬢ー」

とつぐみが手を振っていた。

「お嬢ー!!心配しましたよー!!」

とつぐみが駆け寄ってくると

「お嬢、一条夕貴なぜ手を繋いでいるのですか?」

とつぐみは俺と千棘を見て言う。

俺と千棘は顔を見合わせて顔を真っ赤にさせながら苦笑してしまう。

「まぁな…いろいろあって」

「夕貴君、つぐみさんに聞いたよ。桐崎さん暗い場所苦手だったんだね。」

と村杉が駆け寄ってくる。

「ゴメンな。肝試しめちゃくちゃにして。」

「ううん、桐崎さんが無事だったからいいんだよ。後桐崎さん」

「えっ、何かな村杉さん?」

「負けませんから。」

と笑って走っていく。あれっ俺いつフラグたてたっけ?

「えっ、どういうこと?」

「そう言うことだよ。」

とため息をつく。こいつの鈍感ぷりにはちょっと呆れてしまう。

「おい兄貴、先生が呼んでいるぞ。」

「はいはいすぐ行く。千棘、悪い少し行ってくる。」

するとちょっと残念そうに手をしぶしぶ離した。

「んじゃまた明日な。千棘。」

「うん。また明日」

と笑っていた。その後俺は先生に単独行動をしてしまったので先生に怒られた。




サブヒロイン登場です。
集は多分千棘とペアになったら主人公に売っていたと思うのでペアを変えました。
るりちゃんはモブと当たっています。
またサブヒロインはもう一人でます。

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