もしも楽と双子の兄がニセコイ生活を始めたら。   作:孤独なバカ

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オトウト

「ってことがあってな。」

「兄貴無茶しすぎだろ。」

楽から言われる。今はプリントを教室に運びながら、昨日のつぐみとの決闘の詳細を楽から聞かれていた。

「まぁ結論、つぐみが女で決闘して勝った。そして集が身代わりになったんだよ。あいつ俺のおかげで大儲けしたからこれくらいの報いは受けてもらわないと。」

「ふーん。でもあいつが女だとは思わないだろ。」

「まぁ、顔とか普通にかわいいしこれから男からも女からもモテそうだけどな。」

「そうなのか?」

「……だから楽は集から鈍感って言われるんだよ。」

とため息をはく。どうみても楽は小野寺の好きな人が自分だってことを気づかないらしくしかもヘタレなのでまったくくっつくとは思えないのだ。

そして教室につくとリボンをつけて、女子の制服を着たつぐみがいた。なんか普通にかわいい。多分桐崎が仕立てたんだろ。

「おーなんだそのリボン似合ってんじゃんかわいいな」

「なっ…」

と楽の言葉につぐみは顔を真っ赤にさせて

「かわいくなんてない。」

とどうみても照れているのはわかった。

……鈍感、ヘタレ、たらしって最低な三要素を身に付けている弟だった。

 

「それでは改めまして自己紹介を。鶫誠士郎です。名前は男のようですが正真証明女です。」

すると小野寺、宮本、楽に自己紹介しているつぐみ。でもやっぱり男子の制服の方がいいらしくそっちに着ていた。

「あんたつぐみに何を言ったの、あの子あんたのことをかなり気に入ったらしいけど。」

「まぁ、色々な」

とつぐみにはプールで言ったことは黙ってもらっている。桐崎なんかにバレたら恥ずかしすぎるからな。

「ついでにクロードもあんたのこと認めたらしいわよ。」

「おっそれはありがたいな。」

「どうやらプールの時話したことを盗み聞きしてたらしいわよ」

「……えっ」

笑顔が固まる。

「夕貴のことをウチの次のボスにしたいって言ってたわよ。」

「ちょっと待って、聞かれていたの?」

「えぇ、パパもクロードの録音したやつを聞いていたらしくて、」

「……もうやだ」

「ちょっと夕貴どうしたの?」

あんな恥ずかしいことを聞かれるってかなりきつい。後々凄く後悔したしな。

「そういえば、一条夕貴」

「なんだよ。」

「これから、私がお前の警護を任された。よろしく頼む。」

……はい?

「えっとどうして?」

「クロード様からの命令だ。お嬢と一条夕貴を守れってな。」

「警護なんかいらねーよ。まったくあんたらのところも過保護だよな。」

「そりゃ跡継ぎがお嬢しかいないからだろう。」

……あっそうか。俺と楽は双子だから俺がなんかあっても楽が継ぐことができるけど、ビーハイブは桐崎しか跡継ぎがいないのか

「そうか、悪いことを聞いた。すまん。」

「あんたって自分が悪いと思っていたらすぐに謝るよね。」

「まぁ仲が拗れて険悪になるのが嫌いなんだよ。自分が正しいと思うことは絶対引かないけどな。」

「まぁ兄貴のいいところであり悪いところでもあるからな。」

と頭をかく楽

「そういえば兄貴、いつもの手伝ってくれないか?」

「まぁ今日はバイト休みだからいいけど。」

「えっ、何をするの?」

あぁ桐崎は知らなかったな

「楽は飼育係なんだけどここの動物かなりおかしい動物ばっかりいるんだよ。ワニとかカピバラとかヘビとか」

「何でそんな動物がいるんですか?」

全部楽が拾ってきました。

「んで、近くのペットショップで直接買うしかねぇんだよ。」

「ちょっと待って夕貴、今日約束してたケーキバイキングに連れて行ってくれる約束は?」

「それ明日だぞ。」

「そ、そうだったけ?」

うまくごまかせたかな。完全に忘れてた。

「お待ちくださいお嬢。なら私が一条楽の買い出しに行くので、一条夕貴と行ってきてください。」

「えっそう。」

「お前2日もケーキ食べに行くのかよ。せめてパフェかなんかにしろよ。」

「えー今日は私が奢るからさ」

「そんなにケーキ食べたいのかよ。あーわかったわかった行くから。」

「本当に桐崎に弱いよなゆう」

といつの間にか入ってきていた集に言われる。たしかに少しどころかかなり甘いよな。

「と言うわけで今日は私がついていく。」

「あっそうだつぐみ」

と名案を思い出したのか桐崎はつぐみを呼んだ。

 

「あー美味しかった。」

「まぁ美味しかったけどさ」

と俺はソーダを飲みながら言う。

桐崎とほぼ毎日一緒にいるおかげで好きなものも得意なことも知っているつもりだったけど。

「お前メイクとか自分でやってたんだな。メイクさんか誰か雇っているんだと思っていたよ。」

つぐみを見てビックリした。少し待っていただけでかなり女の子らしくなっていた。

「それって私が女の子らしくないって言ってるの?」

「いや、お前メイクうますぎなんだよ。それにあんな短期間でお前メイクしてきただろ。多分簡単なやつだと思うけど。」

「……気づいていたの?」

「まぁな。」

軽くほうが赤くなってたしな。

「ずっとお前が転校してきてから隣で見てたんだ。さすがに気づくさ。」

「ふーん」

となぜか嬉しそうにしている桐崎。すると俺の好きな曲がなる。ってことは

「悪い桐崎、メールきた。」

「あっ見ていいよ」

とメールを見ると楽からで

「桐崎つぐみが靴擦れ起こしたらしいぞ。」

「えっ、あっあの子ヒール初めてだった。」

「しかも隠していたらしくけっこう重症だから送ってくだって、あいつに住所教えていいか?」

「うん。いいけど、私たちも帰ろう。」

「わかった。でももやしとあんたってずっと似てないと思っていたけど時々やっぱり兄弟なんだって思うことがあるわ。」

と桐崎が言う。

「まぁ一応兄弟だしな。似ている点は両方無茶することぐらいしかねぇだろ。」

「でも優しいでしょう。私も転校してきた当時にノート書いてもらったことあるわ。」

「やりそうだな。楽は優しいからな。」

「あんたも優しいでしょう。」

と席を立つ。

「ほら行くぞ。」

「でも会計は?」

「もう払ってあるから急ぐぞ。」

と俺は自転車に乗る。

「桐崎急げ。」

「あぁうんちょっと待って」

と後ろに乗る桐崎。そしてこぎ始める。

でも俺はそんなに優しくなんかねぇぞ。桐崎。

多分、俺は桐崎以外には優しくない。桐崎にだけ優しいんだよ。それに桐崎が乗っているときだけ自転車のこぐペースを落とすからな。友達が怪我してようがな。

 

「んじゃな。桐崎」

「えぇ、じゃあね。後あんたもつぐみのことありがとうね。」

「あぁ、つぐみにもお大事にいっといてくれ。」

と楽が言う。そして俺たちは桐崎の家を後にする。

「そういや楽と帰るの久し振りだな。」

「前まではほとんど一緒に帰っていたからな。兄貴がぼっちだったから。」

「だけど、桐崎が来てからはなんか色々あったよな。なんか守る順番ができたつーか。凄く無くしたくないもんができた。」

「それってあのゴリラのことか?」

「あぁそうだよ。」

するとキョトンとする楽

「どういうことだ。」

「そう言うことだよ。俺は冗談が嫌いってこと知ってるだろ。」

「ウソだろ。」

と楽はビックリしていたけど

「なら応援するよ。兄貴が好きな人ができるって聞いたことなかったし。」

「まぁな。人と関わろうとすら思わなかったけどな。」

と苦笑する。

「まぁこの調子じゃ、楽よりも早く告白できそうだな。ずっと進展しないお前じゃあ。」

「……」

「否定しろや。まったくなぁ、小野寺に彼氏できても知らねーぞ。」

「まさか小野寺に好きな人いるのか?」

「……」

さすが楽だな。

「自分で聞け。俺は優しくないからな。」

「どの口が言う。」

「でもお前女から嫌われる三要素持ってるからな。」

「えっマジで」

「マジで。鈍感、たらし、ヘタレっていう三要素。」

「ウソだろ。兄貴ウソって言ってくれ。」

「だから言っているだろ。俺は冗談が嫌いってな」

と自転車をこぎ始める。でも俺と楽このコイが成就しますように少し動きだしますか。


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